ニューヨーク大停電のときにもこのような統計があった。この話題は自分には興趣を覚える。
頭でっかちな現代人も「夜が暗くなる」という単純な環境の変化によって動物レベルの行動に変化をもたらしてしまう。ハイテクだ仮想コミュニケーションだといいながらも、暗くなったら子作りに走ってしまう野獣を宿している。これは、未だに定期的に報道される魔法使いの魔女の制裁事件を思い起こさせる。
この事実から、小子化に困っている社会では夜を暗くすることが重要であることが分かる。24時間営業の禁止、夜10時〜朝6時までの一般家庭の消灯を行えば出生率が上がることは間違いない。さらに、インターネットの停止、モバイル回線の停止も行えばさらに効果的だろう。逆に言えば、人口爆発で困っている地域には電灯とネットワーク回線を整備することだ。
ただ単に、夜が暗くなることだけではなく、種の保存の本能が刺激された可能性もある。電気に依存している現代人にとって電気の使えない生活は命の危機を感じるほどに心細かっただろう。また、台風が直撃したところではそれだけではなかったはずだ(実際に死者も出ているし)。そのテンションが人間の生殖本能を強く刺激した可能性も有るだろう。
巨大ハリケーンでベビーブーム到来 産婦人科医も驚く「想像以上の出来事」 (SankeiBiz) – Yahoo!ニュース BUSINESS
昨年10月に巨大ハリケーン「サンディ」が上陸し甚大な被害を受けた米東部沿岸地域に、“ベビーブーム”が到来している。複数の医療機関で上陸から9カ月がたった7月の出生数が、昨年の同時期に比べ2~3割も増えているという。停電で真っ暗な嵐の夜に、たくさんのカップルが「子作り」に励んでいたようだ。専門家からは「大災害や大惨事などの苦難の後に出生率が高まることが証明された」との声も。サンディの傷痕がいまなお深く残る被災地では、人と人の絆の証しである赤ちゃんの誕生に、喜びがあふれている。
「昨年7月の新生児は371人だったが、今年は30%以上多い500人に上りそうだ。サンディ上陸の影響としか考えられない。われわれの想像以上の出来事が起こっている」サンディの直撃を受けたニュージャージー州のロングブランチにあるモンマス医療センターの産婦人科医、ロバート・A・グラーベさんは、驚きを隠さない。
地元紙アズベリー・パーク・プレスの報道によると、州内各地の病院で出生数が大幅に増えている。ネプチューンのジャージーショア大学医療センターでは25%増の約200人の赤ちゃんが誕生する見込み。ブリックのオーシャン医療センターでも20%増えそうだという。
地元紙の報道を受け、米CNNやAFP(フランス通信)などの大手メディアが相次いでこの明るい話題を伝えており、州内の産婦人科医、ロバート・ルビノさんは、CNNの取材に「あまりの多さに、妊婦の診察に対応できなかった」と語った。
統計学的に今回の出生増加をサンディの影響と断定することに懐疑的な声もある。しかし、ハリケーンと出生率の関係についての論文を発表したことがあるブリガム・ヤング大学(ユタ州)の経済学者、リチャード・エバンス氏はこう語る。「(子作り以外に)他にすることがないという要因に加え、感情の高まりが影響していることは十分に考えられる」
エバンス氏の研究チームが2010年に発表した論文では、過去7年にわたり、米国の大西洋岸とメキシコ湾岸地域でハリケーン警報が24時間発令されたケースを調査。9カ月後に出生率が通常よりも平均2%上昇したという。エバンス氏は「長期間、広範囲に調査しており、説得力がある」と力説。さらに、「(1995年に起きた)オクラホマシティー連邦政府ビル爆破事件のような大惨事の後にも、地域社会の結束や人と人の絆が強まることを示す証拠もある」と説明した。日本でも阪神淡路大震災や東日本大震災後に結婚率や出生率が上昇したといわれている。
サンディによる死者は100人を超え、損害額は推計約800億ドル(約7兆7600億円)にも上ったが、ベビーブームはその傷を癒やしてくれる。さらにリーマン・ショックによる不況の影響で米国の2011年の出生率が過去最低水準にまで落ち込んでいただけに、明るいニュースとして全米を駆け巡っている。出産を控えた女性は、CNNの取材に明るくこう答えた。「おなかの赤ちゃんの名前はまだ決めていないけど、『サンディ』以外になると思うわ」。