インチキ調査分析は東西を問わない

 ジャーナリスト様は東西を問わず、記事の印象を操作するために「調査結果」を利用する。”Based on the results, the firm estimates that Kindle owners spend about $1,233 per year on the site, compared with $790 for Amazon members who do not own one. In other words, Amazon members with Kindles spend $443 more annually.”とあると、「Kindle は Amazon の売上に大きく貢献している。Kindle を安く売ってもその後の通販で回収できている(Amazon の戦略は正しい)」という印象を抱く。

 しかし、これこそ相関と因果関係の違いだ。この結果「Kindle を持っていること」と「Amazon での平均購入価格」ということには相関はある。これは事実だろう(調査の方法とサンプリングにもよるがここでは資料がないので問題がないと仮定する)。しかし、「Kindle が Amazon の売上に貢献した」とは言えない。否定ではなく「この調査では分からない」という意味だ。

 なぜなら、Kindle を持っている人は元々 Amazon の購入機会が多く Amazon に対する忠誠心を持っている人だろう。Amazon を使ってなくてアカウントを持っていないような人が Kindle を買うはずがないからだ。Kindle を持ている人は Kindle が発売される前から Amazon での購入額が高かった可能性が高い。

 Kindle の購入による購買行動の変化を捉えるためには、Kindle 購入前後と同時期の Kindle を購入しなかった層を調べなければならない。

Why Owning an Inexpensive Kindle Could Cost You Hundreds | TIME.com
Amazon’s strategy with its Kindle e-readers and tablets has always been pretty clear: bring in more customers, even at a loss, so long as they partake of the online retailer’s panoply of services, from e-books to streaming movies. Unlike rival Apple, which sells its devices at a premium, Amazon has seemed more or less happy to break even or lose money on its devices. Now, a report based on research by Consumer Intelligent Research Partners (CIRP) shows how shrewd that strategy may be.

CIRP surveyed 300 U.S.-based Amazon customers over a period of three months this fall. Based on the results, the firm estimates that Kindle owners spend about $1,233 per year on the site, compared with $790 for Amazon members who do not own one. In other words, Amazon members with Kindles spend $443 more annually.

“Another way to look at Kindle Fire and Kindle e-Reader is as a portal to Amazon.com,” Josh Lowitz, CIRP’s co-founder, wrote in a release.

If that is the case, Amazon’s strategy appears to be as effective as analysts have suggested.

buzzword「ビッグデータ」と統計の罠 東洋経済

bigdata Google や Amazon といった有名企業がセールスに使っている言葉が使ってみたくてしょうがないんだろう。

 しかし、どれだけ大量のデータであっても分析が頓珍漢では頓珍漢な答えしか出てこない。典型がこの店長。

ベテランの長谷川店長もデータには驚かされることが多いという。たとえば春巻の皮。これと一緒に最も検索される食材はトマトだった。次にハム、チーズ、バナナなどが続き、通常の春巻きの具は上位に入っていなかった。「顧客は『余った春巻きの皮で何を作ろう』と考えて、こうした食材が上位に上がったのだろう。家庭でどのような料理が作られているのか、ストーリーが見えた」(長谷川店長)。

 トマト、ハム、チーズ、バナナという検索語が春巻の皮の後に検索されているからといって春巻の皮と結びつけていいのか?餃子の皮の後にはそれらは検索されていないのか?むしろ、どんなワードの後にも検索される一般的な食材なのではないか?統計的な相関はとっているのか?単に順位を見ていても分からないはずだが。

 「春巻の皮」を検索したユーザが春巻きの具について検索しないのは当たり前だ。意外でも何でもない。なぜなら、春巻きの作り方を知りたい人間は「春巻き」で検索するからだ。そして、「春巻き」で検索すれば春巻きの具は分かる。

 「春巻の皮」で検索するのは春巻の皮を使ってできる他の料理だろう。そして、「春巻の皮」を検索した時点で余った春巻の皮の使い道はわかる。だから、その後で検索される語と春巻の皮とは無関係だと自分は考える。なぜなら、春巻の皮を使ってできる他の料理を調べたい時にトマトとかハムで検索しない。一度でもクックパッドを使ったら分かる。春巻の皮を使った料理を調べたい時にトマトで検索しても春巻の皮を使った料理を見つけられる可能性は限りなくゼロだ。

 この店長さん、自分でメニューを作るために悩んでクックパッドで検索してスーパーに買い物に行ったことがあるんだろうか?

