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2011-4Q のタブレット結果報告あるいは iPadの最大のライバルとは
やっと2011年年末タブレット商戦の総括記事が出た。前に書いたエントリで予想したものとほぼ同じ結果だったようだ。ただ、Android はもっと多く売れたとの情報が多かったが、実際には初期の予想通り 4百万台程度だったようだ。
Android と B&N の躍進が目覚しい。Appleを始めとする情報端末系タブレットは市場の成長率を上回れなかったが、この2社だけが上回っている(B&Nは去年の数字が小さかったので率的に有利だったかもしれないが)。
4位までが売上を伸ばしたが、5位のASUSは既に売上を前年同期より減らしている。その他に含まれるメーカーの数は去年より増えているはずなのに出荷数量はほとんど増えておらずシェアは大幅ダウンだ。この中には Lenovo も含まれているはずなのにこの数字だ。日本のメーカーは前年同期のシェアがほぼゼロだったので前年同期比較で出荷数が減ったりシェアが落ちることもないだろうが、販売時の予想をはるかに下回るどころが出荷台数は数十万程度の水準だったのだろう。そういえば、NECの社長が新しい Gingerbread 搭載端末を 2012 年に 100 万台という強気な発言していたが、無理でしょ。
iPad の出荷数について、iPhone 4S の購入者がそれ以上の消費を控えたというのはもっともに聞こえるが、違うと思う。なぜなら、iPhone 4S を現金で買っている人は殆どいないからだ。殆どの人が前から携帯電話を使っていただろう。回線料金は変わらないし、そこに加算する一時費用は大きくないはずだ。前の端末の月額使用料に端末の割賦金が入っていないとしたら月額の支払いが端末の割賦金分増えるだろうが、大きくはない(SBMなら4GBで840円)。だから、iPhone 4S を買った人が、iPad 2 を買うことにためらう必要はない(これには、日本でやっているキャンペーンは勘案しない。それを勘案すれば、iPhone 4S を買った人に iPad 2 購入への強い誘引になる)。iPad 2 は10インチで高価なタブレットの市場規模をほぼ忠実に反映しているのではないか。
やはり、iPad の最大のライバルは Kindle fire だろう。価格とかハードの問題ではない。タブレットで重要なものはタブレット自身のOSやハードウェアではない。タブレットを通じて得られるネットサービスやアプリのユーザエクスペリエンスだ。この点で、コンテンツ販売業者が唯一 Apple に対抗できるということだ。携帯電話のキャリアがただのパケットの土管になったのと同様に、タブレットも近いうちにコンテンツを入手するための窓口でしかなくなる。
ハードを作っているだけの会社は経済原則に従う。おさらいする必要はないだろう。PC市場で起こっていることと同じことが起こるということだ。
こうやって考えるとMSがwindows8でタブレットに再挑戦しようとすることに意味があるのかどうか疑問になる。Windows 8 が成功しようが失敗しようが、端末は流れてきたパケットを再生するだけのダム端末化する。同じサービスはOSを問わず受けられるようになるだろう(ユーザーとしてはそうなってほしい)。「仲介する土管(キャリア、端末)なんかどこのメーカーでもいいから安ければ安いほどいい」となるのも時間の問題だ。
iPadの最大のライバルはiPhone?――iSuppliの世界タブレット市場調査 – ITmedia エンタープライズ.Appleは同四半期中、iPadおよびiPad 2を前年同期比111%増、前期比で39%増の1540万台出荷したが、タブレット市場のシェアは前期の64%から57%に縮小した。iSuppliは、シェア縮小の主な原因は、Amazon.comの「Kindle Fire」よりもむしろ、10月に発売されたAppleのスマートフォン「iPhone 4S」だとしている。Apple製品を愛好する消費者が、限られた予算をiPadよりも待望のiPhone 4Sに投じたためという。
昨年11月に発売されたKindle Fireの出荷台数は390万台で、14.3%のシェアを獲得した。同端末は特に米国で好調だった。米国は、世界タブレット市場の過半を占めるという。
2011年通年のタブレット出荷台数は6520万台。首位は前年比168%増の4050万台を出荷したApple(シェアは62%)で、2位はGALAXYシリーズのタブレットを610万台出荷した韓国のSamsung Electronics(シェアは9.4%)。Amazonのシェアは6%で3位だった。
