強襲揚陸艦が来る。マイクロソフト、年末商戦に向けてSurface500万台を生産予定

 敵対する勢力が固めた海岸線に乗り込むのは並大抵のことではない。障害物のない海岸に乗り込むのだから。何十万の軍団であっても全員が同時に海岸に殺到することは物理的にできない。先鋒が道を切り開いて初めて本体の上陸が可能になる。必要なのは短時間に十分な量の兵力(物資と兵士)を運んで足がかりを作ることだ。中途半端はいけない。

 マスコミは「マイクロソフトがタブレット市場に挑戦」といった書き方をするが、ペンコンピュータまで遡れば Windows 搭載のタブレット型コンピュータがあった。そのためのAPIを搭載した Windows CE だってあった。iOS と Android の前に存在が霞んでしまっただけだ。数%のシェアでは存在感がない。アプリも開発されないしサードパーティ製のアクセサリも出ない。売り場にも並ばない。だからこそ、Windows 8 (RT)に手垢が付かないうちにシェアを取らなければならない。そのためには少々の出費は覚悟の上というのが今の Microsoft のスタンスだろう。

 500万台ということは昨年の Amazon kindle fire の年末の販売数とほぼ同数だ(kindle fire の販売期間は1ヶ月半くらいだったが)。これで一気に Android のシェアトップになった。タブレット市場の変化は速くて厳しい。Google NEXUS の参入と Amazon kindle fire HD の投入、iPad mini 投入の噂と激化の度合いは高まる一方だ。

 今回の Surface の参入は2つの性格を持つ。新しいハードと新しい OS だ。これまでは iOS と Android しか(事実上)無かったタブレット市場に新しいプラットフォームが入り込む余地があるのか。完成度の高さでは一日の長がある iOS。iOS アプリから派生したアプリや Android でしかできない機能(iOS では制限された機能)で魅力のある Android。目新しい UI と既存 Windows PC との親和性というメリットがどこまで受け入れられるか。

 また、ウォッチャーとして楽しみなのは、Windows RT 互換メーカーだ。Surface に対抗できるコストパフォーマンスのハードを作ることができるのか。Surface の価格が対 iPad で驚くほどの安さとは思えないレベルなのは、互換メーカーの参入を可能にするためのものかも知れない。マスコミの常としてタブレットは全て対最新のiPadとして価格の比較をしているが、実際にはそうではない。iPad 2 は $400 を切っているし、Android の 10 インチデュアルコアはさらに $50 程度安い。Surface が投じられるのは最新の iPad だけがある市場ではない。

 タブレット市場の戦いは激しさを増す。敵対関係が良く分からないほどだ。今年の年末商戦は全プレーヤーが揃う。来年の2月には結果が発表されるだろう。今から楽しみだ。

マイクロソフト、年末商戦に向けてSurface500万台を生産予定 : ギズモード・ジャパン

ネタ元のウォール・ストリート・ジャーナル紙曰く、マイクロソフトは年末商戦に向けて300万から500万台のSurfaceを生産中。アジアにある部品提供元は、クリスマス前にSurface500万台が作られると話します。500万台、これはAmazonのKindle Fire、そしてグーグルのNexus 7に近い数字。しかし、噂にあるアップルのiPad mini 1000万台発注と比べると小さく感じますね。

アップル、Amazon、グーグルと競合相手が出そろう中、鍵となるのはやはり価格。iPad miniしかり、Surfaceしかり、予想はされているものの、価格はまだ発表になっていません。

アップルは、今年1四半期でiPadを1700万台売り上げました。世の中がタブレット端末を欲している今、Surfaceにもこの数字に近づくこと可能性は十分あるわけです。マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、発売から1年でSurface数百万台を売り上げると目標を掲げていますが、初期生産台数を見ていると、本当の目標はもっと上のようですね。

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