凋落日の丸家電が「甘えの構造」から抜け出すための最終提言|ダイヤモンド・オンライン

 日本の経済評論家とかセミナーの講師とかは価格競争に巻き込まれたとか人件費が高くて不利という。しかし、実際には品質競争でリードを保てなくなったということだ。品質競争で停滞しているために追いつかれたという現実から目をそむけているのではないか。

 人件費が高いというが、人件費が原価に占める割合はそんなに高いか?縫製業などは製造業でも人件費比率が高いだろうが(だからユニクロは全て海外製)、液晶パネルや半導体の人件費比率は低いだろう。白物家電も組立工程はそれなりの人がかかっているが、売上原価のうちどれくらいが人件費なのか?

 もちろん、原価の一部であっても高いのは利益率を下げる。ここで言っているのは、他にもっと大きなコスト差の要因があるのではないかということだ。原料や流通、燃料(原油・ガス・電気)はアジアの他国に対してどうなのか?それは人件費の差より小さいのか検証を行なった結果、人件費が日本の製造業の足枷になっていると言っているのかどうかだ。(もし、そうならごめんなさいだが)

 主役交代を加速して決定的にした要因は、国際市場での勝負どころが製品の高品質化競争から低価格競争へ、つまり値下げ合戦へシフトしたためである。日本勢が圧倒的な強みとしてきた「高品質」は、アジア勢の急速な追い上げでその優位性をあっという間に失った。品質での優劣に落差がなくなった日本勢は、安売りで勝負する消耗戦へ否応なく巻き込まれ、自滅の道へ追い込まれていったのである。

日本国内はもとより、国際的にもほぼ同時進行で一斉にデジタル化した薄型テレビの市場争奪戦が、その象徴であった。投資コストを回収している暇もなく、値下げに次ぐ値下げの消耗戦を強いられたため、コスト競争力に強いアジア勢と弱い日本勢とでは、勝敗は決定的であった。アジア勢は基本的に人件費が安く、為替もはるかに割安である。これに対し、日本勢は人件費が高く、為替は超円高続きだった。アジア勢の安売り攻勢にはついて行けず、脱落を余儀なくされていった。

 次に提言を見よう。どれも何もいっていないに等しい。「速く走るためには足を速く動かしましょう」とか「(野球で)ピッチャーが失点を0にすれば勝てる」というのと同レベルだ。誰でも言える。分かっていても出来ないから苦しんでいるんだろうwww

凋落日の丸家電が「甘えの構造」から抜け出すための最終提言|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン

1つには、古い業界体質や企業風土を自らの手で払拭していくことが先決である。それには、この度のシャープの外資導入によるテコ入れも、決して当該企業の経営再生策で終わらせることなく、業界全体が古い体質や風土から脱皮するための他山の石として受け止め、わが身への教訓として活かしていくことである。

2つには、東南アジアをはじめ、中南米やアフリカなどの途上国では家電化の普及がむしろこれからの地域や貧困層が多いため、家電先進国である日本はその普及、啓発に尽力して、寄与、貢献していくことである。日本の家電業界の輸出先は、これまでは欧米やアジアを含め、富裕層向けが中心であったが、これからは日本にとって未開発地域の海外戦略、戦術が急務となる、

3つには、家電イノベーションが「もの」ベースから「サービス化」へ、さらには家電のIoT(Internet of Thing)革命へと急進展する中で、日本の家電業界はその先端的なビジネスモデルを開発し、市場化への展開で「お家芸」を発揮・再現して、先端家電の国際市場を先導していくことである。それには、液晶に代わる次世代ディスプレイとなる有機ELの応用展開をはじめ、家電と自動車と電力網をつなぐV2H(Vehicle to Home)やV2G(Vehicle to Grid)など、家電のIOT革命を率先垂範して、推進していくことである。

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