格差が一時的・・・?

 今、俺が勤めている会社では賃上げ交渉の最終段階だ。毎年、他の企業の交渉結果が出てから交渉にかかるのは、労使ともに自分で考えることができないチキンばっかりだからだ。自分の会社のことすら自分で判断できなくなっているようだ。まあ、こんな末端のニッチ産業にある無名企業が労働市場や国家経済に影響を与えることなんかないので誰の迷惑にもならないからいいけどね。

 毎年の昇給と賃上げを他社や世間一般と比べるとしみじみと格差を思い知らされる。そして、HDレコーダーにクリップしていた3/25のサンデープロジェクトを思いだした。

 (小泉政権が格差社会を作ったという指摘に対して)自民党政調会長代理甘利明が「経済全体の活力が落ちているときには、一部の力のある先頭打者が引っ張っていくしかない。引っ張っていくことで全体の底上げが図れる。今は、その途中経過だけだ」とか言っていた※。

 全く現実が見えてない。というより、知っていても知らない振りをしてやり過ごそうとしているのだろう。今の企業や銀行が儲かっているのは、立場の弱い人間や企業を「余剰人員」とか「不良債権」として「処理」を進めることを認めたからだろう(この動き自体は小泉政権以前からの自民党政権下で始まっていた)。

 大企業が引っ張って国全体が豊かになるというモデルはもうない。一部の既得権者が利益を専有して、その他大勢がひれ伏す構図になる。もてるものはその地位を世襲すべく権力や経済力を使う。逆転のチャンスなどない。ほとんどの企業の経営者が二代目三代目だろう。政治家にしても、ほとんどが親のコネと支持基盤を使っている。医者や官僚についても、同様だ。国会議員という世襲制の利益を最大に享受している人間(しかも、与野党を問わずだ)がこれを覆すようなことは望んでいないだろう。

 その後に出てきた亀何とかいう元自民党の幹部は、小泉首相が悪いと言い募っていたが、野党面すんなといいたい。無能首相の小渕とか森とかのときに幹部でのさばっていたんだろうが。現状に対する責任は自民党新人議員より重いくらいだ。

 とにかく、自民党政調会長代理甘利明氏には下の記事を読んで欲しい。社員を別会社に転籍させて賃金を抑えたり、退職させて派遣やパートで穴埋めをして利益を回復した大企業が今後逆のことをするとは思えない。

asahi.com:非正社員の月給、正社員の6割 厚労省調査††暮らし

 正社員と非正社員の賃金格差が月給で男性は12.7万円、女性で7万円に上ったことが、厚生労働省の05年賃金構造基本統計で分かった。男性非正社員の月給は正社員の64%、女性は70%だった。両者の格差が議論になる中、同省は定期統計で賃金実態を初めて調べた。比べたのはボーナスや残業代を除く所定内給与で、実際の差はさらに大きいとみられる。

 同統計はこれまで労働時間に着目、フルタイムで働く一般労働者と短時間働くパートに分けて調査してきた。だが、フルタイムで働く人に契約社員や派遣社員、フリーターら非正社員が増えたため、調査方法を変え、雇用形態に分けて調べた。

 調査は05年6月の賃金について、従業員10人以上の約4万3000事業所、86万人分をまとめた。

 フルタイムで働く正社員と非正社員の月給を比較すると、男性は正社員が平均34万8100円(41.3歳、14.1年勤続)なのに対し、非正社員は22万1300円(45.1歳、6.0年)。女性は正社員23万9200円(37.9歳、9.7年)、非正社員16万8400円(41.2歳、5.5年)だった。

 賃金差を年齢別にみると、男女とも20代までは非正社員の賃金が正社員の8~9割台だったが、40~59歳の層は5~6割台。年齢が上がるにつれその差が広がっている。

 業務の内容によって、単純労働を低賃金労働者に任せるということ自体は悪くない。しかし、高いスキルを持ったときにそれに見合うだけの処遇改善がなされるチャンスがあればという前提付でだ。そうして、十分な労働市場の流動性が確保されれば、今のような不公平感はない。一部の既得権者だけがぬくぬくと古い体質のまま、能力を問われることもなくのさばっているのに、弱い立場の人間だけが厳しい競争に晒されているから問題なのだ。

 役人が、教育機関とか研修機関を設けても、そこで得た力を生かす職場が与えられないのだ。今の日本に本来の意味でのニート(Not in Employment, Education or Training)は多くない。ほとんどが最低でも高校は出ているし、多くの無職の若者は大学教育すら受けている。

※中川政調会長も間抜けなことを言っていた。が、中川政調会長の発言を聞いてから録画を開始したので、間に合わなかった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です