Graffiti for android はペンタブレットの救世主になれるか。

Screenshot_2013-09-24-22-13-40 Plam が PDA で一世を風靡した原動力の一つがこの入力方法だった。自分を含めてペン入力では最高の入力効率だと確信する人は多い。palm OS は紆余曲折を経て日本の開発会社のものになり現在に至っている。

 Graffiti も様々な大人の事情に振り回されて、Graffiti から Graffiti 2 になり完全に改悪された SONY CLIE UX-50 には改悪された Graffiti 2 が載っていて心底がっかりしたものだった。Graffiti が書作件侵害で訴えられて敗訴したために、一部を変えたのが 2 だったが、Graffiti の画期的な入力を否定するものだった。

 Graffiti が画期的だったのは、手書き認識の再定義だった。従来の手書き認識は人間が書くことを正確に認識することを目標にしていた。しかし、Graffiti は人間が機械に合わせるという方法をとった。手書きのストロークを簡略化して再定義したのだ。この発想が素晴らしかった。文字の形というのは単なる歴史上の産物であり何の合理性もない。互換性のためだけに今の形があるのだ。だから、コンピュータに認識させる時に書く文字というより記号はその形に合わせる必要はない。その結果、ローマ字の特徴を取り出した合理的なストロークによる入力が完成したのだ。

 すべての文字が一筆書きできた。右の写真の入力例では筆記体の大文字と同じ書き順になっているが、B,G,P,R,X,Y はもっと簡略化した入力が可能だ(右のヘルプの K に痕跡が残っている)。ローマ字をペン入力するにはこの方法が圧倒的だ。もう、ローマ字の字形を Graffiti にしてしまえばいいと思う。機械で認識しやすいということは人間の目でも識別しやすいということだ。

 しかし、XOOMでは大きすぎる。5インチ程度のペン対応タブレットがあれば最高の組み合わせかもしれない。ただし、フリックにはまだ勝てないとは思う。日本語の場合、フリックのストロークの少なさは圧倒的だから。

 後、このソフトは日本語変換が今イチなので、Graffitiの速度を活かせない。このキーボードで POBox inline の変換エンジンを使えればペン入力対応の Android を制圧できるかもしれないのに。惜しいなぁ。

 Samsung や SONY は一刻も早く Graffiti pro を搭載してアピールすべきだ。漢字認識なんて現実的ではない。これは palm vs Zaurus のときに証明されている。両方使った経験者が言っているのだから間違いない。palm の Graffiti 入力を懐かしむ palm 経験者は今も残っている。iOS デバイスのアキレス腱を突いて Android に転向させる突破口にできる(かもしれない)。

No-look-type を Fleksy で

 「見ずに打てるキーボード Fleksy (Android, iOS) | GEEK_XP」を使って実際に目をつぶって入力してみた。少しでも見てしまうと試したことにならないと思い、iPhone で撮ってみた。ホントにデタラメに近い入力でも予測されいるからすごい。

 50音配列のキーボードでは無理そうだ。

 こちらは公式動画

 後、盲人がこれを使って便利になるかどうかは分からない。なぜなら、今のキーボード配置を知っていなければならない。ただし、このアルゴリズムを応用すればもっと人工的な合理的な配列を前提とした入力環境に道を開く可能性はある。QWERTY 配列にこだわらないチャレンジを目指して欲しい。

 ただし、Siriのレベルが上がればタッチ入力の必要性自体が無くなる可能性はある。さらにその先には脳直結通信が待っている。まあ、そこまでいくと目が見えるとか見えないとかいった、生物的なハンディキャップなど克服されているだろうが。蛇足をつけるなら、そこまで技術が進歩する前に人類が絶滅する可能性のほうが高いだろう。原因が太陽活動の変化であるのか隕石の衝突か人類の自滅かは別にして・・・

“QWERTYキーボード×フリック操作” で入力 Blossom

 興味深いアプローチだが、10 インチクラスのタブレットでフリックは非現実的だろう。なぜなら、指の移動だけではキー全てに届かないからだ。これは、ノートPCのキーボードを片手で操作してみれば分かる。しかし、7 インチの端末には最適かもしれない。7インチのQWERTYキーボードは両手で打つには狭すぎるし、かなのフリックには広すぎるからだ。

