地図好きおやじの GPS 遍歴

A5502K

A5502K GPS レシーバーを初めて使ったのは A5502K という携帯電話だった。自律測位できない機種だったが、逆に補足は速かったし制度も十分に高かった。しかし、当時のパケット従量課金プランでは地図データを継続的にダウンロードするのは怖くてできなかった。また、端末で撮った写真の exif タグに位置情報を埋め込むこともできなかったので不便だった。写メール掲示板に投げる時(今考えれば instagram の先を行っていた)に本文に位置座標を入れるくらいだった。

Magellan for Visor

1975133667 しかし、GPSに対するあこがれは強く、palm visor prism 用の Magellan 社の GPS Companion を買った。日本では使えない地図データしか付いていなかったので、ウェブサイトの地図(Google map はまだなかった)をキャプチャしつなぎあわせて地図データを作り、その地図上にポイントされるのを喜んでいた。その頃の地図は測地系が日本ローカルのもので、Magellan は世界測地系なので苦労したものだった(300m くらいずれた)。はっきり言って実用度はゼロだったが、GPS 衛星の補足情報やその仕組、測地系の違いなどはこの時に学習した。Visor prism が壊れて CLIE になった時点で Magellan とはお別れした(visor の springboard という拡張スロット用だったので CLIE では使えなかった)。

Garmin eTrex Vista HCx

 その後、自転車でツーリングするときのために地図が見れる実用に耐える GPS レシーバーが欲しくなり GARMIN GARMIN eTrex Vista HCx を買った。Wiggle から買ったので英語版地図は国内の開発者から別途購入してインストールした。GPSログは windows XP のカシミール 3D でダウンロードして管理していた(HCX をマスストレージデバイスとしてマウントできたので Windows が不要だったということを先日知った・・・)。GPS ログを Alps lab route というサイトにアップロードして楽しんでいたが、Alps lab が Yahoo に買い取られてその間のログは消えた。iMac 2007 の Windows XP に残した gpx ログも HDD トラブルと同時に消えた。

iPhone

 A5502K から Nokia N73 を経て iPhone 3GS になってから GPS がさらに身近になった。eTrex は地図上の現在位置を確認するには十分だが、検索ができない。海外であればできるかもしれないが、自分が持っている地図ではできない。これが iPhone の地図と大きく異なる所だ。eTrex はロガーとしてしか使わなくなった。

 iPhone が 3GS から 4S になっても特に変化はなかったが、2014 年にして Movescount によって更に用途が拡大した。Suunto T6 と GPS ログは完全に独立した存在だったが Movescount によって同じログDBに入れられるようになった。Suunto T6 のログに gpx ログをインポートできるようになれば完璧なんだが・・・

アンドロメダはこんなに大きくて近い

photo_andromeda こんな視点は無かった。地球からの視野角が月より広いというのは知らなかった。どんだけでかいねん。

 40億年くらいしたらアンドロメダは天の川銀河と衝突するらしいが、この写真を見てさもありなんと思った。銀河系とアンドロメダ銀河の衝突合体のように一つの銀河系になるそうな。天体同士の衝突ということはほとんど考えられないくらい低いらしいが、近くの空間で新星が発生したら夜空は華やかになるんだろうな。それでなくても、衝突後期には数十万光年先に発生するクエーサーの明かりが満月を上回る輝度で観られるほどの明るさになって銀河系を照らすらしい。他の銀河系に生まれた生命体によってはこのシミュレーション動画のような姿が観測されるかもしれない。

andromeda 銀河×アンドロメダ星雲衝突は約40億年後。そのとき地球の空はこんなすごいことになっている(NASA):GIGAZINEの上の動画は更に面白い。もし、地球上に今の人類と同じ視覚をもった生命体がいたら観られる夜空らしい。実際に肉眼で見たら今の天の川もあんなに暗いのだから天の川が交差するような感じでしか無いだろうが。それに、人間の寿命のスパンは動画のワンカットを一生見続けるということでしか無い。

 途方も無いスケールだが、アンドロメダ銀河と天の川銀河の距離とそれぞれの大きさを考えると宇宙空間では衝突しても不思議がないくらい隣接していることが分かる。隣接しているというより太陽系ができる前の銀河系形成時からお互い引き合って近づいて来ている最中ということなのかもしれない。それは下の図を見れば分かる。野球のボールとゴルフボールを野球のボール10個分の位置に並べたようなものだ。
distance-galaxy

ただし、太陽の巨大化に伴い地球の温度が上昇しアンドロメダ銀河と衝突するはるか前に現在の動物が生きられる環境ではなくなっている(二酸化炭素による温暖化とかいうレベルではない)ので、劇的な生態系の進化が無ければ見ることはできないだろう。タイムマシンが開発されてもこんな先の地球に行ったら即死だ。

