SNS脱落第一号

 ユーザー数が全てといってもいいのが SNS などのコミュニティサービスだ。そして、これは先攻が圧倒的に有利となるという特徴がある。ディレクトリサービスの Yahoo!、オークションのヤフオク、SNS の mixi などがそうだ。mixi はまだ収益に結びつくのかどうかは分からないが、少なくとも日本のネットワーク市場を圧倒的なリードを保ってリードしている。

 日本のオークション市場でヤフオクが圧倒的地位を得て、アメリカではオンラインオークションの代名詞となっている eBay が敗れ去ったのも同じ理由だ。皮肉なことに、アメリカ市場では先攻した eBay が Yahoo! を蹴散らしている。

 これを覆すには、google のような圧倒的な革新性と先行者の失敗が必要だ。検索市場ではAltavistaをはじめた DEC が compaq に買収された頃から急激に力を落としていた。その後の混沌状態があったから google は芽を出せたのだと思う。

 SNSの場合はさらに後攻は不利になる。同じ日記を何回も書く人はいない。コミュニティについても一カ所に入り込んだら平行することはむずかしい。複数のSNSのアカウントを持っていてもメインは一つという人が大半だろう。

 コミュニティサービスでは賑わっていなければ人は去っていく。良くも悪くも加速度がついてしまうのだ。会員数がのびなければ広告を載せても効果は上がらない。マーケティングデータについても件数が少なければ信頼性が低く、クライアントもつきにくいだろう。

ITmediaニュース:あるSNSの最期 ドタバタの末に幕を閉じた「UUME」

 「GREE」「mixi」のヒットに始まり、次々に登場したソーシャルネットワーキングサイト(SNS)。その1つ「UUME」が3月20日、姿を消す。ユーザーサポートがなくなり、運営企業が突然変わり、掲示板の書き込みが削除され、アクセス不能になり終えんの兆候はあった。サービス終了を知らせるメールは3月11日午後、ユーザーのもとに届いた。「はた迷惑な散り方だよね」
ドタバタの末の閉鎖宣言に、ユーザーは不満を募らせている。

 blog のホスティングは SNS ほどの排他性がないし、加入者の水増しが簡単なので、今の所どこのサービスも順調に数字(だけ)は伸びている。しかし、こちらも供給過多になっているように感じる。ISP がそうであったように blog も淘汰が始まるまで時間の問題だろう。

Yahoo! BBの純増が過去最低

Yahoo! BBの純増が過去最低,「おとくラインに力を振り向けた結果」 : IT Pro ニュース

 純増数が5万を大きく割り込んだ理由は三つ考えられる。一つが「ユーザー獲得のリソースを固定電話サービス『おとくライン』に振り向けている」(広報室)という点。ソフトバンク・グループの主要な代理店が,日本テレコムのおとくラインのユーザー獲得に力を入れている。二つめは2月が営業日が28日しかないこと。三つめは,事業者やエリアによっては回線の純増数がADSLを上回るなど,FTTH(fiber to the home)への移行が始まっている点だ。

 2月要因は分かるが、1の影響度は分からない。関西電力エリアでは3の要因がもっとも強い影響があったと思う。

 自分の経験でいくなら、関西地方では価格的な合理性を失ってしまったため、減っているのではないかと思う。Y!BBの一番のアピールポイントである価格で優位性を保てなくなったら何も残らない。ケータイキャリアのような番号や割引による縛りをもたない分、回線業者は厳しいだろう。

 しかも、Y!BBを使っているユーザーは価格に敏感なユーザーが多いはずだ。それ以前から使っていたISPをY!BBに移行したユーザーが多いはずだ。価格にも新サービスへの対応も早いユーザー層がADSLと大差なくなった光サービスを見逃すはずがない。今は、一時期のY!BBと同じように工事可能数=開局数という状態だろう。そしてそれは、かなり多くの割合がY!BBの減少数だ。(もちろん、これはNTT西日本の純減に直結するがそれは別の話題。)どこかの誰かに、現在契約中の回線業者とISPの利用状況と移行性向の相関について調査して欲しい。俺の予想では、「フレッツ+大手ISPユーザー」は回線種類が変わっても今の組合せのまま使い続ける人が多く、「Y!BBユーザー」は回線種類を変えるときに回線業者とISPを変えることに躊躇しない人が多いと思う。

