キーボードの挑戦者は続く

 UI ヲタクにとって新しい入力インターフェースの開発を観るのは大好きだ。特に、文字入力のインターフェースはまだまだ改善の余地が大きい分野なので、注目度は高い。将来的には脳波での通信が可能になるかもしれないが、当分は無理だろう。音声入力は以前よりははるかに精度は上がったが、実生活上使いにくい(周りに人がいる段階で声を出して草稿の企画書を書く気になれないし、私用のメールなんて絶対に無理だろう)。

 Android は OS の API の開放度が高く IM を入れ替えることが可能であり、多くのチャレンジャーが新しい思いつきを試みる場となっているようだ。インストールベースも増えて開発者も可能性を見出しているのだろう。

SwiftKey – Android's smarter keyboard that learns from you


 以前からある考え方のキーボードだ。FEP の誤入力修正アルゴリズムと予測変換辞書の組み合わせと考えれば分かりやすいか。aからスタートしてscvbnhgfdrtyuioijhgfdと指が動いた時に、android を導き出せばいい。

 興味深いインターフェースだが、辞書と予測変換の精度に依存するので、登録されていない単語の入力はタッチ入力に切り替えて入れるしか無いだろう。このアプリでは、個人の SNS のアカウントを入力することでその人が使う単語を辞書に登録するという点が新しい。Office 2010 の IM のように、任意の文章を読みこませることで学習させられると更に効率が上がるかもしれない。

 しかし、日本語は難しいだろう。日本語の入力をする場合には子音と母音の往復が煩雑になりそうだ。母音を無視して入力することも可能かもしれないが(確か、POBox palm 版はそれができた)、入力者が対応できるかどうか分からない。出来れば凄い高速日本語入力が可能になるかもしれないが(母音を打たなくて良ければ打鍵数が大幅に減る)。

 日本語の場合は50音キーボード上を滑らせると同じロジックが使えるかもしれないが、どこかで聞いた気もする。ただ、今、全く話題に上らないことを考えると、実用レベルに達しなかったのだろう(もし、自分の知らないところで愛用されていたらごめんなさい)。

ThickButtons: finger text input for touchsreen smartphones


 Apple が以前特許をとった技術を可視化したものと考えれば分かりやすいか。しかし、特許的には問題がないんだろうか。

iOS の可能性

 iOS では、Apple のポリシーにより、日本語入力をシステムに組み込むことができないので、どんな入力方法が出てきても代替候補にはならない。特定のアプリでしか使えないものに慣れたら不便になることは明らかだ。しかし、Android においても、キーボードと変換エンジンを別に持つことはできない。なので、ThickButtons などは、入力モードにかかわらずローマ字キーボード入力を行う場合には有効なはずだが、日本語入力には使えない。キーボードと入力インターフェースを分けるようなAPIが作られれば(IM から bluetooth キーボードのように見えるようになればさらに新しい展開が期待できるが、今は無理だ。

 自分は、XOOM では iWNN のQWERTY配列キーボードが打ちやすい。しかし、日本語変換では Google 日本語入力のほうを使いたい。こういうわがままに応えられるようになれば、Android はさらに iOS に対してアドバンテージを持つだろう。

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