タイトルは、この手の記事でありがちな、意図的な誤認が含まれている。本文には「iPad 16GBを抜いて」とあるので、 iPad 32GB と 64GB は別にカウントしているということだろう。だから、この記事からだけでは iPad の合計を kindle fire が上回ったのかどうかは分からない。これは日本のマスコミでも携帯電話ランキングでやっていることだ。Android 機のどれかが iPhone のいずれかのサイズより上位にランクされたら「xxが iPhone を抜いた」と書き立てている。
それほそれとして(このフレーズ多いな・・・)、kindle fire がタブレット端末として初めて iPad と互角の売上を上げているということは事実らしい。しかも、この数字が amazon の販売データではなく bestbye のもの(ヨドバシみたいなものか)ということは意味がある。セレブなビジネスパースンが(云々というのもももういいな)。とにかく、一般市場には受け入れられたということだろう。そして、市場は高機能高価格より安いほうを選ぶ人が多いということだろう。ホリデーシーズンは個人消費が中心だし、娯楽系の使い方を想定したユーザが多いということも影響しているだろう。この時期にタイムリーに商品を発売し、供給不足を招いていないという点では Amazon は「分かっている」というべきだ。
ただ、ビジネス用途には7インチは向かない。カタログやスキャンしたA4書類を見るときに7インチでは足りない。写真やムービーは細部がつぶれていても困らないがテキストは違う。カタログや契約書の文書1ページをスクロールせずに、老眼気味のクライアントに見せられないと意味がないのだ。ビジネスバッグの書類が減らせるなら 600g は重くない。実際に仕事で持ち運ぶなら XOOM (700g) だって特に重くはない。出張の時には 1.5kg くらいのノートPC(+AC アダプタ)を持ち歩くのだから。しかし、家の中でベッドで寛いで youtube を見たりするには iPad 2 でも重くて大きく感じるだろう。
ホリデーシーズンが終わってからも kindle fire が同じ勢いを続けられるかどうかは分からない。自分は懐疑的に見ている。会社の金でタブレットを買うビジネスユーザにとっては $100 程度の価格差は許容範囲だろう(大口で大量導入する場合には問題視されるかもしれないが、大口ならボリュームディスカウントがつくだろうから)。それよりは、実際に現場で使えるかどうかが重要だ。仕事の現場ではコンテンツのダウンロードはこれまた大きな問題ではない。必要なのは自社のカタログであったり、ビジネス書類であったり、時には専用に開発したアプリであったりだろう。
同時に、Apple もブラック・フライデー売り上げの記録を更新したらしい。今年はオンライン販売全体の売上が大きく伸びたらしく、実店舗の売上が Apple store オンラインに移行しただけという可能性もあるので、10~12 四半期の成績が発表されないと iPad 2 の販売がどのようなレベルで推移しているかわ分からない。一昨年までなら1月の MacWorld expo SF で発表があったが、来年もAppleは参加しないらしいので、これらの数字が発表されるのは2月くらいか。その時に、どのラインナップが更新されるのかと同じくらいに iOS シリーズの売上の推移に注目したい。もちろん、amazon の発表も忘れてはいけない。
ちなみに、XOOM 2 も静かにリリースされたらしいし、HP が企業向け10インチ windows タブレットを出したようだが、市場は kindle fire vs iPad 2 にしか関心はないようだが、ウォッチャーとしては生温く見守りたい。ついでに、日本勢のタブレットがいつ販売が終了するかもw
Kindle Fire、BestBuy.comではiPadを抜いてタブレット分野におけるベストセラーに.
by Matt Burns on 2011年12月1日Kindle Fireに完全に火がついたようだ。燃え上がっている、という状態かもしれない。名前がFireだけにこうした動きも予想されていたものなのだろうか。
結局のところ、Amazonによる最初のタブレット市場参入の動きは大成功をおさめたということになりつつある。Amazonのベストセラーリストでも販売前から何週間にもわたってトップに位置している。そしてついに、Best Buyにて199ドルのFireがiPad 16GB版を抜いて、タブレット部門のベストセラーとなってしまった。そう、やはりFireはAndroidタブレット戦争で勝利を収めつつあるのだろう。
Amazonは「昨年に比べて4倍のKindleが売れている」と言っていた(台数についてはいつもながらに発表がない)。Black Fridayのウイークエンドにも大いに売上を伸ばし、多くの消費者に受け入れられつつあることを示した。
当初、Fireについてはかなりの数の批判的意見が集まっていた。不具合や、バグ、あるいは初期不良について書いていたが、同時に199ドルという低価格についても触れていた。低価格実現のために、妥協が必要であったのだろうという意見も多く見られた。しかしそれと同時に、Amazonの「まずコンテンツありき」のスキームについては好意的な意見もあった。Fireの強敵はNookタブレットだという位置づけだが、こうした関係の中、優劣をスペックで語られることは少なかった。スペックではなく、 AmazonおよびB&Nはそれぞれのデバイスのメディア消費能力とでもいう点に注目して利点を語っていた。こうした戦略はAndroidマーケットでは広まらなかったが、Appleはやはりこの方向にしたがっているように見える。スペックは死んだと言える状況もあるわけだ。
FireがAmazonやBest Buyなどのメジャー小売サイトでiPadをリードする状況が続くのかどうか、予測は難しいところだ。199ドルという価格の魅力は、確かにホリデーシー ズンの間は大いに通用するだろうと思われる。しかしホリデー消費が一段落した際にどうなっているのかはわからない。ただ、Fire所有者は大いに増え、デバイスの使い勝手の良さを大いにアピールするということにもなり得る。するとFireの勢いを止めるのはiPad 3のみということになるケースもあり得るが、こちらは2月ないし3月までリリースはない予定だ。と、いうわけでタブレット業界はなかなか目が離せない状況 にあるのだ。