夏と冬は図書館の常連 森見登美彦を借りる

 一日中、雨が降ったりやんだり。今日借りたのは下の3冊。

 きつねのはなし 森見登美彦
 ケモノを軸にした短編4本。作品をまたがる設定が有るが独立した主人公によって語られる。

  ホラーともファンタジーともとれるストーリー。主人公が若いせいか、作者が若いせいか、頭のいい人の文体だからか、「喫茶店タレーランの事件簿」を思い出した(そして、少し不安になった)が、辟易すること無く読み通せた。ホリックのような世界観といえば伝わるだろうか。

 作品の出来とは関係ないが、自分にとっては京都は大都会であり、情緒にあふれた場所が、しかも、舞台になったような場所にあったとは思えない。そこで生活をしていた感覚ではないと思う。そういう意味で、一時的にしか住まないであろう学生が主人公なのはいいのかもしれない。

森見登美彦の京都ぐるぐる案内
 森見登美彦の作品の舞台になった京都市内の場所を作者自らが紹介するという体の本。というか、雑誌の特集記事とかにありそうな本。買っていたら後悔しそうな薄さ(厚さも中身も)。

 森見登美彦は京都大学卒業でおそらく住んでいたのが烏丸御池交差点から見て右上方向だったのだろう。取り上げられるのはほとんどが右半分だった。自分が住んだことが有るのは中京区の中心よりちょっと左だった。息子も、似たような位置関係のところに住んでいるので、京都に行っても右のほうに行くことはない。観光客が行く所という意味では左京区の密度の高さはローマにも匹敵しそうで、見どころは多いが、子供の頃から京都に生まれ育った人間が日常的にそっち方向に行くことは、住んでいない限り、無いと思われる。その点で、森見登美彦は大学の間京都に住んだ人だと思う。

 自分も京都に住んだが2年間だけなので観光客と大差ないし済んだ期間としては森見登美彦より短い。しかし、「自分がここの人でない」という感覚と「観光客ではない」という感覚が入り混じった感情は有る。

 脳はすすんでだまされたがる マジックが解き明かす錯覚の不思議
 この本を借りるのは2回目。こんな面白い本はめったにない。電子書籍版が出たら絶対に買う。この本の唯一の弱点は大きくて重いことだ。

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