17日は孫の日:忙しいが退屈

 一人前にこの時期は、決算と通常の月次とが重なって忙しい。それだけでなく、健康診断の手配や中間配当金の準備もあってだるい。実に退屈で忙しいが、それを口実に仕事場所を快適な場所に持って来ているので暇潰しには事欠い。快適な場所というのは、前に俺が座っていた場所だ。人が減り続けているので、空いた机がいっぱいあるのだ。

 そんな状態なのに、席を動かした低脳上司には上司の近くにいたいという飼い犬根性しかない。仕事の合理化を叫ぶなら席の配置も仕事の都合に合わせろ。こんな会社には、IBMがやったようなフリースペースなんて到底無理だ。

 問題なのは、並んで座るということではなく、仕事に組織として取り組むということだ。このように、席にこだわっているからといって仕事の内容はバラバラで隣の席に座っている人間が何をやっているか知らないことが多い。というか、俺の職場はそうだ。

 本来なら、管理者は自分の職場で行っている仕事の進捗状況を掴んでいなければならない。ところが、低脳管理職にできるのは、物理的な並びを役職や資格によって並べるだけだ。大体、俺が前に座っていても、今、どんな状態でなにが負担になっているのかなんて全く理解していない。どころか、手遅れになりそうな仕事があっても気付いていない。

 こんな会社が、「ノーツからサイボウズに換えてワークフローを導入」だと。笑わせんな!

 そういえば、この糞忙しいときに低能上司が「前にもらっていた提案を進めるように話をします。で、これを作ったんで読んどいてください」だと。それは、俺が去年の夏に作って10月くらいに部長に承認をもらってたものだ。その後、「私が他部署と調整するから」といって放置していて、この間(といっても、3ヶ月くらい前)催促したのだ。その返事が今頃って…大体、それを書いたときと組織も一部変わっている。

 もう、俺の中ではすっかり終わってるものなので、今頃やれといわれても全然やる気なんかないがな。

「社会調査」のウソ

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ リサーチ・リテラシーのすすめ 谷岡一郎 文春新書(古本で200円)

 俺がしつこく突っ込んでいるいい加減な、あるいは恣意的な悪意のある調査について鋭く突っ込んだ本。実際にマスコミでばらまかれた調査結果や分析を提示し、謎解きの仕方を示してくれる。俺の突っ込みなんかはまだまだ甘かったと思った。これを糧に精進してゆきたい。

 これは、定価で買ってもいいと思う。

 ところで、せっかくなので、俺からも出題したい。俺の身近なところで行われた調査とその結果についてだ。

  1. 舞台は、WANを使った電子掲示板を導入して数ヶ月後の某企業の総務部。総務部長に呼ばれたナニな中間管理職(以後ナニ)に、「今度導入した電子掲示板のコスト削減効果について調査せよ」との命令があった。上司の命令は、自分の部署の仕事をすべて棚上げにしても最優先することで有名なナニは調査を開始した。
  2. 対象は、電子掲示板を管理している他事業所の担当部署(3カ所)。本社との会議は本社でつかめるので、他事業所同士で行った遠隔会議の回数と参加者の記録を集めた。
  3. 利用者の評判をナニが聞き取り調査
  4. 上で集めた回数をもとに効果を測定し、「コスト削減効果があった」という報告書を作成。その根拠。
    • 電子会議の回数はXX回と活用されている。
    • コスト削減効果は「会議の回数×(参加人数の60%×一人当たりの出張に伴う費用)」。なお、参加人数の60%としたのは、通常の出張では同行しない人物の参加を求めることがあることを勘案したため。
    • 参加者の評判(好意的なものが多かった)

  • 報告書を受けた幹部会では何の異論もなく承認。
  •  さて、この調査(というのに値するのかどうかは置いておいて)に問題はあるか。あるとすれば何か。そして、そこから導かれた「コスト削減効果有り」という結論は正しいか正しくないか。コメントでもトラックバックでも書いてほしい。

