調査対象者が金を払う調査なんて・・・

 第三者機関に委託したとはいえ、キャリアが依頼して行った実験に信頼が置けるのか?企業が「大丈夫」といったものが全然大丈夫じゃないことなんてちっとも珍しいものではない。

 公的機関による検証は国の責任として行って欲しいものだ。どうでもいい地上デジタルに大枚を捨てるくらいならこっちに金を回せと思う。

ITmedia ビジネスモバイル:携帯3社、電波の安全性「改めて生体への悪影響なし」と主張

携帯3事業者は、携帯電波の生体への影響に関する実験結果を公表。「電波の安全性について改めて検証できた」とした。
2007年01月24日 16時00分 更新

 携帯3事業者(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)および三菱化学 安全科学研究所は1月24日、同社らが共同で検討・実験を進める、携帯電話の電波の生体への影響に関する細胞実験の結果を公表。細胞および遺伝子レベルにおいても電波の生体への影響が確認できず、「携帯電話基地局からの電波の安全性について改めて検証できた」とした。

ワンセグの満足度?

oneseg 「提灯持ち」あるいは「あたらしもん好き」な日本経済新聞社だ。まるで、それが流行っていて、誰でもが消費している(使っている)かのような印象を抱かせるような記事で、企業経営者に積極投資を持ちかけている。特に、ネット関係ではその傾向がひどい。昔は、「個人ホームページ」であり「個人メルマガ」もあった。最近では「ブログ」もその一つだろうし(マスコミが騒ぐほどブログを書いている人間は多くないし、ホスティングもビジネスとしては不十分なままだろう)、今の一押しは「web2.0」だろう。

 他にも、高機能ケータイで日本が世界をリードしているかのような煽りで市場やメーカーに幻想を振りまいた(i-mode革命とかなんとかの大はしゃぎは忘れられない)。気付いたら、スマートフォン市場では日本は普及率からは考えられないようなスマートフォン後進国になっていた。まあ、日経新聞だけがミスリードしたのではなく、マスコミやメーカー、キャリア、政府、ユーザが一体になって踊ったのではあるが。

 今は、地上波デジタルテレビがターゲットらしい。そして、その中でも、最近の話題。ワンセグ放送については、良くあるアンケート調査で肯定的な意見を引き出している。これなら、総務省、経済産業省、テレビ局、端末メーカの御機嫌は麗しいことだろう。

 そこで、右の記事。いちいち指摘するのが面倒になるくらいに恣意的だ。継続してここを読んでくれている人には不要だろうが、一応。まず母集団。こんな偏った層にヒアリングした結果なんて参考にならないだろう。調査したところが、市場を限定して調べるためならともかく、新聞で一般的な傾向であるかのように書くのは間違い。というより、「ミスリード」。というよりさらに正確に言うなら、「煽り」か「提灯持ち」だ。

 調査は日経新聞とインフォプラント(また?)。調査の方法があいまいで誤差も書いてないという調査結果とは呼べないような稚拙なもの(正式の報告書にはあるかもしれないが、原本にあるのに紙上に載せないのなら日経産業新聞が稚拙だ)だ。母集団で分かるのは「携帯電話ユーザー1000人」ということでしかない。こんな調査で一般的な傾向を分析することは不可能。

 それは別として、気になった数字だけピックアップする。見出しでは「調査対象の5割が満足している」ような錯覚を持たせるがそうではない。「使ったことのある16.1%のうちの約5割がまあまあ満足以上の評価をしている」に過ぎない。しかも、その161人のうち実際に端末を所有した上で使用経験のある人は5分の1(全体の37名)に過ぎない。自分で所有していない端末については物珍しさもあり、高評価を与えるケースが多い。それを加えてもこの数字でしかないのが現実だ。

 本当にワンセグに対するユーザの満足度を調査したいなら、サンプル数が少なすぎて統計的に有意なものではないが、実際に端末を持っている37名にヒアリングするべきだ。俺の偏見かもしれないが、端末所有者の満足度を調査したら表に出せないくらい低かったんじゃないだろうか。それで、提灯持ちとしては表に出せなかったのではないか。

 ワンセグの街頭デモで、「すごいきれいに映るんですねえ」「欲しいです」とかいう光景をニュースで流していたが、実に嘘くさい。地上デジタルやワンセグを普及させたい放送局が流すニュースの取材で、否定的なコメントをしても流されないだけだ。また、その取材をしているのはワンセグがクリアに入ることが分かっている場所だけだろう。地下は当然、電車や建築物の陰などで電波状態が悪ければ映りは悪くなるはずだ。

 本当に「ジャーナリスト」が発信すべきは、ユーザが端末を買い換える(或いは買い換えない)選択に役立つ情報だ。それは、普及させたいことを肯定的に流すことではないはずだ。「テレビのニュースや広告は無責任だ。特にマスコミに関するニュースは全くあてにならない」と朝日新聞のジャーナリスト宣言でも言っているじゃないか・・・言ってないか?

