個人情報管理と企業秘密

 個人情報保護法の施行のために、至るところから「個人情報保護に関する弊社の対応について」といった文書が届いていた。あいさつだけのもの、個人情報の取り扱いについて依頼書や契約書の提出を求めてくるもの、様々だ。これまで野放しだったものに対する意識が変わるのは悪いことではないだろう。

 しかし、こういうときに、過剰反応をするのが日本の社会の、というか会社の特徴だ。しかも、中身ではなく上っ面だけを横並びでそろえるだけ。これでは効果はほとんどない。新入学の子供のいる家庭には塾や教材のDMが届き、夕方には「奥様はいらっしゃいますかぁ」という電話が、会社には「英会話の習得は社会人の・・・」という電話がかかり続けるだろう。形だけまねて、中身は全然かわらない某上場企業の人事制度改革とまったく同じ。

 最悪なのは、無駄な制限が増えることだ。個人情報を扱ってもいない担当者に制限を加えたり、会社として管理しなければならないことを管理しない責任逃れの口実に使うヤツが出てくる。そう、某社の情報システムのように、管理責任があるのに社員に丸投げするヤツだ。

 中には、個人情報と関係のない企業秘密の保護を強化する口実に使う企業もあるらしい。企業秘密を守るのは当然だが、個人情報保護とは関係がない。そんなものは、個人情報保護と関係なくやるべきことで、今までやってなかったことのほうが問題だ。というより、「自社の利益を守るために企業秘密は守るくせに、利益に関係のない顧客情報などをいいかげんに扱っていた会社(例えばソフトバンク)に個人情報を守らせるための法律」なのだ。だから、個人情報保護法を機に情報管理を徹底なんて、危機管理の甘さを公言するようなものだろう。

AmoebaE:やっかいな個人情報保護法案

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