で、どうなん? タブレット商戦
2011/10~12 期のタブレット市場についての記事を拾ってみた。
- Amazonタブレット、発売3カ月で他Androidを圧倒 « WIRED.jp 世界最強の「テクノ」ジャーナリズム
- Androidタブレット利用シェアでKindle FireがGALAXY Tabと互角に――Flurry調べ – ITmedia ニュース
- Android Reaches 39% Tablet OS Market Share (Standing On Amazon’s Shoulders) – TechCrunch
- グラフで見るiPhoneとiPadの異常な売れ行き:最後の疑問文「タブレットの売上がスマートフォンに追いつくか」への答えは簡単。「追いつかない」。タブレットを必要としない人がかなりの数いる。
Amazon が数字を発表しないから正確なシェアは分からないのが残念だが、これらの記事を総括すると以下のようになるだろう。7インチは Kindle fire が制し、10インチは iPad が制するという予想は当たった。
- Android は Kindle fire が制した。
- 市場の成長率を上回れなかった iPad はシェアを落としたものの絶対量は記録的な売り上げを記録した。
- 売上金額ベースで見るとこの iPad のシェアは更に大きくなり、利益になるとほとんどが iPad になる。
- Google としては、Android OS のシェアの上昇は喜ばしいが、Google がコントロールできない Kindle fire によって Android 市場が伸びるという、痛し痒しな結果となった。
- ソニーは価格改定で1万円値下げしなければならなくなった。
2012/1~3 四半期は、年末商戦による需要一巡、iPad は 3 待ちの需要低下と供給調整、Android メーカー(除く Amazon)の在庫整理のための投げ売りによって、その他メーカーが一時的に盛り返すかもしれない。が、iPad 3 の発売時期と供給によって覆されるかもしれない。
8インチの iPad に未来はあるのか?
調査によると、話題に乗り遅れたら読む価値がなくなるらしいので、急いでエントリwww <元々ないやん!
7インチはA4をpdf化したものを表示するには小さすぎることは経験上分かった。また、Xoom のようなワイド画面は10インチあっても短辺が短いため、A4 書類を表示するときに 9.7 インチの iPad より小さくしか表示できない。また、アプベクト比が紙と違うので左右が欠けるか上下が余るかしてしまう。
この点で、8インチはどうだろう。軽くなっても書類が見辛くなるのでは持つ意味がない。A4という業務上のフォーマットを快適に表示できないのであれば中華タブのほうがコストパフォーマンスが高い。また、8インチというプラットフォームを増やすことで10インチに最適化されたiPadアプリを使うことに支障をきたすのではないだろうか。
業務上の使用を前提に考えたが、kidle fire に対抗するためのブックリーダーとしてだと評価は変わるかもしれない(それは電子ブックの流通が存在するアメリカ市場だけであって、日本では何のメリットもないが)。8インチ化することで液晶の電池消費の現象が電池の容量低下を上回れば電池の持ちは良くなるし、軽くもなるだろう(400g程度まで行ければ素晴らしい)。機能的には最低でも現状の iPad 2 と同程度はあるだろうし。
また、個人的には8インチの読書端末は大きすぎるのではないだろうか。iPad 2 を100g軽くすることは技術的には大きいかもしれないが、手で持ったまま1時間近く立っているのには辛い。電車で読書するときには文庫本の大きさがベストだろう。クパチーノに住んでいる開発者や Apple の経営陣には到底理解出来ないだろうが・・・
同時に、Android のタブレットのような混乱を来たすと困るので、iOS デバイスの物理的な大きさ(解像度ではない)はスマートフォンとタブレットの2種類に固定して欲しい。iPhone も今以上に大きくすることにメリットはないと思う(個人的には今のものでも大きすぎるが、世界的には自分の手のサイズがイレギュラーなので諦めるしか無いだろう)。
アップルと部品業者、8インチ程度の画面のタブレットをテスト=関係筋 – WSJ日本版 – jp.WSJ.com.