 ワンセグについて、認識を新たにする情報もあった。

見切り発車の「ワンセグ」焦る携帯事業者が抱える”爆弾”
http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/itpro/hansoku/pdf/ncc20060401_1.pdf

日本テレビ放送網は3月,バラエティ番組「ダウンタウンDX」内で番組連動コンテンツをワンセグ向けに配信した。ここでは,それぞれのゲスト・タレントに画面が切り替わる直前に,そのタレントに関連したエピソードをデータ放送画面に表示する仕組みを取り入れた。日本テレビのメディア戦略局メディア事業部の佐野徹氏は「これまでのテレビでは体験できなかった,新しいサービスをワンセグで創造できる」と胸を張る。

 バラエティ番組に出演している芸能人のエピソードをデータ放送で流した日本テレビのメディア戦略局メディア事業部の佐野徹氏は胸を張っているらしいけど・・・バカにしてるのか?冗談か?本気で言っているならますますダメだ。
 
 否定的なことばっかり書いていても嫌われるばかり。少しは用途も考えてみたいと思ったが、現在の液晶ポータブルテレビを代替することくらいしか思い浮かばない。Wカップの結果をどうしても知りたければケータイのwebアクセスで分かる。移動中でケータイでテレビを観られるような条件のときに試合をやっている可能性などほとんどない(ほとんどのゲームが日本時間の夜中だろ)。やっていたからといって、野球のような緊迫的なシーンなどというものはサッカーという競技の性格上ない。数分から数十分の視聴時間のうちにいいプレーがあるなど考えられない(ま、元々そんなサッカーファンというわけでもないしな)。

 後一つだけ、これがあったらいいなと思えるのは、短い情報番組だ。短いニュースをエンドレスでループ再生するというのはどうだろう。どこで聴き始めても10分とか15分くらいで全部聴けるようなものを2時間おきに更新、あるいは回る寿司のように、ニュースを次々差し替えて最長2時間とか3時間とかで全て置き換わるとか。CNNのニュースヘッドラインpodcastは1時間ごとに一本約2分のニュース速報をアップロードしている。事件の大きさによって、流れる回数が調整されていて、重要なニュースが見過ごされることがない。このやり方を応用すれば移動時に最新ニュースをチェックすることが可能だろう。これなら、乗り換え時間とかで一本の番組を全部見ることができる。番組は1時間程度のスパンで入れ替えればいい。これなら月額150円程度なら払ってもいいと思う。昔のJ-phoneにあったブロードキャストメール配信サービス(「ステーション」と言ったような記憶がある)と同じような考え方だ。前の日本・韓国共催のときには、帰宅時間が放送時間に重なることが多く、電車の中で勝敗とか得失点とかが配信されたりした(ちなみに、このサービスも導入当初は日経新聞が大きく肯定的に採り上げていたな)。

 この考え方は、昔短波放送の深夜に繰り返し放送されていたニュースがヒントだ。その番組は、0時半から5時半まで1時間番組を5回流すというものだ。これが意外に便利。いつからはじめても1時間で必ず全部聴くことができる。そして、聞き漏らしていても1時間待てば必ず聞くことができる。ちなみに、ジョン・レノン射殺のニュースを聞いたのもこの番組だった。最初は信じられなくて、1時間後に聞きなおしたのだった。(蛇足失礼)

 しかし、この放送も実際には導入できないらしい。ワンセグは通常の地上波テレビと同じ番組を流さなければならないと法律で決まっているらしいから始める前から終わってる。お気の毒としかいいようが無い。

いい加減な調査分析@毎日新聞

 インチキくさい記事があったのでクリップ。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 選挙

衆院選:「必ず投票」75% 有権者の関心の高さ裏付け

 衆院選にあたり毎日新聞が実施した特別世論調査(1†3日)で、投票に行くかどうかを聞いたところ「必ず行く」は75%に達し、前回衆院選の同調査の71%を4ポイント上回った。選挙への関心の高さが裏付けられた形で、投票率にどれだけ連動するかも焦点になる。

 調査では、投票に「たぶん行く」と「必ず行く」を合わせると93%に達した。「行かない」「たぶん行かない」は計4%だった。前回衆院選と比べると、「必ず行く」は市部で70%から74%に増加。町村部では76%で同率だった。

 年代別では「必ず行く」は20代で56%、30代で66%にとどまり、若い世代ほど関心が低い傾向が続く。一方50代、60代では「必ず行く」が8割を超えた。支持政党別では、自民、民主、公明、共産、社民の各党支持層は「必ず行く」が8割を超える一方、無党派層は64%にとどまった。

 過去5回の衆院選で、特別世論調査と実際の投票率を比べると、90、93、00年で「必ず行く」と答えた人の割合と投票率はほぼ一致した。ただ、03年の前回は投票率の方が約11ポイント低く、実際には59.86%で過去2番目の低さだった。今回は「必ず行く」が75%に達しており、経験則に照らせば投票率が60%台に回復する可能性は高いといえそうだ。【堀井恵里子】
英文を読む英文を読む

毎日新聞 2005年9月5日 1時41分

 前回でも71%あったのだから差は4%しかない。サンプル数が分からないが、これだけ母集団大きい調査の場合、統計誤差が3%はあるはずだ。とても「有権者の関心の高さ裏付け」たとはいえないだろう。せいぜい「前回よりわずかに高い」という程度の表現が妥当だろう。むしろ、「マスコミの大騒ぎの割に低い数字」といってもいいくらいだ(ただし、前回の選挙の分析は必須)。

 しかも、「経験則に照らせば」って、経験則というのは、似たような条件下で繰り返し起こったときに得られるものであって、「前回の数字をそのまま使う」のは、経験則に照らすことにはならんだろう。

しょっぱい調査

 誰もが知りながら触れずにいたことに切り込んだ勇気に脱帽。俺はもう、役割を終えたのでいいが、息子の世代はさらに厳しくなりそうだ。

 しかし、女性の立場に立てば、生活苦が目に見えているような相手と何十年も一緒に生活していられないという気持ちも分かる。恋愛なんて数年で(というより、結婚したその日に)覚めてしまう。残っているのは「生活」という現実だ。しかも、教育にかかる費用や社会保険料、消費税などはかさむ一方だ。住宅事情も相変わらずだし。これらを少しでもやわらげてくれるものがあるとしたら、お金しかない。

