プライバシー・ヒステリー版「統計でウソをつく法」

 目新しいことはないが、自分のような素人の戯言より説得力があるのでクリップしておく。

 多くの人がブラウザとインターネットを混同しているのは実感としてわかる。そんな人たちがクッキーを削除するなんてあり得ない。クッキーの削除方法を知っているのはインターネットを使ってる人の数分の一で、それをチェックしているなんてキモオタだけだろう。そもそも、クッキーという物を知らない人間の方が圧倒的に多いだろう。

 これは、IT系の記事を書いているような記者や業種の人間には分からないことだ。ところが、パソコンユーザの大多数はパソコンを業務で「使わされている」企業ユーザで、業務で使用する環境は全て社給だ。そして、社給PCは5年のリース期間の間、ほとんどメンテナンスされることなく放置される(例外はウィルスそふとのプロファイルだけ)。彼らはパソコンのソフトをダウンロードすることもないし、購入することもない。IT系サイトのアンケートにも答えない。しかし、数だけは圧倒的に多い。

 下の記事は、主に調査方法によるバイアスや操作について書いているが、実際には母集団の選択やサンプリングによってもかなり大きな偏りが予想される。ということを付け加えたい。

プライバシー・ヒステリー版「統計でウソをつく法」

統計で大衆を騙すのは恐ろしく簡単だ。殆どのマスコミや読者は、調査会社が集計結果に加えるわずかな変更で、調査結果に膨大な違いを生み出す巧妙な手口について訓練されていないからだ。最近、アメリカ国民の偏執狂気味光景が、メディアに出回りつつあるが、これはウェブセキュリティー会社のTrustEが行ったプライバシーに関する「研究」のおかげである。われわれはみなさんが知性ある読者でありたいことを知っている。しかし、悪い統計を識別するためにジャーナリストは必ずしもあてにならないので、このレポートの明らかに誤った調査方法を題材に、誤解を招く研究の見分け方をご紹介しようと考えた。

1. 高すぎたり低すぎたりするパーセンテージには気をつけろ:アメリカ人有権者の相当数がぞっとするほど無知である。2008年時点で、30%が依然としてサダム・フセインは大量破壊兵器を持っていたと信じ、18%が太陽は地球の周りを回っていると信じている。真の代表性を持つ調査は必ず、無教養な回答者が反映されているので、結果はこうした現実逃避市民によって100%と0%から離れる方向に中和される。

よって、TrustEのレポートに94%がプライバシーを心配し、79%がcookieやブラウザーのキャッシュを削除し、64%が広告ブロッキングや追跡防止システムを使っていると書かれていたら、あなたのでたらめメーターを準備した方がいい。ユーザーの79%が自分はブラウザーを使っていると知っていることさえ、私は強く疑っているし、ましてや複雑な設定をいじるなど考えられない。

2. 定評ある機関(Pew等)以外が実施した相互査読のない調査には気をつけろ:調査によると、業界が資金提供した研究結果は、スポンサー企業が最も儲かるように偏向している(すなわち、たばこ圧力団体が何を言おうと、喫煙は健康に有害である)。

3. 言葉の順序や表現方法は重要:アンケート調査では、全く同一の質問であっても、質問の順番が異なるだけで結果が有意に異なる場合がある。ある調査では、ブッシュ大統領への不満度が、回答者が彼の実績に関する「全体的満足度」を評価した後に聞いただけで、10ポイント上昇した。同じように、IyenderとKinderの有名な実験によると、調査の直前に見ていたテレビ番組の話題を変えることによって、有権者が何をいちばん重要と考えているかを操作できることがわかった。

言葉づかいも重要だ。1989年、異人種間結婚の支持率は、政府がそのような結婚を「認める」べきかどうかを尋ねた時(32%)の方が、「禁止」すべきかどうか尋ねた時(19%)よりもはるかに高かった。両者は法律的に全く等価であるにも関わらず。この不均衡は「禁止と容認の非対称性」として知られており、一見無害な変更が結果にいかに大きな違いをもたらすかを示している。

同様に、TrustEの調査では、質問はすべてプライバシーに関するものであり、疑いを知らない回答者に対して、プライバシーの悪用方法の可能性を恐れるよう促している。よって、回答者たちがプライバシーを地球上でもっとも重要でいまいましい問題であると考えているかのように見える。「この一年で近所に10回強盗が入ったことを知っていましたか?」と聞かれた後、防犯アラームを購入する確率はどうなるだろうか。より信頼できる調査方法は、質問の順番をランダムにして中立的あるいは無関係な質問を織りまぜることだ。

4. 回答者の記憶に基づくトレンド調査に気をつけろ:TrustEは、一年前と比べて不安が高まっていると答えた回答者の数を根拠に、プライバシーへの不安が上昇傾向にあると主張している。でたらめだ。回答者というものはあきれるほど記憶力が悪いことで知られている。人は心臓発作やガンや親戚が死んだ日、その他人生の重要な出来事を忘れている。昨日の朝食に何を食べたかを思いだすのさえ大変なのに、ましてや365日前の曖昧な個人的傾向など論外である。

悪い調査を行っているのはTrustE(および彼らの調査会社、Harris Interacive)だけではない。政治、ソーシャルメディア、教育その他あらゆる問題に関して行われている。だから、自分の感性は知識と健全な懐疑主義によって守らなくてはいけない。悪質な調査を操る人々があなたの意見を支配したがっている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です