デマの構図(追加):iPad首位陥落? 調査会社、判断分かれる

 BNCBCNの数字についてGfkの結果との乖離が記事になっている。調査によるバラツキをネタにしている。しかし、リテラシーがないらしく、間違った印象しか残らない。この記事を読んだ人の多くは「Gfk のほうが店舗数が多いので正確だろう。iPad は首位のままらしい」と読んでしまいかねない。

 この記事の問題点は、母集団と調査対象がずれていることに意識が及んでいない点だ。家電チェーン店による売上が日本市場全体の代表に近いと予想されるようなテレビとか白物家電なら、おそらく BNCBCN でもそれなりの傾向はつかめるだろうし、その点では Gfk は BNCBCN を上回る精度を持っているだろう。問題なのは、タブレットという商品の特殊性だ。iPad は Apple store (実店舗、オンラインとも)、Amazon、Google play、通販専門店といった経路からの売上が多い。極端なのは Kindle fire で、家電量販店の売上はほぼゼロだ。

 調査対象が全体の代表でないのならその調査は全体傾向を表しているとは言えない。「日本にいる消費者が買ったタブレットの内一番多かったのはどれかはこれらの調査では分からない」というのが正解で、これらの調査からでは NEXUS 7 の日本での売上が iPad より多かったのか少なかったのかは全くわからない。

 記事は両方の違いと違いの原因の一部を書いているが、ジャーナリスト(w)ならもう一歩、「これらの調査は偏った母集団の調査であって実際のタブレットの売上傾向ではなく、量販店での売れ筋商品ランキングでしか無いので勘違いすんなよ」と書くべきだろう。

朝日新聞デジタル:iPad首位陥落? 調査会社、判断分かれる – 経済・マネー

 昨年12月の国内タブレット端末市場で、「iPad」を売る米アッ プルが初めて首位から陥落したと調査会社BCNが発表した。一部の店でiPadが品薄になったことが影響したとみられる。一方、同業のGfKジャパンはアップルが首位だったとしている。

 BCNによると、米グーグルの「ネクサス7」が販売を伸ばし、製造元の台湾エイスースが12月のメーカー別シェアで前月を12ポイント上回る44・4%に急伸。アップルは40・1%にとどまり、2010年のiPad発売以来守ってきた首位の座を明け渡した。

 一方、GfKのデータでは、12月もアップルが首位を維持した。調査対象の家電量販店はBCNの約2400店に対し、GfKは約4千店。BCNの調査対象に、iPadの入荷が多い複数の大手量販店が含まれていないことが、結果の差に表れたとみられる。

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