     答えは、気が向いたらそのうちに。なお、俺の記憶の甘さのために抜け落ちていることも多いと思われることはあらかじめお断りしておく。

    すご腕アナリストの調査分析・・・

     日本の携帯電話メーカーの近未来戦略について、すご腕アナリスト(IDC Japan 株式会社)が分析している。

     しかし、調査というようなものはほとんど行わずに、すご腕な分析だけ行っている。とても香ばしいので、ぜひ読んでいただきたいが、無料だが登録が必要なページなので、流石の俺もたくさんの引用は憚られる。まあ、ヲタなみんなならとっくに登録してるよな。とりあえず、30000771/すご腕アナリスト市場予測/活路はどこに?「携帯市場」を斬る [キーマンズネット]

     国内市場は飽和状態にあり買換え需要も望めない。日本には10社ものベンダーがあり、市場の大きさから考えて過当競争状態にある。これからは3Gが主流となり研究開発費は高くなり、コスト上昇要因となるとともに、店頭価格上昇を招き結果として買換え需要の低下を招く。以上から日本のメーカーは海外市場を目指すしかないというのが結論だった。そして、海外市場で健闘しているサムスンを取り上げ、その要因として、以下の四つを挙げていた。

    [1] 欧州、米国、中国などの巨大市場での市場プレゼンスの向上
    [2]日本市場の最先端技術トレンドを研究・熟知し、ハイエンド端末の世界展開を早期に実行する
    [3]プラット・フォーム戦略による生産分野の効率化
    [4]同グループ内での厳しい競争原理を取り入れる

     流石は凄腕アナリスト。俺なんかの突っ込めることはほとんど無い。思いつた事といえば、

    1. 3Gが主流になってしまえば、2Gから3Gへの移行期よりは開発負担は減るのではないか。実際には、開発負担(費用)の総額はもっと大きいとこで決まっていて(企業の体力)、それをどこに振り分けるかでしかない。携帯電話だけを作っているメーカーはない。
    2. 世界戦略という意味なら、3G移行こそが世界戦略ではないのか。W-CDMAとCDMA2000に準拠した端末なら世界市場に対応が楽ということで、市場を大きくしスケールメリットを生み出せるといっていたはず。3Gが思ったほど普及していないのはキャリアの都合によるところが多い。
    3. 「プレゼンスの向上」って、どうやるの?それは、結果として現れたものじゃないの?
    4. 携帯電話は、キャリアのサービスと不可分な商品だ。電源対応とマニュアルの翻訳だけで世界中に売り込める家電品と同じようには売れない。
    5. サムスンがハイエンド端末で世界を席巻しているような印象を受けるが、それを証明するようなものは一切無い。まだ、世界では3Gサービスはほとんど認知されておらず、枯れた技術のGSM端末にカメラをつけたものを大量に売っているんじゃないのか?見本市で魅力的なデザインや機能の端末を出していることは認めるが(palmOSスマートフォンの実績もある。もっとも、京セラも海外では実績があるが)、それが全てではないだろう。
    6. グループ内での厳しい競争原理って・・・具体的になに?どうすりゃいいの?複数の開発陣を置いて競わせるの?ただでさえ、日本の標準の無いに等しい無線端末業界(PDC、W-CDMA、CDMA1x、PHS)ごとに製品を投入しているのに?さらに、開発リソースを分けろと?
    7. 店頭価格の上昇はキャリアのインセンティブ縮小が原因で、端末のコストとは因果関係は少ない。
    8. 後、上では言及しなかったが、1970年代の家電製品の輸出戦略の成功を製品の魅力と言う点で「成功例」としているが、為替とか物価水準、賃金水準を抜きにしても意味がない。技術以前の競争力があったことを忘れてはいけない。それと同じアドバンテージをサムスンが享受しているんだろう。

