Apple watch エコシステムはサードパーティのオアシスたるか?

150729AppleWatchBslt-01 Apple watch のスマートウォッチにおけるシェアが70%を超えているという記事があった。そんなことは発売前から分かっていたことだ。スマートウォッチに興味があって買う気があっても Apple watch が出るまではと待っていた人たちの潜在需要が集中したのだから。Android のスマートウォッチを出している企業も Apple watch にシェアを奪われてガッカリとはしていないだろう。

 それより気になるのは Apple watch は iPod や iPhone のように市場に浸透するかどうかだ。Apple watch は iPhone としか連携しないので、Apple watch が市場に浸透し「スマートウォッチってなんやねん?」という層に受け入れられれば、もっと大きな Android のチープ端末を使っているユーザに訴求できるからだ。新しもの好きで比較的裕福な層が多い Apple ユーザにすら十分浸透できないのであれば、Android のチープ端末を使っている市場に受け入れられるのは絶望的だろう。

 ここに来て、興味深い動きが出てきた。Apple は Apple watch をリリースするにあたって、ファッション性を重視してきた。そして、やっとというか出るべくしてというか、サードパティからファッション性を重視した周辺機器(と言うのか?)が現れた(Apple Watchをエレガントに彩るクロコダイルレザーバンド : ギズモード・ジャパン)。iPhone が現れてケースという市場が生まれたように、スマートウォッチ用バンドという市場が生まれた。これは Apple の強みだ。iPhone がエコシステムを築いたように Apple watch が周辺産業を巻き込んだエコシステム構築できれば、Apple watch の将来に薄日がさす。

 スマートウォッチが難しいということは前にも書いた。iPhone 市場の大半を占める 16GB iPhone キャリアモデルを使うようなユーザが同判断するか年末くらいには見えてくるだろうか。

fitbit charge HR 06 睡眠

ログ

20150628_fitbit-sleep0 epson の pulsense のログのようなものがあるのかと期待していたが、違った。また、一部日本語が変なのはご愛嬌か。

 睡眠状態(青)と目覚めた状態(赤)しかない。赤が二段階あるが、何を示しているのか説明はない。以前、友人が epson のフィットネストラッカーの睡眠ログで睡眠の深さを示すログをあげていたので、それと比べると fitbit の睡眠ログは大雑把で少し残念。


20150621_fitbit-1 睡眠に入ったかどうかの判断は自動的に行われるが、時々判定に見する。

 夜中にトイレに行ったのを起きたと判定した例。起きても途切れない時もある。


20150621_fitbit-2 この日は夜更かしして2時頃に寝て11時頃に起きた。が、なぜか21時頃から寝たように認識されていた。この前に充電していたので、付け直す時に正常に認識していなかったのかもしれない。

 全体に、参考になるようなならないような微妙なログだ。だから、上のようなミスがあっても特に気にする必要はない(と、考えている)。それに、睡眠の深さを加速度計でどれだけ分かるのかも疑問が残るし。

 自分は、睡眠ログが取れることに魅力を感じていて、だから apple watch のように寝ている間付けていられないセンサーに懐疑的だった。だが、センサーを付けていてもこの程度なら24時間装着にこだわる必要はないかもしれない。

目覚まし機能

 振動で起こしてくれるのは非常に効果的。バイブで目覚めるのは携帯電話でも効果的だが、フィットネス・トラッカーは腕に密着しているので、デバイスの位置で目覚まし効果が変わることがない。そして、個人的な好みだが、音で起こされるより刺激が少ない。

Apple Watch はスマートウォッチの試金石

os_appleevent01 記録のために書き留めておく。

 あと数時間で Apple watch の詳細が発表される。数百万台は売れるだろうが、iPhone や iPad のように単独のエコシステムを築くだけでなく、Android という派生商品を巻き込んでモバイル端末を普及させたようにスマートウォッチを普及させられるかどうかは未知数だ。個人的にはそうならないと思う。

 ただ、Apple watch が家電量販店ではなく百貨店や宝飾品店などの、デジタルヲタクが足を踏み入れられないような店のショーウィンドウに陳列されるようになれば違う結果になるかもしれない。自分はイオンモールの時計屋さんですら入るのに二の足を踏むくらいだからそんなオサレなお店で買物をするような人たちの購買行動について感情移入できないから、どんな行動をするのか全く分からない。

