「『若者のPC離れ』批判は的外れ(山口 健太)」は的外れ

20160916-mobile 「たしかにスマホ世代もキーボード操作は苦手かもしれない。だが、PCを使いこなすだけのITリテラシーは備えている。ここがシニア世代とは決定的に異なる点だ。」には同意する。

 タイピングとか Office なんて必要に迫られて使えば一月もあれば使えるようになる。何年かかってもマトモに Excel や Word を使えてない奴らのほうが会社には多い。因みに、自分が勤めている会社だけでなく、誰もが知っているような商社や銀行や年収数千万のコンサルや監査法人の会計士を見ていても大差はない。

 しかし、「その上で、PCよりスマホのほうが優れていると肌感覚で理解しているのがスマホ世代といえる。」には首肯できない。「PCよりスマホのほうが優れている」ことを前提として若者はそれを分かっているといいたげだが、その前提に対する根拠がまったくない。

たしかにスマホでは、PCと同じ作業をすることは困難だ。5インチ程度の画面に表計算のスプレッドシートを全画面表示しても、使いやすいとは言えない。単純にPCをスマホで置き換えても、効率が悪くなるだけだ。

 その一方で、「PCに向かっていれば仕事をした気になる」ことも問題だ。長時間かけてExcelで印刷のずれを直したり、無駄に凝った装飾のPowerPointの資料を見せられたりすると「それは業務に必要なのか」と誰もが疑問に思うはずだ。

 完全な詭弁だ。一文目でスマホで全部置き換えられないと認める姿勢で読者の納得を得て、次の疑問文で、前文の内容にも疑問をもたせようとしている。実に狡猾だ。「スマホはPCを置き換えられない」と「どうでもいい些末なことにこだわること」とは無関係だ。

 「長時間かけてExcelで印刷のずれを直したり、無駄に凝った装飾のPowerPointの資料」はPCを使えていないことによる問題であってPCだからという問題ではない。そんなことをする仕事のできない人間はPCだろうがスマホだろうがタブレットだろうがUNIXワークステーションだろうが同じことをする。

 仕事のハードウェアプラットフォームを論じる時に出すことではない。

 スマホは、業務上のメッセージのやりとりなどでは使えるだろうが、物理的な大きさが生産性に寄与するような業務をこなすことはできない。こんなことはUIの基本中の基本だ。ここでも、何度も書いたが「大きさには意味がある。大きさによってUIは変わる必要がある」だ。CADやグラフィックスををスマホでは出来ない。アプリケーションの開発も大きな画面がある方がいい。株式のトレーダーが4面のモニタを使っているのにも意味がある。表計算の集計作業もたくさんのセルを表示できる方が圧倒的に有利だ。

 スマホはスマホの機動性を活かす業務ではこれまで以上に使われるかもしれないが、PCはなくならない。これまで、技術的な制約でPCでやっていた作業の一部を本来の形でできるように補完するのがスマホやタブレットになる。それだけのことだ。

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 若者のPC離れと並行して、新しいワークスタイルを望む声も増えている。若者が離職しやすいという傾向は以前からあるものだが、最近では「柔軟なワークスタイルが選択できない」ことが離職の理由になる、という調査結果を目にする機会が多い。

 2020年には、労働人口の半分をITネイティブ世代が占めるようになるという。こうした変化に対応すべく、日本HPは大型ディスプレイにつなぐことでPCのように使えるWindows 10 Mobileスマートフォン「Elite x3」の開発を進めている。

 こうしたワークスタイルは、一昔前なら「甘えたことを言うな」と一喝されていたところだが、マイクロソフトが「Surface」を用いたテレワークを推進するように、大企業でも在宅勤務などの採用が増えている。多様性の確保が生産性向上につながるという期待もあるだろう。

 え~っと、どこから突っ込めばいいんだろう。ノマドワーカーさんですか?スターバックスでMacBook開いて原稿書くのが柔軟なワークスタイルですかぁwwww

 ノマドワークについて書いたときの指摘や上に書いた、ハードウェアプラットフォームの話の繰り返しになるのでくどくど書かない。「新しいワークスタイル」とやらで合理化出来る仕事はある。が、それが主流になるとは思えないし、「そこにいること」が仕事である職種はなくならない。

 逆に、そこに人がいなくて、データ処理や文書作成しかしないのであれば、リリースの焼き直しレベルのレビュー記事しか要らないのなら、AIでいいだろう。メーカーのリリースを書き写すだけのライターなんてまっさきに不要になる。

 スマートフォンを始めとするモバイル機器が普及するにつれ、「若者のPC離れ」が進んでいるという。「スマホを使いこなす若者なのに、PCのキーボードが打てない」というギャップの意外性も相まって、大きく拡散しやすい話題だ。

情報源: 第32回 「若者のPC離れ」批判は的外れ、そこに生産性向上のヒントあり(1/3ページ):nikkei BPnet 〈日経BPネット〉

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