本:きつねのはなし 森見登美彦

fox 怪談でもホラーでもミステリーでもない。古い町並みにありそうな闇を舞台にしたファンタジー。独立しながらもリンクを感じさせる4つの作品が収められている。

 登場人物もこれまでの作品とは趣を変えている。一部のキャラクターはお馴染みの人間っぽいが大半はこれまでの作品のちょい役に出たかどうかといった感じだ。

 世界に没入して一気に読むのをお勧めしたい。その時に、別に京都でなくてもいいし、観光で訪れただけの場所でもいいから、古都と呼ばれるような町並みを思い描くと楽しみは倍だ。そして、もし読むなら単行本をお勧めしたい。
 きつねのはなし

本:恋文の技術 森見登美彦

恋文の技術 「手紙を差し出し先別に集めた手紙集」の体裁をとっている。返信は記されないので、本人の返事や引用から類推する事になる。説明的な引用が多くなるのは形式上致し方無いか。

 主人公はいつもの京都市の下宿住まいの京大生で、文通先もおなじみなキャラクターが並ぶ。本作で特徴的なのは森見登美彦が登場するところだ。もちろん、この作品を読んでも恋文を書く技術は身につかない。

 感じるのは、作品中にも有ることだが、これだけの文通相手に恵まれているだけで主人公の生活は、自分の学生時代と比べはるかに眩しい輝きに満ちているとうことだ。なんといっても、相手が返信してくれているのだから。これならば会社(学校)から帰って家のポストを開けるのも楽しいだろう。

 作品から離れるが、電子書籍化されていないので図書館で単行本を借りたが、前半と後半とで開きぐせがかなり違っているのが印象的だった。前半だけ読んで途中で読むのをやめた人が多いんだろうか。後半部は一気に読んでしまって折りぐせがつかなかったという可能性もあるが。自分も、後半部はハイペースで読んだが、「もうすぐ終わってしまうんだぁ」と思いながらも次々にページを繰らされるようだった。

 自分は図書館で単行本を借りたが文庫版も出ているので、興味を持った方は恋文の技術 (ポプラ文庫)からどうぞ。

本:太陽の塔 森見登美彦

taiyounotou

何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。

 この冒頭の2文が全てを物語っている。「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」の先行作品といえば分かりやすいかもしれない。「すべて失恋男たちに捧ぐ、爆笑妄想青春巨編」とあるので、若いもんはこの本を読んで次なる恋愛に立ち向かって欲しい。そここに散りばめられる珠玉のアドバイスを実践すれば、高嶺の花と思っていた乙女の心を鷲掴み間違いなし。買って損なしですねwww

 森見登美彦のデビュー作。ファンタジー小説大賞を受賞したらしい。確かに彼のジャンルはファンタジーこそが相応しいのかもしれない。登場人物や活躍の場はその後の作品に引き継がれるものばかりだ。入るのが難しい大学にいる頭のいい人が書いた文章が鼻につかなければ楽しめるだろう。これは、自分がこれまでに読んだ作品(ペンギン・ハイウェイ、きつねのはなし、宵山万華鏡、四畳半神話大系)全てに当てはまることだが。

 この本は 2013 年 9 月現在電子書籍になっていないので文庫本にリンクしておく太陽の塔 (新潮文庫)。自分は単行本を図書館で借りた。ありがとう。

podcast:ひいきびいき

 podcast「ひいきびいき」で特に自分が好きなのは、はるかさんの表現の豊富さだ。文章表現に近い言い回しを自在に使ったり、予想外のフレーズが飛び出したりする。ビルケンシュトックの回で、大地さんに「(ビルケンシュトックが)高い」と言われた時の「おす」には笑った。どうして、唐突にこんな言葉が出てくるんだろう。実に羨ましい。

 この番組の楽しそうな雰囲気はもう一人の出演者である大地さんの、はるかさんの言動へのリアクションにも有ると思う。

 iTunes Store でひいきびいきを聴く
 ひいきびいきのウェブサイトを表示する

 まつきあゆむのタイトル曲もいい感じ。ついでに、番組でも紹介されていた、TERRAFORMING(alternative)というアルバムをとりあえず買うといい。因みに、まつきあゆむは sound cloud にもページがあって、なんと 194曲を聴くことができる。そんな彼を応援したいと感じたらTERRAFORMING(alternative)を買おう。iTunes にはないので、少し手間が掛かるが大したことはない。

  1. をクリック
  2. terraforming@matsukiayumu.comに(氏名、メールアドレス)をメール
  3. 口座を記入したメールが到着:スパムフィルターに注意!
  4. 振り込み
  5. ダウンロード情報の入ったメールを受信
  6. ダウンロード・iTunes 配下のフォルダに解凍
  7. iTunes のファイル>ライブラリに追加 を実行回答したフォルダを選択

