電子書籍調査定点観測をウォッチする夜

 興味深い調査だ。調査自体は安直なネットアンケートでしかないが(金を払えば見せてくれるのかもしれないが)、同じ調査項目を定期的に行っていることは評価できる。

 「電子書籍経験者」と「電子書籍非経験者の内読みたい意向のある人」を「読みたい」としているのは乱暴だ。これでは「電子書籍を読んだことはあるが今後読みたいとは思わない」人を「読みたい」にカウントしてしまう。「今後電子書籍を読みたい」と感じている人はもっと少ないかもしれない。

 調査方法に問題があるのかサンプリングに問題があるのかわからないが「電子書籍を読んだことがある」という人数が誤差と思えないくらい減っているのは謎。「読んだことがある」という人は一度でも読んだらそのまま一生「読んだことがある」はずなので、基本的に減るはずがない性格の設問だ。一回目の調査がおかしかったのかもしれない。

 後、基本的な調査結果の記事として誤差を示さないのは問題がある。また、サンプル数が少ない電子書籍端末保有者の調査は母数が20程度しかないので小数点以下のパーセントで表記するのはほとんど意味が無い。一人の違いで5%動くようなものはパーセント表記すべきではない。数字にすればもっとはっきり分かるはずだ。一向に増えない利用者と利用希望者―定期調査「電子書籍」(9)にあるグラフと印象を比較して欲しい。

電子書籍端末調査結果

 注意すべきはこの調査がインターネットのアンケートサイトで行われているということだ。答えている母集団は少なくともインターネットにアクセスしてアンケートサイトに答えるだけのリテラシーは持っているということだ。どちらかというと電子書籍に馴染みやすい層だと思われる。にも関わらずこの結果ということは、日本で電子書籍が普及するのは相当先のことになりそうだ。

Kindle Fire HDX のオンラインサポートは画期的?

kindle-mayday  下の記事では、簡単に押せるボタンによりいたずらや、悪意はなくても手離れの悪いユーザの対応でサポートコストが大きく増えるのではと危惧している(あるいは、ユーザーサポートが相対的に不足して待ち時間が大幅に増えて Amazon のファンを失うことになることを)。

Apple の電話サポートが購入後 90 日しかないのと比較すると天と地ほどの差だ。先日 Amazon でコンビニ受け取りのメールをスパムとして削除してしまった時にチャットで再送してもらって助かった。リアルタイムチャットで10分近くかかった。こんなことは、これまでの購入経験で初めてだし、今後もあまりないとは思うが、この一件だけ考えれば赤字だ(2,000円程度の商品でサポートは15分程度かかった)。

 しかし、Amazon は、自分の例でも分かるように、現状でもサポートを保有している。サポートのキャパシティの増加と Kindle Fire HDX による売上の増加とのバランスが取れていれば問題はない。Amazon の経営陣は問題なしと考えたのだ。

 Kindle Fire HDX は Amazon のアカウントと深く結びついている。クレジットカード番号も分かっているし、少なくとも端末を買ったアカウントは掴んでいる。発送先の住所も持っている。品物を受け取るのに使っている住所だから免許証や住民票の住所よりはるかに信頼性が高い。これらを晒している相手に猥褻画像を送りつけるアホは多くないだろう。言葉は当然録音されている。こちらの姿は相手に送らないと言っているが、トラブル時に遠隔操作でフロントカメラの操作ができないとは思わない。

 また、従来のサポートの経験から、統計的にユーザーサポートにどの程度のリソースが必要かは掴んでいるのだろう。手離れの悪い(悪意のない)ユーザにサポートがどの程度拘束されているかは、これまでの Kindl シリーズでよく分かっている。そのうえで、HDX の画面共有やリアルタイム音声チャットのほうが効率がいいと踏んだのだろう。