 こういう野心的なアプローチが UI の分野で出てくるのは嬉しい。Android ならシステムの IM として組み込むことが可能なので、プロトタイプを公開してほしいものだ。まあ、7インチのタブレットは持っていないから、XOOM で試すしか無いが。

 確かに、濁音や半濁音をワンフリックで入れられるのは便利そうだ。促音や拗音は逆に不便そうだが、フリックと比較すれば同じくらいだろうか。マルチタッチを活かして、例えば「シフト」+「K」で「きゃ、きゅ、きょ」がポップアップするとかは難しいか。

SFC ORF 2012 Report:“QWERTYキーボード×フリック操作”で入力、タブレット向け新入力インタフェース「Blossom」がスゴい – ITmedia PC USER

 「タブレットにはタブレットに適する入力UIを」――QWERTYキーボードとフリック操作を組み合わせ、タブレットでの文字入力に最適化したという入力インタフェース「Blossom」が「SFC Open Research Forum 2012」(11月22〜23日、東京ミッドタウン)で展示されていた。

 Blossomは、日本語ローマ字入力用のインタフェースだ。スマートフォンなどでよく見られる、フリック動作を使う日本語入力は「か」のボタンを押してフリックし、か行のかなを入力するのが一般的なスタイルだが、Blossomは、QWERTYキーボードでフリック操作を行い、かなを入力する。

 「s」を押すとキーの周りに「さ」「し」「す」「せ」「そ」の選択肢が表示され、その方向にフリックすると入力できる仕組みだ。同様に「m」を押してフリックすればま行のかなを、「h」なら、は行のかなを入力できる。QWERTYキーボードはキーの数が多いので、「が」や「ぱ」といった濁音や半濁音のかなもワンアクションで入力可能とするのがポイントだ。「きゃ」のように小文字を入力する場合は、まず「k」をシングルタップした後に、「y」をフリックすればよい。

キーボードの挑戦者は続く

 UI ヲタクにとって新しい入力インターフェースの開発を観るのは大好きだ。特に、文字入力のインターフェースはまだまだ改善の余地が大きい分野なので、注目度は高い。将来的には脳波での通信が可能になるかもしれないが、当分は無理だろう。音声入力は以前よりははるかに精度は上がったが、実生活上使いにくい(周りに人がいる段階で声を出して草稿の企画書を書く気になれないし、私用のメールなんて絶対に無理だろう)。

 Android は OS の API の開放度が高く IM を入れ替えることが可能であり、多くのチャレンジャーが新しい思いつきを試みる場となっているようだ。インストールベースも増えて開発者も可能性を見出しているのだろう。

SwiftKey – Android's smarter keyboard that learns from you


 以前からある考え方のキーボードだ。FEP の誤入力修正アルゴリズムと予測変換辞書の組み合わせと考えれば分かりやすいか。aからスタートしてscvbnhgfdrtyuioijhgfdと指が動いた時に、android を導き出せばいい。

 興味深いインターフェースだが、辞書と予測変換の精度に依存するので、登録されていない単語の入力はタッチ入力に切り替えて入れるしか無いだろう。このアプリでは、個人の SNS のアカウントを入力することでその人が使う単語を辞書に登録するという点が新しい。Office 2010 の IM のように、任意の文章を読みこませることで学習させられると更に効率が上がるかもしれない。

 しかし、日本語は難しいだろう。日本語の入力をする場合には子音と母音の往復が煩雑になりそうだ。母音を無視して入力することも可能かもしれないが(確か、POBox palm 版はそれができた)、入力者が対応できるかどうか分からない。出来れば凄い高速日本語入力が可能になるかもしれないが(母音を打たなくて良ければ打鍵数が大幅に減る)。

 日本語の場合は50音キーボード上を滑らせると同じロジックが使えるかもしれないが、どこかで聞いた気もする。ただ、今、全く話題に上らないことを考えると、実用レベルに達しなかったのだろう(もし、自分の知らないところで愛用されていたらごめんなさい)。

ThickButtons: finger text input for touchsreen smartphones


 Apple が以前特許をとった技術を可視化したものと考えれば分かりやすいか。しかし、特許的には問題がないんだろうか。

iOS の可能性

 iOS では、Apple のポリシーにより、日本語入力をシステムに組み込むことができないので、どんな入力方法が出てきても代替候補にはならない。特定のアプリでしか使えないものに慣れたら不便になることは明らかだ。しかし、Android においても、キーボードと変換エンジンを別に持つことはできない。なので、ThickButtons などは、入力モードにかかわらずローマ字キーボード入力を行う場合には有効なはずだが、日本語入力には使えない。キーボードと入力インターフェースを分けるようなAPIが作られれば(IM から bluetooth キーボードのように見えるようになればさらに新しい展開が期待できるが、今は無理だ。