【台北】米アップルはアジアの部品供給業者と、現行のタブレット型コンピューターよりも小型の画面を搭載した新たなデバイスのテストに取り組んでいる。関係筋が明らかにした。
競争が激化するなか、アップルは製品パイプラインを拡大し、支配的な市場シェアの維持を狙っている。
部品メーカーの関係者によると、アップルは8インチ程度の画面を搭載した新たなデバイスの画面設計を各社に提示しており、納入元を絞り込む作業を行っている。現在の最新タブレット「iPad 2(アイパッド2)」の画面は9.7インチ。
ある関係者によると、新型タブレットの画面解像度はアイパッド2と同じ。アップルは台湾の友達光電(AUO)や韓国のLGディスプレイなどの企業にテスト画面を納入させている。
アップルは常時、新たな設計を部品業者とテストしている。このデバイスについても商品化しないという選択をする可能性がある。アップル本社の広報担当者はコメントを拒否した。
関係筋によると、アップルは3月初めにアイパッドの新製品を発表する準備をしている。画面解像度はアイパッド2より高いが、画面サイズは変わらないとみられている。
画面のより小さいタブレットを販売することでアップルの製品群は充実する。また、韓国のサムスン電子や米アマゾン・ドット・コムなどのライバル企業との競争の手助けにもなる。
市場調査会社IDCによると、2011年第3四半期の世界のタブレット出荷にアイパッドが占めた割合は61.5%。前期の68.3%から低下した。
サムスンは7インチ、8.9インチ、10.1インチの3種類の画面のタブレットを販売している。また、アマゾンの7インチ画面のタブレット「キンドル・ファイア」の価格は199ドルと、アイパッドの最低価格499ドルを大きく下回る。
関係筋によると、アップルはタブレットについて異なる設計を長期間検討してきた。一方、同社は現行のサイズに固執する姿勢をみせている。
アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏は2010年、小型のタブレットを批判し、アイパッドの9.7インチ画面は「素晴らしいタブレット・アプリケーションを制作する上で、最小限のサイズだ」と語った。
だったら iOS だって・・・新MacBook Airでタッチ画面が断念された理由
ここまで分かっているなら、なぜキーボードを繋いだときにスクリーンをタッチしなければならない UI のままにしているのか。ホーム画面の操作をキーボードで出来るようにしなければ、アプリを切り替えるたびにキーボードから手を離して画面にタッチしなければならない。
キーボードによってはホームボタンがあるものもあるが、ホーム画面に戻れても、他のアプリを起動したりページを送ったりするたびにスクリーンにタッチしなければならないのでは効果は限られる。iPad をスタンドに立ててキーボードで入力することはノートパソコンを使うときと同じ状態だ。そして、この使い方はappleも推奨するものだ。にもかかわらず、自らが否定した使い方を強いているのか。
ホーム画面で矢印キーでアイコンを選んでenterで起動。モディファイキー+矢印でホーム画面移動。起動履歴を表示状態で左右の矢印でアプリ選択。入力画面では tabキーでターゲットオブジェクト移動。これだけできればかなりスクリーンタッチの回数は減らせるはずだ。
新MacBook Airでタッチ画面が断念された理由 « WIRED.jp Archives.