 昔のように地域コミュニティや親戚コミュニティが機能していれば、子育ての負荷はもっと少なかったに違いないが、今では全く期待できない。

asahi.com:若い男性、年収少ないと結婚率低い 独立行政法人調べ††暮らし

若い男性の結婚率が、雇用の形態や収入の違いと強い結びつきがあることが、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査でわかった。25†29歳でみると、年収が500万円以上あると半数以上が結婚している一方、パート・派遣など非正規雇用者の結婚率は14.8%にとどまった。晩婚化や非婚化は若者の価値観だけの問題ではないことが鮮明になった。

 それ以前に、自分で自分の生活に重荷を載せてしまう社会心理的要因は大きい。これについてはいずれどこかに何かの機会があれば…

香ばしい調査

 香ばしい調査結果鑑定士を名乗る俺としては、こんな調査は避けて通れない。

asahi.com: 9割が著作権許諾なし 音楽ダウンロード社会

 「Winny(ウィニー)」「WinMX」などのファイル交換ソフトでダウンロードされた音楽ソフトの90%は、著作権を無視――。

 コンピュータソフトウェア著作権協会と日本レコード協会が31日発表した、交換ソフトの利用実態の調査でこんな実態が分かった。映像ソフトでも86%が、著作権の対象なのに許諾を得ていないという。

 「はぁ?」と声に出して言ってしまったが、lokiさんが的確に突っ込んでいるので、あらためて書くことはない。こちらをどうぞ。

ENSIS: 新人様が書いたのかな?

まず、見出しをセンセーショナルにするため(?)、大事な部分が抜けております。所謂、アプリオリ(大前提)の部分がまずい・・・というかやばい。

 次も似たような調査。まず、ケータイウォッチの記事。

先進的なITユーザーに人気のケータイメーカーはシャープ
 インターネット生活研究所は、年収の10%以上をIT関連製品やサービスで消費する先進的なITユーザーの消費動向に対する調査を行ない、「先進ITユーザー消費動向調査報告書2005」としてまとめた。調査期間は5月9日~16日で、インターネットを利用する男女1,850人から回答を得た。

 こちらが調査書の広告ページ。

インターネット生活研究所 – 先進ITユーザー消費動向調査報告書2005

 一般家庭におけるケータイやインターネットサービスプロバイダーの利用料金や、パソコンや周辺機器にHDDレコーダーやシリコンオーディオプレーヤーなどのデジタル機器の購入金額は、平均で年収の4~5%と言われている。しかし、中には年収の5~10%、中には20%を超える金額を、IT関連に支払っているユーザーが存在する。

 彼ら「先進ITユーザー」は、新製品や新サービスの情報収集に熱心で、また自ら製品を購入したりして実際に試すことを厭わない。それどころか、そこにある技術が新しければ新しいほど、試さずにはいられない。そういった彼らの製品に対する評価や、消費行動自体がその新製品の売れ行きを左右することもある。

 そんな先進ITユーザーの消費マインドを明らかにするために、今回IT関連のニュースサイトとしては国内最多のページビューを誇るインプレスWatchシリーズの読者を中心にアンケートを実施し、その分析結果をレポートとしてまとめた。

 調査内容は、年収に対するIT関連製品への支出を軸にして、IT関連製品やサービスに対する支出だけでなく、情報収集から実際に購入に至るまでの期間など、消費にかかわる行動について、さらにこれから市場に登場する予定の新技術に対する期待度など多岐にわたっている。

 情報家電メーカーや携帯端末メーカー、通信事業者のみならず、コンテンツ開発やIT関連メディアにとっても、今後の製品開発や企画立案に大いに役立つだろう。

 このページの下のほうに「IT消費指数」という、新しい経済指標(?)を提案していた。

<「IT消費指数」とは?>
IT関連の支出の合計(ISP接続料、NTT等回線使用料、ケータイ使用料、有料サービス料金、ハードウェア購入予算など)が年収に占める割合を示す。情報に対するエンゲル係数のようなイメージとして定義している。

 広告のページには見出しくらいしかないので、インプレスのリリースにある分析の要約を見ていこう。赤字は俺の突っ込み。

インプレス グループ:~インターネット生活研究所が「先進ITユーザー消費動向調査報告書2005」を発売~

先進ITユーザーにはシャープ製ケータイ端末が人気<2割以上のユーザーが使用>

 株式会社インプレス(本社:東京都千代田区、代表取締役:塚本慶一郎)のシンクタンクである「インターネット生活研究所は、年収の10%以上を IT関連製品やサービスで消費する先進的なITユーザーの消費動向、新技術・新製品に対する興味、嗜好など調査したレポート「先進ITユーザー消費動向調査報告書2005」を5月31日より発売いたします。

 「先進ITユーザー消費動向調査報告書2005」によると、年収の10~15%をIT関連サービスやデジタル製品で消費するユーザーにはシャープ製ケータイ端末の人気が高いことが分かりました。今回の調査におけるサンプル全体でのケータイのメーカー別シェアは、1位がシャープ(17.6%)、2位が松下電器(15.3%)、3位がNEC(12.3%)、4位がソニーエリクソン(11.8%)となっています。これをIT関連への消費の度合いでユーザー層を分けて見てみると、年収の10~15%をIT関連に消費する層はシャープ製端末に使用比率が22.1%と平均より5ポイントも上がり、2位の松下電器に7ポイントもの差を付けています。サンプル全体では3位のNEC端末は10.5ポイントと若干落ちて、4位のソニーエリクソン(13.7%)と順位が入れ替わります。また年収の5%未満しかIT関連に消費しない層では、シャープが16.2%、松下電器が15.5%、NECが14.6%と、上位3社がほぼ横並びになり、ソニーエリクソンが10.3%となっています。