 自分は、XOOM では iWNN のQWERTY配列キーボードが打ちやすい。しかし、日本語変換では Google 日本語入力のほうを使いたい。こういうわがままに応えられるようになれば、Android はさらに iOS に対してアドバンテージを持つだろう。

iOS 6(日本語入力) on iPad 2012

 先日、iPad で WordPress を使っているとき、日本語の変換候補を選ぼうとした瞬間アプリが落ちてホーム画面になった。気を取り直して先に書いたものの半分くらいで再び落ちた。WordPress がおかしいのかと思い MobisleNotes で入力しようとしたらまた同じようなタイミングで落ちた。

 ふと、起動しっぱなしになっているアプリを確認したら大量にアイコンが並んでいた。これらを全部落として三度 WordPress で入力してみたら正常に入力できるようになった。

 iOS 6 からの問題なのか、従来からあった問題が今回顕在化したのかは確かめるすべはないが、多くのアプリを立ち上げたままにした状態で日本語入力をするとアプリが落ちる可能性が高いということは間違いなさそうだ。

 ただ、どちらのアプリも iPad で日本語入力をすると妙な動きをすることは前から感じていた。WordPress はある程度の文章量になると変換候補が表示されなくなる。MobisleNotes は入力行が入力エリアの最下段に行った時に変換候補を考慮してくれない。また、行が増えると罫線が消えるといった症状もある。このへんは、開発者がIMを使ったことがないのでどうしようもないんかな・・・

歓迎! Google、新日本語入力配列「Godanキーボード」を発表。

 なにはともあれ、Google がスマートフォンの日本語入力キーボードを見なおしたのが嬉しい。iOS が採用したフリックをそのまま真似していたが、完全に一から作り上げた(エンジンと辞書は従来のものをブラッシュアップしたものだろうが)。

 最近の大型化するスマートフォンの画面を活かした UI だ。両手の親指で操作するのが前提のようだ。片手ならフリックのほうが速いはずだし、両手でもフリックと同等以下の速度しか出ないのではないだろうか。一文字を打つために2回違う場所をタッチしなければならないという入力方法の限界だから。ローマ字入力がどれだけ頑張っても親指キーボードに勝てないのと一緒だ。親指キーボードを使えば誰でもが高速に打てないのと一緒で、人によってはフリックを修得するよりもこのキーボードのほうが習得しやすく、結果的にこのキーボードのほうが快適という人もいることは言うまでもない。

 後、気になるのはローマ字の配列だ。すぐに慣れるのかもしれないが印象と違いすぎて(しかも、結局フリックが必要になるし)相当戸惑うと思うが。

 Google 日本語入力のタブレット用フルキーボードはキーが小さすぎて打ちにくい。QWERTY キーボードの配列の見直しも行なってあれば、XOOM の日本語入力は Google 日本語入力にするんだが。それと、Google なんだから辞書をクラウドに置いて同期して欲しいところ(クラウドの設定で同期するかどうかは選べるようにして欲しいけど)。

 まあ、ソフトウェアキーボードの配列や入力方法について関心が高まるのはいいことだし、Apple はサードパーティの IM を使えるようにAPIを開放して欲しい。ATOK for iOS を IM と勘違いしている人がいるかもしれないが、あれはただのメモ用の入力インターフェースに過ぎない。だから、システムのフィールドに入力することができない。Android IM は自由に切り替えられて全ての入力インターフェースとして機能する。この点では iOS は Android に大きく劣っている(出来ないのでも遅れているのでもない。やれるのにやらないのだから”劣っている”だ)。

Google、新日本語入力配列「Godanキーボード」を発表。Android版を提供開始 – Engadget Japanese

Google が Android 版の Google 日本語入力アプリに新開発の「Godanキーボード」を追加しました。Godan はタッチ端末で快適にローマ字日本語入力するための新配列。一見ケータイ配列のようですが、左手で母音を、右手で子音を打ち分ける両手打ちでも効率良く入力できる点が特徴です。(片手でもちゃんと打てます。)