本:四畳半神話大系 森見登美彦

四畳半神話大系 (角川文庫)”>41ZF3PVVAPL._BO2,204,203,200_PIsitb-sticker-arrow-click,TopRight,35,-76_AA300_SH20_OU09_  文体が好みでない人には耐えられないだろうが、「四畳半」、「下宿」、「共同トイレ」というキーワードで具体的イメージが抱ける人なら楽しめるだろう。他の森見登美彦の作品を読んで楽しめた人は間違いなく楽しめるだろう。

 自分は観ていないがアニメ化されていたらしい。いまどきのアニメに馴染みの良い構成だ。4章ですべての長さがほとんど同じなので、3話x4章の12週に収まる。一章を3回で終わらせるにはかなり圧縮する必要はあるとは思うが。

 いつもの森見登美彦ワールドの住人が登場する。当然京都市上京区の下鴨神社の近くに住んでいる。宵山万華鏡やきつねのはなしにも出てきた(別人だが)謎の人物が暗躍する。これ以上書いても迷惑をかけるだけなので説明はしない(しても面白くならない)。唯一気に入らないのは、主人公がちょっとエキセントリックで、もちぐまを大切にする頭の良い女性相手にジョニーの言いなりになっているらしいという点だ。「これが実に腹立たしい」と書くだけに留めたい。

 因みに、文庫版のカバー絵より単行本のカバー絵のほうが味わい深い。内容にも一部関わってくるアイコンになっている。残念ながら、単行本は既に絶版なので四畳半神話大系 (角川文庫)にリンクをしておく。kidle を読める環境をお持ちの方には電子書籍版をおすすめしたい。

#エントリーは読んだ順ではない。細かいことは気にすんな。

クボタアツシ 南京町

kubota 最近は通勤電車で森見登美彦の作品を読んでいる。読書する時に歌詞のある曲を聴くと文章が頭に入ってこないのでインストゥルメンタルがいい。

 Earl Klugh や Lee Ritenour を聴いていたが、先日からクボタアツシというギタリストの曲を iTunes で買って聴いている。オススメ。

 YouTube にも曲が上がっている。気に入ったら iTunes で買って欲しい。
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本:超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか

超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか 「超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか」読了。

 非常に面白かった。「脳はすすんでだまされたがる」で読んだこととかなり近かった。アメージング・ランディ Jams Randy(The Amazing Randy)が協力しているという点も共通点だった。

  • 幽霊を見るメカニズムで「磁気の影響説」が否定されていたことは知らなかった。
  • 夢について、一瞬で見るという話を信じていたが、それも随分昔に否定されていたらしい。
  • 専門家には常識かもしれないが、フロイトの夢判断が戯言でしかなかった。(これについては、日経サイエンスの記事で知ってはいたが)

 このエントリを書いた当時(2013/4)には Kindle 版は無かったが今は存在する。上のリンクは全て kindle 版。

「脳はすすんでたまされたがる」或いは脳の脆弱性について

 まだ9月だが、今年一番面白かった本がこれといい切っても良い。図書館で二度借りしたほどだ。電子書籍版が出たら絶対に買う。二回借りても汲み尽くせない内容の深さだ。サブタイトルはキャッチーに「マジックが解き明かす錯覚の不思議」と書かれているが、マジックのネタ明かし本ではない。マジシャンが経験から見つけた人間の知覚の脆弱性を心理学或いは大脳生理学の視点から学ぶという本だ。

 興味深いフレーズを Wiki に書きだしたので読んでいただきたい。興味をひかれた方は「脳はすすんでだまされたがる マジックが解き明かす錯覚の不思議」のリンクからお買い上げいただきたい。

 この本で知ったのは、人間の目が見られる範囲がいかに小さいかだ。というより、光子を受けた受容体からの情報を脳で「見る」段階でいかに多くの情報が抜け落ちるかだ。そして、脳が如何に手を抜いて情報を無意識のうちに取捨選択しているのか。「注意」とはなにかも興味が尽きなかった。

 「人は見たいものを見る」というフレーズはここにも書き記したが、実際には見たいものすら見ていない。しかも、視覚的には見えているのに脳には見たという記憶が残らない。

 この本を読んでからは「百聞は一見にしかず」という言葉が無意味に思えた。百聞も一見も同じ情報として虚心で総合的に当たらなければならない。むしろ、資格に対する人間の依存度の高さから考えて、見たことはよほど注意深く取り扱わなければならないだろう。

 この事実を知るにつけ、目撃者証言のあてにならなさを知らされる。最近の事件で、殺人事件の現場付近で犯行時間前後に白い車を見たという証言が報道されていた。本当か嘘か自分には判断できない。ただし、白い車に絞った捜査は早計だろう。今は先入観を捨てた捜査こそが重要だ。

 「説得力があるからこそ余計に慎重に」だ。

Logicool wireless trackball M570 #3 初の電池交換

Logicool wireless trackball M570 #1  | GEEK_XPの電池が切れた。初めての交換だ。「最大18ヶ月」とあったが、実際には14ヶ月程度だった。おまけについてきた電池としてはよく持ったといえるかもしれない。

 因みに、電池交換後にSetpointで確認したら電池残量は173日と表示された。 kaunet の電池はあかんのかな?他の電池で試してみたい。

Logicool wireless trackball M570はこちらからどうぞ。

Desertbus for iOS TidBITS 日本語版 #1182

 いいなぁ。クソつまらんゲームを延々やり続けるのを流して寄付を募るという発想が素晴らしい。ニコ動のゲーム動画を上げている人気者たちもこういうイベントを開催すればいいのに。このイベントを見てみたら17日から一人が12時間ずつ交代で23日までぶっ続けでプレイするようだ。アホそのもの。素晴らしい!

