本:ブラックホールで死んでみる

death by black hole

 ブラックホールで死んでみる―タイソン博士の説き語り宇宙論 ニール・ドグラース・タイソン 吉田 三知世 を読み終わった(2012年10月に)。ポピュラーサイエンス本で、今の宇宙論を一般人でも理解できるように解説してくれる。アメリカのインテリのエッセイにありがちなあまり面白くない喩え話や冗長な翻訳が鼻につくかもしれないが、描かれた事実に興味をつなぐことができる。

 この何十年かで宇宙への理解が深まったことを感慨深く読んだ。学研の「科学」ではブラックホールは有ると予想されているが観測の方法がなく見つかっていないしほんとうにあるかどうか確かめようのない存在だった。しかし、本書(に限らず21世紀に入ってからの科学解説本)ではブラックホールは数多く見つかっており地球が属する銀河系も中心にはブラックホールがあるということが事実として記載されている。

 興味深かったのは、質量の大きなブラックホールになればなるほど潮汐力が小さくなり、物質は潮汐力に引き裂かれること無く(例えば宇宙船が宇宙船の形のまま)事象の地平線を越える可能性があるということ。ブラックホールの質量は事象の地平線の半径を大きくするが事象の地平線付近の重力はブラックホールの大小とは無関係かと思っていた。なので、ブラックホールに引き込まれるものは全て潮汐力に引き裂かれて分子レベルまで分解され粒子の流れになって吸い込まれていくのかと思っていた。

 後、地球の最後についてこの本では太陽のガスに包まれて公転速度が落ちて遠心力が減り太陽に落ちてしまうとあった。この考えは初めてだった。超新星爆発によって吹き飛ばされるのかと思っていた。もちろん、赤色巨星になった太陽に包まれて現在の生物は完全に死滅した後の話という点は変わらない。実際にはそれ以前に太陽が赤色巨星化する過程で地球の気象が変わり地球上の現在の大型哺乳類は全滅しているしね。

 

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