法人向けSurface普及戦略に黄信号?

 Surface 2 (RT) はこのまま在庫整理してフェードアウトだろう。だからといって、「法人向けSurface普及戦略に黄信号」など灯っていない。Windows 上で作成されたシステムが動かない Windows RT は企業に売れなくて当然なのだから。

 PC メーカーと競合することを辞さない姿勢に舵を切った Microsoft にとって妥協の塊である Windows RT は不要になったのだろう。近い将来、iOS と Mac OS と同様、Windows Phone と RT をカバーするモバイル用の OS と Windows 8 とになるだろう。そして、Surface 2 はこのままフェードアウトして Surface pro 2 が生き残ると予想している。

 ここにきて、2013/10-12 決算の発表が相次いで興味深い事実が明らかになった。

Surface revenue more than doubled sequentially, from $400 million in the first quarter to $893 million in the second quarter.Microsoft reports record revenue of $24.52 billion in second quarter

 売上台数は書けなかったのだろう。$893M ということは、一台あたり $1,000 とすれば、893,000 台となる。Microsoft のような世界市場プレーヤーのメイン機種にしては少ないと言わざるをえない。縮小しつつある PC 市場で大きくシェアを伸ばしたとは言えるかもしれないが・・・

 「個人向けに販売しているエディオン、ケーズホールディングス、ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラにはSurface 2の新規受注停止の措置は取られていない」らしいが、エディオンの店頭では、Surface 2 か pro 2 かを問わず、足を止めている人を見たことがない。ただし、エディオンの端末はネットに繋がっておらずデモとして全く意味をなしていないので、それは差し引く必要があるかもしれない。

 これはエディオンの抱える問題点(他の端末の多くも同じ状態)ともいえる。しかし、だからこそ Microsoft は店頭を回って Surface が自社のイメージを伝えられているかをチェックしなければならない。デモ機として値引きしたら店舗が喜んで宣伝してくれるとでも思っているのではないか。デモ機を消費者が待っていて、触っては Twitter や Facebook に競って取り上げるような商材ではないのだ Surface は。店舗を営業マンが回って、売り場に置いた端末がちゃんと動いているか、ポップや価格はどうなっているか。ノベルティを配っているか。こういう泥臭いことをやらないといけないのが低価格 Windows PC だ。新製品が出るからとショップに徹夜で並ぶ人間が出る iPad と同じことしててもダメだ。

Surface 2の一部機種が3月末まで新規受注を停止 ~法人向けSurface普及戦略に黄信号か? – PC Watch
 日本マイクロソフト株式会社が発売するタブレット端末「Surface」の一部機種が、2014年3月末まで、新規の受注を停止していることが明らかになった。

 対象となっているのは、法人向けに供給している「Surface 2」の32GB版および64GB版。日本マイクロソフトによると、「多くの引き合いをいただいているが、全世界規模での供給体制の観点から、3月末まで、いったん新規受注を停止させていただくことをパートナーに伝えた」という。

 先週後半から今週後半にかけてマイクロソフト認定Surfaceリセラーであるウチダスペクトラム、大塚商会、キヤノンマーケティングジャパン、日立システムズ、富士ソフト、リコージャパン、ティーガイア、丸紅テレコムの8社に対して、日本マイクロソフトから説明があった模様で、今週からすでに新規受注が停止となっている。

 なお、Surface Pro 2は、この対象とはなっていない。

 また、個人向けに販売しているエディオン、ケーズホールディングス、ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラにはSurface 2の新規受注停止の措置は取られていない。

過去最大の商戦期に受注停止措置の影響は?

 今回の法人向けのSurface 2の新規受注停止措置は、グローバル規模で行なわれているもので、関係者によると「個人向けの販売を優先するための措置」だという。

 Surface 2は、第1世代となるSurface RTが予想を下回る実績に留まり、2013年4~6月期決算においては、Surface RTの在庫調整のため費用として9億ドルを計上。Surface RTを全世界で大幅に値下げした経緯がある。

 そのため、Surface RTの第2世代となるSurface 2では、生産数量をかなり絞り込んでいると見られていた。

 しかし、Surface 2では、Tegra 4を搭載することで性能を大幅に向上。Windows RT 8.1の搭載により、Outlook RTが新たに同梱されるなどの利便性が高まったこともあり、予想を上回る売れ行きとなった模様だ。つまり生産量の見誤りが今回の措置につながっているといえよう。

 日本においては、多くの企業が3月末に年度末を迎え、法人需要がピークになるタイミング。しかも2014年は、Windows XPのサポート終了前の買い換え需要と、消費税増税前の駆け込み需要が重なり、これまでにない法人需要が見込まれている。

 Gartner Japanによると、「2014年第1四半期(1~3月)の国内PC市場は、過去最高の法人需要が見込まれることになり、同四半期の法人需要だけで300万台を突破する可能性もある」(ガートナージャパン・蒔田佳苗主席アナリストト)という。

 過去最大となる法人PCの需要期に、日本マイクロソフトは、一部製品を供給できないことになる。Surfaceの普及戦略にも影響を及ぼすことになりそうだ。

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