調査報告:**所有者のXX%はテレビを見ながら同時に**を使っている

以前取り上げた、「調査報告:タブレット所有者の69%はテレビを見ながら同時にタブレットを利用している」もそうだが、これらの調査が何を意図しているのかがわからないが、ここに書かれていることに意味もないことは分かる。

 なぜなら、「テレビを見ながら携帯電話を使っている携帯電話所有者の割合」の 50% というのが多いのか少ないのかが、この報告ではわからないからだ。この数字が数年前に比べて数倍であるとか、テレビの前で新聞を読む人の割合と比較して多いとかいった比較対象があればいいが、それらが一切示されていない。

 「過半数だから多い」というものではない。特定の母集団の「毎日食事をする人の割合が80%」だとしたら低いと感じるだろうし、「ある予防注射をした母集団のうち副作用の発症率が30%」だとしたら高いと判断しなければいけない。つまり、比率は数値だけで判断できないのだ。

 「マーケターたちにとっては嬉しいことに、スマートフォン利用者の35%がテレビで紹介されたサイトを訪れるのにスマートフォンを使っている。」というのもおかしい。これは、「スマートフォン利用者の65%がテレビで紹介されたサイトを訪れるのにスマートフォン以外を使っている。」ということでもあるからだ。スマートフォンでサイトを訪れる割合のほうが低いやん。

 繋がっている視聴者: 携帯電話所有者の50%以上が、テレビを見ながら使っている

Pew InternetとAmerican Life Projectの最新調査結果によると、米国の成人携帯電話所有者の半数以上が、テレビを見ながら携帯電話を使っている。ただし主たる理由は、見ている番組についてTwitterに書くためではない。大半の携帯電話利用者(38%)は、CMや番組の合間の暇つぶしのために携帯電話を使っている。こうした「繋がっている視聴者」のかなりの割合が、テレビで見たことについてその場で調べている(22%)。そして、マーケターたちにとっては嬉しいことに、スマートフォン利用者の35%がテレビで紹介されたサイトを訪れるのにスマートフォンを使っている。

スマートフォン利用者の方が従来型電話機利用者よりも、テレビを見ながら電話機を使う率がはるかに高いのは驚くにあたらない。スマートフォン利用者の58%が、CM中などに使用すると答えたのに対して、他の携帯電話利用者ではわずか17%だった。

プライバシー・ヒステリー版「統計でウソをつく法」

 目新しいことはないが、自分のような素人の戯言より説得力があるのでクリップしておく。

 多くの人がブラウザとインターネットを混同しているのは実感としてわかる。そんな人たちがクッキーを削除するなんてあり得ない。クッキーの削除方法を知っているのはインターネットを使ってる人の数分の一で、それをチェックしているなんてキモオタだけだろう。そもそも、クッキーという物を知らない人間の方が圧倒的に多いだろう。

 これは、IT系の記事を書いているような記者や業種の人間には分からないことだ。ところが、パソコンユーザの大多数はパソコンを業務で「使わされている」企業ユーザで、業務で使用する環境は全て社給だ。そして、社給PCは5年のリース期間の間、ほとんどメンテナンスされることなく放置される(例外はウィルスそふとのプロファイルだけ)。彼らはパソコンのソフトをダウンロードすることもないし、購入することもない。IT系サイトのアンケートにも答えない。しかし、数だけは圧倒的に多い。

 下の記事は、主に調査方法によるバイアスや操作について書いているが、実際には母集団の選択やサンプリングによってもかなり大きな偏りが予想される。ということを付け加えたい。

プライバシー・ヒステリー版「統計でウソをつく法」

統計で大衆を騙すのは恐ろしく簡単だ。殆どのマスコミや読者は、調査会社が集計結果に加えるわずかな変更で、調査結果に膨大な違いを生み出す巧妙な手口について訓練されていないからだ。最近、アメリカ国民の偏執狂気味光景が、メディアに出回りつつあるが、これはウェブセキュリティー会社のTrustEが行ったプライバシーに関する「研究」のおかげである。われわれはみなさんが知性ある読者でありたいことを知っている。しかし、悪い統計を識別するためにジャーナリストは必ずしもあてにならないので、このレポートの明らかに誤った調査方法を題材に、誤解を招く研究の見分け方をご紹介しようと考えた。

