コスト削減の天才現る?年収数千万円の会社員、個人の全業務を中国に外注していたのがバレて捕まる

 非常に面白いケースだ。一つ疑問なのは、誰に捕まったのかだ。私企業の社員が就業時間中に遊んでいたのは就業規則違反かもしれないが、法律違反ではないだろう。懲戒解雇ということだろうか。

 だとしたら、Verizon の経営陣はアホだ。なぜなら、彼は課せられた業務は遂行していた。ということは、成果と対価という社員と会社との取引の観点からは問題はない。もし彼が今流行のフリーランスで外注を受けている立場なら何ら問題とならなかった(孫受けに仕事させるのは日常茶飯事でなんの違法性もない。フリーランスがノマドワークと称してスタバで遊んでいても原稿さえ上がれば誰も文句は言わないだろう)行為だ。それどころか、彼は個人で使える外注先を見つけてコントロールしていたのだ。

 自分が経営者なら、外注先をオペレーションする部署に移動させ、そのようなパフォーマンスを発揮できる外注先を探したり仕事の管理をしたりする役割につけるだろう。年収数千万円の仕事が孫請けでこなせる外注先と契約を切るのはもったいない。彼の年収が数千万円だったとして、彼はその中から外注先に委託報酬を払っていた(おそらく、自分の年収の数分の一だろう)。ということは、直接契約すればその程度の金額でできる仕事だったのだ。彼は怠け者がサボっていたとおもわれるかもしれないが、「こんな仕事外注でやりゃ半額以下でできる」ということを見出したのだ。そのセンスは重要なのだ。勤勉な人間がやっていたらその仕事の対価(その仕事を担当する人間の給料)は下がらない。

 「外注したらいいやん」というのは簡単だ。しかし、外注するためには外部の人間が仕事をできるようにしなければならない。そのためには、仕事を十分に理解し整理し外注先に指示できなければならない。その上で、必要なデータや資料など実際の作業で必要となるものを漏らさず渡し、納期や出来上がった成果物の品質管理もしなければならない。それを、公式ではなくやっていたのだ。

 ついでに、コンプライアンスの視点から考えてみる。就業規則に違反してるかどうかは Verizon の就業規則を見ないとわからないが、一般の日本企業の就業規則的には違反だろう。が、彼が私企業の就業規則に違反していたと仮定して、それによって株主や市場参加者が迷惑を被るだろうか。Verizon の評価を誤るだろうか。いや、ない。給料というコストに見合った仕事をしているのだから、会社の業績を見誤らせることはない。それより、自分が株主なら、そんなに安いコストで出来る仕事している人間に高い給料を払っていたアホな経営者のほうが会社の業績を悪くするとして批判するだろう。

 こんな問題は、所属長が怒鳴りつけて、始末書を書かせておしまいにするべき問題だ。そして、彼が使っていた外注先と正式に契約し、彼には他の業務で同じような外注先を探す仕事をさせればいい。

年収数千万円の会社員、個人の全業務を中国に外注していたのがバレて捕まる : ギズモード・ジャパン

真の怠け者とは、しばしばクリエイティブさを発揮するようです。たとえば、自分の仕事を中国にまるごと外注して、勤務時間中に遊んでいたのがバレてしまった開発者のように。

Verizonのケース・スタディによると、今回の犯行に及んだのは某「災害インフラ企業」に勤める「ボブ」さん。彼は上手くやったつもりらしいのですが、社外から社内ネットワークにアクセスできるVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)のログに怪しい痕跡を残してしまい、あえなく御用となってしまいました。

以下はその報告書より。

「我々は、とある米企業からVPNの奇妙なログについて相談を受けました。平たくいうと、米国オフィスのデスクに座り、モニターに向かって作業しているはずのボブが、中国からログインしているという記録が残されていたのです」

輝かしいほどのパフォーマンスの高さが評価されていたボブさん。ところが、その開発はすべて中国の外注先の成果物だったのです。彼は複数の外注先を使って不正行為を働きながら、なんと数千万円もの年収を得ていたというからスゴいですよね。

ちなみに本物の「ボブ」さんは普段何をしていたかというと、海外版2ちゃんねると言われるRedditを2時間ほど徘徊し、eBayで1時間ショッピング、さらにフェイスブックを2時間、ビジネスSNSのLinkedInを2時間くらい閲覧するのが典型的な一日の過ごし方だったそうです。

もっとも、今後は転職活動のためにLinkedInを見る時間がもっと増えるかもしれませんけどね。

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