スマホ高位機種ブームに幕-平均価格下落、米アップルに打撃

 こんなこと、このブログにすら何回も書いた。コタツに入ってネットしてるだけで分かることだ。しかし、分析は浅くコタツジャーナリストとしても失格だ。Android と異なり、同じOSを搭載した他社製端末との価格競争をしなくていい Apple にとって影響が大きいのは、高価格帯市場の飽和による需要の減少だ。1 万円以下の端末の売上割合が増えて平均価格が下がることとは無関係だ。

 高価格帯の製品を出しているメーカーにとって脅威なのは、高価格帯市場の縮小だけだ。従来型の携帯電話を高価格帯スマーフォンに買い換えようとするユーザの数が減ったことが iPhone 5 と GALAXY S4 の売上が期待より少なかったことの理由だろう。さらに、iPhone や GALAXY といった高価格帯スマートフォンの完成度が上がったことも大きいと個人的には思っている。マスコミはイノベーションの不足と書きたがるが、実際に iPhone 3GS から iPhone 4S を使ってきた人間としては、そうは感じない。スマートフォンは iPhone 発売後大きなイノベーションは無かった。要素技術の進化を取り入れてきただけだ。だから、イノベーションがなくなったからスマートフォンが退屈になったというのは間違い。

 スマートフォンの進化が停滞しているようにみえるのは要素技術の取り込みが一段落したからに過ぎない。Retina ディスプレイ、LTE、高速CPU といった要素技術を搭載することで買い替え需要を開拓してきたが、iPhone 5 以降は待ち望まれるような”次の”要素技術が見当たらないのだ。これは Android についても同じだ。iPhone の後を追い次々と要素技術を取り込んできたが、大きなものが見当たらない。自分は iPhone 4S を使っているが、違約金を払ってまで 5 にしようとは思わなかった。同様に GALAXY S3 を持っているユーザは違約金を払ってまで S4 にしないだろう。

 低価格端末による影響は Android 端末のほうが大きいだろう。同じ OS で同じアプリが使えるのだから。ユーザの中には、スマートフォンを持っても「Facebook と Twitterが読み書きできてLINEができればいい」という人も多い。そのような人にとっては、従来のスマートフォンはオーバースペックな無駄遣いと感じるかもしれない。実際に、Android 端末は発売後数ヶ月で大幅に値引きされることが多い。従来の携帯電話と全く同じ図式だ。

 最後の段落については自分が前から書いてきたことと同じだ。インドメーカーというのは2年前には予想できなかったが、低価格帯のスマートフォン市場において中国メーカーが少ない利益率でしのぎを削ることは間違いない。もし、Apple が低価格機のリリースで対抗すると本木で考えているなら、残念ながら Apple は近い将来スマートフォン市場での大きな利益率を失うことになるだろう。

スマホ高位機種ブームに幕-平均価格下落、米アップルに打撃 – Bloomberg

 7月22日(ブルームバーグ):魅力的なハイテク製品として登場したスマートフォン(多機能携帯電話)も今やありふれた商品だ。

ウェブ機能とアプリケーションを搭載したスマホの人気はこの5年間うなぎ上りで、昨年の売上高は2939億ドル(約29兆3000億円)に達した。利用者は全世界で10億人を超えている。米国を含む先進国では携帯機器ユーザーの半数以上が既にスマホを保有しており、中国やインドなど新興市場国では低価格モデルが人気と、高位機種の需要は世界的に鈍化している。

米調査会社IDCの集計によると、スマホの平均価格は昨年初めの450ドルから375ドルまで低下。価格下落は既に米アップル や韓国サムスン電子 の売上高の伸びと利益率を脅かしており、新製品を頼りに売り上げ回復を図るフィンランドのノキア やカナダのブラックベリー を一段と窮地に追い込む可能性がある。一方、中国の華為技術やレノボ・グループ (聯想集団)など低価格製品に特化する後発組には追い風だ。

ABIリサーチのアナリスト、マイケル・モーガン氏は「スマホ市場で高位機種が著しく伸びる時代は終わった」と指摘。「この先始まる闘いに準備ができているのは、極めて小さい利幅で生き残るすべを知っている中国企業だ」と分析した。

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