    娯楽・・・プロスポーツ考

    nikkansports.com :新潟にプロ野球チーム!08年加入目指す

     個人出資者の1人として球団経営にも参加するという池田氏は「同様の運営方式のサッカーでは年間1億以上の黒字を出している。野球も仕組みさえ作れば十分支えられる」と話した。平均4万人というJ1新潟での経験を応用する考えだ。野球とサッカーの競合を懸念する声には「新潟県民は約244万人。欧州には10万人規模の都市でサッカー、バスケットなど多くのプロチームを持つバルセロナなどの地域がある。新潟にも支えるだけの県民力がある」と話した。

     ライブドアや楽天よりは着実で方向性として正しいとは思う。一企業のエゴでルールが決められるような今のプロ野球ではスポーツの裾野を広げることは無理だろう。胡散臭い楽天やライブドアもこれまでに球団の無い地方をフランチャイズにしようという視点(最初は大阪とか神戸とか言っていたがな)は悪くない。

     しかし、疑問が残る:

    1. バルセロナなんかはその地方にしかファンのいないローカルチームではないだろう。バルセロナという都市ではなくバルセロナ地方全体が商圏だろう。新潟は都市としての規模は大きいかもしれないが、十分なバックボーンといえるかどうかわからない。
    2. 経営主体はどこなのか。知事や自治体の観光課では長期的な政策は打てない。責任の所在も不明確になって失敗例として、多くの第三セクター方式でやった開発事業の行き詰まりがある。
    3. 野球自体の魅力の低下。娯楽としてプロ野球しかなかった時代ではない。プロ野球を支えるファンの絶対数が減っていることを食い止めることは難しい。野球には、サッカーのような世界イベントがないのも痛い。オリンピックの野球がどんな寒いものかは、アテネオリンピックの球場の観客席を見れば分かる。
    4. 残念ながら、Jリーグもまだヨーロッパのクラブのようなバックボーンを持つに至っていない。バブリーな流行で一時的に盛り上がっているだけだ。地域に密着したクラブチームとしてのプロスポーツチームが日本社会に存在しうるのかどうかは分からない。ラグビーや都市対抗野球の定着

     日本のプロスポーツの退潮傾向の本当の原因はファンの変化だろう。これは、全ての娯楽産業にいえることかもしれない。全体のパイ自体が縮小傾向であるだけでなく、その振り分け方が変わったのかもしれない。

     相変わらず高い住居費用、のしかかる教育費・・・家計に占めるこれらの負担が娯楽への支出を大幅に減らしている。この割合が他の国と大幅に違う(中国や韓国はもっと激しいという情報もあるが、やっぱりそれらの国ではプロスポーツはあまり盛んではないだろう)のではないか。

     特に、一世代前に娯楽消費支出の柱だった成人男性の可処分所得が大幅に減少したのは大きいのではないだろうか。

     これらは、俺の少ない情報から類推しただけの妄想かもしれない。が、薄暗い古いスポーツバーやクラブでテレビ観戦して盛り上がっているイタリアやイギリスのプロスポーツファン(サッカー、ラグビー、ゴルフ、テニス、F1、自転車・・・)のオヤジさんを観ていてうらやましく思う。今、スポーツバーで日本代表を応援している金髪青年があと20年間も応援を続けていられるのかどうか・・・

     これについては、プロスポーツを支える娯楽支出という視点で別に書きたい。

    富士通デザイン部門が提案する未来って・・・

    大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」:富士通デザイン部門が提案する未来のPC

     「PCが生活のなかで利用されるようになり、生活空間に溶け込むようなものがものが求められている。デザインの観点から見れば、将来的には、PCと家具との境界線がなくなることも想定される」と上田部長は語る。今後のデザインにとって、家具との融合は大きなテーマといえるかもしれないといったことを感じさせる内容ともいえた。