『先進ITユーザー消費動向調査報告書2005』 注目の調査結果「注目」て・・・

■年収の10~15%をIT関連製品・サービスで消費するユーザーの1/3がインターネット通販でデジタル機器を購入する
 デジタル機器を主に購入する場所に関して尋ねたところ、調査対象の全体ではターミナル駅に立地するカメラ系大型量販店が最も多く(28.8%)、次いで郊外型の大型量販店(25.4%)、インターネット通販(25.2%)となって、この3つで約8割を占めている。また、年収の 10~15%をIT関連製品・サービスに投資するユーザーに絞ると、インターネット通販が32.1%にまで伸び、カメラ系大型量販店の28.7%を抜いて首位となる。逆に郊外型大型店は19.6%にまで落ちる。

 IT先進ユーザーでなくても25%が通販というのが調査の母集団の異常な偏りを示していないだろうか。デジタル機器を個人が購買する場合の購入先でネット通販が25%もあるとは信じがたい。

■FTTHはIT関連製品・サービスの消費が大きいほど導入率も高く、消費が少ない層とは最大で10ポイントの開き
 家庭におけるインターネットの接続方法はADSLが首位で(54.6%)、2位は27.4%で光ファイバー、3位は11.7%でCATVという結果。 FTTHの導入をIT関連への消費比率別に見ると、IT関連の消費が年収の5%未満のユーザーは22.9%なのに対して、年収の15%以上をIT関連製品・サービスで消費するユーザーは33.1%が導入しており、10ポイントの開きがある。

 ここでも母集団の特異性が際立っている。ブロードバンドが93.7%もある。一般家庭へのブロードバンド普及率は50%にもいってない。また、他の調査ではIT関連製品・サービスに投資するユーザーをIT先進ユーザーとして扱っているのに、ここでは15%以上となっている。10%~15%とするとあまり差がなくなってしまったんじゃないか。自分の都合の良い結果を導くために母集団に対する調査結果でしかないものを一般化したり、セグメント分けを変えるような調査は信用できない。

■年収の10%以上をIT関連の製品・サービスで消費するユーザーの50%以上がケータイを2年以内に変更する
  ケータイの買い換えサイクルは、全体では1年以上2年未満が34.1%、2年以上3年未満が33.4%となって、この2つでほぼ7割を占めている。1年以内に買い換えるというユーザーは6.8%にとどまる。 IT関連の製品・サービスへの消費比率別に見ると、ケータイを2年以内で買い換えるというユーザーは、年収の15%以上をIT関連で消費する層では半数以上(55.4%)なのに対して、IT関連の消費が年収の5%未満の層で31.7%にとどまり、20ポイント以上の開きがある。

ここでは10%以上。

■先進的なITユーザーほどケータイに新機能・新サービスと使い勝手を求める
 ケータイの買い換え理由を尋ねたところ、全体では「バッテリーの劣化」(1位、33.4%)と「新しいサービス・アプリを使うため」(2位、 30.0%)が飛び抜けており、続いて「3Gに移行したい」(3位、17.4%)、「現使用機種の使い勝手が悪い」(4位、15.7%)の順になる。IT 関連の消費比率別でみると、年収の15%以上を消費する層はバッテリーの劣化が29.5%まで落ち、新サービス・アプリの利用を買い換え理由に挙げる人が 37.5%まで伸びる。また「現使用機種の使い勝手が悪い」も21.0%と全体よりも6ポイント高くなっている。

また15%。それに、50%以上が2年以内(これが2年11ヶ月を含むのか2年未満を意味するのか不明だが)に買い換えるというユーザーの交換理由が「バッテリーの劣化」なはずはないだろう。

■先進的なITユーザーはマルチコアCPUと超高速無線LANに期待が大きい
 これから登場予定の新製品や新サービス、新しい技術が発売された場合、購入したいかどうかを尋ねたところ、もっとも期待が大きいのは次世代 Windows(37.8%)だった。その他の上位では、マルチコアCPU(26.8%)、Blu-ray Disc(25.8%)、モバイルIP電話(25.3%)、HD-DVD(24.2%)などに期待が集まっている。ITへの消費比率別では、先進的なIT ユーザーほど、ほとんどの技術・製品において一般層よりもポイントが高くなっているが、なかでもマルチコアCPUは35.5%と約9ポイント高く、 IEEE 802.11nも15.7%と全体(10.3%)よりも5ポイント高くなっている。

一位の「次世代 Windows」について見出しにしないのは何でだろう。超高速無線LANなんて15%しかない。どんな調査項目で「期待」を測ったのかわからないが、チェックボックスの複数回答に違いない。新しいものの名前を並べて「期待するものにチェックしてください」というような調査では何も分からない。最低でも回答数を制限しないと傾向は分からないだろう。高い数字を欲しい時に良く使われる調査だが、得られるものはほとんどない。

< 調査方法>

調査対象:インターネットを使っている男女個人
対象地域:全国
調査手法:インタラクティブウェブ調査
サンプリング:株式会社インプレスがインターネットを通じて提供するデジタル総合ニュースサービス「impress Watch」のウェブページで告知し誘導。また、「impress Watch」や株式会社インプレスが発行するパソコン入門書「できるシリーズ」の読者向けメールマガジン、ECサイトである「インプレスダイレクト」の利用者へのメールマガジンでの告知により誘導。
最終有効回答数:1,850人
調査期間:2005年5月9日(月)~16日(月)