米Apple社の新しい『MacBook Air』は、インスタント・オンなどiPadの機能をたくさん移入しているが、タッチスクリーンは例外だ(トラックパッド上での機能にしている)。同社はノートパソコン上でタッチスクリーンを利用する件について大量のテストを行なったが、断念したと述べている。しかしこれは、30年も前から指摘されている「ゴリラ腕」と同じ問題だ。
Jobs CEOはメディア各社を招いた発表イベントで、何度もテストを行なったが、垂直するスクリーンに対してタッチ利用を長い間続けると腕が疲れてくることがわかったと説明した。
「ゴリラ腕」とは、タッチ・インターフェースの長時間利用で生じる症状を説明するために、エンジニアによって約30年前に生み出された用語だ。手根管症候群のタッチスクリーン版と言える。『ハッカーズ大辞典』[邦訳アスキー刊]によると、「腕がヒリヒリして痙攣し、まるで大きくなってきているように感じ始める――タッチスクリーンの利用を続けると、操作者は次第にゴリラのような姿勢になり、ゴリラのような感覚に見舞われる」のだという。
同辞書によれば、この現象は非常に有名になったので、タッチスクリーン以外にも使われる言葉になったという。「ゴリラ腕を思い出せ」は、「現実に利用された時はどうなのか」という意味だ。UI研究やエルゴノミクスの文献では、「ゴリラ腕効果」や「ゴリラ腕症候群」という言葉が頻繁に出てくる。
さらに、画面が垂直であろうとなかろうと、問題になってくる点がある。『MacBook Air』のように軽いノートパソコンは特にそうなのだが、画面をずっと触ったり押したりするとひっくり返りそうになるという問題だ。少なくともぐらつきはある。カメラやカメラ付き携帯電話にあるタッチスクリーンのボタンを筆者が好まないのは、このことが理由の1つだ。しっかり握れていないと、わずかな揺れで不運にも写真が駄目になることがある。
タッチスクリーンを長時間利用できるのは、タブレット、スマートフォン、および一部の電子リーダーだ。これは、スクリーンを両手でしっかり握ることが可能なことと、水平、垂直、斜めと必要に応じて傾きを変えられることが理由だ。
また、タブレットやスマートフォンでは、入力する面とタッチする面が、ほとんどの場合は同じ平面上にある。水平面での入力と垂直面でのマルチタッチを行き来するのは、すべてを垂直なスクリーンで行なうのと同じくらいやりづらいのではないだろうか。[ほかに、小さなタッチスクリーンであれば、手首と指しか使わないが、大きな画面の場合は肩やひじ、腕全体を使うという問題も指摘されている]
そらそうでしょ。「iPadを持つIT部門ビジネスマンの約9割が『仕事で使う』」
母集団が母集団だから当然だろう。1/4 もの人間が会社から支給された iPad を使っている。会社から支給されたのなら満足度も高くなるだろう(コストを払っていないんだから評価は甘くなって当たり前だ)。それに、会社から支給された人間が業務上で使うのは当然。「世界のビジネスマンは90%もが業務上で iPad を使ってる」なんて思ってもらっては困る。IDG は日本で胡散臭い日経新聞臭「調査結果」をネタにすることが多いが、これもその一つでしかない。
「次は別のタブレットを購入するかという質問にイエスと答えたのはわずか17%だった。」というのも、アプリなどの環境構築することを考えたら他の OS に移行が面倒なのは PC と一緒だから低くて当たり前。これは、windows が未だに圧倒的なシェアを持っているのと同じ理由だ。積極的に iPad を使いたがっているかどうかは分からない。
ただし、新聞や書籍といったコンテンツの購入が減ったというのは日本ではあまり考えられない。タブレットで読むことが紙の代替になるかならないか以前に、コンテンツが存在しないから。
iPadを持つIT部門ビジネスマンの約9割が「仕事で使う」――IDG調べ – ITmedia ニュース
米調査会社が1月16日(現地時間)に発表した調査報告書によると、iPadを持つIT部門所属のビジネスマンの51%が「常に」、40%が「時々」iPadを仕事で使うという。
「iPad for Business Survey 2012」と題された16ページにわたるPDF文書でIDGは、世界におけるiPadのビジネス利用についての調査結果を報告している。
地域別、iPadの仕事利用状況。ビルは仕事でiPadを使っているビジネスマンの割合、円は仕事上のコミュニケーションにiPadを使っているビジネスマンの割合、四角は勤め先から端末を供給されている割合を示す(資料:IDG)
iPadはPCやスマートフォンの代用になるかという質問では、ノートPCの代わりになるという回答が最も多く、16%が完全に、54%が部分的に代用できると答えた。回答者の4分の3がiPadを利用するようになってからノートPCを持ち歩くことが減ったという。
また、iPadを使うようになってから、紙の書籍、新聞、音楽メディアの購入が減ったかどうかという質問では、書籍が減ったのは70%、新聞は72%、音楽メディアは49%だった。アジアでは新聞購入が減ったという回答が90%に上った。