     へえ、こんな生活空間になるんだ・・・30年後にはレトロフューチャーとして懐かしがられるかもしれないな。

     夢のコンセプトモデルに生活感を漂わされても困るが、中途半端なのだ。中途半端は富士通のキャラではあるが、もうちょっと何とかならんのかな。

     「早ければいまから3年後、あるいは2010年頃」というのであれば、もっと現実味のあるプランでなければならないだろうし、コンセプトモデルとしてデザイナーの創造性を羽ばたかせるなら、もっと夢のあるもので無ければ面白くない。

     俺が一番嫌いなのは、どのPCも今のキーボードに似せたものを使っていること。とくに、右のローテーブル型液晶デスク・PC。キーボードはタッチパネルなのに、わざわざキーボードのような枠線を描いた上にタッチパッドまで描いている。

     こんな、100年たったって誰も使わないような思い切ったものをデザインしながら、開けたら今のノートPCを模したインターフェースって、センスが悪いとしか思えない。

     リアルな生活人としての感覚からいえば、物置と化してしまうローテーブルの天板を立てるなんて考えられない。机の上に置いてある雑多なものを片付けてから液晶を開くのか?液晶でテレビを観たかったら開けっ放しになるだろ。だったら、最初から壁掛けのパネルと上に物を置いても大丈夫なテーブル型ユーザーインターフェースにすればいい。それも、アフォなJISキーボードを模した(しかもテンキーまで)絵を描くんじゃなく、液晶で仮想キーボードを描き、ある時はテレビ・ビデオリモコン。ある時はAV編集卓、ある時はキーボード(50音順とかM式とか自由に選べる)になるようなユーザーインターフェース卓のほうが面白いだろ。それから、こんなローテーブルなんて置く場所ない家のほうが3年後の日本には多いだろうから、家具調コタツ型を熱望ね。

     まあ、富士通の・・・・なデザイナーの思いつきに目くじらを立ててもしょうがない。彼らのセンスはDeskPowerとかビブロとかで十分堪能したからね。一番の問題は、下の写真にあると思う。彼らは3年後か2010年には日本は英語の国になっていると思っているらしい。

    OSX10.3.5 メンテナンス

     内容も確認せずにセキュリティアップデートを当てた。

     そして、先日からfirefoxとsafariの安定が悪く、今日はついにMailまでもが突然消滅を始めたので、OSXにしてから初めてのDiskFirstAidを実行した。CDを引っ張りだしてきてCDから起動ディスクユーティリティを実行した中に入っていた。

     そう、昔は小さな英語版起動用FDを作って、そこにDiskFirstAidだけ入れていたものだった。

     予想通りというのか、残念ながらというのか、異常が見つかった。1回の修復では正常にはならなかったが、2回目の修復でエラーは見つからなくなった。なぜか、しつこく繰り返すと正常になることがあるが、なぜそうなるのかは説明できない。iMacの中にいる小人が覚醒されるのかもしれない。なお、そうやって正常化したとレポートされたドライブが本当にオーライなのかは誰も分からない。単なる気休めにしかなっていないのかもしれない。

     とにかく、重要なデータはCDかサーバー退避しておくのが正解だが、システムやアプリケーション類も後でインストールしたようなものはバックアップしておかないと修復後苦労することになる。しかも、俺の場合はOS9のシステムもかなりインストールしてあるので、考えただけで憂鬱になる。

     しかし、堅牢と言われるOSX(BSD)もユーザーデスクトップとして使っているとファイルシステムが壊れることがあるんだ。まあ、OS9で起動したときに何かを破壊しているのかもしれないが…

    palmOSの新端末

    パームワン、携帯端末「Tungsten T5」を発表–不揮発性メモリを搭載 – CNET Japan

      PalmOneではこれらの製品を通して、縮小がすすむ携帯端末市場における、Hewlett-Packardをはじめとする企業各社に対するリードをさらに拡大したい考えだ。 PalmOneは台頭しつつあるスマートフォン業界においても、電話とスケジュール管理の機能をうまく組み合わせることでリーダーの地位に立っており、 Nokiaのようなライバルを引き離している。