1. 高すぎたり低すぎたりするパーセンテージには気をつけろ:アメリカ人有権者の相当数がぞっとするほど無知である。2008年時点で、30%が依然としてサダム・フセインは大量破壊兵器を持っていたと信じ、18%が太陽は地球の周りを回っていると信じている。真の代表性を持つ調査は必ず、無教養な回答者が反映されているので、結果はこうした現実逃避市民によって100%と0%から離れる方向に中和される。

よって、TrustEのレポートに94%がプライバシーを心配し、79%がcookieやブラウザーのキャッシュを削除し、64%が広告ブロッキングや追跡防止システムを使っていると書かれていたら、あなたのでたらめメーターを準備した方がいい。ユーザーの79%が自分はブラウザーを使っていると知っていることさえ、私は強く疑っているし、ましてや複雑な設定をいじるなど考えられない。

2. 定評ある機関(Pew等)以外が実施した相互査読のない調査には気をつけろ:調査によると、業界が資金提供した研究結果は、スポンサー企業が最も儲かるように偏向している(すなわち、たばこ圧力団体が何を言おうと、喫煙は健康に有害である)。

3. 言葉の順序や表現方法は重要:アンケート調査では、全く同一の質問であっても、質問の順番が異なるだけで結果が有意に異なる場合がある。ある調査では、ブッシュ大統領への不満度が、回答者が彼の実績に関する「全体的満足度」を評価した後に聞いただけで、10ポイント上昇した。同じように、IyenderとKinderの有名な実験によると、調査の直前に見ていたテレビ番組の話題を変えることによって、有権者が何をいちばん重要と考えているかを操作できることがわかった。

言葉づかいも重要だ。1989年、異人種間結婚の支持率は、政府がそのような結婚を「認める」べきかどうかを尋ねた時(32%)の方が、「禁止」すべきかどうか尋ねた時(19%)よりもはるかに高かった。両者は法律的に全く等価であるにも関わらず。この不均衡は「禁止と容認の非対称性」として知られており、一見無害な変更が結果にいかに大きな違いをもたらすかを示している。

同様に、TrustEの調査では、質問はすべてプライバシーに関するものであり、疑いを知らない回答者に対して、プライバシーの悪用方法の可能性を恐れるよう促している。よって、回答者たちがプライバシーを地球上でもっとも重要でいまいましい問題であると考えているかのように見える。「この一年で近所に10回強盗が入ったことを知っていましたか?」と聞かれた後、防犯アラームを購入する確率はどうなるだろうか。より信頼できる調査方法は、質問の順番をランダムにして中立的あるいは無関係な質問を織りまぜることだ。

4. 回答者の記憶に基づくトレンド調査に気をつけろ:TrustEは、一年前と比べて不安が高まっていると答えた回答者の数を根拠に、プライバシーへの不安が上昇傾向にあると主張している。でたらめだ。回答者というものはあきれるほど記憶力が悪いことで知られている。人は心臓発作やガンや親戚が死んだ日、その他人生の重要な出来事を忘れている。昨日の朝食に何を食べたかを思いだすのさえ大変なのに、ましてや365日前の曖昧な個人的傾向など論外である。

悪い調査を行っているのはTrustE(および彼らの調査会社、Harris Interacive)だけではない。政治、ソーシャルメディア、教育その他あらゆる問題に関して行われている。だから、自分の感性は知識と健全な懐疑主義によって守らなくてはいけない。悪質な調査を操る人々があなたの意見を支配したがっている。

当り前やろ:タブレット所有者の69%はテレビを見ながら同時にタブレットを利用している

 自分の場合はテレビが存在しないのでテレビを観ながらタブレットを使うことはないが、地デジ化されていなければ今でもテレビを観ながらというか聞きながらタブレットを使うことは間違いない。テレビとは全く関係のないブログや Twitter を読みながらというのが大半だが、時にはテレビで取り上げられた話題や物・事・人物を検索する事もある。それだけのことだ。

 この調査が何を意図しているのか分からないが、「調査報告」という見出しに応えられるようなものではない。テレビを見ながらタブレット端末を使うかどうかという聞き方がおかしい。テレビを見ながら使う端末は何かを尋ねた結果としてタブレットが他を圧倒していたのなら、一つの流れを表すと言えるかもしれないが、テレビを見ながらスマートフォンや携帯電話を操作するかどうかは聞いたのか?テレビを観ながらPCを使うことはないのか?(このへんは、アメリカと日本とで家庭の物理的な構造が違うのでライフスタイルの変化以前の要因のほうが影響が大きいと思われるが)。