 これは、どんな統計数字にも言えることだ。出てきた数字を正しく分析する能力がなければ宝の持ち腐れでしかない。

bigdata

統計への挑戦:「自民党は2割の支持しかない」横路孝弘・前衆院議長 – 政治

 確かに、自民の議席数と得票数は、制度上民意を反映していないとは思う。しかし、だからといって、投票していない人が全員自民を支持していないと決めるのは早計だとも思う。マスコミや評論家は「投票率が上がればリベラルが有利」というが、宗教団体は別にして、実際に投票率が上がったことがないのだから分からないとしかいいようがない。

 これは、「X千人の調査で国民の意識が分かるのか」という意見と同じだ。聞く内容にもよるが、サンプリングをちゃんとやっていればかなりの精度で分かる。このブログであてにならない恣意的な調査と糾弾しているのは、サンプリングが偏っているのに偏りを無視して結果を全体の意志のようにしているものや結果を勝手な分析によってわかりもしないことが明らかになったかのように「分析」している例だ。

 国民投票の場合、「投票に行く母集団が国民全体を代表しているかどうか」に議論は集約されるだろう。マスコミや一部のリベラルな人たちは「違う」という立場だろう。横路さんのはまた別のバックグラウンドから、これの極端な例だろう。彼は「投票に参加しなかった人は全員が自民党不支持者」と言っている。しかし、これも真実から離れているはずだ。

朝日新聞デジタル:「自民党は2割の支持しかない」 横路孝弘・前衆院議長 – 政治

 安倍政権は社会保障を担う地方財政をカットし、軍事予算を増やし、集団的自衛権に手を出そうとしている。だが、自民党は参院選で5割の投票率で4割の票を得たのであり、有権者の2割の支持しかない。そんな政権が戦後日本の社会を基本的に変えることを許してはならない。

 今、われわれ民主党がやるべきことは、自民党と対峙(たいじ)することだ。政策で自民党と対決し、われわれの主張を明確にすることが何よりも大事だ。国会で他党と共闘は大事だし、再編の議論があるが、その前にわれわれが主体性を確立しなければならない。(横浜市内でのNTT労組の会合で)

メイドカフェ「が」儲からないの?

20130500-akiba 頭の悪い記事だ。「アキバのメイドカフェが10年間で半分以上閉店」したことと「メイドカフェが儲からない」ことの因果関係が分からないのに、「メイドカフェが儲からないから10年間で半分以下になった」ことの考察をしているからだ。

 メイドカフェの閉店率 50% というのが非メイドの飲食店の閉店率と比較して顕著に多いのかどうかを比べないと、「メイドカフェだから潰れた」とは言えない。また、再開発による環境の変化やメイドカフェの集客力の低下、アキバへの客の減少などがなかったのかを考慮しないと閉店が儲からない結果なのかどうか分からないだろう。

 うちの近所だって、10年前からやっている飲食店の比率は 50% と大差ない。焼肉小倉優子の入っていた焼肉店なんかほぼ2年おきに経営者が変わっているしラーメン店やコンビニ、ファミレスも新陳代謝を続けている。

 後、閉店するには様々な理由がある。儲からないことは最大の理由だし利益がマイナスでは続けたくても続けられない。しかし、続けようと思えば続けられるけど閉店するという可能性も十分ある。もっと儲かるものを見つけた場合だ。また、以前は儲かっていたが家賃が上がって儲かりにくくなったケースも有る。

メイドカフェなぜ儲からないの? アキバでは10年間で半分以上が閉店- SankeiBiz(サンケイビズ)

 秋葉原がテレビや雑誌で紹介されるとき、必ずと言っていいほど登場するのが「メイド」と呼ばれる女の子たちです。今や秋葉原の象徴とも思えるメイドさんたちが活動しているのは、主にメイドカフェと呼ばれる店舗です。

