NHKスペシャルの地球大進化が面白い。
今日は「全球凍結が私たちを生んだ」というもの。6億年前に地球全体が千メートル以上の厚さの氷に閉じ込められ、気温はマイナス50度になったというものだった。その中で、細菌レベルだった生物は火山の温泉があるところで生き延びて数十万年しのいだということだった。
全球凍結発生のプロセスは、ある種の細菌が発生するメタンの温暖化効果で地球の温度が高く保たれていたのに、光合成する細菌の発する酸素とメタンが結びついてしまったために、温暖化効果が薄れ、そのために地球が冷却したということだった。そして、火山が発生する二酸化炭素の温暖化効果で氷が融けたというものだった。結果として、海水中に太陽光線が届くようになり、再び光合成をする生物が活性化し酸素の濃度が飛躍的に上がり、酸素を大量に使って身体を作ることが可能になり、大型の生物への進化のきっかけとなった。
スケールの大きな話でイメージが湧きにくいが、深海底に残っているメタンハイドレートなんかは、氷に押し込められた(現在の水面下千メートルくらいまで氷に覆われ、液状の水自体が現在の深海底や火山などの付近しか残らなかった)なかで、メタン発生菌が作ったものが低温・高圧で凝結した名残なのかもしれない。今使っている原油なんかは、数億年前の大森林の名残だが。
ただ、少しだけ疑問。マイナス50度程度でバランスした状態から、二酸化炭素による温暖化の影響により温度が上がるプロセスは何十万年という時間を要して、徐々に行われたはずだ。そして、火山活動がそのままだとしたら、気温は上がり続けるはずだ。もちろん、相当高いところで熱収支がバランスするだろうが、またもや生物が存続の危機に晒されるはずだ。それをくい止めたのは、光合成をする生物なのか。
演出の問題だが、山崎努が出てくる必要性は感じない。むしろ邪魔。それと、イメージ画像で動物が雪の中で死んでいくようなものが流されるが、違和感を覚える。「今の地球が凍結に見舞われたら」という架空の設定かも知れないが、ずさんすぎる。変化は数十万年という期間に行われる。「大型の野生動物が倒れているところに雪が降り積もり」なんてイメージが貧困すぎる。
平均気温が徐々に下がっていったら、植生が変わる。それにつれて草食動物、肉食動物の大移動が行われるだろう。それは、個々の動物が移動するというイメージではなく、住みよいほうが広がり食べ物の少ない地方の発生率が下がり、物理的な移動限界がきたときにその種が絶滅するのだろう。それは、すごく静かに行われるはずだ。そして、そのプロセスの途中では気候が変わり、土地の住めなかった砂漠のようなところへの動植物の移動もあるだろう。南北からは氷河やツンドラや針葉樹林帯が南下するだろう。最後に野生の動物が生き残るのは赤道付近だろう。しかし、その頃には、現在の赤道熱帯雨林にいるような生物はいなくなっているだろう。それが、現在南北にいる寒さに適応した動物なのか、熱帯雨林にいる生物の進化系なのかはわからないが。
イメージといえば、「二酸化炭素が増えて再び温度が上がる」というシーンでも、突然気温が上がるような映像(豪雪地帯に春が訪れるといった雪解けイメージ)が流れれるが。そうじゃないだろ。南間年もかかってちょっとずつ気温が上がり氷の厚さが減っていくんだろう。そして、赤道下の氷が太陽光線を通すくらいの厚さになったときに、火山帯近くに生き残っていた細菌が氷の下のうみへと繁殖を開始したのに違いない。そして、氷がとけ水面が空気に面するようになるまでも何千年かかかったはずだ。その下の海で、生物は種の爆発を開始したのだろう。