 テレビを観ながらネット端末を使うことは日常となっただろう。HDD レコーダーによるタイムシフト視聴が中心になり、オンデマンド視聴までが普及するようになった今、テレビの視聴スタイルが変わった。同時に、ネット端末が個人の生活に深く結びついた。ネット端末は以前はパソコンだったが、携帯電話、スマートフォン、タブレットと種類が増えた。ただそれだけのことだ。

 この調査で、1日に1度はテレビを見ながらタブレットの操作を行うタブレット所有者の45%は、1日に1度はテレビを見ながらスマートフォンの操作も行うだろう。この視点がこの「調査」にはない。だから、これは「調査」と銘打ってはいるが調査ではない。

調査報告:タブレット所有者の69%はテレビを見ながら同時にタブレットを利用している

 タブレットやスマートフォンを手にせず、テレビだけに見入るという習慣はもはや廃れつつあるのかもしれない。少し前にNielsenは米国内におけるプライムタイムのテレビ視聴者についてのレポートの一部を公開していた。そして今回、タブレットをいじりながらテレビを見る人々について、年代毎などの詳細情報をブログで公開した。このレポートによれば、タブレット所有者の45%が、1日に1度はテレビを見ながらタブレットの操作を行うのだそうだ。1週間単位で見て、テレビを見ながらタブレットをいじることがしばしばあるかという質問に対しては、69%の人がイエスと回答している。そういうことはしないと回答した人は12%に過ぎない。

どっちやねん。Nokia の「Lumia」フォン

 ところ変われば評価も変わるということだろうか。アメリカ市場とヨーロッパ市場とで全く正反対の評価が伝わってきた。足下のヨーロッパで不人気というのが良く分からいし、アメリカのAmazonで好評というのも分からない。情報源が異なるので、Nokia の4~6四半期の決算結果を待たないと、どちらかが誤っているのかどちらも正しくて市場の評価が異なるのかが分からない。

 また、携帯端末の売れ行きはキャリアのサービスプラントも密接な関係があるので、プランの検証も行わなければ、市場の評価は誰にもわからない。

ノキアの「Lumia」フォン、アップルとAndroidを前に欧州で苦戦 – CNET Japan.

ノキア「Lumia 900」が米で発売、アマゾンの端末販売首位に – CNET Japan.

日米のタブレット利用傾向にこんな違いが――電通総研調査 – 電子書籍情報が満載! eBook USER

**総研(**はどこでも構わない)お得意の「調査分析」。これもページビュー稼ぎみたいなものか。Google や ぐるなびのノイズを排除するための試みとは比較にならないくらい浅い。読書週間がアメリカにあるのか無いのか知らないが、読書習慣には差があって当たり前。だって、日本ではタブレットで読みたくても本がない。

 この調査は「タブレットやスマートフォンの需要を比較するため」とあるが、環境が違いすぎて需要の傾向なんかわからないだろう。なぜなら、日本では電子書籍もニューススタンドもまともに使えない。ラジオやテレビなども同様だ。コンテンツ流通業の課す制限のために買えないからだ。売ってないものの利用率が低いのは当たり前。

 iPhoneにもiPadにもニューススタンドとiBookが入っている。iTunesにはテレビやラジオがあって、appletv でテレビ画面n表示できる。機械のポテンシャルとしてではだ。これらに日本語のコンテンツが並べば意識は変わる。あっ、金太郎飴みたいなおんなじような番組と下らない業界オナニーみたいな番組しかないテレビは要らんわ。

電子書籍ストアレビュー「GALAPAGOS STORE」 : 見て歩く者 by 鷹野凌.

 日米のタブレット利用傾向にこんな違いが――電通総研調査 – 電子書籍情報が満載! eBook USER.

