システムの都合

「システムの都合」を口にしていませんか : IT Pro 記者の眼

 例えば,エンドユーザーと仕様を検討する際,作り手は「システムがXXだからそれはできない」といった説明をしがちだ。それは事実なのだから仕方がない,と言えばそれまでだが,極論するとエンドユーザーは「自分の業務がどう変わるのか」「会社の利益がどう変わるのか」にしか興味が無い。同じ「できない」と主張するにしても,「技術的に実現不可能」と「実現できるが費用対効果が見合わない」では意味合いが異なる。もう少し丁寧に,エンドユーザーが納得のいく説明ができなければ両者の距離を近づけることはできないだろう。

 先日、仕入先に向けて一括で文書を送付しなければならなかった。年1回、会計上やらなければならない定例の業務だ。また、業務の必要上、公認会計士の指定の封筒を使わなければならない。今年は、窓付き封筒が使えない事務所だったので、送付先の住所をシールに打ち出す必要があった。ところが、その打出しに使っていたプリンタがなくなってしまっていた(使っていた部署が組織変更で他の事業所に移動した)。そこで、情報システムに対して、2月の半ばに対策をしてくれるように依頼していた。

 ところが、彼らのやったことは、締切日の午後になって、「こっちで打っておきました」と言って、打ち出したものを持ってくるというものだった。汎用機からのデータをテキストに落とせる用にさえしてくれれば、後はワードのラベルプリントフォーマットであっという間にあんなものは作れる。「やってやったから感謝しろ」と言うほどのことではない。それ以前に、データの状態ででもくれれば、ラベルなんか作らずに、直接FMPでプリントできる(ワードでもできるだろうが、俺はFMPでうちにあるプリンタに最適化したレイアウトを持っているので、楽なのだ)。

 自分で作った制限でユーザーを縛っておいて、さも自分達が仕事をしているように見せようというのが情報部門のやり方だ。たった160件のラベルプリントへの対応が何日もかかる時点で終わっている。まともな情報部門なら、「テキストに落とせるようにするから、後は自分でやって」というだろう。FMPを使えない人間が担当になったって、wordのラベルプリントフォーマットと差込印刷で解決できるはずだ。そのほうが、全体の業務量が減らせる。

 今は、連続帳票用プリンタがなくなったからといってcobolを書き直す必要などない。持ってくる前にも、「他の部署でシールを打つのに使っているexcelのシートがあるから、それに割り付けて打てるようにします」とか言っていた。これまでプログラムでやっていたからといって、その延長上で考えなくてもいいのに、それが見えないのだろう。いつまでも神官でいたいシステム屋は退場して欲しい。ほんまに、邪魔でしかない。

 こんなレベルの仕事の仕方をしているから、いつまで経っても時間が足りないのだ。やらなくてもいいことをやって、やらなければいけないことはほったらかし。それを、「分かっていない」経営幹部は、「忙しそうにしているから、良くやっている」と勘違いしている。これは、情報部門の業務とは関係なくすべての仕事の評価にもかかわるが、これは別の機会に。

 神官として偉そうにしたいだけの情報システム部門の常套句が「システムがXXだからそれはできない」だ。実は、やりたくないだけとか、能力がないだけなのだ。ところが、能力がないからできないというのは自分の立場を危うくするので、「このシステムでは・・・」となるのだ。

 もう、うんざり。

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