OS アップデート iOS vs Android (vs Windows phone)

 この数字は鵜呑みにはできないだろう。なぜなら、サンプルとなったユーザは Onswipe のパートナーサイトを訪れたユーザだから、その時点でiPhoneを使ってもメールと電話にしか使わないようなユーザはサンプリングから抜け落ちているからだ。iPhoneユーザ全体のアップデートの割合を推し量るためにはこういったユーザも母集団の数にしなければならない。

 ここを読んでいるようなヲタには信じられないかもしれないが、iOS 6 がリリースされたことを知らない人はいる。設定アイコンにバッジがついても放置する人もいる。

 ただ、Android の ICS アップデートの比率がリリース後9ヶ月を経過しても半分に満たないという事態とは比較にならないくらい統制がとれているということは言えるだろう。

サイトトラフィックから見るiOS 6の普及状況およびAppleエコシステムの今後
iOS 6への移行は相変わらず急ピッチで進んでいるようだ。タッチ操作を意識したコンバージョン向上の提案を行なっているOnswipeによると、調査対象こそ少ないものの、高い割合の利用者が新OSに移行していることが見て取れるとのことだ。金曜日の朝に、Onswipeのパートナーサイトを訪れた100,000人を対象に調査をしたところ、iPhoneトラフィックのうちの59.43%がiOS 6搭載のものだった。またiPadについては41.3%が最新OSになっていたのだとのこと。

新OSのリリースから1週間を経て、iPhone利用者の半数以上が既に新OSにアップグレードしたということになる。ちなみにiOS 5の場合、リリース後4週間を経た段階での新OS搭載率が38%程度だった。両者を比較してみることで、今回の新OS採用率が驚くほどに高いものであることがわかるだろう。但し、iOS 6の方は直接ワイヤレスでアップグレードできるのに対し、iOS 5はiTunes経由で行うものであったことには注意しておくべきだろう。この差も採用率の高低に大きく影響を与えているに違いない。ちなみにPocketは今週初めの段階で、既にiOS 6の採用率がより高いデータをリリースしている。しかしこれはOnswipeのデータと矛盾するものではないとしている。すなわちPocketはiOS用のアプリケーションをリリースしているわけで、iOS 6が話題になっている段階で対応版をリリースしたことにより、iOS 6を利用する人のPocket利用率が上がったという面があると考えられるわけだ。Onswipeによれば、同社の提出する数値の方が、より「一般的」な利用者の傾向を示すものであるとしている。

「iOS 6には直接的に写真やビデオを投稿する機能が搭載されました。iPhone利用者は対応ウェブアプリケーションがあれば、即座に便利さを実感できるわけです」。Onswipe CEOのJason Baptisteとのインタビュー中での話だ。「iOS 6のSafariもさまざまな機能改善が行われています。一層便利に使えるということで、iPad利用者についても41%が新OSにアップグレードするというような動きになっているのでしょう。リリース後わずか1週間の成績として、驚くべきものだと思います」とのこと。

iOS 6が、かくも迅速に広がることにより、新OSで搭載された新機能をさっそく利用することも可能となっている。パブリッシャー、広告主、開発者のいずれも、新機能ないし新たなエクスペリエンス導入時期については大いに悩むものだ。しかしこれだけ広くiOS 6が広がることにより、投入時期についてあれこれと悩む必要がなくなっているのだ。

もちろん消費者側にしてみれば、たとえばiOS 6の地図が使い物にならないというようなことがある中で、急いでアップグレードすべきなのかという疑問は当然起こりえる。Jordan Crookが記事にしているように、Appleとしては珍しく、CEOのTim Cookが謝罪するというようなことにもなっている。iOS 6が大いに広まったということで、すなわち、地図に関しては不満を抱える人も大勢存在するということでもある。しかしどうやらCrookの記事によればAppleもこの件を重要視しているようで、おそらくはすぐにも急場をしのぐ対応策が講じられることになるのだろう。

アップデート時に生じた問題点についてはちょっと置いておこう。リリースしてすぐにアップグレードをする利用者が多いというAppleのiOS環境は、優秀な開発者の興味を集めるという面でもメリットのあるものだろう。Appleも1億台のiOSデバイスがiOS 6搭載になっているという数値を発表している。しかしOnswipeのデータによれば、Appleからの数値が発表された月曜日から、さらに多くの人がiOS 6に移行している様子。AppleのビジネスないしiOSを巡るエコシステムにとっても良いニュースであると言えよう。