 細かい突っ込みは赤字で入れた。ここからは、全体にかかるものだけにしたい。まず、「IT関連製品やサービス」の内容が説明されていない。ビデオやテレビがIT機器に入るのか?ケータイ電話もかなり怪しい。IT機器と呼べるかもしれないが通話料が多い人をして「先進的なITユーザー」とは思えない。

 また、「年収の10%以上をIT関連製品やサービスで消費する」人と「先進的なITユーザー」との関係が不明。母集団が全く分からない。その人の生活の中でIT関係に支出する傾向が強いだけで、先進的かどうかは関係ないだろう。年収が低ければ、ケータイ電話と回線費用だけで10%以上支出することになるかもしれない。ケータイの支出にPCやHDDレコーダーを買ったら年収の10%超える人も多いだろう。そして、突発的に10%を越えただけの人が来年以降も「先進的なITユーザー」として消費を引っ張るとは思えない。高価な財を買えば係数は上がる。係数の高い人間が高価なサービス(ADSLよりFTTH)を使っているのは、先進的だからではなく、高いサービスを使っているから係数が上がったに過ぎないだろう。

 「IT消費指数」がエンゲル係数のようなものということもおかしい。食費は、一般的な社会生活を営む大多数の人間は大きくは変わらない。収入が少ないからといって、月1万円では生活できない。かといって、年収が3倍になったからといって、5倍の食費を使うことも考えられない(外食や飲み屋の散財は食費ではなく遊興費)。だからこそ、世帯に占める必要最低な支出が収入の何パーセントになるか。それによる、生活の「きつさ・余裕」を表す指標として普遍性があるのだ。だから、国や通貨が違っていても比較することが可能なのだ(その他の税や社会保障費負担は添付資料として必須だが)。

 エンゲル係数の高い家庭が消費の牽引になるかどうか考えてみろといいたい。エンゲル係数の高い家庭のメニューが先進的だと思っているんだろうか。この指標を思いついたときに疑問に感じなかったんだろうか。

 繰り返しになっているかもしれないが、高い財を利用している人間の支出割合が高いのは当り前だ。「たくさんタバコを吸っているヘビースモーカーはタバコに対する支出率が高い」というのと同じだ。同じことを別の言い方で言っているだけなのだ。

 先進的なITユーザーというものの定義も分からない。ユーザーなんだから開発者や管理者ではないだろう。ビンボーなのにケータイ使いまくりの人?金持ちで次々最新パソコンを買い換える人?そんなセグメントとして共通点の少ない集合の好みを聞いたからって何か意味があるのか。PCやケータイに金をかけている人は却って先進的とは思えないのは俺がヲタなせいだろうか。しかも、分析項目によって、10%以上だったり15%以上だったりするし。また、その「先進的なITユーザー」がこの調査の何パーセントだったのかが、ここでは全く分からない。

 本の宣伝だから、詳細を書く必要はない。しかし、その調査結果を記事として紹介する場合は、その記事にした数字の根拠は示すべきだ。この場合は、「先進的なITユーザー」の数だ。これが示され始めて、「インプレスのサイトでやったアンケートで、年間収入の10%以上をIT関連に消費しているヲタXXX人ではシャープを支持する人が多いんだな」ということが分かる。

 こんな胡散臭い調査をしている「インターネット生活研究所」とは何だとリンクをたどったら、インプレスのグループ企業だった。

インターネット生活研究所

 ネット社会の普及期である現在、進むべき方向性については模索が続いています。 インターネットの普及率が半数になった今も、家庭や仕事場において、IT利用による本格的な効能はまだ表れていないのではないでしょうか。企業においても、IT投資による経済効果や効率向上が実感されているとは思えません。また個人レベルでも、デジタル化による生産性や楽しみ以上に、テクノストレスも生み出しています。  情報流通が水平方向に変化しているのに、企業の情報システムや商品開発プロセスが、まだ従来の一方通行モデルから抜け出せていないのでは、と疑問に感じ続けてきました。これが、このインターネット生活研究所(※1)を設立した最も大きな理由です。
 我々は研究活動を通して、商品開発を行う企業と、それを利用する消費者の距離を近づけ、利用者参加型の商品開発を提案します。それにより、企画・設計・製造・宣伝・販売という既存の商品開発プロセスの変革を起こそうとしているのです。結果として、企業においてはインターネット文化の成熟期(※2)にふさわしい商品やシステムのあり方、また利用者においては豊かな個人生活の実現に貢献したいと願っています。

 「個人レベルでも、デジタル化による生産性や楽しみ以上に、テクノストレスも生み出しています。」というのは、一般的な認識なのか?個人生活におけるテクノストレスって何だよ。初めて聞いたよ。PCの調子が悪くてストレスがたまることは人一倍多いが(^^;

 進むべき方向を模索するための調査に変なバイアスをかけるのはどうかと思う。というより、ミスリードに繋がると思う。個人が個人のサイトでアンケートをして好き勝手な解釈をするのは構わないし、大好きだ。しかし、マスコミが普遍性のある情報のように垂れ流すのは害がある。インプレスと日経BPはこういう業界ちょうちん持ち調査分析が多いから、見ていて楽しい。

