iTMS効果?

アップルを大歓迎する日本の音楽業界の謎 – CNET Japan

 実際、米国の状況を見ると、2003年4月のiTMSのサービス開始と時を同じくして、CDの出荷数量は増加に転じている(表1)。

graph これまでの消費者の気持ちを逆なでするようなタイトルの記事でなにを釣ろうとするのか?

 この、iTMSのサービスと同時にCDの出荷数量が増加しているとのグラフに恣意的な表現があったので訂正してみた。出荷数量が分からないので、基点となる2001年を100としてみた。確かに、「増加に転じてはいる」が、この言葉や記事のグラフから受ける印象とはかなりかけ離れたものになるだろう。

  iTMSが増加率ではなく累計販売額ということも注意が必要だ。棒グラフは普通累計には使わないんじゃないか。iTMSの売上は表現方法の問題を吹き飛ばすほどの上昇率だから、iTMSの累計販売額を棒グラフで表現することにあまり問題はない(ただし、この年度までだが)。

 グラフは説得力が大きい。折れ線の傾き、棒の高さで印象が大きく変わる。逆に、これをうまく使うことで、数字を捏造することなく自分の意図する印象を与えることができるといういい例だ。ちなみに、この効果を俺は「全米興行成績法」と読んでいる。

 ちなみに、iTMSによってCDの販売数が伸びる可能性については否定しない。一曲だけ欲しいアーティストの曲はiTMSで買い、アルバムで欲しいものについてはCDで買うという購買パターンが考えられるから。大好きなものならAACよりCDがいいに決まっている。

 ただ、前にも書いたが、この懐メロ需要はいつか飽和するだろう。再発見組(若年層が古い楽曲を新曲として発見すること)の需要を取り込んで長期的成長に繋げられるのだろうか。

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