Alfaromeo 145

 Alfaromeo 145 を買ったのは6年前。事故で前の車が廃車になり、長期免停が開けた時に見つけたものだった。子供が18歳か大学に入るか就職するかすれば自動車の免許を取ると思っていたので、オートマ車を買わなければと思っていた(前に載っていたのはミッションだったので)。しかし、娘が免許を欲しがらないので、「じゃあミッション車でもいいか」となっている時に自転車の走行ルートにあったこの車を見つけたのだった。そのときの条件である「ロードより高い車は要らない」にも合致した。年間の走行距離からいって、自動車が自転車より重要度が低いのは当然だから。

 イタリア車、まして古い車は、トラブルの連続のように考えられている。というか、自分は考えていた。しかし、意外なことに、それほど大きなトラブルには遭遇せずに6年間乗れた。この6年間で遭遇したトラブルを並べて見たい。

  • ヒーターが効かない。夏に買ったので気がつかなかったのだ。修理に持って行くのが面倒で一冬乗り切った。車に乗るのに上着を着たまま、手袋をして乗っていた。困ったのはウィンドウが曇ることだ。ヒーターが生きていればエンジンをかけて数分もすれば霜も溶けるし曇りもなくなるが、霜は走る前に取り除き、内側の曇りはタオルで拭きながら走った。
  • ウィンドウが上がらなくなった。巻き上げのワイヤーが切れたのが原因。これだからパワーウィンドウの車は嫌いだ。
  • ブレーキフルードが漏れてクラッチが効かなくなった。ブレーキフルードが減っているというランプには気づいていたが、「あと一月で車検やからその時に」と思っていたのがしっぱいだった。その時点でフルードを足しておけばクラッチが効かなくなったりはしなかった。
  • ヘッドライトの一方が点かなくなった。
  • ボンネットを開くためのノブのジョイント部が壊れて、ボンネットを開くのに苦労した。おかげで、バッテリーの充電ができなくなり押しがけの練習をした(^^;
  • ルームミラーが落ちた。車検の時に貼ってもらったがすぐに落ちてそれっきりになった。ルームミラーは法定装備ではないので、無くても車検は通った。
  • バックミラーのミラーの蒸着が落ちて写りが悪くなった。

 トラブルというとこれくらいだった。クラッチレリースシリンダーのトラブル以外はそれほど大きなものではないし、1996年製造ということを考えれば無理もない気がしなくもない。合計の修理代も10万円もかかっていない。次は、トラブルではないが不便だったところ。

  • 地上最低高が低いので、何かをまたぐと下部構造(おそらくエンジンのオイルパン)に当たること。注意しないとオイルパンを割ってしまうというので、工事中の所などは気を使わなければならなかった。また、商業施設の駐車場に止める時に前方駐車すると、車止めにシャシーの前部が当たるので気を使った。
  • 地上最低高が低いことに起因するが、雪が積もったっ時に轍を通ると雪が下部構造に当たった。他の車が通った後でもこするので、どちらか一方を新雪に乗り上げるようにして走った。直接的に大きなトラブル(マフラーが落ちたり、オイルパンが割れたり)にはならなかったが神経をすり減らした。
  • 熱しやすいラテンの血がそうさせるのか、水温が上がりやすかった。特徴的なのは、止まっているとアイドリングでもオーバーヒートしそうになるということだ。真冬に子供を迎えに行ってヒーターをかけて止まっていたら水温が100度を超えそうになった。もちろん、真夏にアイドリングで止まっていることなど怖くて絶対にできない。当然、渋滞にも弱く、数百メートルノロノロうんてんするだけでファンの音が甲高くなる。オーバーヒートで動けなくなったことはないが、1時間以上ノロノロ運転をしなければならないような本格的な渋滞に遭遇していないだけだと思う。真夏の、ただでさえ渋滞している道路でオーバーヒートで車線を塞いでしまうなんて考えただけで冷や汗が出るから、渋滞しそうな時に高速には乗らないし、都会にも極力行かなかった。
  • 走っている時には真夏でも平気。走り出せば水温は目に見えて下がる。先日の出張では30度を超える中を走ったが、信号の少ない田舎道を巡航している分には80度を越えない位だった。
  • 車体の剛性が落ちているのか、タイトなコーナーにちょっと速めに進入すると後ろからギシッという音がする。
  • プラスチック部品が劣化してボロボロ。いろんなプラスチックパーツが脱落したり外れたりした。
  • クラッチが重い。それなりのパワーが有る車なのでしかたがないのだろうが、ストップ&ゴーや半クラッチを多用しなければならない渋滞や都会は苦痛そのものだった。息子の所に行くために京都市内を走る以外ではほとんど都会に行かなかったのは、オーバーヒートとクラッチ操作の苦痛による。また、自分は感じなかったが、クラッチのキレが教習所の車と違いすぎて子供達が戸惑っていた。遊びが少なくキレが良いのが却って扱いにくいらしかった。
  • 雨ざらしで置いているせいもあるが、塗装が完全に死んでツヤがゼロ。ボンネットは塗装が一部剥がれて、地金が露出している。

 多くは、イタリア車故のトラブルではないが、かなりいろんなことに気を使って運転しなければならない車ではある。でも、親が乗っていた Ipsum や Mark X よりははるかに愉しいクルマだった。何より、ダイレクトな操作感が残っている。

 いまどきの車はドライバーを外部と切り離して、自宅の居間にいるような快適さを目指しているようだ。親の車を乗って、エアコンが効いて外部と切り離されたビルの一室から外を眺めているような感じがした。もっというなら、自宅の居間でテレビを見ているように外界を感じるという錯覚を覚えた。エンジンも静かで勝手にシフトするし、ブレーキもパッドが当たった感じはしないが踏めば止まる、ステアリングも路面の状況と関係なく曲がるという感じだ。

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