電通総研は、タブレットやスマートフォンの需要を比較するために日米で実施した調査の結果を発表した。

 今回の調査は日本が東京都全域、米国がニューヨーク州全域を対象にし、2月にインターネット調査パネルを利用したWeb調査として実施したもの。20代以上の男女を対象としており、スマートフォン保有者とフィーチャーフォン保有者、タブレットとスマートフォンの保有者およびタブレットとフィーチャーフォンの所有者がほぼ同数となっている。この調査では、スマートフォンおよびタブレットはiOS搭載機またはAndroid搭載機に限定されている。

タブレットの日常的なメディア利用(日米比較)

 タブレットの位置づけとして、日本ではPCに近いと考える人が51.3%を占めていたのに対し、米国ではスマートフォンに近いという回答が57.3%となっている。米国ではよりアプリやコンテンツを利用するための端末として捉えられているようだ。

 タブレットを利用して日常的に行っているメディアは、日本がソーシャルメディア(26.1%)、ニュースなどのネットメディア(22.9%)、動画共有サービス(21.2%)に偏っており、ほかの回答が10%以下となった。一方の米国ではソーシャルメディア(40.8%)、ネットメディア(38.36%)、電子書籍(35.2%)、ゲームおよびソーシャルゲーム(33.7%)が特に多く、動画配信/共有サービスや音楽サービスなども20%を超えた。ほかのサービスの利用率も高く、幅広くメディアが利用されている様子がうかがえる。

 メディア利用において日米の差がもっとも大きく表れたのが電子書籍の利用について。日米で電子書籍を読むかどうかという設問に対し、タブレットとスマートフォンの両方を所有するユーザーが一番「読む」と答えているのは共通しているが、米国ではその81.2%が「読む」と回答。タブレットでの読書週間が定着していることが分かった。

情報精度を上げるための取り組み:Amazon「本当に買った人が書いたレビュー」の認証機能を導入

 ネット上で集めた情報からノイズを取り除くための取り組みが続く。これは、情報の出所を開示することで、読む側が情報をフィルターすることを可能にするアプローチだ。

 アンケートでも母集団の属性としてこういう客観的な判断基準が提示されればかなり信頼性は上がるだろうが、ネットのアンケートでは無理だろう。そもそも、ネットのアンケートなんて性別や年令といった基本情報さえ正しいかどうかは分からない。

 また、ネットのアンケートの怖いところは、個人情報をうまく登録させたとした場合に、その個人情報を晒した相手に対する警戒感が生じることがある。人は、匿名のアンケートには本音が書けても、記名となるときれいごとを書くという習性がある(というか、自分がそうだ)。年収についての設問があるアンケートは基本的に答えないが、何ページにもわたって記入してきたアンケートで最後の方に年収を尋ねる質問がある場合には嘘を答えている。自分の場合は家族構成を聞かれても困らないが、嫌な人もいるだろう。

 Amazon に話を戻すが、この試みが功を奏するかどうかは分からない。というか、Amazon としては商品に対するレビューが荒れることさえ防げればいいと考えているんではないだろうか。更にいうなら、レビューが炎上することを防ごうとしている努力をアピールすることがメインかもしれない・・・だって、レビュー見てその商品を買わなかったとしても、”Amazon で”他の商品を買うんだから。

Amazon、「本当に買った人が書いたレビュー」の認証機能を導入 – ITmedia ニュース

 Amazon.co.jpはこのほど、商品に対するユーザーレビュー投稿に、同サイトでその商品を購入した人が書いたレビューであることを認証する仕組みを導入した。

 Amazonのレビューは購入者ではなくても投稿できる仕組みだが、ネガティブなユーザーレビューが殺到する“炎上”を招いたり、“ステマ”(ステルスマーケティング)への疑念を呼ぶ一因になっていると指摘されてきた。同サイトを通じて購入したユーザーによるレビューであることをAmazonが認証することで、「レビューの質と関連度を判断するもう一歩進んだ手段を提供する」という。

原田社長には消費者の声なんて届いてないよwww

 Tumblr から Twitter 経由で日本マクドナルドの社長の言葉について言及した下のエントリを読んだ。賀詞交換会の挨拶のようなものなので、一杯景気で会場受けすることをぶちあげてみたということだろう。

 古くからのマカーはアップルコンピュータージャパンに良い印象は持っていない人が多い(と思う)。原田社長についても、「こいつがもうちょっとできたら Mac の日本語環境はもっと改善できただろうに」と思っている人間が少なくともここにいる(ついでに言うなら、今の iOS の日本語サポートもまだまだ不十分だしこの点について日本語ユーザの立場からクパチーノに希望が伝わっているのかどうか分からないことについては不満がある)。このエントリを読んで、なるほどと思い当たった。この人はユーザーの意見など無視してかかってたんだ。日本語特有の問題点について日本法人のトップが日本人ユーザの声を聞く気がないんじゃアメリカの開発者に伝わるはずがないなと思って納得した。

