Google Playの電子書籍も海外で消えることがある

 のケースと同じことだ。これが「利用権を買う」ということだ。ネットに繋がなければローカルに置いたタイトルは問題はなかったとは思うが、本質的な解決ではない。それに、この人もアメリカに帰れば再ダウンロードが可能だ。

 これは紙本時代には考えなくても良かった問題だ。旅行者が持ち込んだ本を読む権利を制限する国はない(政治・宗教的な理由で所持を禁止されているものは別の問題)。

 また、ここから派生する根源的な電子書籍の問題として、利用権がサービスに依存しているということだ。仮に Google play が日本から撤退して「Google Booksが事業認可されてないからダウンロードもできない」国になったとしたら、自分が買ったコンテンツ利用権も失ってしまうということだ。このことが他の電子書籍サービス業者から買ったとしても同じ子であることは言うまでもない。

Google Playの電子書籍って海外で消えることもあるんだね : ギズモード・ジャパン
紙の本は一度買ったら海外でも読めるけど、電子書籍はまだ国境にガッチリDRMの壁が…!

アメリカのジム・オドネル(Jim O’Donnell)さんは、図書館の会議で出張したシンガポールでこれを痛いほど実感しました。Google Playアプリで買った電子書籍をiPadで30冊か40冊持ってったんですけど、出張中、1冊も読めなかったのです。理由は、シンガポールではまだGoogle Playで電子書籍は扱ってないから。

まさかそんなこととは知らず、言われるままアップデートに応じた途端、全部消えちゃったんだそうですよ!?

出張先からこう書いてます。

ここに着いたら、一部のiPadアプリにアップデートが必要だと出たので、クリックして承認しました。そのひとつがGoogle Playでした。終わってアプリを開いたら、書籍ファイルのアップデートも要る、数分で終わるというので、待ってたら端末に保管していた30、40冊の表紙が画面いっぱいに出てきました。うち2冊はこの秋の授業に向け、今読んでる本です。

だけど僕の本は全部ダウンロード取消しになってて、再ダウンロードが必要になってたんですね。ダウンローダーとして使うと遅いアプリ(雑誌ニューヨーカーのアプリ並みに遅い)なので嫌だったけど、とりあえず一番必要な2冊をクリックしてみました(使用ストレージ容量も調べてみたけど、ファイルは本当にタブレットから消えていました)。

そしたら…できないんですよ。

変だと思って調べてみたら、(大体の国では使えるのですが)この国ではGoogle Booksが事業認可されてないからダウンロードもできないようなんです。 地元の技術に詳しい人たちは、たぶん僕がアメリカの国境の外にいることを検知して介入してきた時にダウンロード取消しも起こったんじゃないかな、と言ってました。

珍しく、グーグルはメールでGoogle Playのヘルプの問合せにも応じてるんですが、何度やり取りしてもAndroid Storeの人は僕が抱える問題も理解できなければ、この窮状に同情もしてくれず、解決策も示してくれない、まるでドロイドです。アメリカまで戻って何時間もかけて再ダウンロードしないとまた読めないというんですね、「僕の」本なのに。

そのうちGoogle Playに追加して欲しい機能は何かありますか、と聞かれたので、「Don’t Be Evil」って言ってやりましたよ、返事はなかったけど。

Android OS対応のGoogle Playも同じ挙動かどうかは不明ですが、遠隔で消されるなんてことがあるんですね…。念のためチェックしてみたら、Google Play利用規約にもこう明示されてました。

場合により(例えば、Googleが関連する権利を失うか、サービスを中止するか、製品が停止されるか、適用される規定または法律に違反する場合において)、Googleは、ユーザーが購入した製品をデバイスから削除し、または当該製品へのアクセスの提供を停止する可能性があります(太字はギズ)。

結局デジタル書籍は本ではなく「権利」を買ってるってことですね。で、この権利というのが厄介で、目に見えない縛りがイロイロあるのです(海外からKindle和書買うんだってひと苦労、目が回る)。デジタルの世界に国境はないはずなのに。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です