裸の王様と提灯持ち”シャープとBCNと東洋経済”「アイフォーンに勝ってしまった」

sharp BCN の「調査w」で、「アイフォーンに勝ってしまった(片山会長)週刊東洋経済2013.2.16号」だったらしいが、全体では「日本の携帯市場占有率2012年の首位は…なんとAppleだった!」だ。BCN のランキングを見た人で普通レベルの知能があれば、「iPhone てキャリア・容量別になってる。合計したら一位だろww」となる。それだけでなく、BCN のランキングには前に「デマの構図(最終回答)>アップル製品沈没、不思議報道のメカニズム(本田 雅一)」で挙げたように流通経路の一部しか反映していないので、実際に売れたスマートフォンの順位を表していない。こんなことは携帯電話市場での Apple とシャープのシェアを比べればすぐに分かることだろ。Apple は四半期でシャープが年間に売る全機種の売上より多いだろう(シャープの社長なら自社の年間売り上げ数は把握しているはずだよね)。

 問題なのは、役員がこの事実に目をつぶってご満悦な点だ。偏ったあてにならない「BCN の調査ランキングw」に一喜一憂するより他に重要なことがあるだろう。

提灯マスコミ

 また、この記事の東洋経済も相変わらずだ。

 (嘘かホントかわからないが)シャープへの液晶の発注数量の低下を根拠に Apple が不調であるかのような印象の記事を何度も書いている。複数で購買している時に、生産量を落とすときには高いコストの納入先からカットされるので、一部への発注が減ったことが全体の需要減を表しているかどうかは分からない。また、10~12四半期より1~3四半期の販売数量が減るのは例年の傾向でこれは個人用デジタルデバイス全体の傾向だ。また、Apple の需要だけが落ち込んでいるというのなら、他のスマートフォンメーカーとの差を検証しなければならないが東洋経済の記事にはない。Apple が1-3 四半期の需要低下に備えて生産調整をした数が他のスマートフォンメーカーの季節要因より大幅に大きいかどうかを調べればいいが、東洋経済の記事にはない。

 2012-10~12 四半期で iPhone も iPad も最高売上台数だった。シェアを落としたのは市場全体の膨張が Apple の販売数量増より大きかった結果だ。しかも、Apple はこの市場の利益の大半を一社で享受している。このとこに東洋経済は一切言及しない。Apple の利益はシャープはもちろん日本のメーカーがスマートフォン、タブレット市場から上げた利益の数倍の規模だ。

 こういう現実が東洋経済の記事から伝わってこない(まあ、この記事はシャープについての記事だが)。Apple が安泰で成長が続くと言っているのではない。ここに示された資料では「判断できない」といっているのだ。判断できもしないのに、事実であるかのように書いている東洋経済を批判しているのだ。

経営者考

 再び、シャープ社長の問題点について考えたい。それは、「「AppleのエコシステムはSamsungより優れている」とSamsung最高戦略責任者」に書いたトップの危機感だ。一部の地域や機種では本当に iPhone と対等に戦う Samsung がのんきに「アイフォーンに勝ってしまった(片山会長)」などと言ってはいない。売上でも利益でもシャープよりよほど強い今の Samsung がこのような意識でいる時に、社内の提灯メディアのランキングで一瞬だけ一位になったことを鬼の首でもとったかのように発表する低能さに、日本の経営者のレベルの低さと低迷の原因を見る。

 これはシャープだけではない。ここでも何回も取り上げたが、日本の家電メーカーが新しいタブレットを発表する時に「これで iPad と互角に戦える」と繰り返した。その後、本当に iPad の対抗の機種になったものは一機種もない。互角どころか、市場で叩き売られて、失笑とともに市場から消えていった。この1年で iPad に対して数分の一の売上を挙げたのは Kindle、Nexus、Galaxy tab だけだ。これが現実。これから目をそらして BCN のランキングなんか見てるからダメなんだよ

東洋経済

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です