 元々株主ではない。今では、ユーザーでもなくなったのでY!BBの動向はどうでもいいが、既存サービス業者への牽制球として生き残って欲しい。だが、eoのようなNTT回線に依存しない競合業者の出現はY!BBの構造的弱点を突くものだ。そのために日本テレコムを買い取りラストワンマイルを自前の回線に組み込もうとしているのだろうが、間に合うのか?「お得ライン+Y!BB光+BBフォン」を5200円以下に抑えられればいいが、そうでなければ、関西地方はeoに軍配が上がるだろう。対抗できるのは、NTTの営業力を活かしたフレッツ陣営くらいのものだ。地方の高年齢層にはNTT信仰のようなものがあって、NTTの営業マンが来たら話を聞いてしまうようだ。しかも、回線接続の際には無料でPCのメーラーの設定までするというサービス振りだ。ここの読者にはウザイだけだが、高齢者には心強いだろう。俺も、dyndns と apatch と BIND と PHP と MT と MT のスパム対策設定をやってくれるんならそっちにしたいくらいだ。あと、SSH、FTP、webDAV、Rendezvous(webDAVの一種か?)とかもやってくれるISPないかな・・・

Y!BB と完全におさらば

 約2年間頑張ってくれたモデムを送り返した。見た目は悪いが、トラブルもなく24時間稼働してくれた。電話が鳴らないことが多かったが、かえって都合の良い時もあった(^^;

 NTTの回線休止通知も来たし、2ヶ月くらいしたら両方の請求も終わるだろう。毎日、yaho!BBの開局情報を求めて掲示板に集っていた頃が懐かしい。あの頃は、光ファイバーを自宅に引くことなど考えもしなかった。光の利便性がコストを上回るとは考えられなかったから。それが、たった3年でADSLと同等以下になるとは信じられないほどだ。

 今でも、月額の価格差が2000円あるんだったら俺は光にしなかっただろう。巨大データのダウンロード/アップロード以外にはあまり体感スピードは変わらないから。こちらの回線の速度が速くなっても、関心空間やmixiのレスポンスが上がることはない。

 少なくとも、関西地方のネットワークはeoで決まりだ。ラストワンマイルの物理的配線ができるものが勝つという予言のとおりになった。これを覆せるのは無線しかないだろう。しかし、無線が有線に勝るコストパフォーマンスになるには相当な時間が必要だろう。

 とにかく、Y!BBさん、ご苦労さんといいたい。Y!BBがなければ、eoもなかっただろう。というより、eoの価格がこんな低価格で提供されることはなかったはずだ。

関心空間の次はSNSか

 blogに飽きた新し物好きの間で、去年くらいから話題になっているのがSocialNetworkService(SNS)だ。googleがサービスしたのがきっかけで日本でもいくつかのサービスが立ち上がった。

 5月頃にキヌガサにはアカウントを持っていたが、馴染めないまま放置していた。先日、mixiにお誘いいただいて、アカウントを作ってみた。こちらも、イメージが掴みきれないまま活用には至っていないが、感じたことをwikiに書きなぐってみる。mixiについての雑感

 SNSのアメリカでの盛り上がり方(wiredなどでの取り上げられ方)を見ていると、blogと同様の日米の差を感じる。アメリカではblogを新しいジャーナリズムとして取り上げられることが多かった(実は、webサイトだって90年代にはそういわれていた)。ジャーナリズムとしての立場をとるには、そこに書くことは不特定多数に公開(当然、批評に晒されることも)が前提だ。そして、その上で本名匿名にかかわらず、エントリに責任を持つという姿勢が求められる。そういう文化がコメント・トラックバックだろう。前にも書いたが、トラックバックによる評価は論文の評価で使われるのと同じ思想が流れているようだ(これはgoogleのランキングにも通じる)。

 それに対して日本では、web日記ツールとしてのblogが中心となったようだ。だから、無断トラックバックお断りなどという問題が出てくるのだろう。公開文書をネット上に晒しながら、批評を受け入れないのはweb日記文化と呼べるかもしれない。問題となるのは、批評・引用OKのサイトと引きこもり系サイトが混在していることだが、それはまた別の問題。

 SNSにも同じような差があるような記がする。アメリカのSNSに入ったことがないので分からないが、伝え聞く雰囲気では、初期のホームページ文化のようだ。そう、家族の写真や住所・電話番号までもをホームページで公開していた時代だ(1996年ごろはまだそうだった)。そして、それがきっかけとなって「人のつながりが増えた」、「職探しに使えた」といった話題が新聞にも載った。今では、個人情報をネットで晒すことはできなくなった。しかし、SNSでは行われているようだ。少なくともアメリカでは。

 それに対し、日本ではまたもや混乱がおきているらしい。匿名で入会して、匿名でしかかけない日記を書いたりコミュニティを作ったりする人と、本名を名乗ってリアルな友人とのみリンクをしている人が混在している。

salesforce.comのモデル

 以前に、CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンドで紹介されていたSalesforce.comのサイトを見た。募集もあったが勤務地は東京だけ。採用されたくてもダメだろうが・・・