 10年以上前だが palm が PDA としてセレブに大流行した時には何万円もするケースが売れたりスーパーモデルが palm を使っているシーンがファッション雑誌に載った。そんな小物になることができれば流れができるかもしれない。2年位前にバーバリーの役員をスカウトしたのがここで効いてくるんだろうか。

 これまでのスマートウォッチはデジタルヲタクを相手にして失敗した。「キックスターターで成功」などというのはコップの中の嵐というより猪口の中のそよ風だ。そもそも、日本の一般人はキックスターターという言葉すら知らないし、まして、そこで成功したというデバイスなんて全く興味もない。

 少なくとも Apple は一般マスコミの露出も高いし Apple のブランド認知も高い。これを活かしたマーケティングが功を奏するかどうか。これが失敗したら他のスマートウォッチは全て終わるだろう。Apple watch の成功を一番強く願っているのが Android のスマートウォッチを作っているメーカーかもしれない。(前にも書いたか・・・)

Apple はファッションブランドを目指すのか?

apple watch 繰り返しスマートウォッチについての懐疑を書いているが、その大きな理由が「人は同時に複数の腕時計をしない」「腕時計はファッション小道具であり、未だにステータスシンボルですらある」だ。

 この意味では、デジタルガジェットとしてではなくファッションアイテムとして訴求するというこの戦略は正しく見える。問題は、数十万円のこだわり腕時計をしている人が、今使っている高級時計を引き出しにしまい込んでまで Apple watch を使うだろうかということだ。

米VOGUEにApple Watchの原寸大写真、デジタル版では動画広告も : ギズモード・ジャパン
やっぱりファッション誌。

Apple WatchとVogueと言えば、昨年中国版VOGUEの表紙にApple Watchが登場したのが話題となりました。そのApple Watchが再びVOGUEにその姿をあらわしました。米VOGUEの今月号にて数ページにわたって、原寸大(と思われる)サイズでの写真広告が展開されています。数種類のApple Watchが、カスタム可能なベルトと共に一緒に紹介されています。単なるガジェットではない、ファッションアイテムだということを強調した戦力はブレません。

また、VOGUEにはデジタル版もあり、こちらでは動画広告を展開。18金ローズゴールドを360度から見ることができます。

2014年に出荷されたAndroid Wearデバイスはわずか72万台。

Android Wear スマートフォンとタブレットが飽和し、利益を上げられない荒野と化した2014年。Android 端末メーカーは次のビジネスチャンスを求めてスマート・ウォッチ殺到した。それだけでなく、スタートアップや時計メーカー入り乱れての混沌となった。が、合計で 72 万台しか出荷されなかったらしい。

 市場は固唾を呑んで Apple watch を待っているのだろう。そして、Apple watch が成功すれば、ここに書かれているように、Android Wear も需要が盛り上がるだろう。また、Android watch が転けたら Android Ware も消える。Apple watch の成功を一番臨んでいるのは Android Wear を作っているメーカーかも知れない。

 高価な Apple watch が Rolex と同じようなステータスシンボルとして機能するのかどうか自分には全く分からない。高価な装飾品を身につけて高級車を乗り回すようなライフスタイルに興味が無いので、Rolex をしている人たちの気持ちが理解できないからだ。機能に差がない Apple watch の高級モデルを買う人がいるのか。そして、高級時計を外してまで付けたいのだろうか。高級腕時計の代わりに Apple watch を付けたいのか否か、コメント頂きたい。本当に。

2014年に出荷されたAndroid Wearデバイスはわずか72万台。トップはMoto360(Canalys調べ) – TechCrunch

昨年の消費者はスマートウォッチを選り好みしなかったが、だからといって買い漁ったわけではなかった。調査会社のCanalysが今日(米国時間2/11)発表したレポートによると、2014年に出荷されたAndroid Wearベース端末はわずか72万台強で、この年の「スマート・ウェアラブル・バンド」総数460万台の16%だった。Moto 360が集団の先頭を走り、Pebbleも豊富なアプリと積極的価格のおかげで好調を保っているとレポートは伝えている。

出荷台数100万を切るこの数字は、Android Wearにとっても参加OEMにとっても、大成功とは言い難い。ただしMotorolaのMoto 360は、供給不足が原因と思われる。LGのG Watch Rは、初代のG Watchより好調のようであり、これはGoogleのウェアラブル用プラットフォームを使用しているOEMが、市場の探究を続けるうちに重要な教訓を学んでいることを意味している。

