エコシステムとOSの概念

後藤弘茂のWeekly海外ニュース

【久夛良木氏】 Apple Computerがかつてそうだったように、PLAYSTATION 3が出てオープンになると、エコシステムが回るんじゃないかな。Macintoshになると、Appleが全部やらなくても、Adobeが出てきて何が出てきてと、エコシステムが回って盛り上がった。

 一つの製品(あるいは製品ライン)が、周辺産業を巻き込んで一つの流れを作るのを何度か目にした。iMac現象やアニメもそうだろう、古くはpalmデバイスもそうだった。ケータイ周辺も騒がしいが、ケータイ自体の変化が激しいのと、周辺産業の裾野が狭いために流れを作ることはできないでいるようだ。

 最近ではiPodが一つの流れを形成しつつあるように感じる。iPodが他のMP3と決定的に違うのは、iTMSとの連携と併せたエコシステムとして機能していることだろう。日本では、MP3プレーヤーはレンタルCDのプレーヤーとほぼ同義なので、iPodはデザインとアクセサリーが充実したプレーヤーでしかない(アクセサリー類の豊富さは圧倒的だが)。これがエコシステムとして回転するかどうかはiTMSにかかっているだろう。

 エコシステムという視点でプラットフォームの栄枯盛衰を測るのは面白いかもしれない。HandSpring が springboard というスロットで一つのエコシステムを回そうとした。それを使ったいろんなデバイスが発売されて一次は賑わいを見せたが、handSpringがspringboardスロットを見限ってから市場は消えた。palm も縮小一方だ。もっというなら、PDA市場が姿を消しつつある。海外では、PDAとケータイ電話の一部を巻き込んで雪ダルマ式にエコシステムができつつあるように見える。日本ではエコシステムの幹として育つかどうか・・・

 あと一つ気になるのが、skype周辺の動きだ。これまでの、ヲタのチャットくらいでしか使われなかったインターネット電話を一般電話に結びつけ、一般の電話回線が不要になってしまう。こちらも、周辺機器メーカーや付加サービスプロバイダなどを巻き込んで雪ダルマ式にビジネスが膨らんできているようだ。既存回線業者がこれにどう立ち向かうかが楽しみだ。

 あと一つ面白いと思ったのは、こちらの発言。

Cellの場合、OSはアプリだから(笑)。カーネルはCell(Cell OSのハイパーバイザ層のこと)で動いていて、複数のOSがアプリとしてその上に(仮想マシン上に)載るスタイルになる。Linuxは当然載るでしょ。

 次世代のPCアーキテクチャとして多くの会社が目指しているものと良く似ている。そして、Transmetaから技術を買った理由もよく分かる。Apple の intel マシンに載る旧バイナリ互換のためのソフト(Rosetta)も codemorph と同じ機能を持っているようだ。MSによる connectix の買収といい、単体OSによる機能強化競争は一段落といったところか。これからは、OSメーカー、CPUメーカー入り乱れての争いが起こるのかもしれない。

 しかし、個人ユーザーにとってどれくらいメリットがあるのか分からない。ネットワークが強力になれば、PCは多くの端末の一つにしか過ぎなくなるだろう。PCはFEPやunixのデスクトップのようになるのが理想だと思う。

 ちなみに、OSXのIntel移植の可能性については、2001年にこんな記事がでていた。

【コラム】OS X ハッキング! 第3回 OS X for Intelの可能性 (MYCOM PC WEB)

OS XがIntelマシンに移植されるのでは、という噂は、AppleがNeXT Softwareを買収した当初から根強く存在する。前身にあたるNEXTSTEP/OPENSTEPが4種類のアーキテクチャ(68k、i386、PA-RISC、SPARC)をサポートしていたこと、一時期デベロッパ向けにRhapsody for Intelが配布されたこと、そして今はDarwin for Intelがリリースされていること、それだけの材料でも十分あり得る話と考えていいのかもしれない。

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