母集団を書けインフォプラント

着メロ利用率は8割超、インフォプラント調査 – nikkeibp.jp – ニュース

着メロの利用者は全体で83.5%にのぼり、男性(78.3%)より女性(86.2%)で高い。年代別では、全世代で7割を超えており、最も多く利用しているのは40代の女性(89.2%)、次が50代の女性(89.1%)だった。

着信音の入手先(3つまで選択)は、「着信メロディ専門の有料サイトから」が62.8%で最も多く、女性(66.1%)の方が男性(56.1%)より利用率が高い。また、若者ほど有料サイトを利用する傾向があるという。

調査は、iモードの「とくするメニュー」、EZwebの「おトク・知っトク」、Vodafone live!の「とくトク情報局」の各サイトで10月25日から11月1日までの一週間行った。有効回答数は2万3093人(男性33.6%、女性 66.4%)。(三好 豊=Infostand)

 相変わらず、いい加減な調査(といえるのか?)を披露してくれる。母集団はなに?ケータイwebサイトに応募してくるユーザーは一般ケータイユーザーをこれっポッチも代表していないだろ。そこに応募してくるだけで十分にコアなヘビーユーザーだろう。

 それに、着メロの利用者といううちの多くは端末に初期登録されたものから設定しているだけじゃないのか?

 また、着メロ利用率最高の50代女性の人数は何人だ?50代でケータイウェブサイトにアクセスしているのは相当コアに近い層だろう。しかも、その中のたまたま数人が着メロ使っていただけじゃないのか?

 「ケータイウェブユーザーのうち」という本質的な前提条件を隠して、「ケータイユーザーの8割」と書いて消費の旺盛感(こんな言葉あるのかどうか知らないが)を盛り上げようと必死なインフォプラントと日経だ。

 ケータイメーカーもそろそろこんないい加減な調査に頼らずに、地に足の着いた開発をしたほうがいいと思う。まあ、実際には頼ってないかもしれないが、そうなら何で「Excelのワークシートを読めるケータイ」なんて発売したのか問い詰めたい。どれくらいの販売台数で収益が出たのかどうか、発売以降一切話題に上らないので分からないが、少なくとも「大ヒットして次々類似機種が発売」されてないことは間違いないだろう。

 あんなものが使い物にならないことは自分で使ってみれば分かるはずだ。

中堅・中小企業のIT化不満がたった4割?

情報化投資:結果に不満な企業が4割 社会経済生産性本部
情報化投資:
結果に不満な企業が4割 社会経済生産性本部
 情報化への投資に不満を感じている企業が37.4%に上ることが社会経済生産性本部の調査で明らかになった。「大いに満足」は2.3%しかなく、情報化への投資の難しさが分かった。

 調査は全国3000の上場企業の代表者を対象として1月に行われた。回答率は10.3%と低めだが、あえて企業トップに回答を求める設問をとった。

 それによると、情報システム部門の役割について「各業務のプロセスを俯瞰(ふかん)でき、具体的改善案を提案できる」と高く評価したのは33.2%あった一方、「各部門とのコミュニケーションが緊密でない」は32.3%、「情報システム部門は手一杯で提案どころではない」が12.9%、「提案する風土がない」が12.3%であり、3分の2近いの企業で課題を抱えていた。

 また、「ほぼ全従業員が必要な機能を使いこなせる」は18.1%しかなく、何らかのサポートを必要とする社員がいる企業が半数近くに上った。

 システムが実際に成果を上げているかについて、「成果をほぼ把握している」は45.5%にとどまり、「あまり把握できていない」の47.7%と並んでおり、情報化の題目は進むものの、経営トップが意味を理解していないことが浮き彫りになった。分野別でみると、「財務・管理会計」は85.7%が「効果を上げている」のに、「顧客管理」は59.6%、「意思決定支援」は55.4%とジャンルによって成果は違う。

 情報投資に「大いに満足している」企業の回答をみると、「戦略目標と情報化投資を整合する」「情報化推進効果の具体的な目標をたて、定期的に検証する」「情報システムはパートナーや顧客からみても使いやすくすべき」などの共通点があり、同本部は「これらの取り組みを参考にしてほしい」としている。【柴沼 均】

 2004年4月14日

 この記事には問題点がある。社会調査のウソで散々指摘したのと一緒。回収率10.3%ということは、実際には309社の意見を聞いたに過ぎない。1社あたり0.3パーセントにもなるサンプルの評価に小数点以下のパーセントを使ってはいけない。

 これに答えたのは、ほんの一部の自社のシステムについてかすかにでもイメージのある、そしてシステム化について感心のある経営者だけだろう。その結果が、辛いか甘いかは判断不能だ。

 ただ、一つだけ浮かび上がることがある。つまり、日本の経営者の大半はシステム化について明確なイメージもなく、自社のシステム部門に対しても評価できていないということ。関心の高いことで経営課題として強く意識している経営者なら、例え忙しい人間が多いとしても、こんなに低い回答率にはならないだろう。

 それと、言わしてもらうなら、経営者宛への名前が書いてあっても、実際に回答しているのが経営者とは限らない。というより、俺はこの「社会経済生産性本部」からのアンケートに答えたことがあるぞ。社長というのは代表者であって、経営者個人という意味では捉えないからな。そうなると、無関心であるかどうかすら分からなくなってしまうが(^^;

それは誤差の範囲ではないのか

 調査、というより調査の評価に対して突っ込むのを趣味としているが、CNNのこの報道には感心した。前にも、TidBITSのメンバーが購読者に行った調査結果について、何度も母集団の特殊性について注記していたことを思い出す。やっぱり、アメリカのジャーナリストのほうが日本の新聞記者より調査についての基礎知識はあるようだ。

