本:恋文の技術 森見登美彦

恋文の技術 「手紙を差し出し先別に集めた手紙集」の体裁をとっている。返信は記されないので、本人の返事や引用から類推する事になる。説明的な引用が多くなるのは形式上致し方無いか。

 主人公はいつもの京都市の下宿住まいの京大生で、文通先もおなじみなキャラクターが並ぶ。本作で特徴的なのは森見登美彦が登場するところだ。もちろん、この作品を読んでも恋文を書く技術は身につかない。

 感じるのは、作品中にも有ることだが、これだけの文通相手に恵まれているだけで主人公の生活は、自分の学生時代と比べはるかに眩しい輝きに満ちているとうことだ。なんといっても、相手が返信してくれているのだから。これならば会社(学校)から帰って家のポストを開けるのも楽しいだろう。

 作品から離れるが、電子書籍化されていないので図書館で単行本を借りたが、前半と後半とで開きぐせがかなり違っているのが印象的だった。前半だけ読んで途中で読むのをやめた人が多いんだろうか。後半部は一気に読んでしまって折りぐせがつかなかったという可能性もあるが。自分も、後半部はハイペースで読んだが、「もうすぐ終わってしまうんだぁ」と思いながらも次々にページを繰らされるようだった。

 自分は図書館で単行本を借りたが文庫版も出ているので、興味を持った方は恋文の技術 (ポプラ文庫)からどうぞ。

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