“7倍に盛ってみました” 「竹中平蔵氏が語る東京五輪の経済効果」 WWW

 経済効果といえば、大きなイベントが有るたびに予想だけが発表されて、答え合わせはほとんどない。日韓ワールドカップやロンドンオリンピックで液晶テレビが売れて日本のテレビメーカーが大いに潤うとかいう予想があったがそうはならなかった。それどころか、生産力を増やしていたPanasonicやシャープは投資を回収できずに大幅に業績を悪化させて現在に至っている。

 「バブル崩壊後、経済停滞を続けてきた日本にとっては、いわば背水の陣で臨む覚悟が必要だ。」と書いているが、経済停滞中に対策を打った本人だよね。「これをやれば景気回復でデフレ脱却、財政改善が達成できる」とか言っていたのは記憶違いだろうか。既にある予想を7倍に水増しするのにはXX総研の担当者もびっくりだろうwww

 素人から見てもあり得ない前提が幾つもあって、ウルトラマン辞典を見ているようで楽しい。

  1. アジアヘッドクォーター特区と国家戦略特区が相俟って、2017~2020年の4年間に年間50社、計200社の進出があると前提している(本四架橋や地方空港の採算検討時みたいww
  2. 雇用誘発効果が7年で約100万人となっている点だ(どの産業?建設業に集中していたら一時的に盛り上がっても、オリンピック後の失業対策を打たなきゃならなくなるだろう。記事にもあるが、それだけの未就業人数がいるのか?短絡的な雇用対策を打つと禍根を残すとこになる。竹中時代にやった非正規雇用による人件費カットが良い例だ
  3. オリンピック・パラリンピックはいまの世界で最高の「コンテンツ」である(薄れてきたと思うよ。うちにはテレビはないが全然見たいと思わないもの。もう、国を挙げて選手を応援する時代じゃない
  4. ロンドンで開かれた国際会議の数が大幅に増加したことだ(ロンドンと東京の地理的条件を考えていない。EUの企業なら国をまたがった会議も多いしその際にパリにしていた会議をロンドンにすることは簡単だろう。アメリカからヨーロッパの国々に飛ぶビジネスマンにとっても大陸でやるかロンドンでやるかはあまり差はない。しかし、東京は違うだろ。
  5. クールジャパン戦略への貢献(クールジャパン戦略が機能していると思ってる人間などいないと思う。ゴスロリとは似ても似つかない変なドレスを着たおばさんを代表にしている時点で終わってる。これについては、ロリ服好きの娘が「こんなもんゴスでもロリでもない。ゴスロリを名乗るな」と怒っていた。

「アベノリンピック」で2020年まで景気拡大 | Voice | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
竹中平蔵氏が語る東京五輪の経済効果(上) 2014年2月19日

2020年に開催が決まった東京オリンピック・パラリンピック。その経済効果について東京都は「7年で3兆円」と予測するが、最新の試算によれば、現実の効果はそれよりもさらに大きい。バブル崩壊後、経済停滞を続けてきた日本にとって、今回の開催決定は千載一遇のチャンス。果たして経済成長を実現させるために、政府や民間企業に求められる取り組みとは? 慶應義塾大学教授・竹中平蔵氏が景気拡大への戦略について解説する。

背水の陣で臨め

2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。誘致が決まった直後から、筆者は“アベノリンピック”いう表現を用いてきた。アベノミクスという経済政策に、オリンピックという追い風が吹く。東京都の試算によれば、その生産波及効果は7年で3兆円となっている。しかし現実の効果は、それよりはるかに大きいだろう。オリンピックには、経済面で3つの効果が期待できる。3つの効果とは、

1. 通常のハードの経済効果
2. ソフト・パワー効果
3. 「セーブ・フェイス(面子を保つ)」効果

だ。筆者らの試算(森記念財団・都市戦略研究所による)では、適切な政策運営さえ行なえば従来試算の7倍、うまくすればそれをはるかに凌ぐ効果があると考えられる。

いうまでもなくオリンピックに期待するのは、スポーツを通した感動であり、経済効果はあくまで副次的なものだ。しかしいまの日本にとって、オリンピック・パラリンピックがもたらす効果を有効に活用することの意義はきわめて大きい。逆に、このチャンスを逃せば、本物の経済再生を実現する貴重な機会を失うことになる。重要なことは、オリンピックの経済効果は、決して待ちの姿勢で実現されるものではないという点だ。人材確保、資金調達、規制改革など課題は山積している。これを実現するという強い意志が、政府にも民間にも求められる。バブル崩壊後、経済停滞を続けてきた日本にとっては、いわば背水の陣で臨む覚悟が必要だ。

