原田社長には消費者の声なんて届いてないよwww

 Tumblr から Twitter 経由で日本マクドナルドの社長の言葉について言及した下のエントリを読んだ。賀詞交換会の挨拶のようなものなので、一杯景気で会場受けすることをぶちあげてみたということだろう。

 古くからのマカーはアップルコンピュータージャパンに良い印象は持っていない人が多い(と思う)。原田社長についても、「こいつがもうちょっとできたら Mac の日本語環境はもっと改善できただろうに」と思っている人間が少なくともここにいる(ついでに言うなら、今の iOS の日本語サポートもまだまだ不十分だしこの点について日本語ユーザの立場からクパチーノに希望が伝わっているのかどうか分からないことについては不満がある)。このエントリを読んで、なるほどと思い当たった。この人はユーザーの意見など無視してかかってたんだ。日本語特有の問題点について日本法人のトップが日本人ユーザの声を聞く気がないんじゃアメリカの開発者に伝わるはずがないなと思って納得した。

日本マクドナルド 原田泳幸社長 @ JIDA賀詞交歓会 – everyday is beautiful – 楽天ブログ(Blog)
アンケートをとると必ずヘルシーなラップサンドやサラダがほしいと要望があって商品化したけども売れたためしがない。ヘルシーなサラダでなくメガマックが売れる。
メガマックがお客様がマクドナルドに求める「らしさ」だからお客は言うこととやることが違うからお客の話を聞いてはだめ。それより「強いところをのばす。強さは何か考える。」

 傾聴に値するとする意見を Google 検索結果ななめ読み調査では多く目にした。このエントリに触発されたが、鵜呑みではなく咀嚼する必要があるというエントリも参考になった。

「ユーザーの声をすくい上げても売れない」は正解か? | blog.daichisakota.com
もう一度言いますが、マクドナルド原田氏の結論は「マクドナルドとしては正解」であることに異論はありません。
でも、その言葉をそのまま「自分にとっての正解」であるかのように鵜呑みにしてはいけないよな、と reblog した後に思ったので、自戒をこめてエントリ化しておきました。

 自分としては、あえて「マクドナルドとしても正解だったか?」と問いたい。

 結果としてアンケートと異なる結果が出たのなら、アンケート結果が間違っていたという可能性が高い。マクドナルドのやったアンケートとその分析について問題があり、その結果として母集団の行動を正確に推測することが出来なかったということだ。アンケートに答えたユーザが嘘をついたわけではない(アンケート結果と購買行動が食い違うなんて珍しくもなんともない)。

 ユーザーの声を聞くことに失敗しておいて、それに沿って作った商品が売れなかった責任を「ユーザーは嘘を言う」とするのは乱暴すぎる。その製品が失敗した原因としては様々なことが考えられる。

  • 商品:アンケートで欲しいと言われたような商品化ができてない。価格やボリュームなど、実際に売られた商品がアンケートで提示された(予想された)選択肢と異なるものであった。
  • 環境:新製品を出した時の競合他社が強力な競合製品を出した。
  • サンプリングの失敗:特定の偏ったサンプリングに対する調査しかしなかった。オンライン上のアンケートとか店舗のアンケートは偏りがちだ。後で、アンケートに答えた人たちの行動を検証しない限り「アンケートに対する答え(ユーザの声)と実際の行動(売れ行き)が一致しない」ということは言えないはずだ。原田氏の発言がこの検証結果の基に行われたのかどうかはこのエントリからはわからない(していないとも断定できない)。
  • 調査票の問題:何らかの誘導的な設問をしたのではないか。企業は、自社が環境問題に取り組んでいることをアピールする手段の1つとして、アンケートを行うことがある。そのような文脈でアンケート用紙を配ればそれに沿った答えに歪められてしまう。
  • 調査環境の問題:マクドナルドの店頭では個人情報を晒す必要はない。それに対して、個人情報を要求するような環境(プレゼント付きのアンケートでは送付先データの入力が必要となる。他意はなくても入力する側は警戒する)での調査は異なった記述になるのは当然だ。facebook と 2CH の書き込みの内容を比べればよく分かるだろう。
  • サンプリング2:アンケートに答える人と答えない人がいる。アンケートに答えるようなタイプの人が母集団の代表として適当かどうか検討が必要。アンケートに答えるような人は元々何らかの関心を持って接している人である可能性が高い。ところが、実際に売れ行きを左右する大多数はそうでない可能性が高い。アンケートに積極的に答えるような層の声とサイレントマジョリティの行動は食い違っていても不思議はない。

 アンケートは同じ母集団であってもやり方やサンプリングによって正反対の答えが出ることが珍しくない。最近見た「どっちやねん!? Kindle Fireへのユーザーの反応は」は好例だろう。kindle fire を買ったユーザを母集団とした調査なのに全然違う結果になっている。

 アンケートの結果を盲目的に信じてしまうと原田社長の二の舞だ。目的を持ってアンケートを行い、異なる結果が出た時には失敗を認め、なぜ違う結果が出たかを謙虚に調べて次に活かす。これをせずに、商品の売上が伸びなかったことを消費者のせいにしているのがこの社長の限界だろう。

 もちろん、アンケートに限界はある。ユーザが見たことのないもの対する需要は予測できない。iPod が出る前に HD を搭載した 4GB ものストレージを持った、高価でPCが必要となる音楽プレーヤーを予想できるアンケート結果などは存在しなかっただろう。同様に、全面液晶タッチパネルの

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