 寄付金を集められる仕組みがあればチャレンジしてみたいが、自分のような地味な知名度ゼロのド素人がやってもあかんしなぁ。面白いこともよういわんし・・・Desert Bus for Hope

TidBITS 日本語版 #1182/15-Jul-2013
ドライブ旅行は夏の伝統である。しかし、この夏はそのための時間やお金がないかもしれない。でもご心配なく。iPhone, iPad, そして iPod touch 用の Desert Bus のお蔭で、夏のドライブ旅行の全ての楽しみを快適な居間にいながら、しかもたったの $0.99 で味わえる。

Desert Bus は、ゲームにおける最も興味深い経歴を持ったものの一つである。 New Yorker の Simon Parkin が今週初めに報じた様に、これは魔術師 Penn & Teller によって設計された未リリースの Sega CD タイトルの一部分で、都市伝説に毛が生えたようなものと長いこと見なされたゲームであった。話が変わったのは、1990 年代に数少ないレビューコピーを受け取っていた一人のビデオゲーム作家がこのコピーを Frank Cifaldi に送ってからである。Frank Cifaldi は Lost Levels Web サイトの創始者であり、そしてこのサイトは未リリースのゲームにスポットライトを当てている。Cifaldi はこのゲームを BitTorrent にリリースしたが、その後はご存じの通りである。もしオリジナルで遊んでみたいと思うなら (もし周りに Sega CD 或は 3DO が転がっていなければ Sega エミュレータ経由で)、ブロガーで起業家の Andy Baio が持っている。

Desert Bus の目的は、バスを Tucson から Las Vegas まで 260 マイルにわたって運転することである。”本物シミュレータ” を自認し、このゲームはリアリズムを追及する。このドライブは実時間 8 時間を要する – ひと休み無しで。途中でこのアプリから他へと切り替えると、もう一度最初からやり直さなければならない。如何なる理由にしろ一旦道を外れると、エンジンはオーバーヒートしそしてレッカー車が到着するまで数分間待たなければならない。そしてレッカー車はあなたを出発地に連れ戻してしまう。勿論、実時間での話である。これは気弱な人のためのゲームではない。この危険な旅をどうにか完了出来ると、1 ポイント貰え、そして方向転換しもう一度更なる 1 ポイントを目指して再挑戦出来る権限が得られる。

バスを制御するのは簡単であるが、右に行きたがる傾向がある。画面を抑えていると加速し、ホーンをタップすると警笛が鳴り、そして機器を傾けて舵取りをする。ドライブしていると、色々な景色が見られる ‐ アスファルト、砂、道路区画線、道の上を転がる草玉、砂、道路標識、アスファルト、そしてバスの芳香剤すらも。

全面開示の時間である。このゲームはひどい。実際のところ、今までで最悪のゲームかもしれない – Superman 64よりもひどい。Desert Bus で遊んでみたいと思うようでは気がふれているのかもしれないし、あなたの人生の貴重な時間を 1、2、或はそれ以上のポイントを稼ぐために費やすのは浪費でしかないであろう。大義のためにやるのでない限り。

インターネット喜劇グループ LoadingReadyRun はこのゲームの初めから終わりまでを冗談のつもりでフィルムに収めることにしたが、斬新な考えを思い付いた:これを一種のテレソンにして、収益を Child’s Play チャリティに贈ろうというものである。Child’s Play はビデオゲームを子供病院に寄付している。この様にして、 Desert Bus for Hope が誕生したのである。

これまで 6 年を超える間に、Desert Bus for Hope は Child’s Play のために 1 百万ドルを超える寄付を集めたが、彼らは現在 November 2013 走のための寄付を受け付けており、それはこれまでに $440,000 を超えた。あなたが寄付をすればする程、彼らはドライブを続ける。Penn & Teller も、寄付金、食糧、気持ちの支援を提供して、楽しんで参加している。

Desert Bus はゲームの世界における、最も奇妙で、心温まる、そしておかしい物語の一つである。今やたったの 99 セントで、あなたも iPhone や iPad 上で自分自身で体験出来る。収益金は Desert Bus for Hope に向けられる。大義のためにどうしようもないゲームで遊んでみるか、或は単にそれを買い、どれ程ひどいものか理解するために数分間遊んでみて、そして病院にいる子供たちの一日を少しでも明るくする手伝いが出来たことを自覚する満足感を感じて欲しい。