なんでもかんでもリンクすな

 数年前からブラウザに限らずアプリやファイルシステムなど全てのデータがクラウドで同期され始めている。メリットを書き並べる必要は無いだろう(だよね)。ここでは自分が積極的にクラウドによる同期を使わない理由を考えたい。

 デバイスの種類や使用する状況によって使う対象は変わる。自宅でアクセスするサイトと会社でアクセスしたいサイトは違う。だからブックマークを共有するメリットを感じない。というより、自宅のPCでXX省のサイトなんて見たくもないし、自宅でご愛用のサイトのブックマークやタブが勝手に会社のパソコンで表示されるのも困る。プロジェクターで表示しているときにブックマークを開こうとメニューをクリックしたときに、趣味のブックマークがずらっと並ぶなんて恐ろしい。まして、間違えて履歴でも開いた日には悲鳴が上がりかねない(^^;

 物理的UIが異なれば見たいサイトも変わる。PCで愛用のサイトとタブレットで快適なサイトは別だ。また、モバイルに限っていえば、ブラウザで開くよりアプリで開いたほうが速くて快適だ。将来的には、サイト側が対応することで最適化したページを表示できるようになるかもしれないが、大きな写真や動画を見るためのサイトを最適化されていてもスマートフォンの小さい画面で見たいとは思わない。

過渡期の問題かもしれないが、共有デバイスの問題もある。パソコンならログインユーザごとにブックマークは管理できるが、タブレットはそれが出来ない。個人や会社のブックマークをリビングデバイスのタブレットに同期されては困ることが多い。

 後、これらのサービスがブラウザの囲い込みの手段としてのみ使われている点だ。ブックマークやタブの共有が出来るのは同じブラウザ間でしかない。iMac では Safari と Firefox を使い、会社では Firefox と Sleipnir、iPhone では Safari、Android では Y!ブラウザ を使っている。iPhone では OS の制約のために選択肢が限られているし、Android も快適なブラウザは違う。ブラウザごとに違うブックマークが作られていしまっている。

 ここまではブックマークに限定して書いたが、写真や動画データも全く同じだ。クラウドストレージに置いてくれるのはいいが、共有しているタブレットに表示されて困るものも多いだろう。

 Dropbox のフォトアップロードや iCloudのフォトストリームなどは便利だが、知らないうちに数十メガクラスの通信をしているということでもある。これは、予想外の電池の消耗につながるだろう。

 また、驚いたのはGoogle docs で作ったファイルが Google drive の設定をしたPCのHDDにあったこと。Google docs はIDとパスワードを知らないとアクセスできないが、Google drive の同期フォルダにあるということは、PCを見せる機会があったら見られるということだ。そして、切実なのは、会社でウィルスを強制インストールされていて、操作したファイル名をすべてログに取られているようなケースだ(つまり自分)。このような状態で、不用意にそのファイルを開いてしまうとログに残ってしまう。ブラウザなら暗号化されたセッションでプロキシに残っていても解読はできないのにだ。

 さらに、Dropbox,Google drive,Sugar sync,Never drive… サービスによって同期フォルダの作られる位置がまちまちでめんどくさい。また、Explorerでフォルダが特別なフォルダで表示されるのも困る場合がある。会社のPCはプロジェクターで表示して使うことが多い。そんな時に、ファイルを開こうとした時にダイアログに Google drive とか Dropbox といった名前のフォルダがあると、一発で「こいつ会社のPCにDropbox入れとる」と分かる。

iOS 6 アップデートのメリット(日本語変換)

 あまり話題にならないが、iOS 6 で良くなったところもある。というより、マップが不便になるということで躊躇していたが「【iOS 6】iPhoneとiPadのユーザー辞書が同期されるようになりました!(Macの「ことえり」とも) – iPhoneアプリのAppBank」を読んですぐにアップデートした。

 それは、IM のユーザ辞書登録のUI追加。圧倒的に楽になった。従来は設定・一般・キーボード・ユーザー辞書まで行って新規登録しなければならなかったが、iOS 6 からは文字列を選択した時にポップアップメニューから辞書登録できるようになった。一気にパソコンのIMより便利になった(MacVJEには負けるが)。未だに辞書は微妙だが、登録した単語を一度呼び出しておけば予測の上位に出るので入力効率は大きく改善される。

 あと一つも辞書登録周り iOS デバイス同士はフォトストリームで取った写真が勝手に同期される。なので、「ユーザ辞書だって動機すりゃいいのに」と書いていたが、なっていた。自分が知らなかっただけだった。iCloud で書類の同期を設定しておけば、同じアカウントで使っている iOS デバイスの辞書は同期される。iPad は Ultrathin keyboard をつないでいるので、上の変更もあって、辞書登録の効率が圧倒的だ。なので、その辞書を iPhone と同期できるのは便利だ。この機能は iCloud を使って行われるので Mac OS X 搭載の Mac の標準辞書とも同期することが可能だ。

 ただし、iMac は同期させていない。iMac では Google 日本語入力 を使っているというのが大きいが、ことえりを使っていても同期はしないと思う。仕事でMac VJEを使っていた時のデータを引き継いでいるのでゴミが多いからだ。プライベートでは絶対に使わない固有名詞が山ほど入っているので同期したくない。

地図を検索する機会は自分は多くない。しかし、日本語の入力はほぼ毎日行う。日本語の辞書の充実は入力の快適性に大きく貢献する。特に、iPhoneのように単漢字変換が面倒デバイスでは差が大きい。また、辞書の同期は従来から複数のPCを使う際の課題だった(今は辞書データの書き出しと取り込みで対応)。

 キーノートスピーチで取り上げられることのない地味な改良だが、システムレベルでの改善が着実に行われているということの現れとして高く評価したい。

「Google DriveのローンチでDropboxへの影響甚大?」か?