 先日、親のPCのセットアップをした。その後電話があって(片道2時間くらい離れている)、「パソコンを移動したら壊れて立ち上がらん」と言ってきた。ケーブルの接続ミスだと思って見なおすように言っても直らない。本体の電源LEDが光っていることが分かった時に、ふと「じゃ、モニタは?」と気づいた。モニタの電源を入れてなかったのだ(デスクトップ機)。パソコンが起動していないのではなく持ちたの電源が入っていなくて表示されていなかっただけだ。しかし、モニタに何も映らなかったらパソコンが壊れたという説明をするのがサポートを必要とする人たちだ。

 これらを考えると、電話で拘束されるより端末経由のほうが拘束される時間が短ければメリットはあると思われる。実際、デバイスのサポートで一番時間を取られるのが端末の状態を把握することだからだ。端末の電源が入らないとかネットに繋がらないという質問は Mayday では存在しない。端末の電源が入ってネットワークにつながっているから Mayday のサポートが受けられるのだから。そして、その状態でリモートで状態が分かれば従来より拘束時間は短くなると予想したのだろう。

 ただ、これを真似られる企業はほとんどないだろう。ハードと通販を一社で持っているからこそできる技だ。

メーデー!メーデー!Amazonのオンデマンドサポートはスケーリングの悪夢を呼ぶかもしれない | TechCrunch Japan

問題をGoogleするよりテクニカルサポートに電話した方が簡単だと何が起きるか? Amazonは、新しいタブレットKindle Fire HDXの持ち主が、同社のオンテマンド・ビデオ・カスタマーサポート機能をどれだけ使うかによっては、その答えが高価なものになることを発見するかもしれない。Amazon自身がどう行動するかによっても。

Mayday は、Kindle HDXのクイック設定メニューのトップにあるボタンだ。24時間年中無休で、サポート・エージェントが映しだされた小さなビデオウィンドウがポップアップする。相手からこちらは見えないが、声を聞き、しゃべりかけ、画面に描いて指示することもできる。画面を制御して助けてくれることさえ可能だ。
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Amazon Kindle Fire HDX 7/Kindle Fire HDX 8.9を発表

130925kindlehdx1 そろそろ来ると思われていたが、予想通り Amazon が Kindle Fire をリニューアルした。内容は要素技術の世代交代のみの正常進化型。どちらのサイズも 2013 年 9 月の標準的なタブレットに追いついたといえる。

 注目すべきはその価格だ。7 インチ 16GB で $229。8.9 インチの 16GB $379 というのはほぼ NEXUS シリーズと同水準だ。PC のように金太郎飴のような端末が並ぶのだろう。

 気になるのは日本市場での価格だ。NEXUS 7 はアメリカ国内価格が $238 に対して 27,800 円という価格をつけてきた。為替レートを考えると割高な感じがして、ほとんど話題になっていない。Amazon がこれを見てどう判断するか。利益率を下げてまで日本市場でシェアを取ろうと思っていない可能性も有るが。日本モデルの価格と売れ行きを生ぬるく見守りたい。

アマゾン、超スペックのKindle Fire HDX 7/Kindle Fire HDX 8.9を発表 : ギズモード・ジャパン
あまりに高スペックなタブレット端末。

アマゾンは新型タブレット端末「Kindle Fire HDX 7」「Kindle Fire HDX 8.9」を発表しました!

このHDXシリーズの特徴は、その素晴らしいスペックです。まずディスプレイ解像度を見ると、Kindle Fire HDX 7は7インチ・1920×1200ドット、Kindle Fire HDX 8.9は8.9インチ・2560×1600ドットディスプレイを搭載しています。
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本:ペンギン・ハイウェイ 森見登美彦

2013-09-09T22-27-07_0 初めて読んだ森見登美彦作品。ひいきびいきでオススメSF作品として紹介されたのを聴いて買ってみた。

 第31回(2010年)日本SF大賞受賞とやらを受賞した作品ということで、どんな奇想天外なハイテク機器が操るペンギンが出てくるのかとおもったが全然違っていた。SF好きな人達が大賞に選ぶくらいなのでこれがSF作品という認識が主流なのかもしれないが、自分の考えているSFではなかった。これがSFならファンタジーや妖怪が出るようなものは全てSFになってしまうのではないだろうか。

