前から書いているように、スマートフォンもタブレットも回線もコモディティ化したら PC 市場と同じ構図になる。Android OS は Windows 市場と同じになり、Mac OS と iOS は独自色を持ち続けるとは思うが(そうあって欲しいが)プレミアムはなくなるだろう。この市場から利益を上げられるのはプラットフォームを持つ者だけだ。
キャリアがローカルな OS 作ったってアカンというのは歴史が証明している。iPhone や GALAXY があの価格・機能を実現できるのはキャリアや国の枠を超えた需要が見込めるからだ。日本のメーカーがキャリア主導の護送船団で海外勢に完敗したのは小さな市場でしか使えないローカル最適化機種(ガラパゴス)にリソースをつぎ込んでいたからだ。docomo はプラットフォームをコントロール出来た時代に戻したいのかもしれないが、自分の使いたい端末を好きなキャリアで使える便利さを知った消費者には受け入れられない。
キャリアのコンテンツ販売はキャリアへの囲い込みを目指すものだ。キャリアのサービスを受けていたものはキャリアを変えると使えなくなる。iTunes store や Google play で購入したものはキャリアとの契約状態に依存しない。いまはこれが普通だ。キャリアメールより LINE や gmail に慣れてしまった。もう後には戻れない。
この製品が対 iPhone と考えるのは浅い。Android を作る中国メーカーと真っ向勝負する気だ。しかも、それだけではない。これはキャリアに対する挑戦でもある。キャリアが端末を売るという販売モデルに対するアンチテーゼだ。キャリアへの土管化を促す引導と一定もいい。SIM ロックフリー端末と格安SIM(海外ではプリペイド)に IP 電話(skpe や 050 サービス)がこれからのスマートフォンの使い方かも知れない。Google と Apple が呉越同舟で同じ方向を目指しているのが興味深い。
SIMロックフリー端末を売ることは Jailbreak(Android の場合は root 化) への対抗策にもなる。キャリアに代わって課金代行を収益源とする Apple と Google にとって iTunes や Google play を介さない取引は目の上のたんこぶだ。Google の場合はオープンを謳って iOS と対抗しているために制限を加える事は出来ない。そこで、root 化する必要のない SIM ロックフリー端末を安価に売ることで Google play の要件を満たさないような端末が蔓延するのを阻止したいのだろう。
更に、ICS以降の矢継ぎ早なOSのアップデートもこの動きを裏書する。このアップデートに乗れない端末をふるい落とす意味があるのではないだろうか。kitkat を快適にドライブできるだけのハードウェアを持った SIM ロックフリー端末(Google play 対応)だけが残る状況を作り出そうとしているのではないか。