 対する Android の混沌は収まりそうにもない。OS のバージョンだけでなくメーカーやキャリアが独自にUIを載せ替えたりシステムレベルのサービスを追加したりするからだ。ただ、Google はメーカーやキャリアに自由な改変を許す代わりに、面倒なサポートや後方互換を気にせずに新バージョンを開発できるメリットがある。iPhoneでは許されない類のアプリもAndroidの魅力の一つだ。

 これを統制された花園とするかジャングルのまま放置するか・・・

Android OSの威信を保つためにグーグルがすべきこと « WIRED.jp

米国のスマートフォン市場でAndroid端末は50%以上のシェアを抑えているいっぽう、iOS端末のシェアは32%……こういう数字だけをみていると、グーグルのモバイルOSはいたって順調で、助け舟を出す余地などどこにもないように見える。

しかし、こんな数字はあてにならない。つまり、私が言いたいのは、「ホンモノの」Androidを利用している人が実際にはほとんどいない、ということ。ホンモノをつかっている人の割合は2%以下ではないかと私は思っている。グーグルは買収したモトローラについて、経営効率化のために数千人規模で従業員を削減するなど、事業成功のためにはなりふり構わずにやるという意思を示している。同社はモトローラを最大限に利用し、Android OSの統制を取り戻す必要がある。そうしなければ、Androidアプリは今後もiOSのアプリから見て二流であり、二番煎じであり続けることになる。

アップルではスティーブ・ジョブズが意図した通り、どのiPhoneにもiOSが搭載されている。開発者にとって、このことには大きなメリットがある。自分のつくっているアプリが「端末上でどう見えるか、どう動くか」について、あらかじめある程度の予想がつくというメリットである。

いっぽうAndroidでは、そう簡単にはいかない。サムスンやHTCなどはAndroid OSに独自のカスタマイズを加えたり、不要なアプリを追加したりしている。その結果、グーグルが想定したクリーンなユーザーエクスペリエンスが失われてしまう。また、サムスンの「Pure Breeze」「TouchWiz」、あるいはHTCの「Sense」など、各社独自のUIが使われているため、OSのアップデートが遅くなったり、場合によってはアップデート自体ができないケースもめずらしくはない。これが原因となり、いまでは「フラグメンテーション」状態──様々なバージョンのOSが入り交じる状態となってしまっている(過去6カ月間にわたり3,997機種ものAndroidが確認されたという調査もある)。

そうした理由から、いま「ホンモノのAndroid OSが動作している」といえるのは、グーグルが直接開発に関わった「Nexus」シリーズの製品だけである。そして、たとえばサムスン「Galaxy Nexus」のシェアはスマートフォン市場全体の0.5%に過ぎないのだ。Nexus端末のユーザーより、ジェイルブレイク(脱獄)したiPhoneのユーザーの方が多いかもしれない。

この純粋なAndroidユーザーの数の少なさ以外に、グーグルの開発者をへこませるものがある。それは、Androidの大変さを目にしたマイクロソフトが、アップルのやり方を真似て、さまざまなWindows Phone端末にまったく同じUIや使い勝手を提供しようとしていることだ。これはつまり、Windows Phoneもまたいっそうクローズドなものになるということだ。しかし、Android陣営のハードウェアメーカーのなかには、同OSの「オープンさ」を口実にして、勝手に独自バージョンをつくり出そうとするような動きもみられる。ほんとうに必要なのは、素晴らしいユーザーエクスペリエンスを提供するスマートフォンの開発に集中することであるのにだ。

私はべつにアップルファンではない、むしろ正反対といったほうがいいだろう。自腹を切ってWindows Phone端末を買った人間はほとんどいないと思うが、私はそんな珍しい人間のひとりである。また、発売当日にNexus Oneを注文したことがある人間でもある。参考までに記しておくと、Windows Phoneは米国で発売されてから2ヶ月間でたった135,000台しか売れなかった。いっぽう、サムスンのGalaxy S IIIは今年6-7月だけで全世界で1,000万台も売れていた。ただし、このAndroidスマートフォンには独自のカスタマイズが加えられている。

グーグルはアップル以外に、Android陣営のハードウェアメーカーすべてを敵に回して戦う必要がある。そうしなければ、Androidはいつまでたっても「スマートフォンについてくるオマケのOS」のままで、多くの人が想像するスマートフォンのイメージを決めるようなプラットフォームにはなれないだろう。

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