以下では、ハードの経済効果、ソフト・パワー効果、セーブ・フェイス効果という3つの効果の各々について議論する。そのうえで、東京がいま大きく変わりつつあり、これまで容易にできなかったさまざまな改革の必要性とその効果を実感できる環境が生まれている。オリンピックが開催される2020年は、すでに多くの政策目標の最終年となっている。たとえば、財政健全化達成の目標年次だ。6月の成長戦略で示されたKPI(キー・パフォーマンス・インディケーター)の主要項目に関しても、ビジネス環境ランキングを15位から3位に引き上げる、対内直接投資を2倍にするなど、30項目が2020年を目標年次としている。オリンピックは、日本社会全体に強い求心力をもたらすことが期待される。こうした点をも踏まえ、アベノミクスをパワーアップするためにも、2020年オリンピックを視野に入れた包括的な政策プログラム「改革2020」の作成を提言したいと思う。

従来試算の約7倍の経済効果

2020年のオリンピック・パラリンピックがもたらす経済効果の第1は、いわばハードの経済効果だ。公共工事の実施や旅客の増加といった、直接効果である。これに関しては、すでに東京都が試算を行なっている。産業連関表のオーソドックスな手法によるもので、結論として約3兆円の生産誘発効果が生まれ、うち4割が首都圏以外にも及ぶことが示されている。

しかし、7年で3兆円というのはきわめて控えめな数値だ。付加価値の誘発効果は1.4兆円で、1年当たりに直すとGDPの0.04%程度にすぎないことになる。これは、施設整備費を都が行なう競技場などの改修などに限定していること、直接オリンピック目的で訪問する旅行客の消費のみに限定して試算していることによる。しかし現実には、後述のように2020年に向けてさまざまな効果が重なることによって、投資や消費は一層拡大すると考えられる。

こうした問題意識に立って、筆者が所長を務める森記念財団・都市戦略研究所では、新しい試算を行なった。手法としては都と同様に産業連関表を用いたものではあるが、いくつかの点で前提が異なっている。たとえば施設整備費については都の試算に加え、「外環道(練馬―世田谷)事業費の1割が前倒しされる」、「地下鉄の一部延伸(豊洲―住吉)が行なわれる」、「成田・羽田アクセス鉄道の5割が実施される」などを織り込んでいる。また消費面では、ロンドンオリンピックの効果を参考に、従業者数が2020年までに21万人増加することの効果を見込んでいる。

さらには、アジアヘッドクォーター特区と国家戦略特区が相俟って、2017~2020年の4年間に年間50社、計200社の進出があると前提している。これらは、いずれも大胆な仮定ではあるが、後述のようにソフト・パワー効果、セーブ・フェイス効果を発揮すれば実現可能な前提と考えられる。

試算によると、生産誘発効果は約20兆円と都の試算の7倍に達する(一部ソフト・パワー効果なども含む)。また付加価値誘発効果も約10兆円で、年当たりGDP成長率を0.3%押し上げることが明らかになっている。これに関連して注目されるのは、雇用誘発効果が7年で約100万人となっている点だ。

こうした高い雇用効果が期待されることは、本来好ましいことだ。しかし現状の日本では、労働力とりわけ建設関係の労働力に大きな不足現象が見られる。せっかくの経済成長・雇用拡大のチャンスなのに、労働市場の改革と開放が進まないとその好機が失われるという懸念がある。後述するように、たんにオリンピックの経済効果を期待するという受け身の姿勢ではなく、このチャンスを活かすためにも国内の経済改革を進める、という覚悟が求められる。それがなければ、五輪効果もまさに絵に描いた餅に終わる。

最高のコンテンツを活かすソフト・パワー効果

経済効果の第2は、東京と日本のソフト・パワーが高まることによって生じる効果だ。ソフト・パワーとは、まさに相手を惹きつける力にほかならない。考えてみれば、オリンピック・パラリンピックはいまの世界で最高の「コンテンツ」である。世界の人口の約7割が、テレビなどでオリンピックを目にするという。したがって主催国としてさまざまな企画を推し進めるなかで、開催前後の数年にわたって、日本と東京の世界に対する露出度を一気に高めることができる。前回のオリンピックを開催したロンドンは、見事にこうした力を発揮した。

先に紹介した森記念財団・都市戦略研究所では、6年前から「世界の都市総合ランキング」を発表している。これは、70の指標を組み合わせ、経済・文化・生活など幅広い分野の総合力を指数化し、ランキングにしたものだ。それによると、毎年第1位ニューヨーク、2位ロンドン、3位パリ、4位東京が不動のトップ4として位置付けられてきた。しかし2012年、トップを走り続けてきたニューヨークが2位に転落。入れ替わって1位になったのは、オリンピックを開催したロンドンだ。