本:「ヤバい統計学」は全然ヤバくない。

http://ecx.images-amazon.com/images/I/41PhpxvzNxL._SL160_.jpg Kindle を日替わりセールで買っていたヤバい統計学をやっと読み終わった。気温に正比例して電車での読書の時間が減ってしまうから時間がかかってしまった(読み終わってからもだいぶ経っている)。

 胡散臭い感じのタイトルで定価の紙本だったら絶対に手を出さなかっただろう。しかし、原題の “Numbers rule your world” が示すように中身は至って真面目な本だった。統計学の教科書ではないので公式や数式はないが、「統計学者はこんな視点でものを見る」ということが例を引いて丁寧に書いてある。多くが実生活上の非統計学者の直感と相容れないものも多いが、説明されるとなるほどと思わされるもので興味深かった。

 ディズニーワールドの待ち時間を最短にする回り方を研究している統計学者とか待ち時間を負担に感じないようにさせるためのディズニーの統計担当者、高速道路の運送効率を高めるための方策やそれに対するドライバーの意識、飛行機の安全性に対する統計学者の意識などは特に面白かった。

 そして、ドーピング検査はこの本が出てからもランス・アームストロングを始め、多くの選手が自身が黒であったことを告白しており、複雑な気持ちになる・・・

本:久生十蘭傑作選IV 昆虫図

 久生十蘭の本の中で一番好きな本。短篇集でその水準の高さに驚くほどだ。久生十蘭全集を持っているし、日本探偵小説全集〈8〉久生十蘭集 (創元推理文庫) [文庫]も美味しいが、昆虫図にまさる密度は持っていない(と自分は思っている)。

 残念ながら、昆虫図 (現代教養文庫―久生十蘭傑作選 (894)) は絶版になっているようだが、青空文庫にあるので、ぜひお読みいただきたい。特におすすめの作品をいかに挙げる。ため息が出るような文章。青空文庫にリンクしておくが、ほとんどの電子書籍端末でもダウンロードできるので、入れておくことを、全力でお勧めします。

 残念ながら、「生霊」と「南部の鼻曲がり」はアップされていない(上のリンクは自分が入力したものなので校正は入っていない)。入力作業中の人がいなければ自分が入力してもいいのだが・・入力ボランティアは早い者勝ちだから取られてしまったのだった。入力が終わっているのに校正待ちという可能性も有る(校正もボランティア)。また、主催の富田さんが亡くなられたことも影響しているかもしれない。

本:夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦

koiseyootome 四畳半神話大系的と宵山万華鏡、太陽の塔を読んでから読むと面白いかもしれないが、くどいかもしれない。

 結局、主人公は要領よく立ち回り小柄で黒髪ショートヘアで頭と性格が抜群に良い乙女をものにするのも他の作品と同じ。ダメ学生を自虐的に書いているようだが、本当に何もなかった私立文系学生の側の人間ではない。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)Kindle 版

フラッシュバルブ記憶の罠

 「錯覚の科学」を読んで、フラッシュバルブ記憶について考える。確かに、自分でも幾つか大きな社会的事件の記憶が残っているが、その記憶が怪しいことに気付かされる。

 911 については iMac に向かっている時に臨時ニュースが入って(確か日本時間で12時ちょっと前だったので)、テレビを観た記憶がある。そして、多くの人が次々にビルから飛び降りる映像を観た。そして、その後2機目がビルに突っ込む映像をリアルタイムに観たと記憶している。その後、眠って、朝になってビルが完全に倒壊したことを知った記憶がある。しかし、本当に2機目の衝突を観たのか、2機目が衝突してからテレビを観て再生で観たのか自信がない。

 後、カデル・エヴァンスが脱落してマイヨジョーヌを失ったステージの記憶も曖昧だ。いろいろなエピソードが思い浮かぶのだが、順番が矛盾している。

 全ての人間がどうなのかは知らないが、自分の記憶はその程度だ。反省して、常に意識しなければならない。

 ただ、ビジネス上の教訓としては、ハッタリでも何でも自信満々に主張していけば、多少のことはごまかせるということを覚えておきたい。コールド・リーディングと自信満々の態度を駆使するのは、不誠実極まりない有能な営業マンのテクニックだ。

まつきあゆむ TERRAFORMING(alternative)

terraforming まつきあゆむ ひいきびいきで紹介されていた、まつきあゆむの “TERRAFORMING” というアルバムを買った。

 歌詞世界が面白い。森見登美彦の舞台を東京周辺にしたようなヘンな歌詞だ。ヘンというのはマイナス評価ではないことはあえて付け加えてく。

 音の重ね方が珍しいと思うが、音楽についても素人なのでホントにそうなのかは知らない。自分は BEATLES の曲を思い出した。Rubber soul から Magical mystery tour、Sgt. Pepper’s lonly hearts club band あたりの音作りだ。実験的な音楽を創造し始めた頃の作品で、自分はこの頃が一番好きだ。

