キメラの時代? Windows 8 は iPad 以前の混沌を目指す

 まず、ハイブリッドの定義をしたい。タブレットとしての使用可能なタッチスクリーンとキーボード・ポインティングデバイスを備え、タブレットとしての使用が可能な形状をしているものとする。

 タブレット単体で使えるものにキーボードを純正のキーボードと一体化させられる「タブレット + キーボードドック」とキーボードを物理的に外すことは出来ないが、折りたたんだ状態でもタブレットとして使用可能な「タブレット利用可能なノートPC」がある。Windows8 ではタブレット+キーボードよりたたんだ状態でタブレットとして使える後者がメインとなる流れだ。その理由については、「

【笠原一輝のユビキタス情報局】 IFAで明らかになったWindows RTの失速.

」が詳しいので、説明は省く。Bridge キーボードの時にも指摘した重量バランスと Windows 8 のハード要件が高いためにタブレットに収めることが困難ということだろう。

 話はそれるが、RT への盛り上がりが早くも収束しつつ有るのもほぼ予想通り。というか、自分がここに書いた疑問が顕在化したようだ。$70 ものライセンス料を払って現在 $200 (7インチ) $350(10インチ) で売っているものと競争できるものを出せるわけがないからだ。まして、ライセンス料を支払わなくてもいい MS 自らがハードで参入してくるのではアホらしくてやってられないということだろう。Android の利益率が下がり、相変わらず iPad が立ちはだかるハイエンドのタブレットは捨てて既存のPCの技術の延長上でできる Windows 8に注力するのは自然な流れだ。しかし、Windows 8 市場もすでに過当競争が始まった感があるが・・・まあ、がんばれ。

 ここからは、各メーカーの出したモデルを並べてみる。

 サムスン ATIV Smart PC 発表、ペン対応 Windows 8 タブレット + キーボードドック – Engadget Japanese
 価格が載っているので最初に上げた。他のメーカーはほぼこの価格を参考にするだろうが、かなり意欲的な価格で日本メーカーが追随出来るかどうかは分からない。$750 という価格的は「Ultrabook を下回り iPad より高い」とした自分の予想通りだが、Core i5 に 256GB のSSD、4GBメモリをつけたノートPC として考えると相当に意欲的な価格ではないだろうか。これなら、「Ultrabook より少し重いしタッチスクリーン要らんけどやすいしね」という判断もあり得るだろう。

 それと、このモデルはタブレットとしてキーボードとは別に単体で使えるという点でも意欲的だ。これだけのハードウェアをタブレットというフォームファクターに詰め込んだのは要素技術も持った垂直統合メーカーならではだ。

 ソニー VAIO Duo 11 発表、スライドWindows 8 タブレット / ノート – Engadget Japanese
 Android は Experia で展開し Windows 8 はパソコンなので VAIO にしたのか。これはわかりやすくていい。アプリに互換性がなくても納得だ。

 液晶面をスライドさせるギミックでCPUはキーボード側に置いているのだろう。そのおかげでCPUやメモリ構成に余裕が有るのは、値段が上がっても高性能なものを欲しがる人にとってはメリットだろう。(個人的にはこのマシンに Core i7 と 8GB メモリが必要な使い方をするなら他のPCのほうがいいと思うが)。

東芝製のWindows 8 ハイブリッドタブレット「U925t」、想像よりずっと良い感じです(ギャラリーあり) : ギズモード・ジャパン
 1366×768 という解像度は完全に失敗だろう。Core i5 128GB SSD でこの液晶では Samsung のローエンドと同価格以下でないと勝ち目はない。


デルの変形 Windows 8はXPS Duo 12、画面が回るタブレット / ノート – Engadget Japanese
 マイケル、何を考えているんだ?それとも何も考えていないのか?

 自分は初めて見るが、以前にも同じコンセプトのネットブックを出していたらしい。しかし、そんなものがヒットしたという記憶は全くない。そのときに、このデザインが市場でどのように受け入れられたのか十分に評価した上で出すのだろうか。



HP Envy X2 発表、ペン対応11インチのWindows 8 タブレット + キーボードドック – Engadget Japanese
モバイルに乗り遅れることで大きな損失を被ったHPだって黙ってはいられない。

 タブレットでの使用を可能にするとハードの資源的にはかなり見劣りしてしまう。また、パソコンと同じ位置にタブレットをモニタのように固定するためにはキーボードにかなりの重量が必要となる(Ultrathin keyboard cover for iPad で書いた)。そのために、キーボードと一体化した時に 1.4kg と全く軽くない(これはこのタイプのドック型が抱える根本的な問題だ)。

 Samsung のタブレットと直接対決になるが、$500 以下で売るくらいのことをしないといけなくなるだろう。

ASUSの Windows 8 / RTタブレットは Vivo Tab、キーボードドックつき – Engadget Japanese

 DELL と同じコンセプトのタブレット+キーボードタイプ。従来からおなじようなフォームファクターのWindowsパソコンやAndroid機を出してきている、ある意味老舗だ。東芝なんかよりはるかにデザインがマトモだ。しかし、液晶の解像度の低さやメモリが2GBしかないことから、相当に値段が低くしないと生き残れないだろう。

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