詳細を見ると、このランキングを構成する70の指標のうち、とりわけ文化・交流の部門でロンドンの上昇が目立った。最大のポイントは、オリンピックの前後にロンドンで開かれた国際会議の数が大幅に増加したことだ。世界におけるロンドンの露出度が高まり、都市開発の新しい試みが知られるようになったことで、この際ロンドンで会議を開こう、というムードが各方面で高まったという。まさに、ロンドンのソフト・パワーが一気に高まったのだ。もちろんその背景として、誘致のためにロンドン市が力を尽くしたことも大きい。

また国際会議が増加したことと並行して、ロンドンにおけるホテルの質と量が大幅に改善した。じつはいまの東京では、最高級の五つ星クラスのホテルの数が減少しているという。決してホテルがなくなっているわけではないのに、世界における五つ星の基準がどんどん高くなっているのだ。その結果、東京のホテルの質が相対的に劣化している。しかし今回、オリンピック・パラリンピックの東京誘致が決まったことによって、東京の老舗ホテルなどの大型改装・拡張が発表され始めている。ホテル建設は、結果的に大きな経済誘発効果をもつし、また雇用効果も生まれる。

もう一点、ソフト・パワー効果として期待されるのが、クールジャパン戦略への貢献だろう。この点に関しては、すでに「クールジャパン推進会議」によってアクションプランが作られ、政府の成長戦略もこれを裏付けている。民主党政権時の政府の推計によると、近年における世界の文化産業の市場規模は約530兆円。これが20年には、900兆円超に拡大するという。しかし食を除く日本勢の売り上げは、現状では約2兆円にすぎない。日本に潜在力があることは、多くの関係者が認めるところだ。そこで経済産業省は、コンテンツ、ファッション、「食」などの文化産業を海外でも稼げる産業に育てたいと考えている。

しかし統計によると、この関連分野で輸出が輸入を上回る「黒字」部門はゲームだけで、映画、音楽、書籍などは軒並み輸入超過となっている。決め手がないなかで、オリンピックという契機が大きな可能性をもたらすことは確かだ。しかし、これをどのように実現するのか……、従来のような安易な政府依存ではない方策が求められねばならない。

大きなセーブ・フェイス効果

加えて筆者は、ハード・ソフトの効果を超えたより大きな効果として、第3のセーブ・フェイス効果を指摘したい。

これまでも多くのエコノミストたちが、オリンピックの経済効果について議論してきた。そうしたなかでとりわけ注目されるのが、カリフォルニア大学のローズ教授らの研究だ。彼らは、1950年から2006年までのあいだにオリンピックを開催した国を統計的に調査し、その前後で貿易が3割も増加しているという興味深い事実を発見している。

その背景にあるのは、オリンピック開催国という面子を保つために、多くのケースで貿易や為替に関する国内の古い規制が取っ払われたという点だ。要するに開催国として対外的な〝面子を保つ(セーブ・フェイス)〟必要に迫られ、結果的に国内改革が進み経済が活性化されたのである。この効果は、既得権益をもった人たちが奇妙な理屈をかざして、世界では当たり前の経済改革に反対してきた日本で、とりわけ期待したい効果といえる。

わかりやすい例として、羽田空港の国際線拡大がある。もう10年以上も前から、筆者らは経済財政諮問会議の場で羽田の国際化を主張してきた。その結果、ようやく近年になって、まだ限定的ではあるものの羽田の国際化が進展してきた。しかしそれでも十分な成果が挙げられない要因として関係省庁が指摘するのが、「千葉県の反対(もしくは成田の反対)」である。たしかに成田空港を建設するに当たり、もはや羽田空港が限界であり新たな空港が必要であるとの認識が広く共有された。成田空港の建設自体、一部の大反対があり関係者がそうとうの苦労をしたことも事実だ。

しかし、海外から日本を訪問する人びとからすれば、東京と千葉の関係はほとんど理解されないだろう。近年になって、都心に近い空港の重要性が世界的に見直されるなかで、羽田空港の活用拡大は当然の方向に映る。そうしたなかで、過去の経緯を引きずって羽田の国際化が進まないならば、日本全体の利益が大きく損なわれることになろう。過去の経緯はいろいろあるが、訪問客の利便を第一に考え対外的な面子を保つために、また日本の利益のためにも、オリンピックを一つの契機に「リセット」して新しい空港システムを整備する……こうした効果が期待される。

(Voice2014年2月号より 後編は2月20日公開予定です)

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