 秋葉原にメイドカフェが誕生したのは2001年で、その頃の私はメイドカフェ巡りが大好きでした。メイドカフェでは1杯500円以上が相場のコーヒーを注文すると「お砂糖とミルクはいかがですか?」とメイドさんに尋ねられるのですが、砂糖かミルクをお願いするとメイドさんが甲斐甲斐しくスプーンでコーヒーをかき混ぜてくれます。私はブラックで飲むので、何も入れずにコーヒーをかき混ぜてもらうようメイドさんにお願いするのが密かな楽しみでした。

 日本全国のメイドカフェをくまなく訪問した人が作成したデータベースによると、2011年末の時点で132店のメイド系店舗やサービスが秋葉原にあります。これまで秋葉原で開店したメイド系店舗はのべ282店舗で、そのうち150店舗が閉店しました。
メイドカフェが秋葉原に出現してから約10年の間に、開店した店舗の半分以上が閉店していることになります。メイドカフェはそう簡単に儲かるビジネスではないようです。なぜならメイドカフェは普通の喫茶店とは全く違った費用構造を有しているからです。

 メイドカフェにも、食材などの仕入れの費用があり、その他家賃や光熱費などもあるのですが、普通の喫茶店と違うのは人件費の割合です。メイドカフェでは、メイドさんは重要な経営資源であるため、ある程度の人数のメイドさんを常時揃えておかなければなりません。

 そのため、どうしても人件費が大きくなり、普通の喫茶店のような経営では利益率が低くなるどころか赤字必至です。人件費の負担に耐え切れず、メイドさんへの給料不払いが続く店舗は、「そろそろ閉店かな」と噂が広まったりします。

 今、「萌え」空間が直面している問題

 人件費の負担を克服するために、メイドカフェは10年間の歴史の中でいろいろな工夫を試みてきました。

 客の回転率を上げるために時間制限を設けたり、注文金額の下限を設けたり、チャージ料を設定するなどのルールがそれぞれの店舗で生まれました。また、客単価を上げようとオリジナルグッズやオプショナルサービスなど飲食以外の商品を提供する工夫もあります。

 このような試行錯誤の中で、経営的になりたつような体系化されたシステムを創り出した店舗は生き残り、店舗数を増やしても安定したサービスを提供しています。そして利益率を上げ成長するための一番大切な鍵は、メイドさんにいかに特別な付加価値を生み出してもらうかということです。その特別な付加価値とは、「萌え」です。

 メイドカフェといえば、「萌え」という言葉を思い出す人も多いかと思います。2005年のユーキャン流行語大賞ベスト10に「萌え~」という言葉が入選し、秋葉原のメイドカフェが受賞しました。ところが、「萌え」という言葉を知っていても、「萌え」とはなにかを説明するのはなかなか難しい。
定義づけを試みる人たちもいますが、それらの定義にもちょっと物足りなさを感じます。「萌え」は体感しないと理解できない感性だからです。あえて例えるなら現代版「もののあはれ」でしょうか。

 日常とは少し離れた世界に触れたとき、なんとなく心地よさやあこがれのようなものを愛おしく感じる瞬間があります。そんな「もののあはれ」という独特の感性を、私たち日本人は昔から引き継いてきたのです。それが「萌え」です。

 日本では普通、自宅にメイドはいません。ましてや可愛い女の子のメイドが「お帰りなさいませ、ご主人様!」と帰宅時に迎えてくれるなんて途方もなく非現実的です。ところがメイドカフェに行けば、現実になる。だからこそ、メイドさんは「萌え」を生み出す存在であり、メイドカフェはそのための特別な空間になり得るのです。

 ところが、「萌え」を生み出す空間としてのメイドカフェは今、大きな問題に直面しています。それは、メイドカフェに対する偏見です。いかがわしい風俗店と勘違いして嫌悪感を抱く人さえいます
 メイドカフェが出現した当時の誤解は仕方がないとしても、なぜ10年以上も経つのに偏見はなくならないのか。それは「萌え」とは全く関係のない偽物のメイド系店舗が秋葉原に発生しているからです。

 喫茶店としてのメイドカフェでは利益率が低くても、ごまかしやぼったくり、違法すれすれのサービスで利益を上げられることに気付いた新興勢力が5年ほど前から秋葉原に大量に進出してきました。その頃から、道端でビラ配りをするメイド姿女性が目につくようになります。