また母音と子音を分けたことで、キーボードを切り替えることなく、下フリックで数字、子音の左右で濁音・半濁音などを高速に入力できます。Google 日本の開発者による解説動画は続きをどうぞ。Godanが使える Google 日本語入力の新バージョンはすでに Google Play からダウンロード可能です。

iOS 6 アップデートのメリット(日本語変換)

 あまり話題にならないが、iOS 6 で良くなったところもある。というより、マップが不便になるということで躊躇していたが「【iOS 6】iPhoneとiPadのユーザー辞書が同期されるようになりました!(Macの「ことえり」とも) – iPhoneアプリのAppBank」を読んですぐにアップデートした。

 それは、IM のユーザ辞書登録のUI追加。圧倒的に楽になった。従来は設定・一般・キーボード・ユーザー辞書まで行って新規登録しなければならなかったが、iOS 6 からは文字列を選択した時にポップアップメニューから辞書登録できるようになった。一気にパソコンのIMより便利になった(MacVJEには負けるが)。未だに辞書は微妙だが、登録した単語を一度呼び出しておけば予測の上位に出るので入力効率は大きく改善される。

 あと一つも辞書登録周り iOS デバイス同士はフォトストリームで取った写真が勝手に同期される。なので、「ユーザ辞書だって動機すりゃいいのに」と書いていたが、なっていた。自分が知らなかっただけだった。iCloud で書類の同期を設定しておけば、同じアカウントで使っている iOS デバイスの辞書は同期される。iPad は Ultrathin keyboard をつないでいるので、上の変更もあって、辞書登録の効率が圧倒的だ。なので、その辞書を iPhone と同期できるのは便利だ。この機能は iCloud を使って行われるので Mac OS X 搭載の Mac の標準辞書とも同期することが可能だ。

 ただし、iMac は同期させていない。iMac では Google 日本語入力 を使っているというのが大きいが、ことえりを使っていても同期はしないと思う。仕事でMac VJEを使っていた時のデータを引き継いでいるのでゴミが多いからだ。プライベートでは絶対に使わない固有名詞が山ほど入っているので同期したくない。

地図を検索する機会は自分は多くない。しかし、日本語の入力はほぼ毎日行う。日本語の辞書の充実は入力の快適性に大きく貢献する。特に、iPhoneのように単漢字変換が面倒デバイスでは差が大きい。また、辞書の同期は従来から複数のPCを使う際の課題だった(今は辞書データの書き出しと取り込みで対応)。

 キーノートスピーチで取り上げられることのない地味な改良だが、システムレベルでの改善が着実に行われているということの現れとして高く評価したい。

Google日本語入力 XOOM vs iPad 縦モード

XOOM Google日本語入力

 Google日本語入力は縦持ちの場合にはフリック(またはケータイモード)と qwerty とを選ぶことができる。が、ATOK のフリックモードと異なり、画面の大きさそのままに拡大されてしまうので使いものにならない。


 しかし、QWERTY は意外に使いやすい。両手で打つのは当然出来ないし、本体を両手に持って親指で打つのも難しいが、片手で持って片手の指2〜3本を使って打つのが結構速い。

特殊なキーの配列も片手で打つときには気にならない。幅が狭いので、片手でも左右に手を動かすことなく入力できるので、ブレが少ない。慣れてくれば、人差し指から小指までを使ったタイピングができそうだ。

予測変換の候補が左右に広がらない分視線移動が少なく、使い易い。横画面で大量に候補を並べられても、探すのが面倒かつタップするのが難しいので予測変換を使うことはほとんどないが、縦なら自然に使用頻度が高くなる。結果として、両手で入力する横持ちと同等か速いくらいだ。

ただし、XOOM は片手で持ちにくいのでこれで長時間打つことは不可能。


iPad

 iPadの縦モードでの QWERTY は Google 日本語入力よりキーが小さい。また、デバイスの横幅が広いので、両手で持って親指で入力するのも難しく、片手で入力するのにも左右への動きが大きく効率が悪い。

 iPad ではスプリットキーボードが使える。QWERTY のスプリットも可能だが、キーが小さくなるので個人的には快適とは思えない。スプリットで便利なのはこの写真にある フリックのスプリットだ。

 タブレット専用の UI の威力を思い知らされる。残念なポイントはいくつか残っている(前に書いた)が、タブレット縦持ちで日本語入力をするのには、この方法が一番速い。スプリットキーボードのメリットは、キーの入力のしやすさだけでなく、インサーションポイントとキーボードの位置を近くできることだ。特に、タブレットのように上下に距離がある場合に視線の移動が少なくていいのは入力効率に直結する。