     ライバルを引き離しているのか?palmOSのスマートフォンのシェアは20%くらいじゃなかったっけ。

    PalmOneの製品は売れている。同社は8月27日締めの前四半期に約98万1000台の携帯端末とスマートフォンを出荷した。内訳は、スマートフォンのTreo 600が27万3000台、携帯端末が70万8000台となっている。同社はこれで合計66万1000台のTreo 600を出荷したことになる。また携帯端末の市場平均販売価格は183ドルだった。

     これは面白い。Treoが気を吐いているといっても、PDAの半分以下の出荷数量なんだ。そして、PDA(TangstenとZire)の平均販売価格が183ドルしかなかったことは、PDAの売上の多くは、余り話題に上らないZireシリーズだということだろう。

    「不揮発性メモリの使用により、端末のバッテリが切れるとデータが消失するという、携帯端末につきものの問題が解決された。これはMicrosoftがまだ解決していない問題だ・・・これはとても実用的な機能で、主力ユーザーが利用できる機能だ。Wi-Fi接続のような目新しい機能が搭載されても、小さな画面では思ったようにウェブを閲覧できないことにユーザーは気付き、使われなくなるだろう」と、Burdenは述べた。

     電池が切れたらデータが消失するというのは、「携帯端末につきものの問題」ではなく、Plamデバイスの問題だろう。MS陣営(PocketPC、WinCE)が同なのかは知らないが、少なくともPowerZaurusは一切そんなことはなかった。

     しかし、この人Wi-Fiを思いっきり否定しているけど・・・確か、ラインナップにWi-Fi対応機種もあったような・・・まあ、これを機にWi-Fiとはおさらばするという考えかもしれないけど。

     ちなみに、俺はTreo650より
    QDA-700 Smartphoneにそそられる。treo650より小さそうだし、キーボード要らない派の俺にとっては憧れの端末だ。まっ、どんなに端末が魅力的でも日本語を使うのに独特のノウハウが要るのは無理。それ以前に、通信のできないスマートフォンなんてモックと一緒だし・・・欲しくないやい。グッスン・・・

    8輪電気自動車

     Elicaという8輪駆動の電気自動車の番組を観た(放映は日曜か土曜だった)。

     そこでは、走行性能を中心に最高速や加速性能を追求していた。最高速は380km/hをマークし、加速度の比較としてポルシェと競っていた。しかし、相手のポルシェは市販のナンバーつき公道仕様だった。

     電池だけで5000万円もかかっている、プロトタイプと一般公道車を比較してもねえ。ドラッグレーサーと比較しろとは言わないが、C1カー、無理でもプロトタイプクラスのラリー車くらいは持ってきてもらわないと比較できない。プロトタイプカーは一般車両より加速が上回っているということにしかならない。

     別の視点で、これからの電気自動車に求められるのは、最高速や加速性能ではないだろう。そんなことは百も承知で勧めているプロジェクトだろう。電気自動車の可能性を切り拓くための先鋒を担っているがために、敢えてこれまでガソリン車にかなわないといわれていた最高速や加速性能の向上に望んだのだろう。

     だからこそ比較対照にはプロトタイプカーを持ってくるべきだった。例え負けてもいい。ここまでいけるんだというところを見せて欲しかった。

    デジタルアーカイブと著作権

     asahi.com : ネット最前線に、著作権についての、面白いインタビュー記事があった。

    ● 「インターネット・アーカイブ」代表、ブルースター・ケイル氏に聞く  
    # 上:人類のすべての知識をオンラインに (2004/09/22)
    # 中:低コストのスパコンでデータ保存 (2004/09/23)
    # 下:「長すぎる著作権保護の被害者は、我々の子どもたちだ」 (2004/09/24)
    ●ロング・ナウ協会代表、スチュアート・ブランド氏に聞く  
    # 上:「『時計』は、新たな1万年を考えるためのツールだ」 (2004/07/24)
    # 中:「我々は10年前の情報すら引き継げない」 (2004/07/25)
    # 下:「情報は、なお自由を求めている」 (2004/07/26)
    ●「FREE CULTURE」を出版したレッシグ教授に聞く  
    # 上:「出来損ない」の著作権保護が創造性をダメにする (2004/05/12)
    # 下:新たなライセンスの仕組みを作る (2004/05/12)

