「電子書籍元年」は数年続いた。ビジネスモデルはシンプルなので、「権利関係者との契約さえできれば、既存のサーバと回線を使い回せば楽勝」とばかりに多くの挑戦者が現れた。しかし、元日の初日の出を待たずして淘汰は始まった。
今日の退場者は「地球書店」。NTTという名前が付いている時点でキャリア縛りへの意図が透けて見えるようだ。自分なら絶対にこんなところの電子書籍は買わないだろう。デジタルコンテンツは普及率が命だ。ロックのかかっていないファイルを売ってくれるのなら話は別だが、著作権保護がかかったコンテンツはサービスが終了したり対応する専用端末がなくなったら読めなくなる。
「ダウンロードしたタイトルはそのまま読めるのだから紙と一緒だろう」というのは受け入れられない。端末の寿命は紙の本よりはるかに短い。互換性のある後継機が出ないと端末が壊れた時点で購入した本を読む権利まで喪失だ。専用端末を使わなくても事情は一緒だ。著作権保護がかかった特殊なファイルは暗号を解除するための仕組みが必要だ。それをサービス側で管理しているのであれば、認証サーバが止まったらPC上のファイルも読めなくなる。専用のローカルアプリで読むような場合も寿命はある。PCを入れ替えたりOSのアップデートを行った場合にアプリがアップデートされなければ動かなく可能性が高い。
電子書籍を買うとしたら購入先は限られる。Amazon kindle、Google play、Apple iTunes のどれかだろう。プラットフォーム・ネイティブな端末やソフトが使えなくなる心配がない。
しかし、「地球書店で購入した金額分のポイントを電子書籍書ストア『コミックシーモア』のポイントで進呈」というのは、「買ったものはダウンロードできたんだからあとは知らん」とした楽天に比べれば良心的だが、ユーザにしたら「コミックシーモアだっていつ終わるかわからん」だろう。
スマホ向け電子書籍ストア「地球書店」終了 購入代金を「コミックシーモア」ポイントで返金 – ITmedia ニュース
NTTソルマーレは、スマートフォン向け電子書籍ストア「地球書店」を3月31日に終了する。希望者には、地球書店で購入した作品金額分ポイントを、同社が展開する別の電子書籍ストア「コミックシーモア」のポイントで進呈する。2011年にiPhone、iPad向けに開始したサービス。現在はGooglePlay、au Market、LG Worldでも展開している。
3月31日午前10時のサービス終了後は、サービスへのログインや作品の新規購入はできなくなるが、購入済みの作品の閲覧は可能。購入済み作品の再ダウンロードは、6月30日まで可能だ。
3月31日午前10時までに申し込めば、1月31日午前11日までに地球書店で購入した金額分のポイントを、スマートフォン/PC/タブレット向け電子書籍書ストア「コミックシーモア」のポイントで進呈する。