 この会社が提供しているサービスこそが、俺が今の日本の企業に不足していると感じていることだ。ネットワークとPCとグループウェア(LotusNotesやサイボウズ)があるのに、使いこなすことなくシステム納入業者に搾取されている無駄金がどれだけあることか。

 逆の立場に立てば、それがシステム業者やIT提供企業の収益好調の源泉ではあるが。生産性の向上に寄与しないシステムの更新や作り変えは社会全体のコストでしかない。こういうコストに寄生している奴らを無くすには、社内の情報システムでは無理だ。

 問題なのは、不足はしているのに必要性は認められていないことだ。隠れコストになってしまっているのだ。情報部門の人間はリース期間が過ぎれば更新するものと思い込んでいる。新しい機種を選ぶのは楽しいし、販売会社はお得意様に揉み手でやってくる。納入業者と社内の情報システムとが運命共同体なのだから会社にとって最適な解答が出るはずがない。X割引なんていうことに意味はない。定価などどこにも表示していないのだ。そんなものを素人の担当役員や監査部門が見たところで、妥当なのかは判断できない。しかも、後になって、「これを追加しないとこの前の投資が使えない」とかいう追加投資で回収されたりもする。

 しかも、それでも、リース期間中にコストを回収できるだけの働きをするならともかく、録に稼動もしないままにリース切れを迎える場合が多い。俺の良く知っている会社では、LotusNotesを入れたもののメーラーとしてしか使わないうちにリース切れしてサイボウズになった。そして、また、インストールと設定とでSIが儲かる。

 しかも、今、基幹で動いているのはリース切れの汎用機。その後汎用機のリプレース用に入っていたAS400は汎用機をリプレースすることなくリース切れで新しいタイプにリプレース。こんなのは序の口だろう。

 salesforce.com のビジネスモデルはよく思われる。能力のない社内SEなんて邪魔なだけだ。優秀な外部の技術と接することで社内の活性化も期待できる。

 問題は、何度も書くが、必要性すら感じられない低脳な経営者が多いことだ。

 salesforce.comが魅力的なのはそれだけではない。社会貢献のページを読んで欲しい。こういう志のある組織で力を発揮できる人を羨ましく思う。

 #俺の勤めている会社は社会悪になるようなことはないが、貢献にはなっていない・・・

Y!BBのメールボックスが2Gになるそうな

ITmediaニュース:Yahoo!メールがタダで容量拡張する理由

ヤフーがWebメール容量を最大2Gバイトまで拡張すると発表。ほとんどが無料ユーザーの割りには設備投資ばかりがかさむように映るが、十分な見返りがあるという。

 俺のY!BBとヤフオク用のアカウントはまだ100Mのままだったが、使用率は2%だ。一人あたりの制限を2Gにしても、100Gのディスクに500人のユーザーをホストしても余裕だろう。こんなことは、ISPのフリーウェブスペースでも同じことだろう。

 ただ、最近は他のアカウントへのメールもYahooに転送して読むことがある。例によってスパム対策だ。MacOSXパンサー標準のMailはなかなかのフィルターを持っている。俺がフィルター学習好きなこともあって、かなり実用域に入ってきた。しかし、これは受け身のフィルターでしかない。PCで受け取ったメールを迷惑メールボックスにフィルターするだけなのだ。自分が読まなくてもいいだけで、ネットワークのトラフィックは変わらない。また、送りつけてくる奴らにとって痛くも痒くもない。

 Yahoo!のメールは、スパムを報告できるところがいい。そうやってみんなが報告すれば、Yahooのサーバーでフィルターが可能になる。Yahooのサーバーを使って送ってくるようなやつ(たまにいる)のアカウントを停止する事だって可能だろう。そして、少なくともYahooから俺へのスパムトラフィックを減らすことが可能だ。俺へのスパムのトラフィックなんかわずかなものだが、気分がいい。これをエンターテインメントにするサービスがあったら面白いなあ。

 とにかく、自分のメールソフトのファイル容量を考えれば100メガもない。ということは、アホな添付ファイルを溜め込んだりしない限り削除する必要すらない。Y!BBユーザーでオークションもしているという有償ユーザーのメール画面にうざい広告が満載なのは勘弁してほしいが、それ以外のところでは「これでいいや」レベルになっている。

 最後に、アンチスパムエンターテインメントのアイデアを買いたい奴はいないか?