     インタビューの中身は興味深くいい特集だと思う。納得することも多い。しかし、これが著作権意識の強く閉鎖的な旧メディアのサイトに載っているところが皮肉だが。

     電子図書館のイメージを唱えたヴァネヴァー・ブッシュやテッド・ネルソンによって、理論的には実現可能なこともわかっていた

     もうひとつは1995年に、(米ディジタル・イクイップメント〈DEC〉が開発した)大規模なウェブの情報収集能力をもつ検索エンジン『アルタビスタ』を目にしたことだ。

     私のイメージは、紀元前3世紀の世界最大の図書館『アレキサンドリア図書館』だ。世界中のすべての本を収集しようとしていたわけだ。ただ、この図書館にもできなかったことがある。アクセスの問題だ。利用者は、ともあれアレキサンドリアに行かなければならない。だが、我々はアレキサンドリア図書館の理念に通じる取り組みが可能になった。しかも今度は、すべての情報を、すべての人がアクセス可能な形で提供できる。インターネットを使ってね。すばらしい目標じゃないか」

    「カネを生むコンテンツはきちんと保護しよう。カネを生まないコンテンツは? 手放してパブリック・ドメインにすればいいじゃないか。そうなれば、だれかがはそのコンテンツを有効に利用する方法を考え出す。」

     特に、これには強く同意する。すぐに廃盤や絶版にしておきながら、二次使用を認めないのは納得がいかない。売ってないものの売上が下がるなんてありえないのだ。しかも、その作品の作者にとっても不幸なことだ。公開されれば誰かの目に止まるかもしれないのに、流通業のために公開を差し止められている名作があるかもしれない。

     それはともかく、デジタルアーカイブについては色々と考えさせられる。今、デジタルアーカイブ化しようとする動きがある。NHKはデジタルハイビジョンで行おうと文化財の取材を続けているらしい。

     しかし、本当の意味でのアーカイブを作るのなら、フォーマットは閉じたものではダメだろう。NHKのデジタルハイビジョンがどのような規格なのか、.docなのかtextなのか。大金をはたいて作ったアーカイブが、一部の機材を保管しているところでしか閲覧できないようなものになるのでは意味がない。

     また、技術的限界というのもある。RD-X4を買ってから、急いで観なくてもよいような映画はDVDに保管している。しかし、一般家庭に配信されている電波放送を録画したところで、マスターDVDのような画質は望めない。アナログビデオの標準録画よりはマシという程度だ。これも、新しい規格の放送・録画機材が普及すれば駆逐されてしまうだろう。今、ビデオテープが邪魔なゴミでしかなくなっているのと一緒だ。

     これは民生レベルだが、デジタルアーカイブもそれと同じことが言えるのではないか。しょせん、今の放送レベルの採算性と帯域を満足させるための技術でしかないだろう。将来的に通信手段が高速化されて圧縮しなくてもよくなれば非圧縮の高画質が標準になるだろう。そのときに、今アーカイブしたものでは物足りなくて再度データを作り直さなければならないのではないか。だったら、デジタル化するより、原本の保管に金をかけたほうがいいのかもしれない。高松塚の二の舞は慎まなければならない・・・

     名画の補修とか再生とかいうプロジェクトが世界中であって、「作成当時の輝きを取り戻した」りしている。そして、「XXX年前の修復時にこんな乱暴な方法がとられていたためにこんな状態になっている」というコメントを良く聞く。しかし、500年後に「2004年に行われた修復で使われた薬品のために・・・」と言われるのではないか。

     ところで、このエントリは朝日新聞の引用ガイドラインに沿っているのだろうか。まあ、連絡はしないがな。