ユニクロ柳井社長、中国工場の過酷労働に「非常にびっくり」 あまりに白々しすぎないか?

 この記事にはびっくりした。柳井社長ともあろう人が嘘をつくはずがない。ユニクロは旧帝国陸軍のような一枚板のモチベーションの高い組織で、柳井社長の徳が組織の隅々まで行き渡って全員が高いモチベーションで戦っている、誰一人脱落者のいない素晴らしい企業だ。柳井社長はユニクロを親から受け継いで大きくした素晴らしい経営者であると経済誌とか新聞で持ち上げられている。柳井社長の徳があまねくユニクロ社内だけでなく海外の下請け会社の末端従業員に至るまでに行き渡り、グループ社員は日本国内有数の好待遇で遊休の取得率も育児休業の取得率も女性管理職の比率も日本企業ではトップクラスに違いないwww

 新卒採用社員の3年後離職率が30%を超えたり、過労死自殺や過大なサービス残業なんて全部でっちあげ。そんなことが足元で起こっているのに気づかないなんて居酒屋チェーン店の元社長国会議員のような人間ではない。むしろ、ユニクロでそんなことが起きていたら柳井社長がまともな精神状態でいられるわけがない。

 ユニクロ幹部の心をがっちり掴んだ所で本題に入りたい。

 洋服製造という労働集約型の製造で円安と賃金格差を活かして利益を上げるのがユニクロのビジネスモデルだ。簡単に言うと賃金格差前提のモデル(これ自体は問題はない。情報や労働力の格差があるから分業ができ、貿易が発生するのだから)。これが、海外労働者の賃金上昇と円安により破綻に瀕している。日本国内の賃金が割高になったから中国に生産拠点を移し、中国が割高になったらベトナム等に移す・・・としても、必ず行き詰まるビジネスモデルでもある。

 販売先を海外にシフトすることがこれに対する回答だろうが、効き始めるまでは時間がかかるだろう。

 そこまでの、時間稼ぎとして組織に対してカリスマ経営者がコストダウンの大号令を発したら、取り巻き幹部は暴走しかねない。カリスマ性の高い組織であればあるほどそうだろう。海外の子会社はそこまで直接的ではないにせよ、納入価格の切り下げを応じないと取引を取りやめると言われたら従わざるをえないだろう。

ユニクロ柳井社長、中国工場の過酷労働に「非常にびっくり」 あまりに白々しすぎないか? | キャリコネニュース
ユニクロの商品を製造する中国工場の「劣悪な労働環境」を、香港を拠点とするNGOのSACOMが指摘した問題で、ファーストリテイリングの柳井社長が20日の会見後の囲み取材で初めてコメントした。

「今まで監査をやってきたんですけど、あのような現状があるということ自体、非常にびっくりしているし、残念だと思っています。事実かどうか、確認しなければいけない」
「今回は例外で、中国の労働環境は決して悪くない」

しかしユニクロ中国工場の劣悪な労働環境は、2011年に刊行された書籍「ユニクロ帝国の光と影」でも指摘されていた。そのうえファストリ社はこの記述を「名誉毀損」だとして、発行した文藝春秋を提訴までしている。柳井社長は本当に「びっくり」したのだろうか。

文藝春秋を相手取った裁判は2014年12月、ユニクロ側の請求がすべて棄却されて全面敗訴が確定している。文藝春秋に2億2000万円という超高額の損害賠償を求めたことに対し、「どう喝訴訟(SLAPP訴訟)だったのでは」という批判もある。

「光と影」著者の横田増生氏によると、柳井社長へのインタビュー後に「中国の工場を取材させてほしい」と頼んだ際、それまでにこやかだった柳井氏は表情を険しく変えて、こう返してきたという。

「ダメ、ダメ。それだけは企業秘密に関わることだから絶対にダメです。(スペインの)ZARAだってどこだって、それだけは見せない。われわれが行ったって、見せてくれないんですから」

その後、横田氏は10の製造工場を独自に突き止め、取材を敢行した。そこで明らかになったのは、中国の委託工場における厳しい労働環境だった。

本書によると、17歳の少女が働く工場では朝8時に仕事が始まり、深夜3時まで残業させられることが「何度もありました」という。「納期厳守」を重視するユニクロの生産管理体制の影響だ。ずっと立ちっぱなしでアイロンがけをして、給与や残業代込みで月1500元(当時レートで約2万円)だった。

別の工場では、作業に失敗すると「1回の失敗につき、5元から10元が罰金として(給与から)引かれる」という制度があったという。不良品率が0.3%を超えると、工場側の負担で商品がすべて日本から送り返されるからだ。

NGOの指摘は「イレギュラーではない」とジャーナリスト

書籍内ではこのような指摘が続くが、その内容は今回SACOMが指摘した「長時間労働と低い基本給、労働法の違反」「リスクが高く安全でない労働環境」「厳しい管理方法と処罰システム」「機能を果たさない工場内の労働組合」といった劣悪な労働環境の指摘と、かなり似通っている。

月平均100時間を超える残業や、非常に高温な染料タンクでの作業、品質上の欠陥があれば給与から罰金が差し引かれ、その制度は労働規程には定められていないなど枚挙に暇がない。

また柳井氏はコメントで監査にも触れているが、ファストリ社の「CSRレポート2014」によると170工場に労働環境モニタリングを行った結果、「指摘事項なし」だったのは10工場のみ。9割以上の工場には何らかの指摘事項があり、「重大な指摘事項」があった工場も65件にのぼっている。

CSRレポートの内容を柳井氏が承知しているのは当然で、「非常にびっくり」というコメントは白々しいと思われても仕方ないだろう。横田氏は2015年1月29日号の週刊文春に寄稿し、マスコミ報道がユニクロ批判に「及び腰」であると批判している。

「長年ユニクロを取材してきた私から見れば、(SACOMの指摘を受けた中国工場の違法労働は)『イレギュラー』ではない」
「今度こそユニクロは労働環境の改善に動くのか。発表を鵜呑みにせず、監視することがメディアの役割である」

SACOMは他の工場の「調査内容」「改善プロセス」公開求める

SACOMの報告書を受けてファストリ社は15日、労働環境モニタリングをさらに強化することを発表した。あわせて指摘された問題点をただちに改善する具体的な「工場改善プログラム」もリリースしている。

今回の調査報告書に関連し、ファストリ社は19日にSACOMと会談を実施。SACOMは報告書で指摘した2工場以外にも「同様の事態はないのか」という調査内容や改善プロセスについて「詳細に公開してほしい」とファストリ社に要望した。ファストリ社からは「守秘義務の問題もあるが、検討したい」との回答を得たという。

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