6激戦州でブッシュ、ケリー両氏は互角 世論調査
:CNN.co.jp – USA

2004.11.01Web posted at: 12:15 JST

(CNN) CNNはUSAトゥデー紙、ギャラップ社との共同世論調査結果を31日、発表し、米大統領選の投票日直前に、勝敗を決する「激戦州」とされる6州で、共和党現職のブッシュ氏と民主党候補のケリー氏が、ほぼ完全に互角で並んでいると明らかにした。

ブッシュ氏とケリー氏のどちらに投票するか調べた今回調査は、選挙人数を多く抱えながら、趨勢が決まっていないとされるウィスコンシン、ミネソタ、アイオワ、ペンシルベニア、フロリダ、オハイオの各州で、それぞれ登録有権者約1300人(うち投票予定者は約1100人)を対象に、27~31日にかけて行った。統計上の誤差は±3%

 調査を公表する記事としては、統計誤差を書くべきだ。この記事だって、統計調査の前提条件全てを満たしているとはいわないが(サンプリング方法や有効回答率についての記述がない)、ニュース記事としては許せる範囲だろう。

 対比としてだめな調査、というより、結論先行型の調査。出したい結論が先にあって、それを補強するためだけに調査を行った例。

ITmediaモバイル:着うたフル「魅力を感じる」は3割強──C-NEWS

C-NEWSの調査によれば、回答者の約7割が「着うた」のダウンロード経験がないが、経験者の5割は着うたの内容に満足している。また、まもなく提供開始の「着うたフル」に魅力を感じているのは3割強。

 インフォプラントが運営するインターネットリサーチサイト「C-NEWS」は10月28日、携帯電話の着信音に関するアンケート調査の結果を発表した。

 同調査では、とくに「着うた」の利用動向や、KDDIのauが11月から提供開始予定の「着うたフル」(関連記事)に対する利用意欲をたずねた。調査対象は、ドコモ/au/ボーダフォンのインターネット接続機能が使える携帯電話を所有している15~39歳のインターネットユーザー300名。

 「着うた」のダウンロード経験に関しては、ほぼ7割が「ダウンロードしたことはない」と回答した。

 着うたダウンロード経験者のうち、着うたに「満足」または「まあまあ満足」とする人は5割で、その理由としては、「本人の声で流れるのでいい」「CDに近い音声だから」などが挙がった。一方、不満とした人の理由では「音が悪い」「料金が高い」が目立ったという。また、着うたでダウンロードしたことがきっかけで、その曲のCDなどを購入したことが「ある」人は4%だった。

 「着うたフル」に魅力を感じるかどうかをたずねたところ、魅力を「感じる」人が3割強だった。逆に、「感じない」人は5割弱で、「携帯で音楽を聞く必要性がない」などの理由を挙げている。

 「『着うたフル』に魅力を感じているユーザーがケータイユーザーの3割もいる」と思ってはいけない。

 まず、母集団。インターネットサイトで「携帯電話の着信音について」の調査に答えるようなアクティブユーザーがケータイユーザーを代表するサンプルではない。

 また、誤差についても言及がない。割単位で表現しているのでいいが、「着うたをダウンロードしたことのあるユーザー」という問いでは母集団はわずか90人しかいない。

 この調査からいえるのは、「着信音に関心の高いケータイユーザーの中ですら3割しかダウンロードしたことはなく、ダウンロード経験のある45人のうち半数は満足していなかった」ということだろう。もちろん、「ケータイ着信音の市場として有望なユーザー300名の調査によると、ダウンロード経験があるユーザーの半数は満足しており、全体の3割は『着うたフル』に魅力を感じている」とも書ける。

 実際には、もっと絞り込んで使うのだとは思うが。この調査会社のクライアントには錚々たる企業がならんでいて、暗い気持ちになる。こんな提灯持ちの調査会社を使ってるから日本の家電品はダメなんじゃないのか。

社内調査のウソ:解答編

 先日書いたエントリーの宿題(?)について、一件貴重な解答を頂いていた。ありがとうございます。

 解答編を書いたものの下書き状態のまま放置していた。説明が不十分で後出しジャンケンになっているところがありました。では、頂いた解答。

むー『社会調査のウソ』は読んだのですが、この問題は難しいですね。
結局、結論の是非についてははっきり断定できませんでした。
気になったのは以下の通りです。

1)会議の成果について全く触れられていない
2)会議で出た結論に対する事後検証が必要ではないか

開催された電子会議には「電子会議でできるから会議を行った」会議はなかったのか。
つまり出張してでも開催する必要がある会議を電子会議に置き換えられればコスト削減といえるが、そうでなければコスト削減ではない。ひょっとすると、手軽に会議ができるから、しなくてもよい会議を増やしコスト増になっているかもしれない。
また、Face to Faceでは良く意見を出すメンバーが消極的になっていたとしたらそれだけで損失。

3)もともと「電子会議」好きなメンバーしか参加していないとしたら好意的な意見しか集まらない。

4)60%という数字は妥当か

5)回数は正しくカウントされているか。
ここで言う「電子会議」がチャットのようなものならともかく、掲示板形式なら非同期コミュニケーションなわけで、回数とはどのようにカウントされているのだろうか。

6)参加メンバーが会議へ参加していることはどのように確認されているのだろうか。

7)ナニな中間管理職に、果たしてバイアスなしの正当な「聞き取り」ができるかどうか不安。
※番号はpanhead

1)については、俺の良く知っている会社の例として会議は会議のためのものであって、成果は求められないので、電子会議システムの効果の有無については関係が有りません。

2)これについても、結論は元々出ないのが通常なので、余り意味は有りません。ただし、説明で指摘されている「出張してでも開催する必要がある会議を電子会議に置き換えられればコスト削減といえるが、そうでなければコスト削減ではない。ひょっとすると、手軽に会議ができるから、しなくてもよい会議を増やしコスト増になっているかもしれない。」という指摘は正解。

