CMスキップの影響って

 香ばしい調査結果鑑定士は忙しい。これは前に見ていたものだが、放置していた。この調査は、インターネット生活研究所などという訳の分からん調査機関が捏造したものではなく、大手のシンクタンクNRI(野村證券が一般投資家から巻き上げた金を使って作った研究機関かな)のものだ。インプレスの子会社がやったものと違って、いろんなニュースサイトで取り上げられている。

 この調査が刺激的だったのは、「損害」という言葉だろう。まるで、HDDレコーダーを使ってCMをスキップする行為が誰かに被害を及ぼすかのような印象を受けるからだ。計算づくの「釣りワード」だとしたら、見事に釣られたといわれざるを得ない。

企業の広告・宣伝手法は、マスメディアから個別対応のITメディアへ~HDRユーザーの過半数がテレビCM80%スキップ、今年の損失総額は約540億円に

 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下NRI)は2005年4月、ブロードバンドの普及状況、メディア利用時間の変化、HDR(ハード・ディスク・レコーダー)の利用状況に関するインターネットアンケート調査を実施しました(2005年4月22~24日実施、回答者数は3,000)。その結果わかったHDRユーザーの平均テレビCMスキップ率などをもとに、2005年の企業の年間テレビ広告費全体における損失総額は約540億円となる可能性がある、という試算を出しました。同時に、マスメディアの利用時間は、PCによるインターネットに取り込まれる形で減少傾向にあることも明らかになりました。このような状況を踏まえ、企業は本格的に広告・宣伝手法を考え直す時期にきていると言えます。※赤字部分は納得箇所。

 数字の怪しさについては様々なサイトで指摘され野村総研のサイトにも補足が付け加えられた。これについては、下のサイトが結論として一番納得できるものだった。

跳箱:いや、ちょっとまって、NRIの言い訳はおかしいぞ

さんざん540億円もCM市場で損失が出ていると言いふらした後で、あ、それはホンモノの広告市場には関係ない仮定の話ですから、って説明は世間で通るのか?と怒りを新たにしたいところです

 広告主にとっては、CMスキップだけが問題で(ビデオ録画される番組には放映料金はかからないしHDDレコーダーに録画して何回も観られるのなら嬉しいくらいだ。しかしスキップされたら広告効果はゼロだ)、テレビ局にとっては見かけ上の視聴率が下がることで広告の単価が減らされるのが問題なだけだ(ビデオ録画は視聴率に反映しないので、その後スキップされようが観られようが売上に影響なし)。つまり、今の視聴率課金ではHDDだろうが、テープだろうが関係はなかったのだ。

 長期的には、テレビ視聴率のダウンと広告主の支出比率の見直しが起こるかもしれないが、HDDレコーダーだけが原因ではないだろう。新しいメディアや技術によってライフスタイルが変わったのだ。それを読み違えて、以前の売上が上がらないからとスケープゴートを作るのは既得権益に胡坐をかいていた奴らだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です