あんたのほうが“プロ失格”

IT Pro 記者の眼 : ITエンジニアも文章力がなければ“プロ失格”

ビジネス文書に“文才”は必要ない

 では,どうしたら文章力が身に付くのだろうか。「文章の上手い下手は,生まれついての“文才”で決まる」と思っているとすれば,それは間違いだ。人を感動させるような小説や詩と違って,提案書や報告書,仕様書などのビジネス文書においては,何よりも正確さと分かりやすさが求められる。そうした文章を書くには,“文才”よりも「テクニック」を身に付けて実践することのほうが重要なのだ。

 ITエンジニアには他の業務分野の人間より文章作成能力が要求されるという点には納得できないが、本題ではないのでスルー(スルーはするが、この近視眼的思い上がりには一言書かずにはいられなかった。)

 ビジネス文書は技術で書くものだと思う。詩的な表現はかえって邪魔。暗喩なんか使うんじゃない。だから、「ビジネス文書に“文才”は必要ない」には賛成。前にも、「ビジネス現場の職人芸」という自己満足的な仕事の仕方について否定的に書いたが、ビジネス文書の詩的な表現も同じだ。

 しかし、この人のお勧めの練習方法にはあきれる。文才は必要ないと言い切っておきながら、読者を想定して推敲を繰り返せとか、練習しろとか高校野球の監督のような精神論で押しまくっている。ITという言葉を冠した雑誌(この記事はwebだが、本職は雑誌編集者)に書くプロの言葉とは思えない。ここで展開されるのは、小説やエッセイの書き手を育てるやり方だろう。

 ビジネス文書は、目的と読者は書く時点で決まっている。プレゼン用、取説、稟議書、申し送り…そんな程度のものはフォームを決めて流用すればいいのだ。そのためにグループウェアなりCMSなりを活用して情報共有すればいい。上手な人が作ったものを元にスタートすれば、下手でもそれなりに分かり易いものが書けるだろう。個性なんて要らないんだから。

 目的によっては、個性が必要となるような場合もあるだろう。しかし、個性を求められる場合でも形式に個性は要らない。職人芸の入り込む余地はないし必要もない。そんなケースでも有効なサポートツールがある。内容が個性的でも、フォーマットは決まっているはずだ。そこに盛り込むべき項目も書く前に決まっているだろう。だとすれば、アウトラインプロセッサーの出番だ。テンプレートに従って必要事項を入力し、最低限の必要事項は機械的に作成し、想像力の翼は内容を考えるときに広げてもらえばいい。

 記者とか編集者という肩書きを持ちながら、素人以下の文章しか書けない人間が多くいるマスコミの縮図を見た気がした。この人は、そんな不甲斐ない後輩(部下)に教えるつもりでこの文章を書いたのだろう。しかし、こんな人がベテラン(上司)として新人の指導に当たっていたら、まともな文章を書けるようになるまでには相当な時間がかかるだろう。個人が職人芸のようにして技術を身につけなければならないという発想だ。

 IT技術こそが、底上げをするのに非常に効果的なはずなのに、IT記者がこれに気づいていないとは….あんたのほうこそ“プロ失格”ですから〜残念。IT記者斬り!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です