上の XOOM の画像を拡大したら、言っていることが分かるだろう。XOOM の縦長の画面の一番下に置かれたキーボードとインサーションポインタの位置を同時に見ることは難しいことが分かると思う。タブレットは手で持つからパソコンに表示した時よりさらに視線の移動角度は大きい。実際に、XOOM で縦持ちした時にはインサーションポインターに視線が行く事はほとんどない。キーボードと変換候補くらいしか見ていない。その点、スプリットキーボドは入力エリアと変換候補が左右に離れてはいるがインサーションポインタとの距離が近いのでほとんど視線をずらす必要がないことが分かると思う。

まとめ

Google日本語入力が快適なのは10インチの場合は縦持ちqwertyだ。軽い端末なら結構使えるかもしれない。しかし、同じことが7インチにてはまるかは分からない。7インチの場合は横持ち片手打ちが使えるかもしれないし、縦はフリックが実用的かもしれない。

iPadの場合は、横持ちqwertyが快適だが、縦持ちのスプリットも慣れると速い。ただ、縦持ちスプリットをリラックスした姿勢では使いにくい。横持ちqwertyもだ。リラックスしてちょっとした検索文字列を打つ程度ならGoogle日本語入力の縦持ち片手打ちは悪くない(この場合キーボードとインサーションポインタとの距離というデメリットが発生するが…)。

 UI は物理的大きさによっても変える必要がある。モニタの大きさ毎に異なる UI が必要なのだ。話は変わるが、自分が8インチのiPadを出すべきではないと思う理由はこれに尽きる。

Google日本語入力を XOOM で試す(横モード)

 注意:ここでは、au 版 XOOM(ICS 4.0.3)での感想なので、スマートフォンでの使用感に基づく評価は一切ありません。

 iMac と社給PCで愛用している Google日本語入力が Android タブレットにも対応したというので早速インストールした。というより、以前からインストールはしていたものをアップデートした。

 変換エンジンと辞書はデスクトップ版と同じレベルで動きも最高速クラスだ。ICS がデュアルコアを使いこなせるようになったことが貢献しているかもしれない。ブラウザが Chrome になるのと同様、近い将来には Android の標準日本語変換は Google日本語入力になるだろう。デスクトップ版との Google drive 経由での辞書データの同期が出来ればサードパーティの入り込む余地はほとんどないだろう。

 ただし、問題点も残っている。右の写真を見たら直感的に打ちにくいと分かるだろう。iPad のキーボードの打ちやすさについて考えたところでキーの高さについて言及したが、このキーボードは正反対だ。変換候補をたくさん出してもキーボードから選べないしキーボードを付けている場合ならキータッチが少々増えてもタイムロスは少ないのだから、変換候補をたくさん出すよりキーを大きくした方がいい。さらに、キーの配置について del や enter が非常に打ちにくい。「delは右上」ということが染み付いているので、pを連打してしまう(Google日本語入力で最右上にある)。

 また、Android の日本語変換の共通の問題点だが、入力中に表示された予測変換の候補を画面タッチでしか選べない。外部キーボードを使ってもこの動作は変わらなかった。前にも書いたことだが、遡るのが面倒な人のために例を書く。右の写真を拡大してご覧頂きたい。「つかって」まで入力した時点で下には「つかって」から始まる予測候補が並んでいる。ここで、「使っている」を選びたい場合(例文ではあり得ないがそれは別問題)、ここで変換キーを押すと「つかって」までで完結する文字列の変換モードに入り「使っている」は候補から消える。せっかく予測によって狙っている文字列が候補に並んでいるのにそれを使うには候補文字列をタップしなければならないのだ。

 スマートフォンのようにキーボードと候補が近い場合にはタイムロスはすくないが、タブレットを横置して両手でフルキーボードをタップしているときに変換候補までの距離は遠い。まして、外部キーボードの場合にはタブレットとキーボード自体が物理的に数十センチ離れている場合もある。

 これらの不満はスマートフォンではあまり大きな問題にはならない。スマートフォンでは縦はもちろん横にしてもタッチタイプなんて出来るはずがないし親指でポチポチ打つなら配列がイレギュラーでも余り気にならない。実際、iOS の横画面用キーボドはイレギュラーだが特に違和感はない。何回も繰り返しているが、画面サイズが変われば UI は変えなければせっかくの大きさを活かせないだけでなく不便になってしまう。