 まつきあゆむが BEATLES の楽曲を意識してやったのかどうかは知らないが、自分の聞き間違いでなければ、同じボーカルパートを左右のトラック別々に録音するという手法(ダブルトラックボーカル)を取り入れている。これも今では珍しいのではないだろうか。BEATLES では Here there and everywhere で Paul MacCartney がやっていた(他にもあるが忘れた)。

 一番好きなのが「エーテルロケットNO9」。曲名に No をつけるというのも BEATLES が Revolution でやったものを踏襲しているのか?BEATLES の曲の中で自分の上位に位置する Revolution #1 がそれだ。White album に入っていてシングルカットはされていない。一般にはシングルカットされた Revolution のほうが知られているが、自分はこちらのほうが好き。レコードでは2枚目のB面2か3曲目だったと思う。

 「エーテルロケットNO9」は本人が YouTube に上げたものがあるのでお聴きいただきたい。気に入ったら買え。18曲も入って 2,000円とお買い得だ。(購入手順は「podcast:ひいきびいき」に書いたので参考にしていただきたい。)

 なお、本文の BEATLES の楽曲やアルバム名のスペルは自信がないが、調べるのも面倒くさいのでこのままにする。間違いを見つけたらプススしてください。

  1. ハードディスクは愛の夢を見るか
  2. マイベストロボット
  3. Cold Kills You
  4. The Girl
  5. ふたりはともだち
  6. エーテルロケットNO9
  7. クライングソーサー
  8. そうだったのか!彗星
  9. Smells Like You
  10. 夏の幻
  11. Astronomical Campfire
  12. Heaven’s Door
  13. シュレーディンガーの子供たち
  14. My Old Song (midnight)
  15. 1 Year Later
  16. ケアルラ
  17. ビートのタンバリン/もう/僕の体はタンジェリン
  18. (It’s just a)Brave Story

本:「錯覚の科学」を読んで反省する午後とボケ防止の特効薬について

 「脳はすすんで騙されたがる」や「超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか」と同じ論旨の本。ここには The Amazing Rnady はでないが。両方の本で取り上げられていた、一般にも非常に有名な実験をした心理学者が書いていて、その実験やその実験の追試などについても語られている。そして、この本では、「錯覚」をキーワードにして、人がいかに自分や自分の周りを錯覚しているかを教えてくれる。上の2冊と同様強く推薦する。

 気になったフレーズの一部を wiki に抜書きしてみた。こんな参考となるフレーズがみっちりと280ページにわたって書いてある。同時に借りた美女と竹林の3倍くらいの情報量で、非常にお買い得(自分は図書館で借りたが)。お買い上げは「錯覚の科学」 クリストファー・チャブリス ダニエル・シモンズからどうぞ。

 この本で一番響いたのが脳トレの無力さだった。脳の老化を防ぐための最良の方法は「有酸素運動を集に3回以上30分やる」という、マスコミも任天堂もインチキ脳科学者も黙っているものだというのも印象的だった。

 錯覚の科学の引用

実験の被験者に慣れる YouTube ビデオ:

角川がkidleキャンペーン中

 10月1日限定らしいが、2日18時現在まだ価格は低いままだ。とりあえず2冊買った。

四畳半神話大系 森見 登美彦 330円
図書館で借りて読んだが、作者を応援する気持ちで購入。おすすめ度8/10
ソドム百二十日 マルキ・ド・サド、 澁澤 龍彦 130円
森見登美彦以上に読み手を選ぶファンタジー作家サドの作品の一つ。オススメ度3/10
夜は短し歩けよ乙女 森見 登美彦 270円
自分は440円で買った。未読なので、オススメ度?/10
O嬢の物語 ポーリーヌ・レアージュ 150円
紙本を持っている
一万一千本の鞭 ギョーム・アポリネール 130円
紙本を持っている

 江戸川乱歩もオススメだが、全部持っている作品だったので買わなかった。他に横溝正史シリーズもあった。あのように太い文庫本は重いし読みにくいので電子書籍のメリットは大きいだろう。

本:宵山万華鏡 森見登美彦

scoop 京都の祇園祭の前夜祭である宵山を舞台にしたオムニバス。

 きつねのはなしにも通ずるファンタジーオムニバス。自分はすべてがリンクしお互いがそれぞれの登場人物になっているという構成が好きだ。個々人がそれぞれの物語では主人公であるのが実世界だから。だれも誰かの脇役をやるために生まれた人間など存在しないのだから(とはいうものの、この物語でも観光客などはただのMOB扱いだがwww)。

 四畳半神話大系でも取り扱った手法がここにも活かされている。また、きつねのはなしでも出てきたアイテムが本作にも散りばめられている。自分は姉妹の話と阿呆話が特に好き。他のものが良くないという意味ではなく、悲しい気持ちにならなくて済むというだけ。

これも、できれば単行本で読みたい。自分は図書館で借りて電子書籍版も買った。
宵山万華鏡