(今度こそ)iTMS キター

NIKKEI NET:主要ニュース:アップル、日本で音楽配信・8月開始
 米アップルコンピュータは8月上旬に日本で、インターネットによる有料音楽配信サービスを始める。国内主要レコード会社の大半が楽曲を提供する見通しで、国内最大の50万―100万曲程度をそろえる。アップルは音楽配信で世界最大手。携帯音楽プレーヤーの普及と歩調を合わせ、ネット音楽配信が日本でも本格離陸しそうだ。

 アップルの音楽配信は「iチューンズ・ミュージックストア(ITMS)」。利用者は楽曲データをネットからパソコンに取り込む形で購入。同社製の携帯音楽プレーヤー「iPod」などに転送して持ち運べる。 (07:00)

 俺にとっては、こっちのほうがインパクトが大きい。100万曲の中に俺の欲しい曲がどれだけ入っているか問題だが、それは始まってからの話だ。何より、外から眺めているしかなかったパーティに招待されたような気持ちだ。

 少し気になるのは、ソニーの動きだ。この春に発売されたソニーのシリコンプレーヤーが好調な売上らしい(ITmedia ライフスタイル:ソニーが躍進するポータブルプレーヤー、“必殺技”iTMSの登場はあるのか? (1/2))。日本人の高機能製品好きにフォーカスした仕様は魅力的だし、充電池の性能はユーザーでしかないAppleには達成できないレベルだ。「液晶がないのはなぁ」という理由でiPod shuffle に疑問を持ったユーザーを全部掻っ攫っていっただろう(影響をまともに食らったのは韓国系のMP3シリコンプレーヤーメーカーだろうが)。

 この、ソニーの躍進はいい。問題は、ソニーがネットワークウォークマンの公式サポートダウンロードサービスとしてmoraを使っていることだ。CDの輸入措置に熱心な音楽流通独占体質(自社の利益に繋がらなければ、アーティストやユーザーが望んでも流通を差し止め聴けなくしてしまうことさえ厭わない)を持ったソニーがそんな、自社のハードで使えないiTMS(しかも、明らかにmoreよりもDRM制限がゆるい)に楽曲を提供するとは考えにくい。

 この影響がどれくらいのものか現時点では分からない。そうならないのかもしれないが、XXというアーティストを聴くにはネットワークウォークマン、YYを聴くときはiPodと使い分けなければいけないような事態は避けて欲しい。

 後、音質別の価格体系を導入してほしい。AAC128kbpsは150円でロスレスは300円でどうか。ロスレスだと通常のCDと遜色のないCDが作れるのだから、通常CDと同程度の価格になって当り前だ。感覚としては、楽曲のバラ売りだ。CDのディスクが高音質なデータ、歌詞カード、安定度の高いディスクをパッケージした完成品として認知されれば多少の価格差は納得されるはずだ。CDメーカーは音楽配信を味方につけなければいけない。日本の音楽販売市場では、CDメーカーのライバルは、音楽配信やCD-R、iPodではない。レンタルだ。そして、音楽配信が直接影響を与えるのはレンタル業界だ。

 これは、ユーザーの視点になれば一発で分かる。欲しい曲があったときに、大好きな特別なアーティストのディスクなら予約してでも購入するだろう。それが将来ダウンロード販売されるかどうかは関係ない。良く知らないアーティストとか一枚のCDに欲しい曲が1曲しか入っていないような場合(こういうケースのほうが多いのではないか)にレンタルを使うのだ。つまり、これまで通常のCDの売上として直接CDメーカーに入ってこなかった(レンタルの印税は入っただろうがマージンは低いのだろう)売上が音楽配信から、流通のピンはねなしに入ってくるのだ。

 同時に、CDメーカーは今のような怠慢な企画は許されなくなる。つまり、廃盤になったりCD化されていなかったりするような楽曲を集めてベスト版を作るようなことは許されなくなる。音楽配信で一番利益率が高いのはこういう楽曲たちだろう(新曲はダウンロード回数が多いだろうが利用料も高いだろうから)。自分だけのベスト版を簡単に作れるようになるからだ(もちろん、それは音楽配信の売上になるが)。CDメーカーに求められるものが変わるのは間違いないだろうが、どう変わるべきなのか俺にはさっぱりわからない。

 CD-R、kana2000、diGO、iPodのおかげで俺は音楽に対する支払額が大幅に増えた。これらがなければ、音楽を聴く機会がなかったからだ。こんな中年のおっさんは多いはずだ。MDユーザー層だって、MDなら一度に持ち歩ける曲数が限られているので、たくさんの楽曲を欲しいとは思わなかったが、iPodを買ってから大量にCDをレンタルしたり買ったりした人がいるはずだ。娘も、iPod mini を買うのを機にCDを借りなおすらしい。重要なのは、CDメーカーが眼の敵にしているものが、全てCDメーカーの利益にとってプラスにしか働いていないことだ。

 コピーされたらその分売上が減るというのは幻想だ。アフォな思い違いだ。コピーできなければしなくなるだけだ。自由に聴けない音楽なら最初から買わない。すっごく気に入った曲だけCDを買うだけだ。しかも、そのCDはコピーできるかできないか、音楽配信されるか否かにかかわらず買うのだ。コピーできなくなったらそんな曲だけを聴き続けるだろう。それに、音楽が聴けなくても他にやることは幾らでもある。実際、kana2000を買うまでは電車の中で音楽を聴いていなかったし、CD-Rを買うまでは車でFMラジオしか聴いていなかった。

 CDメーカーは考えなければならない。CCCDがどのように受け入れられたのか。CCCD化したディスクがそうしなかったディスクに比べて売上が伸びたのか?逆だろ。去年、CDの売上が減ったのはiPodの責任のようにほざいていた耄碌ジジイがいたが大間違い。CDメーカーがこぞってCCCDなんか出したからだろう。それまでより質の劣るものを市場に投入しておいて、売上が減ったことに別の原因を持ち出すとは盗人猛々しい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です