 だからといって作品が面白くなかったわけではない。

 主人公は小学生だがヒロインが巨乳の歯科衛生士さんだったり、ガールフレンド(と呼べるのか)は冷静で強い女子だったり、森見登美彦の世界観は息づいている。これも Kindle 版があるのでペンギン・ハイウェイ (角川文庫)Kindle 版からどうぞ。

 ※kindle 版をすすめるのは現時点で一番安いから。他のサービスでも同額のものはあるが下回るものはない。残念ながら iTunes store は一番高価なのでおすすめできない。

正常進化型:アマゾン Kindle Fire HD の新型は2560×1600画面でSnapdragon 800採用?

kindlefirehd 次のカードは Amazon が切るのか。NEXUS 7 2013 の登場を待っている間に情報をリークすることで思いとどまらせようという作戦だろうか。

 しかし、スマートフォンに続いて、タブレットも要素技術のアップデートくらいしか無くなってきたようだ。液晶、CPU、電池の持ち、重量、カメラの画質といった基本性能はどのタブレットでも大差がなくなってきた。このスペックを聞いても特に驚きも期待もない。価格次第で Android のシェアの一角を占められるかどうかだ(日本メーカーの数倍は売れるのだろうが)。

 それより、Jelly Bean と同じアプリが全て使えるようになるのかどうかがヲタにとっては気になるところだが、Kindle Fire HD の OS が何なのか気にしないようなユーザには関係ないのかもしれない。

アマゾン Kindle Fire HD の新型は2560×1600画面でSnapdragon 800採用?ベンチマークサイトに登場 – Engadget Japanese

時期的にはありそうなのにあまり情報が出てこないアマゾン Kindle Fire HD 新モデル(仮) の話題。Android用ベンチマークアプリ GFXBench の結果集計ページから、メーカー名 Amazonの未確認タブレットとおぼしき ” apollo KFAPWA ” が見つかっています。

システム。情報によると、画面解像度は 2560 x 1600、GPU は Qualcomm Adreno 330。このGPUコアを搭載した既知のプロセッサには、各社の最新スマートフォンやタブレットが採用する Snapdragon 800 があります。ほか Android バージョンは4.2.2、最高CPUクロックは 2150MHz など。

現行の Kindle Fire HD には7インチ版と8.9インチ版がありますが、このベンチマーク結果が実際に開発中の新 Kindle Fire HD だったとして、画面が何インチになるかは分かりません。(7インチ2560 x 1600よりは、8.9インチのほうが想像しやすくはありますが)。

新 Kindle Fire HD については、年に一度のリフレッシュならば時期的に妥当な Snapdragon 800だろう、本体はいまのあか抜けない感じから大きく改善されてスリムに軽くなるらしい、といったうわさがしばらく前から出回っています。

また最近は各社の未発表端末が「ベンチマーク漏れ」したのちに本物だと発覚する例が相次いでいるものの、原理的にはベンチマークアプリか集計サーバを騙せば登録できる以上、特定のエントリーが見つかったからといってすなわち信用できるものではありません。

とはいえ現行の Kindle Fire HD 発表は昨年9月だったため、時期的にはそろそろ新モデルの具体的な情報が増えてきてもおかしくはないころです。

むしろ遅かった。>新iPad発表は「早すぎる」か

新iPad発表は「早すぎる」か « WIRED.jp
「アップルは製品リリースのサイクルを短くしているように見える。その結果、競合各社がアップルに追いつくことがより難しくなってきている」と、フォレスターのアナリスト、サラ・ロットマン=エプスはWIREDに述べた。

アップルに合わせて、アマゾンやサムスンといった競合各社も製品サイクルを速めなければならない。しかし、アップルは製造のあらゆる側面を非常に厳格に管理していることで有名であり(日本語版記事)、製品開発サイクルは全般的に競合他社よりはるかにスピーディーだ。アップルは、それを最大限に利用し始めたわけだ。