ただし、Android Wear端末が出回るようになったのは2014年の後半になってからだ。それでもこの数字は、OEM各社がまだ市場を見守っている段階であることを示すものであり、価格へのプレッシャーもすでに高まっている(アクセサリーとして使われるにもかかわらず、中級スマートフォン自身よりも高い)。そしてGoogle製プラットフォームとOEMメーカーの未来の鍵を握っているのは、皮肉なことにApple Watchかもしれない。

Appleのスマートウォッチは4月にやってくる。AndroidとAndroid Wearにとってはライバルである一方、報道や消費者のマインドにApple Watchが出現することによって、Android端末オーナーに、同等品を探す気を起こさせるかもしれない ― スマホごと買い替えることと比べれば。仮に初期の比較(AppleがWatchの販売台数を公表したとして)でクパチーノの腕時計コンピューターが大きくリードしたとしても、長い目で見れば、Android Wearが恩恵に預かる可能性はある。

Android OSは、2008年(HTC Dreamが最初の一般向け端末としてデビューした年)の64万500台から、2009年には10倍増したので、Android Wearも、スマートデバイスを腕につけることの価値を誰かが消費者に示すことができれば、まだまだ伸びるかもしれない。

スマートウォッチは死んだか

20150206-smartwatch Apple watch を買おうと思っているマカーも数百万人規模はいるかもしれないが、それが iPhone のように普及するとは思わない。ゴージャスな 18k ケースだろうが、ブランド腕時計には勝てない。

 腕時計に機能を求める人間は少数派だ。時刻を知るためのデバイスは待ちにあふれている。昔は数分単位の狂いは日常的だったパソコンの時計も時刻サーバと常時接続のお陰で、時報レベルに正確になった。携帯電話やスマホもネットで時計を補正するので時刻の設定すら存在しない。

 それ以前から、腕時計は既にアクセサリーや社会的地位(裕福さ)を誇示するためだけの腕輪となった。機械式時計しかなかった頃は正確に時を刻むという機能と価格が正比例していたので、単にステータスシンボルとして見せびらかしたいだけなのに、まるで正確な時計を必要としているために選んだように見せかけることができた。

 ところが、クォーツ時計が普及するとともに「正確な時計=高価」という図式が完全に崩れた。更にとどめを刺したのが電波時計だ。これで完全に時計の正確性は時計そのものの価値とは切り離された。正確な時計が必要なだけなら電波時計を買えばいい。数千円で買える。

 なのに、今でも Rolex の腕時計は売れているし、不正確な Swatch の機械時計も無くならない。

 スマートウォッチが今でも生き残っている腕時計の持つ、時計としての機能以外の属性を獲得できるかどうかだが・・・固唾を呑んで Apple watch の発売を待つ。

スマートウォッチは死んだか : ギズモード・ジャパン
生まれてから立ち上がるまで長すぎ!

ウェアラブル来る! スマートウォッチ来る! そう言われて久しいですが、まだまだ実際メインストリームにはなっていません。そんな現状に業を煮やした米GizmodoのSean Hollister記者が問題提起しています。Apple Watchがまだ出てない今、判断するには時期尚早かもしれませんが、どんなもんでしょうか。
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Jawboneの新型活動量計「UP3」の米国発売に遅れ ー 年内から来年初頭に

Jawbone Up3 Jawbone やらかしたなぁ。ブラック・フライデーからクリスマスまでの供給を確保するために米国外の販売を遅らせたのかと思っていたが、北米の需要をカバーするとかしないというレベルではなかったらしい。これはビジネスオペレーション上の大チョンボだ。この時期の1ヶ月の遅れは「6月の発売予定が7月に延期になった」というのと根本的に違う。

 発表時点では心拍センサーのあるフィットネス・トラッカーは少なかったが、心拍を取れるリストバンド型(時計型を含む)が次々と発売・発表されている。そして、言うまでもなく Apple watch のリリースが数カ月後だ。

 フィットネス・トラッカーを買おうとお思っている人が、「Apple watch の実物を見てから決めよ」と思っても不思議ではない。Up3 が$100未満ならそうはならないだろうが、$200近くする。Apple watch のフィットネス・トラッキング機能でいいなら Up3 を同時に装着することがあり得ない以上一箇所しかない左腕の手首(右利きの場合)に何をはめるか慎重になる。(これについてはデカイやろWW 優れたデザインのAndroid WearウォッチMoto 360にも書いた)。

