Ice Cream Sandwitch は美味しいが、一番人気は未だに Gingerbread

 Google play へのアクセスで調べたら新しいバージョンからのアクセスの割合が実際の割合より大きく出るのが当然だろう。今、ICSを使っているユーザは入手後数ヶ月だ。始めて Android 端末を買ったユーザなら Google play でアプリを探すし、アップデートしたユーザも新しい OS に対応したアプリをダウンロードするために Google play を開く回数は多いはずだ。

 さらに、ICS対応のデバイスはハードウェアスペックが高い。高速通信に対応する機種も多い。2.2のIDEOSを持っているが、緊急的事態でもなければウェブアクセスしようと思わない。アプリの情報を見てダウンロードしようと思ったときにはパソコンで Google play にアクセスしダウンロードの設定をする。端末のGoogle play アプリで探すということはしない(これは Android のいいところだ)。さらに、IDEOS にはストレージの制限もあってインストールできるアプリはほぼ上限に達している。当然、Google play への足は遠ざかる一方だ。こういうユーザはこの調査には一切現れない。

 2.3 ユーザの中にもこんなユーザは多いのではないだろうか。とすれば、Google が訴えたい「ICS への移行が順調」というのはかなり怪しいのではないだろうか。

アイスクリーム・サンドイッチ、そろそろ食べごろ? Android OSのバージョン別シェアを分析

GoogleがこのほどAndroidについてデベロッパー向け情報を公開した。過去2週間にGoogle PlayストアにアクセスしたAndroidデバイスについて調査した結果、OSのバージョン別のシェアではv2.3 Gingerbreadが63.6%で他を大きく引き離してトップだった。だがEnders Analysisのアナリスト、Ben Evansの好意で提供してもらったデータによると、4.0 Ice Cream Sandwichもそろそろ普及の時期を迎えているように思える。

Googleのデータによれば、過去2週間にGoogle PlayにアクセスしてきたICS搭載機のシェアは10.7%だった という。しかしEvansの計算によると、この2週間に新たにアクセスしてきたデバイスの台数では初めてICS がGingerbreadを上回ったという。つまり他のバージョンの台数が減少し、ICS搭載機だけがシェアを広げているという兆候だ。

EvansはGingerbreadのアクティベーションは過去数回のGoogleのAndroidデベロッパー・レポートで減少傾向だったと指摘する。6月1日にGingerbreadは全アクティベーションの64.6%を占めていた。それが6月15日には64.2%、7月2日には63.6%と漸減している。

その一方、ICSはこの2週間で10.7%に躍進した。同期間の新たなアクティベーション数では、ICSが1000万台弱に対してGingerbreadは700万台弱にとどまった。

これを広い視野で見ると、Androidのバージョンの中でICSだけがシェアを増加させている一方、Gingerbreadは以前にv2.2 FroyoがたどったS字カーブの減少傾向を見せている。

Evansはこうした数字をGoogleが散発的に発表するAndroidのアクティベーションの情報から計算したという(最近の例はAndy Rubinの毎日90万台のAndroidデバイスがアクティベーションされているという発言)。 ただしEvansも指摘するとおり、こうした数字は確実なものではない。というのはGoogleが発表する情報はPlayストアへのアクセスをベースにしているが、このサンプルが全Androidユーザーを正しく代表しているかどうかは分からないからだ。Evansによれば「GoogleにAndroidデバイスの数を尋ねるのはリーヌス・トーヴァルズにLinuxの利用状況を尋ねるようなものだ。どちらもそれについて正確なことは知らないのだ」という。

しかしEvansの数字が正しいならGingerbreadには〔ビスケットだけに〕そろそろカビが生えてきたのかもしれない。

Evansは私の取材に対して「ICSのシェアは伸びてきたが、Gingerbreadのローンチ後同時期の伸びにくらべればまだ遅い」と述べた。

全体としてみると古いOSもまだ優勢だということになる。Evansの推計では4.0 ICSは現在4200万台のデバイスで使われているものの、2.3が2億6000万台、2.2もまだ7000万台が使用中だ。Googleの発表した数字によれば2.3Gingerbreadが(カビが生えていようがいまいが)、依然として圧倒的に多数派だということになる。

現在の販売状況に目を移すと、低価格モデルにはまだ旧バージョンを搭載する製品が多く、ICSはメーカーに全面的に採用されるところまで来ていないとEvansは考えている。一部のアナリストによれば携帯電話の販売数自体が頭打ちの傾向を見せているという(Strategy Analyticsは世界市場の成長が4%に減速すると予想している)。これはスマートフォンの普及がそろそろ一巡したことによるもので、ICSの普及速度が伸びないのも同じ理由によるものではないか。

こうした統計からデベロッパーが得られる教訓は、最近のバージョンでしか作動しないAPIを利用してクールな機能を実装するより、初期バージョンのAndroidで動作するアプリに集中する方が得策だということかもしれない。GoogleはすべてバージョンのAndroidについて前方互換性を保証している。

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