 Dropbox のリードはまだ大きい。特に、iOS 版では他のアプリとのストレージのように使えるという点で他のサービスやアプリを大きく引き離している。無料の大容量スペースを売りにしたサービスは雨後の筍のように現れたが、結局「使える」のは Dropbox だ。Google Drive が現れることで Dropbox が値下げしてくれるとユーザとしては嬉しい。

 クラウドのストレージは多くあるし Dropbox 以外に、Yahoo! box、Sugarsync、Box.net、Ndirve、Quanpと合計で 100GB 以上を追加費用無しで使える。しかし、使っているのは Dropbox の無料アカウント 5GB だけだ。自分の場合は、Mac OS、Windows、iPhone、iPad、Androidの全ての専用アプリが用意されていることが必須。次が(これが一番ハードルが高いが)iOS のアプリの他のアプリとの連携が可能なことだ。ほとんどのサービスは二つ目の条件でふるい落とされる。

 他の iOS アプリのストレージとして使えるようにするのはサービス側だけでは駄目だ。この点で、後続のサービスは苦戦を強いられている(日本ローカールの Yahoo! box や Quanp は追いつく可能性はないだろう)。Google は map やカレンダーなどで API の開放を行いアプリ開発者との関係が深い。Google Drive がモバイル機器のストレージとして Dropbox の代替サービスとなれるかどうかはアプリ開発者に対して魅力的でありえるかどうかにかかっているだろう。

 iPhone アプリでデータを保存しようとした時に保存先として Google Drive が出るようになるかどうかが勝負だ。それができなければ、「Dropbox みたいなクラウドサービスを Google もやってるらしい」で終わる。

低料金、Googleドキュメントとも同期するGoogle DriveのローンチでDropboxへの影響甚大?
今日(米国時間4/24)、Googleは長らく噂に上っていたGoogle Driveをついにローンチした。Googleの歴史上、ローンチ以前にいちばん秘密が守られなかったプロジェクトといってよいだろう。Googe Driveのリリースは誰もが予期していた。ましてDropboxが驚いたとは思えない。今日までDropboxはオンライン・ストレージの事実上の標準といってよかったが、今後はどうなるだろう?

Google DriveがDropboxとあらゆる面で正面から対決する存在であるのは確かだ。Google DriveはまずDropboxの価格競争力を大きく削ぎ落した。Google DriveはGoogle Docsと完全に同期し、ファイルをオフラインで保存する。その他数多くの新機能が用意されている。こうした強力なサービスの登場はDropboxの将来に影を投げかけるものだ。

 ちなみに、iCloud はどうかというと、ほとんど使っていない。便利に使っているのは、Safari のリーディングリストと Photo Stream だ。iPhone で撮った写真を特別な操作不要で iPad で見られるのは面白い。ただ、30日間という制限はあまりに短い。結局、iPhoto にダウンロードした上で Flickr! にアップロードしなければならない。

 その他、iCloud を活用するには新しい iLife や iWork アプリが必要なので乗り切れないでいる。Mac をメインに使っているのなら迷わずデータを Apple に預けるが、自宅ではブログを書くのと wiki のメンテナンスをするくらいなので豚に真珠なのだ。退職したら Mac しか触らなくてよくなるから、iCloud を使うようになるかもしれないが、その時まで今のようなコンピュータが使われているかどうか分からない。

Safari は意外に「使える」

 Windows 版の Safari があることを知らない人も多いと思うが、Apple からダウンロードすることが可能だ。今でも、IE の他に Firefox、Chrome、Sleipnir などブラウザの選択肢は多いし機能的にも不自由していないのに Safari を入れる意味がわからない人も多いだろう。しかし、少なくとも iPhone や iPad を使っている人なら入れておくことをお勧めしたい。

 なぜなら、iCloud を介してブックマークとリーディングリストが同期されるからだ。ブックマークは一概に便利とは思わないが、リーディングリストは間違い無く便利だ。ウェブをクリップする方法は他にもあるが、iPhone の Safari から登録できるのが便利だ。移動中の電車で Twitter のリンクで面白い記事を見つけて、PCやiMac で読みたいと思った時に便利この上ない。URL をメールしたり専用のサイトに登録したりすることもできるが、付加的な操作を介する必要がないのは大きい。

 iPhone でリーディングリストを見るのは、Bookmark メニューの「リーディングリスト」を選択。パソコンではウィンドウの左上にあるメガネのボタンを押す。

 クリップするには、iPhone のサファリでは保存したいページを表示して矢印メニューから「リーディングリスト」を選択。パソコン版では、メガネのボタンを押してリーディングリストペインを表示し、「ページを追加」ボタンを押す。



 あと一つが「リーダー」だ。パソコンでも鬱陶しいバナーや広告を見なくて済むのは精神衛生上効果的だ。

 これなら、「ああ、寄生虫が年金を食い潰したんだなと一目瞭然だ。」

 これは、PCの例だが iPhone だとさらに顕著。惜しむらくは、ページを全てダウンロードしないとこの[リーダー]というボタンが現れないこと。最初からこのモードでアクセスできたらどんなに快適かと思う。