 ホリデーシーズンに実物があれば勢いで買うことはあるだろうが、年を明けてCESで次々に似たようなコンセプトの製品が発表され、2〜3ヶ月後に Apple watch となったら全然心理的なハードルが変わる。購買行動に心理的な要因は大きい。経済的合理性の問題ではない。

 そういう意味で、Jawbone は大きな失敗をしたといえる。Jawbone としては Apple watch が失敗しスマートウォッチ市場も立ち上がらないことを祈るしかないだろう。可能性はあるが、だからといって今回のミスを取り返せるほどかどうかは分からない。
 

Jawboneの新型活動量計「UP3」の米国発売に遅れ ー 年内から来年初頭に
Jawboneのリストバンド型活動量計「UP」シリーズの最新版「UP3」は米国では年内に発売予定とアナウンスされていましたが、Bloombergによると、「UP3」は年末商戦に間に合わず、発売が来年にずれ込む事が分かりました。 Jawbone

Sony Mobile、SmartWatch 3 が失敗すると思う100の理由

20150107_sony_smartWatch3 Android wear 端末としては完成度が高いかもしれない。自分的にはこんなでかいモニタを付けたいとは思わない。

 問題は発売時期だ。Apple watch がこの第一四半期にも発売されると予想されている時にこの端末を買う人はほとんどいないだろう。

 そして、Apple watch が大ヒットすればこの端末は売れないだろうし、Apple watch が失敗したら、そもそもこういう端末を買う人がいないということだろうからこの端末を買う人はいないだろう。どっちにしても、この端末は売れずに終わるな・・・

 この端末単体を見ても、こんなに大きいのに心拍が取れないのは致命的だ。これで合計100だな。

CES 2015 : Sony Mobile、SmartWatch 3メタルバンドモデルや24mmバンドを利用できる新ホルダー、WEB版Lifelogを一般公開 | ガジェット通信

Sony Mobile は 1 月 5 日、CES 2015 イベントの Sony グループのプレスカンファレンスにおいて、SmartWatch 3 のメタルバンドモデルや SmartWatch 3 向けの新ホルダー、Lifelog アプリの機能拡充など、SmartWear イニシアチブの新商品・新サービスを発表しました。Sony グループのプレスカンファレンスにおける Sony Mobile 関連の発表は、SmartWatch 3 メタルバンドモデル、24mm の市販リストバンドを利用できる SmartWatch 3 用ホルダー、Golfshot と iFit アプリ提供元との提携、Virgin Atlantic 社との提携、lifelog.sonymobile.com のオープン、Lifelog アプリの新機能の追加です。Android Wear を搭載した「SmartWatch 3 SWR50」は、昨年 11 月の発売開始からシリコンバンドモデルのみ販売されていましたが、新たにステンレススチールのリストバンドを同梱したメタルバンドモデルが発表されました。2015 年 2 月より世界で発売される予定です。また、SmartWatch 3 のリストバンドは独自仕様で、市販のリストバンドに交換することはできませんでしたが、24mm 幅のリストバンドを装着できる新たなホルダーが発表されました。こちらは 2015 年初旬に発売されます。

画竜点睛を欠く:日本企業の負けパターン EPSON Pulsense

フィットネス・トラッカーは Jawbone Up3 に決まった。フィットネス・トラッカーについて調べている際に日本企業の負けパターンに遭遇したので書き留めておく。

 企業は EPSON。EPSON が心拍を記録できるフィットネス・トラッカー(Pulsense)を発売するという情報をTLで知って調べた。しかし、サイトには EPSON のそれが iOS のヘルスケアと同期できるかどうかわからなかった。

 そこで、問い合せ先を調べたがなかなか見当たらなかった(減点10)。製品別の問い合わせ先には電話とメールという選択肢があったが、メールの問い合わせをするには製品登録しなければならない仕様だった。発売されいない製品を登録しているはずがないのにだ(減点10)。自分はたまたま EPSON のプリンタを使っているので、アカウントを持っていたから良かったが、そうでなければこの時点で諦めてしまう人も多いだろう。

 Pulsense のお問い合わせページの「ホームページからのお問い合わせ」ボタンをクリックして表示されたフォームにアカウント情報を入れて現れたフォームはプリンタ用のものだった。フィットネス・トラッカーのページから入っているのにプリンタ用の選択肢が入力必須だ。製品別になっている意味が無い(減点10)。仕方なく、持っているプリンタと使用環境を入力し、質問の内容を問い合わせ内容に入力して送信した。

