XOOM の Android が入手時の 3.0 から 3.1 にアップデートされた時に au からのサービスなのか Motorola のプレゼントなのか分からないが、Quck Office pro for Androidがインストールされた。それも試用版ではなく正規版(1,600円相当)だ。感謝!
日経ビジネスなどでは、PDAに始まって、携帯電話やスマートフォン、タブレットに至るまで、事あるごとに「XXでは office 文書が読めるので出先で手直しして・・・」といった記載があるが、「ホントにそんなもん使ってる奴いるのか?」と疑問だった。
期せずして、MS office と互換性のあるアプリを入手したので、タブレットで office 使うことの実用性を検証したい。
できること
MS Excel,Word,Power Pointのファイルを編集でき、pdfは開くことができる。office 2010 のフォーマットにも対応しており xlsx や docx、pptx 文書を扱える。
デバイス上の任意のフォルダにあるファイルを扱える。また、Dropbox アプリを介さずに直接 Dropbox にアクセスできるのも素晴らしい。PC のDropbox フォルダに置いて作業しているファイルにXOOM からアクセスできるのは画期的だ(この機能はこのアプリではなくAndroid OS のファイルシステムが iOS のそれより自由なだけだが)。
ただし、Dropbox のデータと自動的に同期してくれるわけではないので、バージョン管理と「どのフォルダに置いたっけ問題」はついて回る。
問題点
OSをまたいだときにネックになるのがフォントだ。同じメーカーのソフトでもレイアウトが崩れる原因となる。MS Office は Mac 版もあるが、Mac できれいにレイアウトした文書も Windows の MS P ゴシックにした途端20年前の文書のようになり、印刷のページがずれるのと同様だ。Quickoffice の場合には OS もアプリのメーカーも違うのだから崩れるのは仕方が無いだろう。
これが最も深刻だが、Quickoffice で編集したファイルを PC の MS office 2010 で開こうとしたら「ファイルが壊れている」というダイアログが出て開くことが出来なかった。他の組み合わせなら問題がないのかもしれないが、windows7 , MS office 2010 , Quickoffice Pro HD の組み合わせでは使いものにならなかった。
Excel
- PCのExcelのような詳細なセルの設定が無いので、セルの書式が変わってしまった。
- 6000件のファイルはメモリ不足で開けられない。
- マクロは全く使えない。PCで作ったマクロも使えない。
- ピボットテーブルも使えない。
- PCで馴染んだショートカットが使えない。
Word
- 50ページくらいのテキスト主体の文書を読み込むことはできたが、レイアウトはかなり崩れる。フォントのせいでページ替えのタイミングが変わるので、作りこんだファイルは使いものにならない。
- ルーラーがない。当然、tabによる文字揃えなどもできない。ワープロとしての基本機能が完全に欠落している。Word 文書を開けるテキストエディタだ。こう書いてあれば何ら問題はない。
PDF reader
編集や注釈付けはできないので、Adobe reader や Docuworks といったフリーの pdf リーダーで十分だろう。メモリに余裕のない環境ならアプリケーションのインストール本数を減らせるメリットはあるかもしれない。自分の場合は、ページ編集や注釈、ブックマークを付けたいのでこのアプリで pdf ファイルを読むことはない。使っているのは ezPDF Reader。
Power Point
テストで簡単なファイル(20枚)を開いてみたら、まともに表示出来なかった。ページ送りや非表示オブジェクトも出来なかった。これなら、pdf で保存したものを手でページ送りしたほうがはるかにマシ。
編集はできるかもしれないが、下書きを作ることくらいにしか使えないだろう。それに、下書きならテキストエディタで十分だ。
結論
現状では使いものにならない。もし正常に使えるようになったとしても用途は限定的だろう。これが、タブレットの限界なのか Quickoffice の限界なのかは MS が windows 8 と windows 8 版 MS office をリリースしてみないと分からない。というより、1500円程度のアプリの限界というべきかもしれない。タブレットという制約の中でここまでできているのは素晴らしいともいえる。(逆に言うと、この値段のソフトでは office と十分な互換性は無理ということを認めざるを得ない)。
限定的な用途として、必要最小限のパラメータだけを変えて結果を示すようなExcelのフォームや日報のような定型文書の編集が考えられる。これならタブレットの機動力を活かせる。(ただし、こういった使い方で最高なのは FileMaker だと思う。自分なら迷わず iPad に FileMaker Go を載せるが、XOOM にはFileMaker のようなデータベースアプリは見当たらない。業務上で使うならケチらずに iPad 2 とFileMakerGo と FileMaker Pro を買ったほうがはるかに生産性をあげられるだろうがこれは別の問題)。
ちなみに、開発元のサイトは日本語が Siri レベルなので読解が難しいww