3)正解。調査の母集団の選択の問題ですね。「XXを使っている人100人に聞きました」というのを良く見るがそれと同じ。

4)正解。会議の回数自体が水増しの可能性があるところに「少なめに見積もりました」といっても正しいコスト計算の基礎数字にはならない。

5)すみません。これはこちらの書き方のミスですね。電子会議とはパソコンを使わずにやるテレビ電話会議みたいな感じです。だから、記録さえちゃんとしてあれば(その会社ではこれすら怪しいんですが、それは別問題・・・)、カウントミスはないはずです。

6)正解。全く、参加者のあいまいな記憶のみを頼りにしてたようでした。

7)正解。「バイアス無し」は無理以前に、「部長から効果があったかどうか調べるようにと言われまして・・・」と、効果があるとする意見しか聞かないという姿勢でした。(さすがにナニなヤツです。)

「結局、結論の是非についてははっきり断定できませんでした。」は大正解。そう、この調査はコスト削減効果についての調査になっていないというのが結論でした。もちろん、さいもんさんは優を差し上げます。さいもんさんの常識を下回る会社ですみませんm(_ _)m

下に、さいもんさんの解答と重なっているとは思いますが、前に書いた解答編をそのまま載せておきます。

  1. 「調査せよ」ということは、「コスト効果があることを証明する資料を作れ」としかナニには聞こえていない。こんな前提でスタートした調査が正しい訳がない。
  2. 開催された遠隔会議の回数にどれだけの意味があるのか分からない。普及のためだけにたいした必要もないのに行われた会議があったはずだ。
  3. 企業の場合、年間サイクルで会議の繁閑がある。過去の同時期の会議の回数との比較が必要。
  4. ナニは電子会議を普及する普及活動を行っていた。こんな人間から「電子会議は便利ですか?」と聞かれたら否定的な意見を言うことは不可能(しかも、背後には総務部長がいて、コスト削減効果がなかったということは彼の顔をつぶすというこを意味する)。また、否定的な意見を持っている人間は調査自体を拒んだだろう。
  5. 調査の対象が電子会議使用者に限定しているので、否定的感触を持っていて使っていない人間については全く対象になっていない。
  6. コストの削減効果を判定するなら、このシステムを稼働させるためにかかったコストを調べなければならないが、それについて一切行っていない。システムを稼働するためには、ハードウェアやソフトの使用料を始め、インストールのために費やした人的・時間的・金額的コストもかかっている。一時的費用を短期間のランニングコストに上乗せするのは間違いだが、イニシャルコストとして平均期間(リース期間で割ればいいだろう)の固定費として上乗せする必要はある。そして、これらのコストと昨年度に使った出張費用と比べないとコスト削減効果があったのかなかったのかは判断できない。
  7. 結論について、は「この調査ではコスト削減効果があったかなかったを断定することは不可能」が正解。何せ、一切コストの比較対象がないのだから。

 こんなものが通ってしまうのが俺の良く知っている会社だ。一番の問題は、ナニに調査をさせたことだ。というより、「コスト削減効果があった」ということを証明するための調査など無意味だということを上級管理者が意識していないことだ。本当に調査する気なら別の部署にやらせないとダメ。

 それ以前に、このシステムを入れようと言い出したのが、情報部門で、そのための効果が予想されるという調査をでっち上げていた。この時点で十分な監査をしなきゃダメ。こういうものがまかり通って、不要なシステムを抱え込んでいるのが今の日本のITの現状だ。隠れコストはなあなあでごまかしてしまうのだ。

「社会調査」のウソ・・・

脱北者の1割がPTSD 東邦大病院医師が30人と面接 – asahi.com : 社会

脱北者の1割がPTSD 東邦大病院医師が30人と面接

 北朝鮮から日本に入国した脱北者の多くが、家族や知人を飢餓で亡くしたり、公開処刑を目撃したりといった経験をしていることが、東邦大学大森病院精神神経科の李創鎬(リ・チャンホ)医師(37)の調査で分かった。こうした体験に日本での生活不安などが重なり、約1割は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。26日、神戸市で開催された世界社会精神医学会で報告された。

 李医師は5~8月、在日本大韓民国民団が支援する約50人の脱北者のうち、協力が得られた30人と面接した。19~66歳の男性13人、女性17人。帰国事業(59~84年)で北朝鮮に渡った在日朝鮮人と日本人は18人で、12人は北朝鮮で生まれた彼らの子孫やその配偶者だった。

 北朝鮮での体験を尋ねた選択式の質問(複数回答)では、「家族や知人が餓死した」と答えた人が27人と最多だった。次いで「他人が公開処刑されるのを見た」(20人)、「病気の家族や知人を助けられなかった」(19人)、「政治的ミスで処罰される人を見た」(18人)――など。

 日本にいる脱北者の心の健康に注目した調査のため、個人の体験の具体的な聞き取りはしていないが、政治的抑圧や食糧難の様子が浮かび上がった。

 調査についての本を読んでから楽しみにしていたものが出た。この数字が多いか少ないという議論ではない。本文に書かれている条件を考慮すれば少ないといってもいいくらいだと思う。問題なのは、たった30人の調査数を、「1割」という普遍的な印象が強い率として発表する姿勢だ。