XOOM #29 ICS アップデート

Ice_Cream_Sandwich au 版の XOOM にICS(ice cream sandwich) のアップデートがきたのは前に書いた。しかし、グランツールのライブストリーミングが観られなくなると困るので保留していた。adobe のサイトを見たら ICS と互換性があるとの記述があった。また、昨年の報道で、Flash は ICS までは対応するが、それ以降はサポートしないともあった。逆にいうと、4まではサポートするということだ。これらの情報を信じてアップデートに踏み切った。

速度

 OS を新しくすると重くなるというのは昔のパソコンで散々味わった。今でも、OS のメジャーアップデートを機に新しいハードに買い換える人は多い(特に Windows の場合はそうだろう)。XOOM は発売後1年程度しか経っていない(日本では2011年4月発売)が、Android タブレットの中ではエントリモデルとなった Tegra 2 搭載だ。しかも、この数ヶ月に発売された Android 機のなかでは遅い方になる 1GHz というクロック周波数でもある。CPU パワーと言う意味では前世代のタブレット、現在主流のスマートフォンレベルと言っていいだろう。

 興味深いのは(これが ICS を待ち望んだ理由の大半だが)、「ICS はマルチコアに最適化されていてマルチコアプロセッサ搭載機種はそのCPUの本来のパワーを活かすことができる」という情報だった。Honeycombが開発された当時はまだデュアルコアのプロセッサは市場に出ておらず、カーネルレベルでのマルチコア対応はできていなかったことは想像できる。だから、デュアルコア世代以降のプロセッサを前提にしたICSに期待したのだった。

 今回、検証のためにアップデートの前後でベンチマークテストを行った。ベンチマークには Quadrant というアプリを使った。実行のたびに微妙に違う数字が出たので、3回実行した中で一番のスコアを採用した。実行の際には再起動して他のアプリを起動することなくテストした(常駐アプリの設定は変えていない)。

 テストの内容によって上がったものと下がったものがあるがトータルでは有意に上がったといえるだろう。ICS は特にマルチコア CPU 搭載のデバイスには必須のアップデートといえそうだ。

 同時に分かったのが、XOOM の意外な素姓の良さだ。I/Oが大きく足を引っ張っているが、I/O は他の機種と同等に出ていればデュアルコアではトップグループに入れただろう。右のグラフを見ると 4 コアのパワーの違いを見せられる。

 この速度差は、単にベンチマーク上の数字だけでなく、アプリの動きの反応にも現れた。特に嬉しいのはブラウザのレスポンスが良くなったことだ。これまでは、タップしても反応がないので、重複してタップしてしまって収集がつかなくなるということがよくあったが、それが減った。OS のデュアルコア対応だけでなく、アプリケーションが利用するOSの機能の全体的な見直しが功を奏しているのだろう。そういう意味で、ICS はこれまでの集大成といえるかもしれない。タブレットはもちろんスマートフォンでも ICS が入れられる機種(特にマルチコアプロセッサモデル)を使っているなら ICS にアップデートすることを薦めたい。といっても、iOS と違って、メーカー・キャリアがその気にならなければユーザが希望してもアップデート出来ないのが Android だが・・・

互換性

 ICS にしたことで動かなくなったアプリは見当たらない(あまり使ってないけど)。

 Flash はそのままでは動かなかなったので焦ったが、Google play でアップデートしたら表示できるようになった。グランツールのストリーミングを行っているページの動画が再生できた。

感想

 標準のホーム画面も変わったのかもしれないが、ADW launcher を使っているので良く分からない。

 システムのフォントは丸ゴシックのようなフォントになり視認性が上がった。ダイアログなどで表示される文字も読み易くなった。スマートフォンの場合にはどうなのかは確かめようがないが、タブレットは明らかに使いやすくなった。

 au のアカウントを必要とするアプリが勝手にインストールされるが、ICSの一部と思えば諦められる。ホーム画面に出ないようにしておけば問題はない。

 キャプチャは電源ボタンと音量下ボタンを同時押し。やっと、標準の機能でスクリーンショットが撮れるようになった。遅きに失した気もするが、これからはXOOMについてもキャプチャを載せることができる。(上のグラフがそう)

 標準的アプリはアイコンが立体的になった。が、Androidのアプリは元々が一切統一感のないアイコンだからiPhoneやiPadのホーム画面のようにはならない。

 chrome を入れてみたが。特にメリットは感じなかった。PCや他のデバイスで chrome を使っていてれば便利になるかもしれないが、自分のメインのブラウザは firefox で共有は Safari で管理しているので XOOM のために chrome を使うきになれない。というより、会社のPCと自宅の iMac と iPhone,iPad で共有したいページは少ない。これについては、別の機会で考えたい。

結論

 3.0 から 3.1、3.2、4.03 とアップデートをしてきたが、3.1 へのアップデート以外は順調なアップデートと言えるだろう。Android ユーザにしては非常に恵まれていたと言えるかもしれない(iOS では当然のことだが)。3.1 から 3.2 と今回のアップデートは本当に効果的だった。3.2 へのアップデートでマトモに使えるタブレットになったし、4.0.3 では使いやすくなった。

 何より快適に感じるのは、へんな引っ掛かりのような状態が減ったことだ。これによって UX は大きく改善された。嬉しいのは、Android 市場においては過去の遺物ともいえる 1 年以上前の機種である XOOM が最新の OS で大きく UX が改善されたことだ。繰り返しになるが、Android 端末でこの恩恵に与れる機種はほとんどない。XOOM 以降に発売されたタブレットで ICS にアップデートされた機種は未だに少ないのが現状だ。

 ガラスマ機能が足をひっぱているのなら、「ガラスマ機能なしの ICS へのアップデートパス」を設けてはもらえないか。そうすることで、既存モデルのユーザでも ICS の恩恵に与れる人が増えるはずだ。

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