 メイド姿でのビラ配りの弊害として私が一番懸念しているのは、メイドカフェ、ひいては萌え文化そのものの品と質の低下です。「萌え」を生み出すためのきっかけは「日常での非日常との出逢い」です。

 メイドさんはメイドカフェという特別な空間に存在する「架空の生き物」だからこそ、メイドさんは「萌え」を生み出すことができるのです。ところが、メイドさんがメイドカフェから飛び出し、長時間道端でビラ配りをしていると、そのうちに「架空の生き物」を演じられなくなり、普通の生身の女の子に戻ってしまう。これでは、「萌え」を生み出すことができません。

 メイドカフェの将来を考えるとき、私は京都祇園の舞妓さんの歴史と重ねています。もともと舞妓さんは、祇園参りをする旅人たちの目を引こうと、通りに並ぶ茶屋の店前で、女の子が歌舞伎を真似て派手な衣装で舞を披露したことから生まれました。

 しかしその後、舞妓さんの文化は品格と美的センスに磨きを掛けて、今では日本が誇る粋な文化となりえたのです。秋葉原のメイドカフェが次代にも発展する文化となりえるか、それとも一時の流行で終わってしまうかは、文化として品と粋を兼ね備えられるかに掛かっていると感じます。

 品格を下げ、野暮なサービスしか提供できない偽物のメイド系店舗が増殖し、悪貨が良貨を駆逐するようになれば、せっかく現代の日本に復活した「もののあはれ」の文化、つまり萌え文化が衰退することになるでしょう。(梅本 克=文(デジタルハリウッド大学客員准教授))(PRESIDENT Online)

iPad の販売シェア首位陥落と統計の罠

 日本ローカルの 12 月の資料。しかも、全体の 40% しか調べられていないとか・・・Amazon や SAMSUNG といった世界以上でのビッグプレーヤーが入っていないので世界市場でどうなのかはさっぱりわからない。

 この結果は Apple より Android 端末を出している日本メーカーにとって脅威だろう。この2社で 85% 近くシェアを持っているということは、iPad のシェアが低下しても日本メーカーの存在感は相変わらずだということだ。Apple が昨年から 16% 落としたシェアのほとんどを Google が奪ったということだ。

 日本メーカーの出している端末については、事ある毎にダメ出しをしてきたが、日本市場ですらコストパフォーマンスの悪さが気づかれてしまったのだろう。

 ただ、この表は日本市場の特殊性を見ることはできる。世界市場で iPad のシェアを食っている GALAXY tab のシェアがほとんど無い。日本人の嫌韓意識と Google 信仰により Android 市場内での評価につながっているのかもしれない。Amazon と同じように調査対象から外れているだけかもしれないが。

 問題は、この資料が全体の 40% しか網羅していないという点だ。均質的(ランダム)な母集団から無作為抽出の 40% なら統計的に有意といえるが、データが取れる流通経路だけのデータが全体のおよそ(全体が分かっていないのだから本当にそうなのかどうなのかは全くわからないが)40% というのとでは全く異なる。

 例えば、ハンバーガーチェーンでの売れ筋商品の調査をするときに 60% を占めるチェーン店をはずして調べて、一般人の嗜好が分かるだろうか?一般人の嗜好を調べるなら、ハンバーガーチェーンで買い物する人を母集団にしなければならない。これが基本だ。BNCBCN の調査はこの視点が欠けている。この調査でわかるのはBNCの調査母集団のことで、市場全体ではない。

 このページにはamazonについてはただし書はあるが、Apple についてのただし書がない。Apple の直販ルートのデータが載っていないのではないだろうか。Googleにしても Google play からの購入数量はあがっていないし、それ以外のメーカーについても Amazonからの購入はカウントされない。価格ドットコムの上位に来るような零細の通販業者も対象外だろう。ヲタな端末の大半は通販で買われることを勘案すると、BNCのPCランキングで Ultrabook や VLCU などが2スピンドルノートに勝てない理由がここにあるのではないだろうか。

 一番問題なのは BNCBCN ではない。BNCBCN の調査では市場の全体傾向を見ることは不可能だが、BNCは限界について自ら説明を行なっている。サンプリングがPOSでしかないことや Kindle fire を入れていないことに対する断りもある。問題なのは、孫引きする一般マスコミだ。条件付きの部分調査でしか無いものを取り上げるから実情と異なる情報が社会に流布されてしまう。孫引きするならちゃんとサンプリング条件や限界についても引用すべきだ。