 すぐに受付メールが返信され翌日には正式の返事が届いた。ここはちゃんとしている。さすがEPSON(加点10)。

 答えは、「お問い合わせいただきました、iOS 8のヘルスケアとの連携の件につきましては、誠に恐縮ではございますが、現在のところ、予定がございません。」(減点50)

 結果 ハードウェア(90点) – 80 + 10 = 20 点 不合格

講評

 
 問題点は二つ。せっかく興味を持って来た見込み顧客に対して期待に添えないサイトとハードだけ作って終わりという姿勢。

 まず、 サイトから。発売前後の商品に対しては質問が集中するし、購入前なのだから EPSON のユーザアカウントを持っていない可能性が高い。そういうユーザこそが見込顧客なのだ。なのに、それを受け入れる用意がない。新商品への質問はその後の製品の改良につながる重要な情報だ。メーカーが思っているのと違う用途の提案があるかもしれないし、競合他社の情報を仕入れられる可能性もある。

 次が致命的だが、自社の持つノウハウや製造技術を活用することだけ考えて、作ったらそれっきりという発想。「いいものを作れば売れる」というのは競合他社がいないような市場だけだ。フィットネス・トラッカー市場はライバルが次々参入している。来年には iWatch が発売される。いいものを作ったからといって満足して止まっていたら置いて行かれる。他社は走っている。心拍を取れるフィットネス・トラッカーは珍しかったが Jawbone が発表してしまった。しかも、Jawbone は iOS 市場で実績がありヘルスケアにも対応済だ。

 こういうデバイス、スマートフォンとの連携を前提としたデバイスは、デバイスのエコシステムに食い込むことが何より重要だ。ハードが同等の場合、サポートするアプリが多いということはそれだけ価値が高いということだ。これは Dropbox が未だにプラットフォームオーナーのサービスと互角に戦えていることからわかる。Dropbox は iCloud、OneDrive、GoogleDrive より先に iOS エコシステムに食い込み、他社のアプリとの連携を可能にした。その基盤を基にOS間をまたぐオンラインストレージになった。だから、巨大な Apple、Google、Microsoft に対して優位に立てているのだ。Dropbox の成功直後に雨後の筍のように現れたストレージサービスの多くが消えたのはこの差だ。

 2014/10。Apple がヘルスケアにより、iOS での健康管理サービスを再定義した。これまで、様々なヘルス管理アプリはバラバラで閉じられていた。これからは、違う。フィットネス・トラッカーを他社の製品にしても、ログはヘルスケア上で引き継がれる。ヘルスケアとの互換性は必要条件だ。この点で EPSON はヘルスケアのエコシステムへの参加を降りたのと同じだ。

 なぜヘルスケアにこだわるのかというと、iPhone ユーザという市場がフィットネス・トラッカーの市場として相関が強いと考えられるからだ(Apple が掘る次の鉱脈はヘルスケアか?)。フィットネス・トラッカーを使っているユーザで iPhone を使っていない人は多くないのではないか。しかも、iPhone は最新バージョンの OS への移行が圧倒的に速い。iPhone 4S のような古い端末からアップデートを可能にしていることもあり、市場に出回っている iOS デバイスの大半が最新 OS にアップデートされる。Android の端末の大半が最新 OS にアップデートされずに終わるのと正反対だ。Android OS シェアは iOS よりはるかに大きいかもしれないが、大半はチープ端末で Bluetooth 4 に対応していない物も多い。OS も古いバージョンを搭載した機種が新機種として売られている。これが収束することはない。だから、iOS 8.1 のヘルスケアは見込顧客の数が圧倒的に多い市場なのだ。

 一番問題なのは、この状況を EPSON が把握していないように見えることだ。自分が担当者なら、すぐにでも開発に HealthKit への対応を進めるように依頼すると同時に、サイトのアプリ紹介ページに「現在のアプリはヘルスケアに対応していませんが、アップデートで対応する予定」と明記する。その姿勢を見せることで iPhone ユーザは安心して EPSON を買うことが出来る。アップデートに時間がかかるようだと批判を浴びるかもしれないが、EPSON の開発陣が HealthKit 対応にそれほど手間取るとは思えない(まあ、開発は外注先かも知れないが・・・)。

 心拍をとれるフィットネス・トラッカーは未だ多くない。Jawbone Up3 もまだ発売されていない。今がチャンスだ。頑張れ EPSON。Jawbone Up3 が日本で予約開始される前にヘルスケア対応へのアナウンスがあれば EPSON の[エプソン パルセンス]EPSON PULSENSE 腕時計 脈拍計測機能付活動量計 PS-100を買うから。

Apple が掘る次の鉱脈はヘルスケアか?

