既得権益保持者の規制により需要が締め付けられている例

 多くのユーザーがiTMSを待っている。にもかかわらず、業界団体の圧力で開始できない。誰のための権利保護だ?CD流通業者の近視眼的「著作権保護」がCDの不買、違法コピーを助長していることがまだわからないのか?俺は、CD-RWドライブを買ってからCDの購入量が大幅に増えた。レンタルで借りてCD-Rに焼いたものを買うというケースもある。LPレコードで持っているアルバムのCDを買うこともある。音楽に対する支出自体が増えたのだ。そのきっかけがCD-RWだった。

 規制をするだけでは市場は広がらない。自分の持っている曲をタダで人に聴かせたくないならラジオやテレビで流すな。ショップにも置くな。そしたら違法コピーは一掃できるだろう。しかし、それでいいのか?

 今号のTidBITSの記事751でアップルの決算についてコメントがあった。iPodの販売数が累計で790万台、iTMSでの楽曲の販売数が1億5000万。iPodはiTMSが使えない国や地方でも何十万台かは売れているので、1台あたりの平均DL数は20曲程度になる。iPodを買ったユーザーはまず手持ちのCDを取り込む。その後、iTMSからのダウンロードを行うだろう。

 アメリカではアルバムが1枚11.98ドルで売られている(”The darkness on the edge of town”)。iTMSでは1曲約1ドル、アルバムで約10ドルだから、アルバムを欲しいならCDを買うだろう。というか、俺なら買う。ということは、iTMSから買うのは、特定の曲だけを欲しい場合が大半だろう。その中で、この1億5000万曲の売上は大きいだろう。

 さらに偏見は濃くなるが、単発で欲しいような曲の多くは、「CDを買ってまで欲しいと思わない曲」だろう。ということは、iTMSにより音楽販売の市場が広がるとも思える。そして、そこで気軽に買ってみた曲が気に入りそのアーティストのCDを購入することもあるだろう。

 アーティスト、ユーザー、どちらもが得をするwin・winモデルになっているからiPod+iTMSはこんな勢いで伸びたのだろう。じゃあ、なんで日本では入らないのか。ユーザーとアーティストの間に入って本来の意味での著作権と違うところで暴利をむさぼっている(同じコンテンツの価格差から考えれば当然だろう)日本のレコード流通業者が政治力を使っているからだ。そして、官僚と政治家がその上前をはねるのだ。

 ちなみに、例に挙げたCDの日本Amazonでの価格は、1700円(輸入版は1300円)だ。この差額が誰のポケットに入るのか?少なくともBruceSpringsteenの元には入らないだろう。¥信じられない人は、自分で日米で売られている洋楽CDの価格を比較してみよう。ほら、腹が立ってきた。

 規制緩和ってこういう理不尽な圧力団体の力を制限するということだったんじゃなかったっけ。靖国神社参拝とか「それは担当大臣に任せてます」というようなときだけ力のこもった返事をするだけじゃなく、力の入った政治をやってくれ。

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