 おそらく、記事を書くライター(記者?)に統計を扱うリテラシーがないのだろう。そして、チェックすべき責任者にも。さらに、記事を読む読者にもだ(ここが一番問題かも)。

BCN、2012年の年末商戦を分析、タブレット端末で波乱

20130117bcn_5 年末に向けてWindows 8搭載タブレット端末が発売されたほか、家電量販店では10月2日に発売されたASUS/GoogleのAndroid搭載7インチタブレット端末「Nexus 7」が、タブレット市場を盛り上げた。さらに「Nexus 7」は、「iPad超え」まで達成した。

 タブレット端末といえば、これまでアップルの「iPad」シリーズが市場を独占していた。販売台数で、今年3月から4か月連続で6割を超えるシェアを獲得。常に市場の半分以上を占めていた。ところが「Nexus 7」が発売した10月は、39.6%までに落としている。

 代わりに、9月まで1割以下だったASUSがシェアを伸ばしはじめ、10月36.5%、11月32.4%と好調に推移。12月には44.4%を獲得し、40.1%のアップルを抜いて1位に躍り出た。アップルがタブレット端末で他社に抜かれるのは、初めてのことだ。

 道越アナリストは、「タブレット端末は秋口から非常に伸びている。パソコンの使い方のなかでも、情報消費型の用途に関してはタブレット端末やスマートフォンに分がある。これからは、パソコンならではの使い方・機能などを見直し、存在意義の再定義が必要になるだろう」と話した。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

iPadシェアは8割から5割に低下:米国ユーザー « WIRED.jp

 このグラフはなかなか刺激的だが、統計の基本的な情報が少なすぎる。所有者の比率を表しているようだがサンプリング方法が書いていないし誤差もない。とても、ジャーナリズムを標榜するようなサイト(元データは http://www.journalism.org/analysis_report/device_ownership)のデータとは思えない。日本のオンラインアンケートサイトの集計結果程度の信憑性しか無い。

 そもそも、Apple iPad と Android は比較対象として間違っている。Android は 48% を数十社で分け合っているのだ。おそらく、Amazon と Samsung で大半で残りは数パーセント未満という状態で Android 陣営が iPad に対して有意に立っているという事ではない。

 とはいうものの、Androidタブレットを使うユーザの比率が増えているのは事実だろう。iPadと基本的に競合しない、低価格帯の7インチタブレットが売れているのだろう。ここではkindle fire が原動力のように書かれているが、2Qまでの調査では kndle fire は Galaxy tab の後塵を拝していたので、この表には書かれていないが、Galaxy tab のユーザは21%以上いるかもしれない。次の調査には NEXUS 7 と kindle fire HD も割り込んでくるだろう。

しかし、そのとこで iPad の売れ行きが落ちているかどうかは分からない。「分からない」というのは iPad の売上が伸びているかもしれないし落ちているかもしれないが、この調査では分からないということだ。

iPadシェアは8割から5割に低下:米国ユーザー « WIRED.jp

10月1日(米国時間)に発表された「Pew Internet & American Life Project」の調査報告によると、米国成人の25%がタブレットコンピューター機器を所有しているという。

その内訳は「iPad」と「その他」がほぼ同数で、52%がアップル社の製品を、48%が何らかの種類のAndroid搭載タブレットを所有している。

2011年の数字はアップル製品が市場の約80%を占め、かなりiPadに偏った状況を示していたため、最近のAndroidの増加は著しい。

昨年と比較してみると、タブレット機全体の所有も大幅に増加し、所有者の68%が過去12カ月以内に購入したと指摘されている。

今回の調査を後援しているPew Research Centerでは、入手可能なAndroid搭載機器の数がこの1年で急増したことが、その大幅な普及をもたらしたと考えている。また、この調査の結果は、グーグルの「Nexus 7」やアマゾンの「Kindle Fire HD」が一般に発売される前にまとめられたため、実状はさらにAndroidの方が多くなっている可能性があると指摘している。