間違ったテクノロジーの使い方

 先日、夕方のテレビニュースでQRコードで産地情報をケータイで確認するというテストの様子を放映していた。途中からだったので、詳細なサービス内容は分からないが、ケータイでQRコードを読み込んでいた主婦は「これは便利」とか「こういうのがあると安心ですね」と言わされていた。

 テストケースと言っているので、「やらせ」とまでは言わない。しかし、映っていたのはかなりの年配で、そんな最新型の高機能端末を使っているとは思えない。持っていたとしても、QRコードの使い方なんて知っているはずはないような人ばかりだった。実際、QRコード読み取り機能のついた端末を使っていてもQRコードを読み込んだことがない人は多いだろう。「テストですのでこうやってここにかざしてください」と言われてやってみただけだろう。そんな状況で、しかも、テレビカメラの前で批判的な意見は言えないだろう(言ったとしても流してないだろうし)。

 ただ、問題はそこではない。「これがあれば安心できます」というフレーズだ。答えに窮したおばさんが適当に思いついたことを言っただけだが、一般人のテクノロジー妄信が見えている。

 QRコードだろうが、印刷物だろうが、手書きのメモだろうが、信頼性なんか大差はない。幾らでもコピー可能なものなど全て信用出来ない。何より、それを提供している奴等への基本的な信頼感がないのだ。俺はコープ神戸の組合員で、売り場で働いている人たちには信頼を置いている。ダイエーや大丸のやる気のなさそうな店員よりははるかにマシだ。

 しかし、売り場の商品に張られているシールを全て信用しているわけではない。コープ神戸が虚偽のシールを貼らないとしても、それ以前の段階で貼られている産地シールなんて全く信用が置けない。コープでもこれまで、そういう仕入段階の詐欺にあっていたことがあった。途中の卸業や産地で虚偽のシールを張られたらコープの仕入れ担当者でも見分けなんかつかないだろう。

 消費者に出来るのは、自分で見分けの付かない品質差なら迷わず安いほうをとるという事しかないように思う。偽ブランドは、中身の無い本来価値以上の評価を受けているものを真似るから。3万円で売って儲かる程度の品物を10万で売っているブランドメーカーがあるから3万円で売る偽ブランド商品が後を絶たないのだ。生鮮食料品でも同じことだ。偽ブランド商品はブランド商品へのアンチテーゼでもある。

 詐欺というのは、他人の基準でしか判断できないブランド妄信者や、ブランドによって自分のステータスを上げようとする人間のおろかさに付け入るのだ。そして、彼らの使う手口はそのまま、社会の欲求を裏から表現していると考えてもいい。(>分裂症の症例)

 このあたりは、先日亡くなった種村季弘の作品が詳しく面白い。お勧めは「ぺてん師列伝―あるいは制服の研究」「詐欺師の楽園」。

本棚サービス次々

 前に増田さんの本棚をみつけたが、今度はlolipopのhttp://pi.jugem.jp/tana/というものを見つけた。

 アイデアは増田さんのものと同等だが、RSS周りの充実度がペーパーボーイのアドバンテージか。

 しかし、こういうサービスは継続性が命だ。物理的メディアの栄枯盛衰が激しいDVDやフォーマットに互換性のない音楽ファイル群と同じことになっては意味がない。

 せっかく登録したエントリが、サービス終了とともに消えてしまうんじゃやりきれないからなあ・・・といいながら、俺は関心空間をそんな風に使うつもりでいたが、総数が500では足りなくて諦めた。

 とりあえず、今はprismのJfileに入力を続けているけど、いつの日かwikiかMTで整理したい。

ソフトバンクのケータイとパブリックコメント

 俺のところにも送られてきた。迷惑メールに分類され、放置していたので出しそびれた。ソフトバンクが消費者の味方とは思わないが、存在自体が天下りのnttやkddiよりはましと思う。既得権を政治的に守るために、政府や政治家と結びついているイメージがあるから。

ITmediaモバイル:「総務省に意見を」ソフトバンク、ユーザーに異例の呼びかけ

ソフトバンクが、携帯事業の早期参入に向けさまざまな手段を講じている。9月4日には、Yahoo!BBユーザーおよびODNユーザーに「総務省へ意見を表明するよう」求める異例のメールを配信した。

孫社長の呼びかけでパブコメ殺到,「1カ月後の公開に向け努力」と総務省 : IT Pro ニュース

 ソフトバンクBBの孫正義社長が呼びかけた,携帯電話の周波数割り当てに対するパブリック・コメント(パブコメ)として総務省に電子メールが殺到した。今回のパブリック・コメント窓口である総務省の総合通信基盤局電波部移動通信課は「多くのメールが届き,関心の高さが分かった。届いた件数については,集計中なので把握できていない」(松井俊弘課長補佐)と説明する

 「意見を求めました」という形を作るためだけのパブリックコメントを受け入れる気があるのかどうかかなり怪しい。総務省の役人が、つながりのある(つまり天下り野郎がいたり接待したりしている、退職後には自分が行きたい、利益を得ている)企業に連絡して、総務省とそういった企業の都合の良いコメントだけを集めているのだろう。