日本マクドナルド 原田泳幸社長 @ JIDA賀詞交歓会 – everyday is beautiful – 楽天ブログ(Blog)
アンケートをとると必ずヘルシーなラップサンドやサラダがほしいと要望があって商品化したけども売れたためしがない。ヘルシーなサラダでなくメガマックが売れる。
メガマックがお客様がマクドナルドに求める「らしさ」だからお客は言うこととやることが違うからお客の話を聞いてはだめ。それより「強いところをのばす。強さは何か考える。」

 傾聴に値するとする意見を Google 検索結果ななめ読み調査では多く目にした。このエントリに触発されたが、鵜呑みではなく咀嚼する必要があるというエントリも参考になった。

「ユーザーの声をすくい上げても売れない」は正解か? | blog.daichisakota.com
もう一度言いますが、マクドナルド原田氏の結論は「マクドナルドとしては正解」であることに異論はありません。
でも、その言葉をそのまま「自分にとっての正解」であるかのように鵜呑みにしてはいけないよな、と reblog した後に思ったので、自戒をこめてエントリ化しておきました。

 自分としては、あえて「マクドナルドとしても正解だったか?」と問いたい。

 結果としてアンケートと異なる結果が出たのなら、アンケート結果が間違っていたという可能性が高い。マクドナルドのやったアンケートとその分析について問題があり、その結果として母集団の行動を正確に推測することが出来なかったということだ。アンケートに答えたユーザが嘘をついたわけではない(アンケート結果と購買行動が食い違うなんて珍しくもなんともない)。

 ユーザーの声を聞くことに失敗しておいて、それに沿って作った商品が売れなかった責任を「ユーザーは嘘を言う」とするのは乱暴すぎる。その製品が失敗した原因としては様々なことが考えられる。

  • 商品:アンケートで欲しいと言われたような商品化ができてない。価格やボリュームなど、実際に売られた商品がアンケートで提示された(予想された)選択肢と異なるものであった。
  • 環境:新製品を出した時の競合他社が強力な競合製品を出した。
  • サンプリングの失敗:特定の偏ったサンプリングに対する調査しかしなかった。オンライン上のアンケートとか店舗のアンケートは偏りがちだ。後で、アンケートに答えた人たちの行動を検証しない限り「アンケートに対する答え(ユーザの声)と実際の行動(売れ行き)が一致しない」ということは言えないはずだ。原田氏の発言がこの検証結果の基に行われたのかどうかはこのエントリからはわからない(していないとも断定できない)。
  • 調査票の問題:何らかの誘導的な設問をしたのではないか。企業は、自社が環境問題に取り組んでいることをアピールする手段の1つとして、アンケートを行うことがある。そのような文脈でアンケート用紙を配ればそれに沿った答えに歪められてしまう。
  • 調査環境の問題:マクドナルドの店頭では個人情報を晒す必要はない。それに対して、個人情報を要求するような環境(プレゼント付きのアンケートでは送付先データの入力が必要となる。他意はなくても入力する側は警戒する)での調査は異なった記述になるのは当然だ。facebook と 2CH の書き込みの内容を比べればよく分かるだろう。
  • サンプリング2:アンケートに答える人と答えない人がいる。アンケートに答えるようなタイプの人が母集団の代表として適当かどうか検討が必要。アンケートに答えるような人は元々何らかの関心を持って接している人である可能性が高い。ところが、実際に売れ行きを左右する大多数はそうでない可能性が高い。アンケートに積極的に答えるような層の声とサイレントマジョリティの行動は食い違っていても不思議はない。

 アンケートは同じ母集団であってもやり方やサンプリングによって正反対の答えが出ることが珍しくない。最近見た「どっちやねん!? Kindle Fireへのユーザーの反応は」は好例だろう。kindle fire を買ったユーザを母集団とした調査なのに全然違う結果になっている。

 アンケートの結果を盲目的に信じてしまうと原田社長の二の舞だ。目的を持ってアンケートを行い、異なる結果が出た時には失敗を認め、なぜ違う結果が出たかを謙虚に調べて次に活かす。これをせずに、商品の売上が伸びなかったことを消費者のせいにしているのがこの社長の限界だろう。

 もちろん、アンケートに限界はある。ユーザが見たことのないもの対する需要は予測できない。iPod が出る前に HD を搭載した 4GB ものストレージを持った、高価でPCが必要となる音楽プレーヤーを予想できるアンケート結果などは存在しなかっただろう。同様に、全面液晶タッチパネルの

「女子中高生の持ちたいスマホは iPhone」なの?