物理キーボード

 このバージョンから外部キーボードにも対応したというので、Logitech Ultrathin keyboard Cover for iPadをつないでみた。物理キーボードと優秀な変換エンジンで快適になるかと思われたが、そうでもなかった。上にも書いた、予測変換候補選択問題だ。デスクトップ版の Google日本語入力なら、数文字打てば予測変換候補から tab キーで選ぶことができ、少ないキータッチで入力ができる(iOS でもそうだ。ただし、tab ではなくスペースだが)。ところが、Android 版はそれができない。

 後、物理キーボードを使っている場合の日本語入力モードの切替方法が分からない。ソフトウェアキーボードを出せば日本語入力になり、キーボードを隠すと直接入力になってしまう。これだと、物理キーボードを使うことでソフトウェアキーボードの表示領域を本文表示に使えるというメリットが失われてしまうし、一々画面をタッチしなければならない。

 上にも書いたとおり、物理キーボードを使うときには本体を離しておくことが多い(自分は100円ショップのイーゼルをスタンドとして使っている)。キーボードを使った入力環境としては快適だが、キーから本体までが10cm以上離れる。入力の際に変換候補を選ぶときにタッチするには遠すぎる。そうなると、ますます変換候補が多く出ることがメリットではなくなってしまうのだ。

 iOS と異なりキーボードの種類を設定できる。これは、JIS キーボードで使いたい人には朗報だろう。Android なら使い慣れた配列の JIS キーボードでも表示された記号で入力することが可能だ。また、ひょっとしたら日本語キーボードなら入力モードの切り替えもキーボードからできるのかもしれない。自分は jis 配列の bluetooth キーボードを持っていないので検証できないが。

辞書

 デスクトップ版と比較して辞書のメンテナンスが不便。テキストからの一括登録はできるようにしてほしい。クラウドの同期が可能になるまでは一方通行 (PC > XOOM) でも共有が可能になるから。

まとめ

 変換エンジンと辞書の優秀さでは完全に iOS の変換エンジンを超えている。が、UI のマズさのためにエンジンのメリットを活かし切れていない。横持ちキーボードを使おうとするとミスタイプが頻発するので、XOOM に最初から入っていた iWnn に戻してしまった。

 キーボードデザインのタブレットへの最適化と変換候補の選択方法の改善がなされればエンジンの優秀さを活かせる入力環境が実現されるだろう。フラグメントした Android タブレットで画面の大きさに合わせた最適化は困難を極めるだろうが・・・

iOS の日本語変換の残念ポイント

  iPad も iPhone もキーボードを使うことで非常に高速にテキスト入力ができるようになる。しかし、一つ大きく快適性をスポイルする設定がある。それは、日本語変換の予測変換を選択する際のキーの割当だ。

 パソコンでは、予測変換候補が表示された場合に tab キーで予測変換候補ポップアップにターゲットが移りタブキーを連打して選ぶ。
 例:「予測変換候補」を打ちたい場合に、「よそ」まで打った時点で変換候補がポップアップする。タブキーでそのポップアップした候補から文字列を選び、次の入力を開始することで確定し入力になる。「よそ」まで打った時点でスペースを押すと「よそ」という読みの単語の変換になる。この時には「よそく」や「よそこうへんかん」は候補に上がらない。

 iOS では、「よそ」と打った時点で変換候補が出た時にタブキーを押すと「よそ」で確定してしまう。予測変換候補を選ぶためにはスペースを押さなければいけない。これに馴染めない。というか、操作体系としては大きな破綻があるわけではないが、普段PCで無意識に近い状態でタブキーを叩いて変換候補を選ぶことをしているので、しょっちゅう入力中の文字列で確定しまう。特に、今回 logicool のキーボードが快適で PC と大差のない感覚でテキスト入力ができるようになったので余計に感じるのだろう。

 ちなみに、Android の IM は、自分が試した範囲では、予測変換候補に移動する手段がないので、それよりはマシ。

 後、iOS 3 以前に比べると大幅に強化された日本語変換だが、辞書にない単語を単漢字で変換することが出来ない。こんなときは、その漢字を使っている他の単語で変換させるしかなくタイムロスが大きい。