これについては、Wiredの記事にも言及されているが、「【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】 iPad miniと第4世代iPad発表の裏に隠された半導体プロセスの移行」に書かれている、Samsung の 32nm A6 開発スケジュールが要因だろう。ただ、これはこの時期に iPad 4 を出した説明でしかない。3月に中途半端な iPad 3 を出したのは毎年春に出していたからだけではないだろう。

Wiredに書かれているほど Apple はタブレット市場を甘くは見ていないのだろう。A6 32nmを待つことができなかったのだ。Kindle fire や Amazon の ICS の完成度の高さは Apple に iPad のリニューアルを急がせたにちがいない。A6x + Retina で Android の出鼻を完全に叩きたかったのに、A6 の生産の遅れから実現されなかった本来なら、iPad 4 は 2012/3 に発売されるべき端末だったのではないか。

Wired の記者(投稿ライター?)は Kindle fire がいつ発売された製品かわすれたのか?去年の今頃は噂しかなかったのだ。それが、初代Kindle fire を発売し半年程度で Kindle fire HD と一気に競争力をあげてきた。windows8 の動向も気になっているはずだ。

どこのメーカーも熟睡しているひまなどない。それが今のタブレット市場のプレーヤーの姿だ。

はい、終了! ついに黒船来航!Amazon.co.jpからKindle

日本メーカーのタブレット担当者にとっては安らかに眠れない日が続きそうだ。

Microsoft が自社ブランドで Windows8 タブレットを出すかと思えば、Google が 7 インチタブレットの標準的なコストパフォーマンスを大幅に上げる端末が発表され、普通の情報収集能力を持ったユーザは買い控えるか、iPad、廉価タブレットを買う状況となった。

そこに、発売後2ヶ月で年末商戦の台風の目となりAndroid市場のメジャーになった、Androidの異端児 kingle fire がやってくる。Amazon という日本メーカーが(というより、Apple以外の端末メーカーが持っていない)エコシステムを従えてだ。

iPad 2012 が発表された時に、「新モデルを出すたびに、革新的な何かを消費者に提示してきたアップルの勝ちパターンが、今回の新型iPadで崩れた」とか言っていた日本の大手電機メーカーの端末開発者のいる会社が、iPad 2、iPad 2012、Surface、NEXUS7、kindle fire のどれかに対等に戦えるマシンを出したのか聞いてみたい。後、先日すでに終わっている端末を発表した時に「iPadに十分対抗できる製品になった」と語った西大和男パーソナルソリューション事業本部長にもね。

2012年のタブレット市場が熾烈を極めることは素人の自分でもわかった。ここには何度も書いた。そして、日本メーカーが出す端末が全て発売前から終わっていることも書いた。実際に起こったことは、自分の予想を上回ることが多い。つまり、自分でも予想できた、日本メーカーが勝ち目がないくらい厳しい市場をさらに上回る厳しい状態になったということだ。

まあ、こういう業界を外から眺めているだけのウォッチャーにとっては面白い。kindle fire がどれくらい魅力的なオファーを行うか、NEXSUS7 がなんぼのもんか。いつ発売されるか。Surface が製品として既存のプラットフォームと対抗できるほどの商品力を持つのか。いつ発売されるのか。日本市場に投入されるのか。楽しみは尽きない。

ついに黒船来航! Amazon.co.jpからKindle、近日発売 : ギズモード・ジャパン

くるぜよ! 大陸から、すげえのが!!

Amazon.co.jpがついにKindleを発売すると発表しました。公式ページでは「近日発売」の文字と、発売開始のメール通知リンクが用意されています。

現在の所出ている情報はこれだけで、発売日、価格、スペックなどの情報は不明ですが、
海外と同じ「Kindle」/「kindle Fire」/「kindle Touch」の3トップでの展開だと選択肢が広がって良いですよね。