 スマホ研究部 ニッポン全国スマホいっせ~大調査!結果発表!!をTLで知った。見出しがミスリードを誘うゴミ調査ではあるが、興味深い指向も窺われる(評論家っぽい表現だ。実際には単に自分の好みの結果が含まれていただけのことだ)。

 「女子中高生、『持ちたいスマホ』は『iPhone』85%」というのは、アンケートの結果ではあるかもしれないが、「iPhone か Android か」という間違った質問により導かれたものでしかない(意図があったのかアンケート製作者の計算かは分からないが)。一方は商品名なのに他方は OS だ。複数の端末を示して選ばせたら違う結果が出た可能性が高い。

 興味深いのは、「持つならどんなスマホがいい?」という質問に対するその他の59人だ。何か具体的なイメージがあるんだろうか?

 このアンケートは複数回答ということがグラフから分かる(合計が母集団の数より多い)。ということは、この母集団からランダムに100人集めたときにiPhone か Android 端末かを選ばせたら85人が iPhone を選ぶということではない。ところが、この見出しから与えるイメージは、「女子中高校生の85%がiPhoneのほうを選ぶ」というものだ。どこも間違っていないし、嘘はついていないが与えるイメージは実際の母集団が示した傾向と異なるという良い例だ。

 順位的には赤外線通信を挙げた人が多いが、2位との差は誤差の範囲だろう。また、比率は複数回答の60%程度なので、それほど重要視はされていないのではないだろうか。

 複数回答のアンケートにもかかわらずワンセグは25%程度しか選ばれていないのにも注意が必要だ。日本のメーカーが海外に対してアドバンテージがあるとしている機能は、少なくとも、この母集団の中ではさほど重要視されていないと言えるだろう。

 右のグラフも全体に回答数が少ない。マスコミが騒ぐほど「女性向け」デザインは訴求していないのではないだろうか。また、「かわいいカバーがある」という選択肢が一位というのは、本体色のバリエーションに力を入れることが無意味であることを窺わせる。そして、この点では iPhone の支持とつながっているかもしれない。

 選択の基準がどれか一つではなく、料金や機能も見ているという点で現実的な視点が窺われる。パケット定額が障害となってスマートフォンにしてもらえない家庭も多いのだろう。自分でも、子供が中学生だったら iPhone を買い与えてはいないと思う。高校生になったら SBM の iPhone 一択だが。

 友人との無料通話が一位に来ているということは、スマートフォンの普及率が低く Skype だけでは通話できない相手が多いことを示しているのか。家族間無料通話より訴求していることには納得だ。家族間で長電話するはず無いもんね。

 選びたい機種が選べない理由について回答数が少ないというのは、選びたい機種を選べてない子が少ないということか。アンケートがネットのモバイルサイトなので、そんなサイトにアクセスしている時点で旧機種の携帯電話使用者ではない可能性が高いこともあるだろうが。

 上記のサイトの記事を引いたRBBの記事。持ちたいスマホが一人歩きしているのがわかる。

調査 : 女子中高生、「持ちたいスマホ」は「iPhone」85%とダントツ……ふみコミュ!調べ | RBB TODAY (エンタープライズ、モバイルBIZのニュース).

ふみコミュニケーションズは13日、同社が運営する女子中高生の情報サイト「ふみコミュ!」において実施した、「ニッポン全国スマホいっせ~大調査!」の結果を公表した。

 調査期間は2011年12月27日~2012年1月23日で、女子中高生を中心とした604名から回答を得た(高校生63%、中学生25%。小学生、大学生、その他も含む)。それによると、「持ってみるならどんなスマホがいい?」という質問に対して、全回答者数の85.0%が「iPhone」と回答。Androidと答えた回答者(29.6%)を大きく引き離した。一方で、実際にふみコミュ!へのアクセスに使われているスマートフォンは、iPhoneとAndroidが半々とのこと。利用実態とイメージには違いが見られた。

