でた!読売のアホ記事|雪原因の事故、半数がノーマルタイヤ…2月都内

 この季を読んだ時に受ける印象は「雪の日にノーマルタイヤは危ないんだな」だろう。ところが、実際にはそんなことを言えるような調査結果ではないだろう。この記事を書いた人間は、事故におけるノーマルタイヤの比率が過半数なのを見て、ろくに考えもせずにこの記事を書いたのだろう。しかも、アホなことに、警察が発表した数字をそのまま写しただけで、一切検討を加えていない。こんな記事を読むくらいなら、雪国の人のブログかTwitterでも読んでる方がマシだ。

 「こんな社会面の空白を埋めるための記事に目くじら立てるなよ」と思うかもしれないが、この記事によって雪に慣れていない人が勘違いしてしまうのが将来に事故につながる可能性があるからいけないのだ。ミスをした科学者を持ち上げたり貶めるような記事よりはるかに重要度は高いのだ。なぜなら、科学者をその研究と関係のない属性を持って持ち上げる記事も、プライベートをつつく記事も、ミスをあげつらうのも、何ら社会にとって有益な情報をもたらさないからだ。

 全員がスタッドレスタイヤかチェーン装着した(以下雪タイヤ)時のことを考えれば分かる。全員が雪タイヤを装着しても事故はゼロにならないだろう。記事によると26件中12件は雪タイヤだからだ。そして、その時のノーマルタイヤによる事故率はゼロ。この記事の書き方だと、「雪原因の事故、全てがスタッドレスタイヤまたはチェーン装着」だ。

 この二日間で調査対象のエリア内で走った車のタイヤの割合はどれくらいなのか。それがわからないと、「スタッドレスはやっぱり安全」なのか「スタッドレスを履いても事故は起こる」のか分からないのだ。この記事で示された数字からは「何もわからない」が正しい。そして、マスコミには「こんな数字もらっても読者の参考にならない。全体の割合を」と警察の広報に対して言うべきなのだ。それをやって初めて「ジャーナリスト」だろう。

雪道はスタッドレスかチェーン装着

 本当に、雪タイヤが事故率の低減に効果があるかどうかは事故の件数を調べただけではわからない。雪が降った時にノーマルタイヤしか持っていない人は運転を控えるからだ。同時に、スタッドレスタイヤを履いている人は雪が降ればここぞとばかりにドライブするかもしれない。

 雪道や凍結路を運転した経験があれば分かるが、雪タイヤを履いても「ノーマルタイヤよりはマシ」なだけで、ドライ路面を走るようには走れない。普通に走るだけなら大丈夫に見えても、急制動をかけたら普段よりはるかに制動距離が伸びていることが分かるはずだ。タイヤメーカーの広告が「ノーマルタイヤより制動距離が短い」ことを強調するあまり過信してしまう人がいる。これが怖い。

 「スタッドレスタイヤでもチェーンを蒔いても、ドライ路面と同じようには止まれない」が正解。ドライ路面と同じような運転をしたら事故を起こす。事故にならなかったのは「運良く事故敵状況に出くわさなかっただけ」が正しい。

 だから、自分が下の資料しか与えられない中で記事を書くとしたら「スタッドレスタイヤやチェーンを巻いても事故は起こる」と書く。そうすれば、ノーマルタイヤのドライバーが「雪タイヤでも危ないならノーマルタイヤはもっと危険だろう」と思うだろうから。

雪原因の事故、半数がノーマルタイヤ…2月都内読売新聞 3月13日(木)9時8分配信
 2月に関東甲信を中心に2度にわたって降った記録的な大雪の際、東京都内で雪が原因で起きた車の人身事故のうち、タイヤの種類が判明したほぼ半数が、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを装着していなかったことが、警視庁のまとめでわかった。

 同庁は、積雪があった2月8日~10日と、同14日~16日に都内で発生した人身事故計237件を分析。雪が原因の事故は47件を数え、車に巻き込まれた歩行者を含め、52人が負傷した。

 タイヤの種類がわかった26件のうち、8件でスタッドレスタイヤ、3件でチェーンを装着していたものの、15件はノーマルタイヤのままだった。

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