今回のデータを見ると、Android機の普及に最も大きく貢献しているのは、アマゾンの「Kindle Fire」タブレットであることがわかる。Kindle Fireは最も人気のあるAndroidタブレットであり、iPadを除くすべての機器のなかで最大の市場シェアとなる21%を占めている(日本語版記事)。それまでタブレットに関心を持っていなかった電子書籍リーダーのユーザーがタブレットを購入するきっかけになったものと見られる。

Androidは、米国成人が所有するスマートフォンでもトップの座を占めている。スマートフォン所有者の46%がAndroidを使用し、「iPhone」は38%、低迷する「BlackBerry」が10%で後を追うかたちだ。

同じエコシステムで動作するスマートフォンとタブレットを所有することに利点があるのは言うまでもないが、異種を並行して使う人がいるのも明らかだ。スマートフォンを所有するiPadユーザーの32%はAndroid搭載スマートフォンを持ち、スマートフォンを所有するAndroid搭載タブレット機ユーザーの29%はiPhoneを持っている。

経済効果www「iPhone 5」が米GDP押し上げ?JPモルガン予想

 アメリカでもこういう「経済効果」を謳う輩はいるらしい。最後の段落で行われた指摘以外にも見落としているものがある。

 一つは、iPhone 5 がもたらすであろう効果は、iPhone 4S や iPhone 4 の売上が減るとの差分であって売上全部ではない。更に、GDP レベルで言うなら、iPhone 5 を買うユーザは iPhone 5 への支出に備えて他の何かを切る可能性が高い。秋物の服を一枚やめるとか、映画を一回やめようかといった節約はする可能性は高い。

 JPモルガン・チェースのチーフエコノミストってこんなので務まるのか・・・

CNN.co.jp : 「iPhone5」が米GDP押し上げ? JPモルガン予想

ニューヨーク(CNNMoney) 米アップルが12日に発表予定とうわさされるスマートフォン(多機能携帯電話)の新製品「iPhone(アイフォーン)5」は、米国内総生産(GDP)の押し上げ効果も期待できる――。米金融大手JPモルガン・チェースのエコノミストがそんな調査報告書を公表した。

JPモルガンのマイケル・フェロリ氏は、iPhone5によって10~12月期のGDPの伸び率は0.25~0.5ポイント押し上げられる可能性があると指摘した。

その背景として、この3カ月で800万台を超すiPhoneが売れると予想。小売り価格は1台当たり600ドルと試算し、そこから輸入部品コストの200ドルを差し引いた400ドルを加算すると、GDPを32億ドル、年率換算で128億ドル押し上げることになり、10~12月期のGDPの伸び率は0.33ポイント押し上げられる計算になる。

JPモルガンの予想では、10~12月期のGDPは2%の成長が見込まれる。

この予想を裏付ける数字としてフェロリ氏は、2011年に発売された「iPhone4S」は、同年の10~12月期のGDPを0.1~0.2ポイント押し上げる効果があったと推計している。

フェロリ氏の予想については別の専門家から懐疑的な声も出ている。著名エコノミストのディーン・ベイカー氏は、iPhone5によってほかの携帯電話の売れ行きに影響が出ることを、フェロリ氏は想定していないと指摘した。

PCは売れてるのか売れてないのか?

 対照的な記事をクリップしていたので並べておく。5月くらいまでは順調だったが、9月以降の需要が急激に落ちるということなのだろうか。国内のPC市場が活況を呈しているという印象は皆無なんだが・・・

プロセッサの売れ行きの主流がARM系SoCになりIntelは売上予測を下方修正

Intelが今日(米国時間9/7)、第三四半期の売上は需要減により予想以下になる、と発表した。Intelのマイクロプロセッサはいわゆるx86アーキテクチャで、多くのPCと今のMacに使われている。売上の当初予想142億ドルに対して、今回の修正予想は138億ドルだ。それはAMDとの競合によるものではなく、AMDも同じ問題に直面している。

さらに重要なのは、この下方修正がパーソナルコンピュータの世界に今起きている大きな変動を、あらためて示していることだ。iPadなどのタブレットがいち早くコンテンツ消費マシンというレッテルを貼られている中で、Appleなどはタブレットがコンピュータの売上を蚕食していることを自分のこととして知っている。