 この食い違いがどこから生まれたのか調べるため、「スマホを選ぶときに重要なのは?」と質問したところ、「かわいさ・かっこよさ」が58.1%で1位。第2位に53.8%で「料金」となった。しかし、「使いたいスマホが選べない理由は?」と質問したところ、「料金」がダントツで1位となったが、2位に「親」、3位に「携帯会社の変更」があげられている。家族割の適用なども多い女子中高生では、自分だけキャリアを変更するといったことが難しいとみられる。また料金などについても親の許可が必要となるわけで、このへんの理由により、イメージと実際の購買行動に差異が生まれているようだ。

 同調査ではそのほかに、「スマホに変えても外せない機能は?」「スマホを持っている子はどんな子?」「興味のあるアプリは?」といった質問なども行っている。

テレビ番組のグラフは突っ込みどころ満載

asahi.com:「あるある」捏造、新たに3件 関テレが再報告書††社会

 「ダイエットフルーツ」の回では、ミカンの成分が血糖値を抑える働きがあることを実験した際、被験者にあまり顕著な結果が出なかったにもかかわらず、著しい成果が出たかのようにグラフを偽った。

 いやいや、こんなことは日常茶飯事だろう。というより、視聴者をミスリードするようにデフォルメしてない資料を見ることはほとんど無い。

次々現れる「捏造」次はTBS

 ここには書いていないが、朝のニュースでは、風鈴が置いてない学習塾に製作スタッフが風鈴を持ち込み、「この学習塾では風鈴を教室に吊るしている」という紹介を行ったらしい。

 これは、「行き過ぎ」ではなく創作だ。もっと正確に言うなら「捏造(ねつぞう)」だ。問題は大有りだろ。

「個々の論文やコメントの趣旨を変えていないので捏造(ねつぞう)ではない。1人の研究者が行った研究ではないが、番組として仮説を立てた。手法に問題はない」としている。」

 といったらしいが、「『記憶力向上と結びつけることはできない』と断られた」ものを、頭が良くなるという文脈で使うのは「趣旨を変えていない」とは言わない。

 他局の人気番組を叩いたのと同じ調子で批判して欲しいね。特に、NEWS23のジャーナリスト様には。

 次は、捏造の本家朝日新聞の系列局の番組がターゲットか。古館のコロコロと態度を変える有様が見てみたい。

asahi.com:TBS、「頭の良くなる音」でおわび 表現に行き過ぎ††社会
2007年02月08日00時15分

 TBSは、3日夜に放送した情報バラエティー番組「人間!これでいいのだ」で高周波の「ハイパーソニック音」を取り上げた際、「頭の良くなる音」と断定した表現に行き過ぎがあったほか、論文を紹介した研究者からの許諾の取り方に問題があったとして7日、おわびのコメントを出した。

 番組内の約10分間のコーナーで、国際科学振興財団理事の大橋力さんらのグループの論文をもとに、2万ヘルツ以上のハイパーソニック音を聞くと脳にα波が生じるという説を紹介。その後、別の研究者が「α波が出ると集中力が高まり、その結果、記憶力も高まる」と述べる場面を放送した。

 さらに、ハイパーソニック音はオルゴールの音やコオロギの声などに含まれるとし、小学生の女児にオルゴール、別の女性にはコオロギの鳴き声を聞きながら算数などの勉強をしてもらい、1週間後のテストで点数が上がったなどと報告した。

 TBS広報部は週刊新潮の取材を受け、見解などを示した。その中で「頭の良くなる音」と司会が語り、テロップでも表示したのは「バラエティー番組とはいえ、表現上行き過ぎていた」などとわびた。

 論文は00年に米国の学術誌に発表された。同部によると、昨秋、このコーナーを制作した制作会社がグループに紹介したいと申し出たが、「記憶力向上と結びつけることはできない」と断られたという。

 経緯に関し、同部は「研究者に直接了解を得ずに放送してしまったことについて、おわびします」とする一方、「個々の論文やコメントの趣旨を変えていないので捏造(ねつぞう)ではない。1人の研究者が行った研究ではないが、番組として仮説を立てた。手法に問題はない」としている。

 研究メンバーの一人の国立精神・神経センター神経研究所の本田学さんは「科学者のモラルとしてお断りしたのに、実験の体をなしていないような番組と私たちの研究が結びつけられ、研究の社会的信頼が著しく損なわれた」などと話し、TBSに抗議するという。

 同番組は複数の制作会社が制作を請け負い、TBSのプロデューサーらが統括していた。同局のプロデューサーは論文使用を断られたことを把握していなかったという。3日の視聴率は6.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だった。