Health icon iWatch を筆頭にウェアラブルデバイスが各社から発表・発売されている。スマートフォンの次の金鉱をここに見出すハイテク企業は多いようだ。

 自分は時計型のウェアラブルデバイスには興味が無くてスルー気味だったが、iPhone 6 にあるヘルスケアというアプリを見て俄然興味がわいた。何の操作・設定もしていないのに歩数や歩行距離が記録されていたのだ。iPhone 6 (5s)は M8(M7) コプロセッサによって勝手に情報が取得されるのだった。しかも、ほとんど電池の使用量に影響を与えずにだ。

 そして、ヘルスケアの管理項目を見ると実にたくさんの情報を管理できることがわかった。単体では得られない情報でも、ヘルスケアに対応するセンサーを身に付ければ身体や生活に関する情報を一元管理できるのだ。面白い!

 これまで、こういった情報はデバイスを作っているメーカーが提供するアプリに依存していた。アプリ間でやりとり出来るものもあったが、一元管理には程遠い。また、センサーデバイスを他社品にしたらログは引き継がれない。

 iOS 標準のヘルスケアなら、様々な単機能のセンサーデバイスを統合することができ、センサーデバイスを買い替えてもヘルスケアの記録は引き継がれる。つまり、オムロンの体重計を使っていて、タニタに買い替えても一つのグラフで表示されるということだ。これなら、センサーを揃える意味がある。

運動の記録を取るセンサーは以前から多かった。これに、自転車の走行記録(心拍)、体重・体脂肪を合わせられれば、センサー好きの自分には楽しい。今使っている体組成計は SD カード記録機能があり、自動的に体重や体脂肪率が記録されているらしい。「らしい」というのは見たことがないから。SDカードを抜いて PC で見るのがめんどくさい。PC、しかも Windows PC が必須なので、Windows で起動しなおさなければならない。結局、これが面倒で、計測結果を見たことがない。

 タニタの体組成計はトラブルが多く、しょっちゅう使えなくなるのも、使おうとういう意欲を失う原因だ。図ろうと思って乗ったら、年月日設定画面ということがよくある。そうなると、次に設定をしてでも測りたい気持ちになるまでの数ヶ月放置だ。電池ケースの設計が悪く電池の接触不良が頻発するのが原因だということが分かったが、体重を測るモチベーションが失われてしまった。そうこうしているうちに脂肪は順調に育ち、体重も体脂肪率も大幅に上がってしまったorz…

 心拍については、現在は SUUNTO T6 で記録して Movescount で管理できている。が、現時点では Movescount がヘルスケアに対応していないのでヘルスケアに自転車と心拍の記録を持ち込めない。心拍と自転車の記録をヘルスケアに取り込めるセンサーが有ればすべてのアクティビティが統合できる。

 自分は腕時計型デバイスが嫌いだが、ヘルスケアと Apple pay という iOS を取り巻くエコシステムによって他のプラットフォームのデバイスとは一線を画する魅力は感じた。ヘルスケアは地味だが、生活に密着したゲームとは別の活用法を提示してくれる。

 近所を自転車で走っていても、ランナーやジョガー、ウォーカーとすれ違うことが多い。老若男女がそれぞれレのペースで運動を楽しんでいるようだ。このときにヘルスケアが有効であるという認識が広がれば iPhone のさらなる後押しになるだろう。Apple はデジタルデバイスから金融サービスや健康管理サービス分野にまで触手を伸ばそうとしているのだろうか。iPhone や iPad は革新的アップグレードがないと揶揄される(ここでも完成期に入って、大きな変更はないのではと書いた)が、Apple pay とヘルスケアによるユーザの生活への侵食こそが iOS デバイスのここ2年の革新なのかもしれない。この視点で考えれば、iPhone 5s の指紋認証、iOS 7 の Passbook、6 の NFC といった一見地味な機能の搭載はユーザの生活に食い込むための全段階だったのかもしれない。

 そして、Siri の AI によってこれらすべてを統合しコントロールするのが Apple の未来か・・・