Intelは変化に対応できず、今も売上の大半はx86プロセッサからだ。ただしコンピュータはまだ売れている。それでも8月には、Dellの売上は8%落ち、HPは89億ドルという大きな損失を計上した。

対照的に、iPadの売上は前年比で181%増加した(ほぼ3倍増)…しかしそれでも、Appleの予想より低かった。タブレットやスマートフォンといった新しいデバイスで儲けているチップメーカーといえばSamsungやQualcommだが、両社はARMからライセンスされた技術でSoC(Systems on a Chip)を作っている。

Intelは今でも、今後はMicrosoftが頼みの綱になると期待している。Windows 8は10月26日にリリースされ、PCの売上を押すだろう。同時にMicrosoftは同じWindows 8の二つの変種により、タブレットも売る気でいる。

その一つ、ARMを載せたローコストのタブレットのOSはWindows 8 RTと呼ばれ、Intelを搭載したタブレットないしタブレット+ラップトップのハイブリッドと共存する。それに、Microsoft Surfaceがある。発売日も価格もまだ分からないが、これもARMとIntelの二股で出すのではないか。

Intelには省エネチップの計画もある。Windows Phone 8を載せた製品の一部は、ARMのSoCと互角に競争できるIntelのモバイル専用SoCを使うだろう。結局のところ、次世代のモバイルコンピュータの主テーマは、省エネ設計だ。Intelもそのとき、“やけどしそうに熱いシリコンの塊”から卒業しているだろうか。

 5月時点での予想であり、「『ウィンドウズ8』を搭載した新製品が今秋に登場し個人需要をけん引」といった希望的観測が混じっている。Windows 8 といっても RT は ARM だし、そもそもパソコンの需要全体を広げる効果は乏しいだろう。Windows 8 搭載機は売れるかもしれないが、従来型のノート PC や ultrabook の販売量が減ることで相殺されておしまいだろう。

 後でMM総研の予測が当たっていたかどうか検証したい。

パソコン出荷、3年連続で最高に 調査会社12年度予測 – 47NEWS(よんななニュース)
 2012年度のパソコン国内出荷台数が前年度比3・3%増の1580万台となり、3年連続で過去最高を更新するとの予測を、調査会社のMM総研(東京)が16日までにまとめた。6年連続で前年度を上回る見通し。

 米マイクロソフトの次世代基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」を搭載した新製品が今秋に登場し個人需要をけん引。法人の更新需要なども堅調に推移すると見込む。ただ、タブレット型多機能端末との販売競争が激しくなっていることなどからMM総研は「単価の下落が進みそうだ」と分析している。
2012/05/16 15:03 【共同通信】

調査 : ソーシャルゲーム、課金ユーザーの約6割「お金を無駄に使った」と後悔……Fastask調べ | RBB TODAY ブロードバンド、その他のニュース

非常にわかりにくい記事だ。この手の調査結果に誤差の表示がないという致命的とも言える欠陥があるのはお決まりだが、このサンプリング方法でソーシャルゲームに対するユーザの意識を代表しているとは思えない。

この記事がわかりにくいのは、%で書いているが、どの集団の何%なのかが分かりにくく書かれているせいだ。全体に対する割合と一部の意見を書いた集団の%とでは全然違う人数が違う可能性がある。そして、それに反比例して誤差の範囲は大きくなる(つまり当てにならなくなる)。

全体の母集団なので、一問目の「課金経験がある」とした48.5%というのは485人ということだ。しかし、次の最もお金を使っている項目としてアバター等とした20.3%というのは98人だ。そして、回復アイテムとしたのは95人だ。こんなもん誤差の範囲だろう。

こんな好い加減なアンケートで小数点以下のパーセントなんて全く意味がない。それは、正確な調査であると思わせるための操作でしかない。

そもそも、この調査方法によるサンプリングでソーシャルゲームのユーザ全員の傾向はわからないだろう。これは、インターネット調査の持つ限界だが、自由参加型の調査をやると、「その調査対象に何らかの意見を持っていて一言言いたい」ユーザが集まる。人によってフォロワーであったり反感を持っていたりする両極端になり易いのだ。

それを感じるのが月間使用金額が3万円を超えるユーザが11人もいるということだ。こういうヘビーユーザはソーシャルゲームのアンケートを見かけたら積極的に応募するだろうし、コンプガチャの影響を問われたら「そんなもん関係あるか!」と答えるだろう。同様に、「反省している」とか「後悔している」というユーザも積極的に答えるはずだ。

つまり、こういう調査方法では、「特にソーシャルゲームとか知らないけど、スマートフォンでゲームはしてみた」といったライトゲーマーの意見はほとんど反映されにくいのだ。

Last,but not least. 「後悔している」とか「反省している」といったネガティブな反応が多いなと思ったが、その設問が 「反省・後悔」の度合いを聞いているような質問になっているのだ。「反省してるんでしょ。その程度はどれくらいですか?」という感じだ。設問が対になっていないのだ。企業が従業員に対して行う「大変満足している、満足している、あまり満足していない、満足していない」というのと一緒だ。これでは「不満がある」という意見をすくい上げることができない。

この調査を企画した会社は不満をもっていて欲しかったのだろう。

調査 : ソーシャルゲーム、課金ユーザーの約6割「お金を無駄に使った」と後悔……Fastask調べ | RBB TODAY ブロードバンド、その他のニュース

 ジャストシステムは23日、「ソーシャルゲームに関する利用状況調査」の結果を公表した。セルフ型アンケートサービス「Fastask」を利用して実施したもので、「ソーシャルゲーム」利用経験者1,000名から有効回答を得た。調査期間は8月10日~13日。

 まず、ソーシャルゲーム利用者に対して、有料アイテムを購入するなどの「課金経験の有無」をたずねたところ、48.5%が「ある」と回答。もっともお金を使っている項目では、1位「アバター関連のファッションアイテム」(20.3%)、2位「回復/時間短縮用アイテム」(19.6%)、3位「ガチャ/景品くじ(コンプガチャ以外)」(16.2%)、4位「ガチャ/景品くじ(コンプガチャ)」(15.4%)となった。

 月間平均使用金額は、55.3%が「1,000円以内」で、課金ユーザーの89.8%が「5,000円以内」に収まった。一方で、月間平均使用金額が「30,000円以上」も2.3%存在した。

 さらに、課金ユーザーに、ソーシャルゲームに使用した金額について質問したところ、「反省・後悔している」「どちらかと言えば反省・後悔している」と回答した人が60.6%にものぼった。「反省・後悔」と回答したユーザーに対し、今後の使用金額について聞いたところ、「減らしたい」が46.3%、「ゼロにしたい」が40.8%となっている。

 また、コンプガチャの終了によって使用金額に変化があったかを聞いたところ、課金ユーザーの31.9%が使用「金額が減少した」と回答。「変わらない」が61.9%、「非常に増えた」「やや増えた」があわせて6.2%となっており、使用金額が減らない理由としては、「もともと、コンプガチャが動機ではなかったから」という回答が67.9%を占めた。

 なお、ソーシャルゲーム利用ユーザーに、費やしたプレイ時間について質問したところ、「反省・後悔している」「どちらかと言えば反省・後悔している」が41.2%になった。「反省・後悔」と回答したユーザーに対し、今後のプレイ時間について聞いたところ、「減らしたい」が55.6%、「ゼロにしたい」が16.3%存在した。

統計で嘘をつく方法、グラフ編 Another Misleading Graph of Romneys Tax Plan

統計というより統計の結果をグラフにするときに(意識的に)誤った方法で見る人の印象を操作することがおおい。ここでは、ゼロを示さないことでミスリードを狙った例として批判されている。

このグラフだけを漫然と見ると、何倍にも増えたように見える。しかし、実際には35%が約40%に増えただけだ5%の上昇は優位な上昇ではあるだろうが、このグラフの印象とはずいぶん違うはずだ。

日本のマスコミではこのような批判はない。それどころか、率先して使っている。日本のマスコミで流される調査結果では誤差について言及されることすらほとんどない。だからこそ、調査結果を見るときには注意しなければならない。

Another Misleading Graph of Romneys Tax Plan – Forbes

Figure 1. Source: https://twitter.com/DanaDanger/status/230851016344600576/photo/1/large
Once again we see how misleading a bar chart without a zero baseline appears. I’ve said before and I’ll say again that any bar graph needs a zero baseline.

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